さて。ハイスロープ村とやらに着いたのは良いが、時既に夕暮れ。そして2人が言っとった通り、本当に「何もない」と言えるレベルの寒村じゃった。
まず、宿屋がない。そもそも村にある建物のサイズ全て、あの貴族屋敷(廃屋)の半分もない。
診療施設、はあるにはあるが、あるだけで医者も治癒士も村におらぬゆえ、空家状態。
一応、いつ聖女や野良治癒術士が引っ越してきても良いように、村民がローテーションを組んで頻繁に手入れしておるらしい。ので、思ったよりは埃っぽくない。
商店は一軒。この村の一軒家よりは一回り大きい程度の雑貨屋のみ。
2人の話では、扱っているのは生活必需日のみで、その他必要な物は近隣の村から取り寄せ、らしい。武器防具とか野菜の種とか農具の手入れ用品とか。
家屋は、約15軒。正式な村人は、今は50人に満たないらしい。
……よく今まで滅ばなかったものじゃと感心するの。性欲旺盛な村人が多かったのじゃろう。
うむ。産めよ増えよ地に満ちよ、じゃな。たとえ、何度世界が滅んだとしても。
最後に、
火が沈む頃に受付終了するらしく、着いた時はギリギリ開いていたのだが。我等の案内を優先してくれたので、ここに来るまでに何体か狩った魔獣の部位提出は、明日朝にしてくれるらしい。
ユウジョウ!
ちなみに、ハンターギルドとしては最小規模らしく、他の村では最低でも建物サイズはここの1.5倍、人員は最低受付4名にギルド支部長が1名はいるモノらしい。
⏳
さて、夕刻の短い時間で簡単に村を紹介して貰った訳じゃが。どの家も今から2人も泊める余裕はなく、今夜の我等の宿は我が治癒術が使えるゆえ、当然のように診療施設となった。
というか、明らかに平民でない容姿の我等を粗末な家に泊めるなんて畏れ多い、と言われてしもたんじゃが。致し方ないとはいえ、我は気にせんのにのう。
「今日は何から何まで世話になったの。では明日、改めて村の案内頼むのじゃ」
「おう、またなー」
「また明日ねー、アルちゃん、カタリナさん」
診療所扉前にて別れ、2人は各々の家へと帰っていく。
2人を笑顔で見送った後、カタリナと共に診療所へと入り戸を閉め、
「ふぅ。同年代のフリも、精神的に疲れるのう」
ため息をついた。
「おや、フリだったのですか? 同じレベルにしか見えませんでしたが」
「……我の精神は童じゃと?」
「はい」
「むう」
流石に失礼が過ぎぬか此奴……ふむ。後で聞こうと思うとったし、今にするか。
「カタリナよ、なにゆえそんな我に対してツンツンしとるんじゃ? それワザとじゃろ。理由はいくつか思い付くが……」
「思い付いたのでしたら、当ててみて下さい。ハワイにご招待しますわ」
はわ……? 童に聞いた地名にないから、ニュアンス的に100年前に存在した観光名所かの。
まあそれはいいとして。
「やはり1番はアレかの。名付けもせずに4000年近く1人きりで行動させていた事かの。名は大切なものじゃ」
「正解です。ですが私は、元より地上で行動するために作られた
ぬおーん……半分くらいソレじゃ思とった。後9割、なんじゃろ。
「では、盛大に寝坊したからかの。秒単位で寝坊時間覚えている辺り、」
「それも精々3割程度ですわ」
「まだ半分行っとらんのか……ふーむ、ならば」
……他にも思い付いたのを挙げていったが、1割にも満たないだとか怒りポイントですらないと言われた。
「むむー……降参じゃ。答えを教えてくれんかの」
「私がツンツンしていたほとんどの理由は、私の性癖がロリコンだからです」
「ロリコン? ロリータと、コンプレックスの組み合わせ造語かの」
「その通りでございます」
ぬぬー?
……ロリータの由来は、幼なげな少女の名から取られた造語。ゆえに「ロリ」は、幼い容姿の少女全般を指す短縮後。
……そして「コン」は、コンプレックスの略語。組み合わせると……性癖と言っとったから、つまり意味は。
「ロリコンとは、少女性愛者の事」
我の返答の代わりとしてか、カタリナは目を細め口をニンマリと歪め、満面の笑みを浮かべる。
全身にゾゾゾッと怖気が走った。
コワイ!
「……つ、つまりは我も、おぬしの癖の守備範囲内であると。それでなんでツンツンに繋がる?」
「それは当然——ご主人様が可愛すぎてイライラするからですわあ!!」
歪んだ口からは涎が垂れ、カッぴろげた目は血走っていた……うむ! これはまごう事なく。
「変態じゃー!! おっおぬしっ散っ々我をヘンタイ呼ばわりしておいて、というかイライラってなんじゃムラムラの間違いじゃろ!!」
「はい、ムラムラし過ぎてイライラします」
「いやそうはならんじゃ——いや待て。おぬしはカトリーヌの願望から生まれたスピリットをベースにして造ったホムンクルス。ならばカトリーヌも!?」
「その通りでございまぁす!!」
「勘違いしないで頂きたいのですがぁー↑? わたくしもカトリーヌ様も、淑女でございまぁすっ!」
「嘘をつけ! そう言ってどうせ、変態と書いて淑女と読む、とかじゃろ! 騙されんぞ!」
「滅相もございません! 真のロリコンの鉄の掟! YESロリータNOタッチ! ロリータとは、観察にて愛でる尊き
「顔に説得力が微塵もないわい! 発情顔をやめい息を荒げるな涎を拭けい! というかそのワキワキと卑猥な感じに動くその手はなんじゃ!?」
「……何事にも、例外というものがございます」
……あ。なんかこの後の展開読めたぞい。
「我、例外……?」
自身を指差してそう問うと、
「はい♡」
迷いなく即返事が返ってきた……あー……
「…………なぁんで?」
「ご主人様は、元成人男性。つまり! 精神的にはノーマルラブだから、ですわ〜!」
「やっぱりか〜〜!!」
「というわけですので。空家、奥にはベッド、愛する2人。何も起きないはずがなく!」
「起きないでなく起こす気じゃよな!?」
はわわ……か、完全に捕食者の目なのじゃが!?
そ、外に逃げっカタリナが玄関扉側におるゆえ無理! ならば窓からと奥へ行き、
ガタガタッ
「この感じ! 外から鍵かけられておるな!?」
木製の窓に触れるが、鍵らしきモノがない。恐らく錯乱する患者が逃げ出さないための仕様なんじゃろが、今はそれがピンチじゃ!
「自らベッドに行かれるとは、誘ってらっしゃいます?」
「しまった!」
窓際にベッドがあったため乗って(でないと窓に手が届かないからなのじゃが)いたのが更に悪かった。さっき以上に事態が悪化してしもうた。
我はカタリナに無理矢理ベッド上に引き倒され、肩を抑えられ覆い被される。
「ああっ怯えたお顔も可愛すぎますわぁ……♡ んもぅ我慢出来ませんっ! アル様が培養管の中で全裸の幼女の姿に成長してから、91年108日と4時間43分19秒!! ずっっとムラムラさせられた責任取って、いただきまぁす♡」
(アバババババーー!? どどどどっどうしたらどうすればどうすんじゃーー!?)
と心の中で未知の展開にアバアバ混乱しておると、カタリナは我の服に手をかけ——そこで我の思考は吹っ飛んだ。
結果。
「……イヤじゃ……乱暴はイヤじゃぁ……」
「!?」
ちょっと幼児退行した。感情のままの言葉が勝手に出てくる。
「……今のカタリナ、すごく怖いのじゃ……」
「!?!?」
「今のカタリナ、嫌いじゃぁ……うっうぅ〜……」
遂には涙まで流れ出てきた。
「…………。」
「……? カタリナ、どうした——」
なんか急に大人しくなり真顔になったカタリナは、
「カハァッ!!」
「のじゃーー!?」
喀血した。
今後の投稿頻度は、毎月10の日(10日、20日、30日)毎の予定です。作者の体調や執筆状況で変動します。よろしくお願いします。