君の重しになりたくて   作:ダーニャちゃんってふわって消えそうだよね

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予告通信見ました!?!?ダーニャがさいっこうに可愛いので見てね!!見ろ!!!


君と踊りを

「ダーニャさん。今夜、暇っすか?」

 

「告白もそうですけど、そのいきなり本題に入る癖直した方が良いと思いますよぉ」

 

「流石のダーニャさんの言葉でも、告白を止めるつもりはないっす。ほら、今夜、ラベル学部が実験も兼ねてちょっとしたダンスパーティーを開催するじゃないっすか。そこで良ければ俺と踊ってくれませんか?」

 

「……あぁ、それで今日は朝からの告白がなかったんですね」

 

 いつもなら正門に足を運べば、人の目など微塵も気にせず告白してくるシュバルツが告白がないところか、お昼になるまで姿を見せなかった事に心配をしていたダーニャであったが、此処で誘う為に少しでも自分の気を悪くさせない為だったのかとジト目を向けため息を溢す。

 

「違うっすよ?今日は朝からモーニエ教授に『ちょうど良かったです。新作が出来たのでどうぞ』と、栄養の為に食感と味が二の次になってるゼリーを差し出されて試食した結果、この時間までリューク先生の世話になってたっす」

 

「あぁ……それはご愁傷ですねぇ」

 

「まぁ、モーニエ教授とは研究分野でちょっと手伝って貰ってるんで断る選択肢はないっすけど……朝からダーニャさんを見れる貴重な機会を失ったのは許せないっす」

 

「……貴方に恥ずかしさとかないんですか?」

 

「それでダーニャさんがお付き合いしてくれるのなら持つっす」

 

「いや良いです。なんか、顔を赤くしてモジモジしてる貴方は気持ち悪いので」

 

「いくら何でも酷くないっすか!?」

 

 右目の傷も相まって、マフィアかヤクザかと錯覚する厳つさを持つシュバルツだが、ダーニャの言葉に目を丸くし思い人からの気持ち悪い発言で、滲む涙は途端に、彼の学生らしさを浮き彫りにさせる。

 そんな様子を面白そうに微笑みながら、サンドイッチを食べるダーニャの姿はシュバルツが毎日フラれているという事実を知らなければ、女性側に権力が傾いているカップルに見えてもおかしくないと、こっそり見ているニヴォラとシグリカは語る。

 

「……それで来てくれるっすか?」

 

「そうですねぇ……あまりそういった催しは好きではないんですけど」

 

「うっ……」

 

「捨てられたワンちゃんみたいに見られたら流石に断れませんねぇ。良いですよぉ、予定空けておきます」

 

「本当っすか!!よっしゃぁ!!」

 

 視線が集まるのもなんのその。

 緊張からか一口も飲んでいないブラックコーヒーが衝撃で溢れそうな程、強く机を叩いて勢いよく立ち上がり見事なガッツポーズを取るシュバルツに、ダーニャは肩を竦め呆れた態度を見せつつもその口元はしっかりと笑みを作っていた。

 もちろん、その事実に全く気がつかないシュバルツが落ち着きを取り戻し、座り直した頃にはダーニャはいつも通りの表情を浮かべサンドイッチを完食していた。

 

「じゃあ私は講義なのでこれで失礼しますねぇ」

 

「え、あ!俺も一緒の講義っすよ!!」

 

「モーニエ教授には昼ご飯で遅刻って言っておきます」

 

「まってくださいっす!!ダーニャさん!!」

 

 緊張のせいで全く食べていなかったカレーとラーメンをかき込み、ブラックコーヒーを流し込んでダーニャを追いかけるシュバルツ。

 かなり先を歩いていたにも関わらず、シュバルツがダーニャに追いつけたのは彼の足が早いのかそれとも──ゆっくりと歩いてくれていたのか、それは彼女の友人達しか知り得ないだろう。

 

 

 

 

 

 

 スタートーチ学園、夜。

 正門前に組み立てられたキャンプファイヤーの灯りが周囲を明るく照らし出す中、ラベル学部の生徒が開始の挨拶を告げていた。

 

「本日はお集まりいただき、ありがとうございます!!私達、ラベル学部共鳴医療科は今回、音楽と火を用いた心理効果が共鳴能力に与える影響を調べるべく、この場を用意しました。とは言え、細かい事はこちらで観察を続けるので皆さんは心ゆくままにお楽しみください!!」

 

 堅苦しい挨拶は似合わないと短く宣言された挨拶と共に、歓喜の声が上がり集まった生徒達は流れる曲に合わせて、語り合ったりキャンプファイヤーを中心にパートナーとダンスを行い、盛り上がっていく。

 そんな場で一人、ダンス用のスーツに身を包み髪をオールバックで固めているシュバルツは立っていた。

 

「……ダーニャさん遅いっすねぇ」

 

「おや、シュバルツ君。今日は随分と気合が入った格好をしているね」

 

「ん?リューク先生も来てたんですね。流石に保健室は休業ですか?」

 

「共鳴医療科は私の所属でもあるからね。君は踊らないのかい?何人かに声をかけられていた様だけど」

 

「待ち人がいるんで。というか彼女以外、眼中にないんです」

 

「それは君がいつも頭痛薬を貰いにくる子かな?」

 

「はい。いつも薬を見繕ってくれて感謝してます。ダーニャさん、雨の日はいつも辛そうなので」

 

 礼儀正しく頭を下げる姿に目を細めるリューク。

 二人とも女子人気が高い為、密かに色めき立つ声が上がるが二人ともガードが硬い事でも有名である為、割り込んでまで話しかける女子生徒は居ない様だ。

 

「それは良かったよ……それにしても君は本当に一途だね。少しは迷ったりしないのかい?」

 

 リュークは視線の先、彼の後ろから歩いてくる綺麗に着飾った一人の生徒を見つけて揶揄う様にシュバルツへ問い掛けると、会話が聞こえていたのだろう彼女が慌てた様に走り出すが、彼の回答の方が早い。

 

「──迷わないですよ。俺はダーニャさんの事が本気で好きなので。例え何千回、何万回とフラれても本気で拒絶されない限り、この想いを伝え続けます」

 

「……ふふっ。本当に愛されているね君は」

 

 微笑むリュークの視線の先、シュバルツを超え背後を見ている事に気がついたシュバルツは振り返り──気恥ずかしそうに視線を彷徨わせている着飾ったダーニャを見つける。

 

「──」

 

「あーもぅ……リューク先生、私が来てるのを見てから彼を揶揄いましたね?」

 

「なんのことかな。さて、私は他のみんなの様子でも見てこようかな」

 

 楽しげな笑みを浮かべて歩き去っていくリューク。

 この場にはキャンプファイヤーの火のせいか、少し顔が赤く見えるダーニャと彼女を見て固まっているシュバルツだけが残された。

 

「全くあの人は……ってシュバルツ君?どうか──」

 

 固まって動かない彼を心配した次の瞬間であった。

 時限爆弾が爆発するかの如く、彼の想いが溢れ出したのは。

 

「──ダーニャさん綺麗っす!!普段の格好ももちろん、似合ってるっすけど今日は夜なのもあって落ち着きのある黒が主体でありながら、ふわふわが各所に取り入れられて、ダーニャさんらしいさを強く感じるっす。赤い手袋と靴も彩りを加えて良い感じっすね!!それに何より、普段はふわふわと流れている髪が動き易い様に纏められて、首筋が見えてとても綺麗で可愛いっす!!」

 

 濁流の様に綺麗と可愛いを繰り出すシュバルツは、完全にダーニャの衣装に魅入られており、もはや側から見れば恐怖の領域に到達するレベルの入れ込み様だ。

 

「……シュバルツ君。そろそろ殴りますよ」

 

「なんで!?」

 

「褒められるのは悪い気はしないですけど、過度に褒められても恥ずかしいだけです。それに貴方、声が大きいんですから周囲の注目を集めてしまってるじゃないのですか……」

 

 毎日の告白で慣れているダーニャでも、場のせいかニヤニヤが数倍になっている今の視線に恥ずかしさが耐えられなかった様だ。

 しかし、恥ずかしさを何処かに置いてきてしまっているシュバルツがその程度で止まるわけもなく。

 

「ダーニャさん、行きましょう!!」

 

「あ、ちょっと……」

 

 優しく手を取り、ダーニャを気遣いながらも逃すつもりはない意思を込めた手はぎゅっと彼女の手を握りながら、キャンプファイヤーへと連れて行き、二人は向かい合う形になる。

 

「──ダーニャさん。好きっす、俺と一曲踊ってくれませんか?」

 

 片手でリードしながら、もう片方の手を『今日』の告白と共に差し出すシュバルツ。

 先程はリュークによって、不意を突かれたダーニャだが、今日この瞬間に告白してくるであろう事は分かっていたダーニャは彼の差し出された手を優しく掴む。

 

「お付き合いはごめんなさい。でも、一緒に踊るのは良いですよ」

 

「くぅぅ……このシチュエーションでもダメっすかぁぁ」

 

 告白をした者と断った者。

 普通なら気まずくなり、この後を何も楽しめなくなるのだが、二人にとっては日常の延長線上──この日、シュバルツのリードで踊るダーニャはどの学生達も美しく、可憐に輝いていた。




シグリカと引き続き、仲良さそうにしてて何よりでしたねダーニャ。
ところで、漂泊者との距離近くない??気のせい??
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