君の重しになりたくて 作:ダーニャちゃんってふわって消えそうだよね
(みんな、評価とかありがとうね!!赤くなっててびっくりしたよ!!)
『彼』の戦いはとても綺麗だと思います。
振り回している大剣はあまりにも武骨そのものですが、『彼』の共鳴能力によって七色に輝く光景は私の嫌いな雨が晴れ渡った後に、空に浮かび上がる虹みたいで護られている側から見れば、凄く安心出来る光です。
シュバルツくん……毎日、私にフラれても諦める事なく告白を続けてくる変な男の子は、戦いでも学問でもとても優秀で『エクソストライダー』の適格者じゃないのが不思議ぐらいというか、『彼』を適格者に選ばないエクソストライダー側に何か問題があるんじゃないでしょうかと思うほど。
本来であれば、私の為なんかに時間を使う余裕なんて無いはずなのに、『彼』は今日も私の為に時間を使ってくれている。
「ふぅ……ダーニャさん。これで付近の安全は確保出来たかと思うっす」
戦いが終わり周囲へと四散していく虹色と共に、大剣を突き刺し振り返るシュバルツくんの顔には一欠片も疲労の色はなく、私を護りながらの戦いにも随分と慣れたのが分かる。
それが少しだけ嫌で、でも何処か嬉しいと思ってしまう自分の浅ましさと単純さに呆れてしまいますね。
「ありがとうございますシュバルツくん。これでヴォイドマターに晒されたエクソスウォームのパーツを調べる事が出来ます」
「ヴォイドワームへの変質をダーニャさんの共鳴能力で、緩和或いは改善出来れば被害が減るかもしれないっすもんね。俺の戦う事しか出来ない能力と違って誰かの役に立てて羨ましいっす!」
「……だと良いんですけどねぇ」
貴方の方が多くの人を助けられる──そう言いたい気持ちをグッと、堪える。
だって、貴方はとても真面目で他人の期待に応えようと努力してしまうから私が余計な重みを与えたくないのです。
「それでは少しだけ離れていてくださいねぇ」
「はいっす!!」
こうして倒されたエクソスウォームに近づいてみれば分かりますが、どう見ても繊細さとは不向きなあの武器で的確に攻撃手段のみを破壊し、汚染された箇所には傷一つ残していませんね『彼』
全く……いつもの事ですけど、こういう細かいところからも好かれているのが伝わってきて嫌ですねぇ。
「……少し痛いかもですが、ごめんなさい」
泡で手を包み込み、汚染された箇所へと手を伸ばす。
私の共鳴能力ならヴォイドマターの侵食に抗う事が出来る……感覚的に言えば中和が近いのかもしれませんね。
鳴式を討ち倒すのは無謀でも、いつか誰かが無茶をして呑まれそうな時は私がこの力で手助けが出来るように──なんて、私が置かれている立場から考えたらなんて愚かな──
『────』
「ッッ!?!?」
まさか……エクソスウォームに付着した程度の汚染で鳴式が私をみ つ め て
「ぁ」
いしきが くらやみに のみこまれて──しゅばるつ く ん
「ダーニャさん!!」
嫌な気配がしたから急いで、ダーニャさんをエクソスウォームから引き離すがダーニャさんの身体にはノイズの様なものが無数に走り、黒い見慣れないダーニャさんの姿がチラついて無くならない。
「なんだこれは……」
ヴォイドマターの影響?いや、それならカセットが機能している以上、軽減される筈だし周波数の流出は姿が認識出来なくなる事はあっても、今のダーニャさんみたいに別の姿に変わるなんて事はない。
「落ち着け……学んできた事が役に立たないとしても……諦める事は、俺がダーニャさんを見捨てる選択肢はない!!」
リューク先生のところに連れて行くのは多分間に合わない。
既存の現象から考えて、今のダーニャさんは恐らくヴォイドマターを防ぎきる事が出来ず、周波数が流れ出している可能性が高い。
「俺の周波数を彼女の周波数に合わせる事が出来れば……」
出来るのか?という不安が首元に鎌のように突きつけられる──出来るかどうかなんて関係ない、やる!!
「……ダーニャさんと多くの時間を過ごしていて正解だったっすね」
俺の周波数を日頃、ダーニャさんから感じ取っていた周波数に合わすイメージを作り上げる。
俺の周波数は感情の振れ幅に合わせて、七色に変化する特徴を持つ……それならきっと、出来る筈だ。
ダーニャさんの周波数に合うように俺の周波数の波長を変えて、上手く彼女に流し込む事が。
「リューク先生には怒られちゃうかな」
ウェーブラインで今の座標をリューク先生に送りつけ、共鳴能力を解放一気にオーバークロックへと持っていく。
他人の周波数に合わせるなんて無謀は、オーバークロックぐらいしないと賭けの場にすら立つ事は出来ない。
「う、ぉぉぉぉお!!」
自分の内側で荒れ狂う周波数が制御されない七つの光として、立ち上るのを感じながら必死にそれらを手繰り寄せていく。
一つ一つを近づけ、ダーニャさんに合うように形を変えていく度に指先が燃え盛るような熱に襲われたかと思えば、一気に熱を失い氷に閉じ込められたみたいな寒さが襲ってくる。
オーバークロックによって、俺の体温調節が狂っているのだろう──だが、そんな事は知らん!!
足りないものを補うように自分の中の何かが消費される奇妙な感覚の先に俺は僅かに見えた白い手を掴み取る。
「ダーニャさん!!戻ってくるっす!!」
巨大な瞳のようなものを背後に、ダーニャさんがこっちに振り返って泣きそうな顔を浮かべていた。
俺はその涙を拭ってあげたくて、手を伸ばして──触れる事は出来ずに意識を手放した。
「うおっ!?」
「わっ……急に飛び起きると身体を痛めますよシュバルツくん」
目を覚ますとそこは見慣れた保健室で、横にはダーニャさんがりんごを剥きながらちょこんと腰掛けていた。
えっと……俺は
「……私を助けてくれてありがとうございます。でも、もう二度とオーバークロックなんて無茶をしたらダメですよ」
「だってそうしないとダーニャさんをんぐっ!?」
兎さんカットのリンゴが口に放り込まれて言葉が!?
「だっても何もないです。確かに元を辿れば私の失敗が招いた事ですけど……それでも、貴方が寝たままだったらどうしようかと思ったんですよ?」
「モゴモゴ」
ダーニャさん……そこまで俺の事を心配してくれて!!はっ!!今なら告白すればOKを貰えるのでは!?
となれば、この口に放り込まれたリンゴをとっとと食べて。
「シュバルツくんと同じグループ課題、私が全部やらなくちゃいけないじゃないですか」
「ングっ……そっちっすかぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ふふっ」
揶揄われているのも分かるし、ダーニャさんなりにこれ以上お互いに空気が重くなるのを避けようとしてくれているのが分かるので、それはもう分かりやすく項垂れメソメソと泣くことにした。
この後、兎さんカットのリンゴを一つずつ丁寧に食べさせて貰い、完食する頃にやってきたリューク先生から俺の容体を聞き、特に問題ない事を教えて貰いダーニャさんと一緒に保健室を後にした。
「うーん……
「……忘れているって事はどうでも良いって事ですよシュバルツくん。ほら、さっさと課題を片付けますよ。私まで教授に怒られちゃうんですから」
「っとそうっすね!!よーし、やるぞぉぉ!」
何かダーニャさんの姿にチラつく気がするんだけど、やっぱり何も思い出せないな。
チビエイメスとダーニャちゃんが揃って、ゆらゆらしてる着ぐるみ最高に可愛いと思います