君の重しになりたくて 作:ダーニャちゃんってふわって消えそうだよね
今回、思いっきりメインストーリーの影響を受けているのを自覚しつつ投稿します。
P.Sランキング載っててびっくりしたよぉぉ!!ありがとうございます!!!!!
「ダーニャさんって将来の夢とかあるっすか?」
「……また急ですね。シュバルツ君」
ここ最近、ヴォイドストームの活性化が頻発し思う様に外に出られないのでいつも通り、ダーニャさんを誘い学園内デートを敢行している時にふと、目に入ったパンフレットに蛍光ペンで派手に描かれた目につくタイトルで、『スタートーチ学園の夢』と書かれていたから気になって聞いてみたんだけど、あまり聞かれて欲しくなかったのかな?少し、声色が固くなった気がする。
「ダーニャさんの事をもっと知りたくて!!ほら、ダーニャさんって俺の方から聞かないと自分の事、全然話してくれないじゃないっすか」
「そうですかぁ?私としては結構、お話してるつもりなんですが」
「いやいや、偏頭痛だって俺がしつこく食い下がってキレ気味に教えてくれたっすよね!?好きな人の事はどんどん知りたいっすよ」
「……皆さんに期待される天才君と違って私に夢はないですよ。他人から向けられる期待とか嫌ですし」
「確かに夢を叶える過程でそういうのは自ずと背負う事になりそうっすもんねぇ……」
ダーニャさんは周囲の人達をよく観察して、楽しそうにしているけど自分がその内側に入ったり何か感情を向けられるのを嫌っている節がある。
じゃあ、お前が毎日欠かさずにやってる告白とか重みでしかないだろと言われればそうなんだが、それは置いておいて──やっぱり、ダーニャさんは自分がどうしたいのか、が酷く欠落している気がする。
「貴方がそれを言います?」
「俺は別に背負ってるつもりとかないっすからね!自分のやりたい事を貫き通しているだけで!!」
自分にエクソストライダーを操縦する資格がないと知った時からずっと、自分に出来る事を探し出して直走っているだけの男だ俺は。
「……出ましたね。そういうの私は別に気にしませんけど、他の誰かが聞いたら嫉妬で狂ってしまいますよ」
「その時はその時っす。というか、話を煙に撒こうとしてないっすか?夢の話っすよ夢の」
「……」
チッ、思い出したか!!みたいな表情をしないでダーニャさん!!あ、でも見慣れない表情も可愛いからこれはこれで良しか?
「そういう貴方はどうなんですか?色々と研究のお手伝いはしてますけど、夢を教えて貰った覚えはありませんよ?」
「──いつかの適格者をエクソストライダーの元へ送り届ける事っす」
本当はエクソストライダーを動かしてみたかったんだけど、スタートーチ学園に入ってその資格がないと知った時は流石に凹んだ。
あんな大きなロボット、一度は自分の手で動かしてみたいと思うのが男の浪漫だよな。
「鳴式アレフ1 は封印こそされてるっすけど、いつかは倒さなきゃいけない存在じゃないっすか。いつか、エクソストライダーを動かせる適格者が見つかったとしても、その『いつか』の時に安全に送り届けられるかは分からない。だから俺はヴォイドストームを中心に研究してるんっすよ」
アレフ1 が放つヴォイドマターの影響は通信機器にすら起こり、接続を不安定なものにさせる。
その時に適格者とエクソストライダーの繋がりが絶たれる様な事態は絶対に避けなければならない──そう思ったからこそ、俺はヴォイドマター学部へと入部したんだ。
「……アレフ1 を倒せると本当に思っているんですか?」
気がつけば足を止めていたダーニャさんの重さを伴う言葉に振り返る。
俯いている彼女の表情は見えないが、不思議と俺は彼女が泣いている様なそんな気がしたから彼女に近づき、優しく手を包み込んだ。
「ダーニャさんはアレフ1 が怖いっすか?」
「ッッ」
「そうなんすね。じゃあ、俺が倒すっす!!エクソストライダーの適格者じゃないっすけど、ダーニャさんが日々を安心して笑顔で過ごせる様に俺が」
「無理ですよ!!!!!シュバルツ君じゃ、どう足掻いてもアレフ1には……」
──初めて聞いた大声だった。
いつもふわふわと少し気だるげな彼女らしくない、余裕の無さと強い恐怖そして──明確な俺に対する否定。
「唯の人間が足掻いてどうにかなる存在じゃないんです……確かにシュバルツ君は天才で、戦いの才能もありますがそれだけじゃ駄目なんです。ソラリス全土を救える様な『救世主』じゃないと──ぁ」
いつまでも続きそうな諦観に支配された言葉を聞きたくなくて、俺は手を握っていたのを良い事に彼女を引き寄せて抱き締めた。
正直、好きな子を抱き締めている多幸感と緊張感で色々と限界ではあるのだが、今の俺以上に今のダーニャさんをそのままにしていたら彼女が壊れてしまうんじゃないかと思ったんだ。
「……ダーニャさん。俺はどうして貴女がそこまでアレフ1 に強く恐怖を抱いているのか分からないし、貴女の言う通り、俺はソラリス全土を救える様な救世主じゃないっす」
「……」
「でも、これだけは信じて欲しいっす。俺はダーニャさんの為ならどんな存在も倒しますし、どんな窮地からも君を助け出してみせるっす。ソラリスの救世主にはなれなくても、君のダーニャさんの救世主になれます。なってみせるっす」
君に惚れた日からこれは何一つ変わらない誓いだ。
こうして、言葉に出して伝えたのは初めてかもしれないけど俺は他の全てを捨て去る事になろうともダーニャさんの味方であり続けるし、助けを求める声が聞こえたら絶対に駆けつける救世主になりたいと思っているんだ。
「君を好きだと思う気持ちと同じで、この『夢』は裏切らないと此処で誓うっす。だからダーニャさん──俺と付き合ってください」
ダーニャさんの両肩を掴み、ゆっくりと正面から顔を合わせると呆気に取られていたダーニャさんの表情が動きに合わせていつも通りのふわふわとした気怠げなものに戻っていくのが分かった。
あれ?俺、結構、格好良い一世一代の大告白をしたと思うんだけど……もしかして?
「……はぁ、シュバルツ君はどこまでもシュバルツ君ですね。ごめんなさい。誰かとお付き合いをするつもりはないんですっ」
「ぐふっ!?あれぇ!?これは所謂、イケる流れというやつだったんじゃないのかぁぁぁ!!」
フラれてダメージを受ける俺の手を振り払って、タタっと軽い小走りで先を行くダーニャさんが日向へと躍り出て、光を背に俺へと振り返り微笑む。
「──ありがとうございますシュバルツ君」
目元から零れ落ちた涙は見ない様に、俺は彼女を追いかけて隣に立った──結局、ダーニャさんの夢がなんなのか聞きそびれてしまったな、まぁ、いつかまた聞けば良いか。
今になって思うとダーニャちゃんメインなんだから、飴の話を書けよと思いました。