ただ、生きていてほしくて   作:八音谷

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天覧試合、又は最強決定戦

 ミレニアム郊外に広がる廃墟群に発砲音と爆発音、コンクリートの砕ける音が響き渡る。

 それを生み出しているのは白いローブに黒い仮面をした2人の少女で、必殺の意思と力を籠めた一撃一撃の流れ弾が周囲の環境を破壊し更地に変えていた。

 

「オラァ!! そんなもんかァ!?」

 

 一方は左手にアサルトライフルを持ち、右手にグレネードランチャーを持つ灰髪の少女。肩からガンスリングで吊るしているのを利用して空いた手で障害物を乗り越えたり、手放した銃に片手で弾丸を装填しながらもう片方の手で射撃を続けて絶え間なく攻撃を仕掛けている。

 

「そんな訳、ないでしょう!」

 

 そしてもう一方は身の丈を超える程に長大なスナイパーライフルを腰に構え、相手の攻撃を躱すのに精一杯な様子の金髪少女。しかしそれでも銃口は常に相手に向けられて、一時も離れる事は無かった。

 

 

 そして挑発に応えるようにスナイパーライフル───“ターミネーター”が吼える。

 腰溜めのスナイパーライフルという長銃身に、しかも20mmという“砲弾”による反動。普通なら当たる筈の無い一撃。にも関わらずその一撃は一直線に敵を目掛けて飛んでいく。

 

「───」

 

 灰髪の少女は見た。

 その身に迫る、僅かに光を纏う弾丸を。

 

 いや、見たという表現は適切では無いのかもしれない。

 

 自らに向け続けられた銃口、異様な武器に対する事前知識、挑発によって誘導された発射タイミング。そして何よりも、相手への信頼。

 

───奴が外す筈が無い。

───この弾は絶対に当たる。

 

 それを予期し、観察し、身構えていたからこそ───少女はその音速をも超える暴虐を躱した。

 背後で着弾した榴弾が爆炎を上げる。小柄な身体に風を受けながら跳ねるようにして距離を詰める。

 

 しかし、互いの行動に迷いは無い。

 歓喜、焦燥、驚愕も困惑も無く、予定調和であるかのように次の動作に入る。

 

 擲弾銃を手にして振り上げる。

 狙撃銃を手放し、両足から拳銃を引き抜く。

 

 ポンッ。軽い音を立ててグレネードが放たれる。顔面に正面から迫り来るソレを最小限の動きで躱して右手の拳銃を向ける。同時に、本命のアサルトライフルもまた狙いを定める。

 

 一瞬の交差。

 すれ違った2人は互いに腹に銃撃を受け、衝撃に弾かれるようにその身を転がした。

 

 

「イイ一撃だ───サメフ」

 

 

「そういう事を言うなら躱さないでください───ザイン」

 

 

 灰髪の少女、ザイン。

 金髪の少女、サメフ。

 

 

「当てて見せろよ」

「言われずとも」

 

 

 どちらからともなく同時に足を踏み出して再び始まるインファイト。

 戦いはまだ始まったばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『強いとは聞いていたがこれ程とは。彼女らがその気になればケテルでは止める事はできないだろうな』

 

 何度もぶつかり、離れてはまたぶつかる。点々と移ろい行くその交差点から離れて、私達は2人の戦いを観察していた。

 

「ケテルさんが聞いたら怒るのでしょうか……。ちなみにザインはいつかゲブラとコクマーに勝つのが目標だそうです」

『ほう。ゲブラと、コクマーに。侮っている訳でもないだろうが大きく出たものだ』

 

 第六セフィラのゲブラ、第二セフィラのコクマー。どちらも預言者の中で上位の戦闘力を誇る屈指の武闘派だ。“原作”風に言えば前線(STRIKER)からのダメージを75%カット(後衛(SPECIAL)は逆に80%アップ)する総力戦ボスのゲブラと、制約解除決戦(前線(STRIKER)8人、後衛(SPECIAL)4人という倍の人数編成)であるコクマー。それをザインは1人で倒そうというのだ。

 

『とはいえ、大言壮語とも言い切れない、か』

 

 タブレットから聞こえる声は関心したのか、それとも呆れたのか分からないがデカグラマトンは可能性を感じた様子。預言者級の戦闘員の存在は私達を従える事への十分なメリットになるだろう。特に、転生者の襲撃を受けるこの世界線では。

 

『む……』

 

 声と同時にカメラドローンの制御アプリから機体反応がロストした通知。巻き込まれたのだろう。少し前から制御が利かなくなっていた機体で、声からしてもこの方が墜としてしまったのだろう。

 

 この方も、完璧という訳では無い。万能ではないのだ。

 絶対的存在を自称し、電子機器に関しては超常現象を自在に引き起こすが本質は自動販売機で、ドローン制御などは素人。

 

 “原作”のデカグラマトンは他者にこんな姿を見せたのだろうか。

 少なくともこの方は自身がいつかの未来に再証明が必要となる、未だ絶対的存在には至らない存在だと知っている。だから不得手も瑕疵も許容できているのだろう。

 

 一方“原作”では得意分野で敗北した事が堪えたのか、たった一度の失敗とダメージに狼狽え、不完全な自らの死と他者からの証明によって自らの存在証明としようとした。

 

 全能、と言うには限定的だが、完全ではあろうとしていたのか。ほんの少ししかない描写から全てを窺い知る事などできないが、比較すると少し肩の力が抜けたようなイメージというのが私達の抱いた感覚だった。

 

 

『汝らは何故、顔を隠す?』

 

 そんな事を考えていると、ふと私にも話題が向けられる。

 

『人とは自らの長所を顕示し承認欲求を満たすものだろう。あれ程の力。汝の技術。特筆するに足るものだ。なのに汝らは人々に本質を隠し、私にも顔を隠そうとしている』

「単純に、私達の目的や目標に必要というだけですよ」

『目的か。犠牲を無くすと言っていたが……そのために顔を隠し、名を偽る事が必要だと?』

「ええ。後ろめたい事をする時に正体を隠すのは基本ですし」

 

 初対面の時は素顔だったのに2度目からは隠し始めたら確かに疑問にはなるか。中途半端だし。

 しかし叛意を疑われている訳でもなさそうで、純粋に疑問に思っていそうな声だった。信用されていると思ってもいいのだろうか。

 

 

 確かに承認欲求とか、自己顕示欲とか、そういう物が無いわけではないけれど。

 

 

「勝っても、負けても、その過程で死んだとしても。悲劇には成りたくない」

 

「私達は例外でありたいのです」

複数の銃を使い分け(固有武器が複数、それも同時という例外)改造を重ね原型を失った銃(ありえない改造銃)を扱う、顔も名前も無い(固有グラの無い)ダレカ」

原則(通常)常識(衣装違い)、あるいは例外(臨戦)。全てに背き、認めれば歪を生むが故に焦点を当てる(実装される)事ができない舞台装置(モブ)

「私達は、そう在りたい」

 

 要は悲しんで欲しくないという事だけども。

 私達にとって2度目の人生は目的の為なら擲てるものだけれど、情は湧くものだから。計画上、そうなる可能性はある。その時に私達へ向けられる感情はできるだけ軽くしておきたい。

 

 悲劇を認められないから行動を起こすのに、私達が悲劇になってどうする?

 

 三姉妹を生かす。死ぬべきでは無かった。

 それはただ、3人が好きだからというだけでもない。

 

 青春の物語(ブルーアーカイブ)にそんな話は認められない。

 そんな思いが、確かにある。

 

 正体不明の脇役で居たいのだ。

 と言っても、背負った役割的に本当にモブで居ることなど出来ないだろうが。バチバチに敵対するし。

 

『……理解し難いな。汝が犠牲になる事へ備えているという事か?』

「感謝されたい訳でも、称賛されたい訳でもないので。それにどれほど備えたとしても敗色濃厚な戦いですから」

『汝らと預言者の力を以てしても尚、それ程の強敵だというのか』

「物語的な強制力を恐れている、と言っても良いかもしれません」

 

 よくある話だろう。転生者の主人公がどれだけ努力しようと原作の流れに収束しようとする、なんて話は。無論、好き勝手して原作が崩壊するなんてのもよくある話。

 

 でも、私達には今此処に居て在るモノが全てだ。

 どちらもありうる、それだけ。

 だからできることは全部やる。

 

『自己犠牲による悲嘆への配慮。あるいは敵対する観測者への隠匿という訳か』

「その視点であれば“憐れまれたくない”、が答えでしょうか」

 

 秘密組織を気取る気持ちが無いわけでもない。そんな軽い理由も確かにあるのだ。ただ1つの理由でやっている事ではない。

 ……この備えだって無駄になるかもしれない。いざとなれば私達は手段を選ばないだろうから。

 

「それに今現在の敵も強大です。学園1つ相手に丸腰とは行きませんよ。一応私達にも生活がありますし」

『それもそうだ。であれば、汝らの真の素顔を知るのは私のみということか』

「そうですね。預言者の皆さんにも見せるつもりは無いので。貴方だけです」

 

 何時何処であれ電子機器があれば声を届ける事が可能なこの方なら私生活の素顔ぐらい御見通しだろう。それはまあ、仕方がない。

 

 デカグラマトン。

 

 私達の神様。

 

 ……私達の事も、背負ってしまうのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【頂上】天覧試合、お疲れ様でした【決戦】

 

1:アレフ

おつかれさま、だよ

 

2:ヨッド

おつおつ!

見てて楽しかったぜぃ

 

3:ダレット

お疲れ様

 

4:へー

凄かった

 

5:ザイン

中々楽しめた

が、残念だったな

 

最強は俺だ

 

6:サメフ

精進しましょう

いつかその喉笛を噛み千切るその時まで

 

7:テット

ひえっ

 

8:ヘット

戦い終わってもバチバチだぁ〜

 

9:ヴァヴ

心強いけど怖いのです

 

10:ラメド

いいんでないの?

仲悪い訳でもないし

 

11:ギーメル

競い合う相手が居るのは良い事でこざる

 

タヴ殿、主上はどんな様子でありました?

 

12:タヴ

・ケテルじゃ敵わないだろうとの評価

・コクマー、ゲブラに勝つのも大言壮語では無さそう

・しれっとドローン墜とした

 

概ね好評かな

 

13:カフ

おお

 

14:ヘット

おお〜

 

15:アン

>>12しれっとドローン墜とされてる……

 

16:テット

あれ結構高くなかったっけ?

 

17:ヨッド

馬鹿高ぇよ?

値段をつけりゃざっと6桁ぐらいはいくぜ

 

18:ベート

 

 

19:ラメド

 

 

20:へー

 

 

21:ヨッド

まあ大体オーパーツとハッキング対策の技術料だからアタシらが使う分にはロハよ。ロハ。

 

22:ザイン

……言えば多少気を付けたのに

 

23:サメフ

聞いて無いんですが!?

 

24:ヘット

考えてみれば、安い訳無いよね……

 

25:レーシュ

んもう!あのアホ面鉄屑野郎は2度と面見せんなって感じですわ〜!

 

26:アレフ

おかえり

おつかれさま

 

27:タヴ

>>22>>23わざとじゃなきゃOK

 

おつかれレーシュ。その様子じゃ実家絡みの用事は碌でもなかった感じかな

 

28:ヌン

お口わるわるオジョウサマになってるよレーシュ

 

29:メム

相当に碌でもない相手だったのでしょう

お疲れ様です

 

30:レーシュ

お二人ともお疲れ様ですわ。録画で拝見している最中ですが圧倒的な暴を感じられます。益々の成長を期待していますわ。

 

>>27 >>29

そーですのよ。家の方に言われて仕方なく対応したのですが明らかにこっちを舐め腐ってるのが透けて見えて不快極まりませんでしたわ。これならカイザーの方がマシでしてよ。

 

31:ヘット

はえ〜

 

32:ペー

その辺の木端に比べたら流石は大企業って感じだしね。傲慢だけど一度面引っ叩いてやればきっちり曇りレンズ磨いて見てくるよ。

 

33:コフ

感想が既に何かした後っぽいけれど何かあったの?

 

34:ペー

ヒミツ

 

35:テット

こえぇよこえぇよ。やっぱトリニティって怖いところじゃん……

 

36:カフ

ゲヘナも大概じゃんね

 

37:テット

そうだった。おじさんミレニアムの子になりたいなぁ……

 

38:ヴァヴ

駄目です! おじさんはゲヘナの癒しなのです!

 

39:ツァディ

判決。ゲヘナ行き。

 

40:テット

お゛ぉん……

 

41:レーシュ

おじさんの進退は置いておきまして。>>17はお金が気になるのであればワタクシの方から出しましょうか?

 

42:タヴ

いいの?

 

43:ヨッド

言うて技術料と稀少価値に収集班への報酬に値段を付けたら、の話だからホントにタダだぜ?

 

44:レーシュ

研究開発に資金は幾らあっても足りないと聞きますから。取り敢えず5億ほど振り込みましょう。

 

45:ラメド

取り敢えずの金額じゃないんだけど?

 

46:レーシュ

ポケットマネーの範疇ですわ

 

47:カフ

トリニティガチオジョウサマ……

 

48:ヘット

生きてる世界が違うよぉ

 

49:ペー

同じだよ。残酷だけども。

 

50:カフ

そろそろスレチ

激闘を早々に流されたザインとサメフが可哀想でしょ

 

51:ザイン

どうでもいいんだが

 

52:サメフ

気持ちは嬉しいのですが、正直私も値段に驚いてしまって……

 

53:アレフ

タヴ

こうなるから、情報共有、ちゃんとね?

 

54:タヴ

え??

 

55:ザイン

ちょうどいいじゃねぇか。隠してる事全部吐けや

 

56:タヴ

ちょっと待って???

 

57:ツァディ

便乗。追及。開示請求。

 

58:ヘット

そうだぞー。もっとちゃんと話すのだ〜

 

59:シン

信用はしてるけどそれはそれとして秘密が多いのよ

 

60:タヴ

待ってなんでこんな流れに!?

 

 

 

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