「叢雨ちゃん。ちょっといいかな?」
「?」
叢雨は部屋で本を読んでいると、花火が部屋に入ってきた。
付き合ってからはや数日が経つものの今日は一段と様子がおかしい感じだった。
「ねえ叢雨ちゃん。ちょっと着いてきてくれない?一緒に行きたいところがあるんだ。」
「分かった。じゃあロック達も…」
叢雨はウェーブライザーに手を伸ばそうとした…
だが、花火にその手を止められた。
「あ!ロックちゃんやロールは抜きで!いい?」
「…わ、分かった…」
「じゃあ…先に外で待ってるね。」
叢雨は本を置いて立ち上がり、そのまま部屋から出てそのまま玄関から外に出た。
「…あ、月。」
叢雨は気付いていなかったが、既に夜だった。
(本読みすぎたかな…)
叢雨は時間を使い過ぎて花火との時間を潰してしまった事を今になって後悔した。
花火はそれを踏まえて自分を誘ったのか?叢雨はそれが気がかりだったが、とにかく花火の所に向かう事にした。
……………………
「花火〜。」
「あ、叢雨ちゃん。」
噴水近くに花火は待っていた。
いつもの元気そうな笑顔で叢雨を見つめていた。
「それにしてもどうしたんだ?ロックやハープ無しに…もしかして怪しい事…?」
「ち、違うよ〜…花火がそんな事すると思う〜?」
「うーん…しないかな。で、何処行くんだ?」
「…うん、こっちだよ。」
叢雨は花火に着いて行くように歩いた。
そんなに見せたいものがあるのか…
叢雨は何を見せたいのか悩みつつも、着いてからのお楽しみと思い、そのまま着いて行った。
そうして色んな場所を歩いた。森の中、滝の中、そして崖の中と…割と過酷な道を進んでしばらく…
そしてハプニングも無く、無事に目的地らしい場所に辿り着いた。
叢雨は最近運動不足だった為、少し息を荒くしていた。
「着いたよ!」
「…はあ…はあ…一体どんな場所なんだ?こんなに過酷な道の先だから…」
叢雨が顔を上げると、そこは静かな湖があった。
月の光が湖に反射していて透明に見える。
周囲の木が光ってるかのように錯覚するような感覚で、少し違和感を感じつつも、叢雨はその景色に見惚れた。
「す、すげぇ…花火…これは?」
「えへへ…ウェーブロードを歩いてた時に見つけたんだ。ロールやロックちゃんも叢雨ちゃんに見せたら喜ぶかなって。」
「…ロックのやつ一枚噛んでたのか…」
道理で今日はなんか静かだったのかと感じた叢雨。
しかし、わざわざこんな場所に誘った理由を叢雨は知りたかった。
「それにしても…なんでここに来たんだ?電波変換もせずに…」
「…歩いてみたかったんだ。自分の足で。」
「いつもウェーブロードから見える道は楽に歩けるから…たまにはこうやって自分の足で歩いてみたかったんだ。」
「そうか…」
「叢雨ちゃん。」
「ん?」
「花火ね、こうやって叢雨ちゃんと一緒に居られて嬉しいんだ。」
「一緒に遊んだり…戦ったり…笑ったりして…花火。こんな気持ちになったの初めてだったんだ。」
「最近叢雨ちゃんが遊んでくれないから…ちょっと寂しくなって…」
「…その件は悪かった。花火、忙しいかもしれないって思うと…」
「分かってるよ。叢雨ちゃんが花火を思ってあんまり関わってないのはよく知ってる。」
「花火が大学行ってしっかりお勉強したいから…だよね?」
「うん…」
「だから、ロックちゃんやロールに頼んで、ここに連れてきてもらったの。」
「花火は叢雨の事すき…大好きだから…」
「えっと…その…」
叢雨はその言葉が呟かれる前に花火に抱きついた。
「!?…むむむむ…叢雨ちゃん…!?」
花火は赤面していつも以上に焦っていた。
「ごめん。」
「…」
「花火…俺もお前と関われなくて…ちょっと寂しかった。」
「お前が勉強してるから邪魔だと思ってあんまり関われなかったんだ…」
叢雨は思った事を全て吐露した。
それを聞いた花火は叢雨から離れる。
「……叢雨ちゃん、彼女である花火に構えなくてずっと本読んでたんだ〜…かわい〜♪」
「う、うっせぇよ!」
花火に揶揄われて叢雨はついツッコミを入れた。
二人はその後、少しクスッと笑い、そのまま笑い合った。
「勉強は難しいけどさ。叢雨と一緒に居るといつもよりも力が湧くんだ。」
「だから…勉強も頑張れるんだよ?」
「それに、たまには花火だって叢雨ちゃんにカッコいい所見せたいもん…」
照れる花火を見て、叢雨も微笑む。
「俺は…ずっと前から花火の事かっこいいと思ってるぞ。」
「…え?」
「ジェミニ・スパークとの戦いだったり火花との戦いの時も、お前が勇気を出してくれたから勝てたんだ。」
「お前のトリッキーな戦い方もあって、奴らにも勝てたんだ。俺だったら出来ないよ。」
叢雨は花火を見つめる。
「俺は…お前のその勇気にいつも憧れてたんだ。だから…惹かれたのかもしれない…。」
「叢雨ちゃんも…同じ…だったんだね。」
「花火もそうだよ。アッキやリブラ・バランスとの戦いだって、叢雨ちゃんが花火達を信じてくれたから勝てたんだよ。」
「花火は友情の力を秘めてる叢雨ちゃんが…いつの間にか好きになってたんだ。」
「花火…」
「叢雨ちゃん…」
二人の間を邪魔するものは無く、お互いに頬を触る。
そして二人は微笑み、そのまま唇を重ね合わせた。
静かな湖には、二つの影が写っているだけだった……
そして翌日。
ウェーブロードの上、電波変換した叢雨と花火は空を見つめていた。
「昨日の湖も良かったけど…この空の色も、俺は好きだ。」
「うん。綺麗な空…花火も好き。」
風が吹き、二人を通り過ぎていく。
電波となった体でも、心地いい風が感じられた。
「ふふっ…」
「へへっ…」
二人は笑い、花火はそのままウェーブロードの先を見つめる。
「行こ、叢雨ちゃん!」
「ああ!」
叢雨は花火を手を掴んで、一緒に走って行った。
無限に続くウェーブロードの先に、何があるのかは二人にも分からない。
だが、そんな未知の先にも何かがあると信じ、二人はそのまま走って行った。
リクエストでなんか書いて欲しいキャラがいるなら是非どうぞ。
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