翡翠が目を開けると、目の前に見知った顔が居た。
「…ん…なのか…じゃないな。」
「ふふっ…正解♭」
なのかの声のトーンより少し低いトーンの声に翡翠はすぐになのかではないと確信する。
そしてよく見ると、ハイライトの無い赤い瞳に長い髪をしているなのかにそっくりな少女「長夜月」だった。
長夜月…
三月なのかの事が大好きな少し過保護な少女。
オンパロスでの戦いでは決死の捨て身行為で肉体が消滅しかけ、なのかの身体にとどまっていたが、最近になって肉体を入手してからは星穹列車の仲間となっていた。
「長夜月…どうしてここに?」
「翡翠に会いたかった…じゃあ駄目?」
いつもより長夜月の反応が可愛らしく思った翡翠。
ベッドから起き上がってベッドから立ち上がった。
「なのかはどうしたんだよ?いつもはそばに居るのに。」
「……今日は二人だけで過ごしたいと思ったんだ。」
あのなのか大好きな長夜月が今日は翡翠だけと過ごしたいと言われて面食らう翡翠。
確かに最近はなのかやキュレネと任務ばかりで長夜月とはあまり絡んでいなかった事を思い出す翡翠。
「分かった。今日は一緒に居よう。」
「…!…うん。」
驚いた後、少し嬉しそうになる長夜月。
そうして二人で部屋を出て、そのまま外に出て、近くのウェーブロードに飛び移った。
「…ふーん…ウェーブロードってこんな風になってるんだ。」
「初めて来たのか?」
「なのかの身体に居た時は花火と来てたんだけど、生の身体で来たのは初めてなんだ。」
長夜月は辺りを見回しながら言う、翡翠は長夜月に問いかける。
「で?初のウェーブロードを体験したら、次は何したんだ?」
「アタシの事エスコートしてくれるの?嬉しいな。」
長夜月から差し伸べられた手を翡翠は優しく握り、そして流れるようにお姫様抱っこをした。
翡翠は背部に翼を顕現させ、そのまま宇宙を飛んでいった。
「わぁ…凄いね。」
「だろ?ちょっと飛ばすぞ。」
そうして二人はそのまま銀河中を飛び回った。
そして近くにあったウェーブロードに降り、そのまま辺りを星座を見つめ合った。
「綺麗…。銀河にはこんなにたくさん星があるんだね。」
「俺も丹恒の本でちょっと見たぐらいしか覚えてないんだけどな。でも、名前ぐらいなら知ってるぞ。」
二人は座って、星を観察することにした。
長夜月は翡翠の方を向き、しれっと手を握るも翡翠は気付いていなかった。
「あれは冥王星…あれは海王星。土星に木星…火星、金星、水星…覇王星…FM星にウルルンスターにソラリスにテラ…西暦地球…正暦地球…」
「待って、地球が二つあったよ?」
「実は地球って複数個あるらしいんだよ。」
「でも…正暦と西暦って…文字じゃないと分からないよ?」
「……確かに…」
翡翠はその事実に気付き、長夜月と見つめ合った。そして、暫くの間の静寂の後、クスリと笑い合った。
「ハハッ!確かにおかしいや!」
「ふふっ…」
そうして翡翠と長夜月はそのままウェーブロードを歩いていた。
「翡翠、なのかの事、どう思ってるの?」
「好きだよ。」
「…即答なんだね。」
「…まあな。」
翡翠は頬を赤らめながらそう呟く。
「じゃあ…アタシの事は?」
「長夜月の事も好きだぞ?」
「ふーん……」
長夜月は少し表情を変えて、翡翠の周りを回る。
そして、耳の近くで静かに呟く。
「翡翠、アタシはアンタのこと…大好きだよ。」
「強情で、冷静で、そして我儘で…でも、優しいところが好き。」
「…長夜月…」
「アタシもなのかと同じ…だから…ね。」
長夜月の手が翡翠の頬に触れる。そしてお互いの唇を合わせあった。
「…な、長夜月…」
「たまにはいいでしょ?」
そして再び微笑みあった。
翡翠は内心でこう思った。
(やっぱり敵わないな…)
そうして二人は暫く雑談し合いながら星穹列車に帰って行った。
二人は自然に恋人繋ぎをしたまま、楽しそうに笑っていた。
その日、二人はいつもよりも時間が経つのが早いと感じていた。
そうして翌日。
翡翠はベッドから目を覚ますと、長夜月が微笑んでいた。
「…おはよ。」
「うん、おはよう翡翠♭」
翡翠は服を着替え、そのまま長夜月と部屋を出る。
「ねえ、今日は何処に連れて行ってくれるの?」
「お前が行きたい場所なら、何処へでも。」
翡翠はそう言い、長夜月に手を差し伸べる。長夜月は嬉しそうにその手を取った。
「じゃあ…アタシは…」
そうして彼女は、翡翠にそう伝えた。
部屋の棚に置かれた花瓶に添えられた白いアザレアがいつもよりも綺麗に見えた。
長夜月いいよね…
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