八千代の時と三千万回の輪廻   作:渚 龍騎

4 / 8
めちゃめちゃ長くなったので二話に分けます。
22時に投稿されます。

あと少し設定が変更されています。一話のファイノンが初めてKASSENに降り立ったのが数日前と表示されていましたが、そこをいつの日かと変更しています。輪廻の回数がおかしくなりました。

ファイノンがヤチヨに10万いくつと回数を言った輪廻と、チーター扱いされて彩葉たちと会話をしてる輪廻の回数は別になってます。分かりにくくてすいません。見切り発車なのが祟りました。


第四話

 

 

 

 それは、カスライナがとある輪廻を繰り返して、月のカーネル層の破壊を試みていた時だ。

 元よりカスライナが代わりに背負った輪廻は、カスライナ自身が勝手に始めたこと。故に、この永劫回帰はカスライナが諦めれば終わることだった。

 

 だが、その輪廻を繰り返していき、月のテクノロジーに何度も接続した結果──僅か先の未来を視た。

 宇宙を彷徨する巨大な影が、地球に重なる。それは迷いも、躊躇も存在せず、ただただ流れてゆくだけの無慈悲な災害。

 

 地球が真っ赤に染まり、光が弾け、業火が世界を包み込む。大空襲で見たあの光景が一気に過ぎったが、その破壊の規模は国一つに留まらない。世界そのものを焼き尽くす炎は、やがて地球そのものを包み込んでいく。

 

 超巨大な隕石が、地球を破滅させる。逃げ場も存在せず、抵抗も意味を成さない。あれだけ広大だった普遍の故郷が、容易く終焉を迎えていた。

 そこでようやく理解する。これは近い内に地球の近くに現れる隕石で、かぐやが八千年前に飛ばされた原因だった。

 

 恐らく、超かぐや姫の物語ではかぐやの宇宙船が隕石とぶつかることで、僅かに隕石の軌道がズレ、地球の滅亡は計らずとも逃れられたのだろう。だが、かぐやが月に強制送還されるのを阻止すれば、隕石はそのまま地球へ衝突する。

 

 かぐやとヤチヨを救うために行っていた輪廻が、ようやく意味を持つ。かぐやを救えば、世界は終わる。かぐやを見捨てれば、世界は終わらない。

 

 

「…………僕には、選べない」

 

 

 カスライナは自ら全てを背負って輪廻を繰り返す。

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

「──ということで、僕の汚名を晴らす為にも、相棒たちも手伝ってくれるかい?」

 

 

 ファイノンはそう言って、彩葉と真実に頭を下げる。二人は顔を見合わせる。キツネ耳を僅かにピコピコと動かし、柔らかな尻尾をふわりとさせた彩葉が腰に手を当てて目を細めた。

 

「いや、手伝うもなにも……」

 

 辺りを見渡してから、呆れたような溜め息をつく。もう既に何度も見慣れたステージ。遠くに薄っすらと見える櫓と、緑の山や林が広がる広大な景色。彩葉の横から顔を出した真実が、彩葉の言いたかった言葉を代わりに答えた。

 

「半ば無理やり連れて来られたもんね〜」

 

 微笑みながらそう言った真実の言葉に、僅かな怒りを募らせて何度も頷く彩葉。ファイノンは微笑んだまま悪びれる様子もなく頭を掻いた。

 

「頼むよ、相棒。ここは僕を助けると思って」

 

 どこからその信頼が湧いているのか分からないが、ファイノンが彩葉に向ける信頼の眼差しは淀みのない純心から来るものだ。その眼差しを向けられると、どうも断ることができなかった。

 

 彩葉は腕を組んでから、結局断ることもできずに大きく溜め息を吐いた。

 その一連の流れを見たファイノンと真実は、互いに見合って微笑む。見慣れた光景である。彩葉が耐え切れずに溜め息をついた時は、頼み事を了承した時だ。

 

「感謝するよ」

 

「私、まだなにも言ってないんですけど」

 

 ふふ、と笑うファイノン。不満を募らせて何かを言いたげな表情を浮かべる彩葉だったが、もうここまで来てしまったのだから逃げられない。端からこの状況を野放しにするつもりもなかったが、まさかファイノンに連れられてご立腹な相手と戦うことになるとは思わなかった。

 

 面倒事は避けたいタチでありながら、いつも厄介事に首を突っ込んでしまう。嫌だというわけではないが、こうも面倒事に巻き込まれてしまうならお祓いも考えものだ。

 

「頼りにしているよ、相棒」

 

 ニッコリと爽やかな笑顔を浮かべるファイノン。横で真実がニヤニヤと不敵な笑みを滲ませながら、

 

「してるよ、あいぼ〜」

 

 と、ファイノンに便乗した。

 ぐっ、と彩葉の喉から声が漏れる。やがて大きく溜め息をついた彩葉は、準備が整ったであろう敵側の陣営を見つめた。

 

 再挑戦を承諾したファイノンがDMで相手にメッセージを送ると、一分と経たずに返信が返ってきた。そのまま流れるように再戦が決まり、三対三になるため彩葉と真実を連れて来て今に至る。

 

「作戦はどうしますか?相手は曲がりなりにもプロゲーマーですよ。流石に無策で挑むのは──」

 

 彩葉がファイノンの背中に向けて提案する。彼は「ん?」と振り返り、首を傾げた。その顔は純心に満ち満ちていた──あー、ダメだこの人なにも考えてないや。そう気付いたのはこの場面だった。

 

 彩葉の肩が段々と落ちて行く。真実もKASSENをやっているとはいえ、プロゲーマー相手に立ち向かえるほどではない。彩葉も年単位でこのゲームをやっているが、プロゲーマーが相手となれば話は別だ。

 

 いや、この人どうやって人数不利のまま勝ったの?

 

 辿り着いたのは、結局この疑問だった。

 ヤチヨパワーが凄まじくて試合が全て上手く噛み合ったのだろうか。いやいやそれだとしても疑問しか残らない。思考を巡らせていると、どうやら相手の準備が完了したらしい。

 

 息を整えて正面を見据えた時、運営──つまりはヤチヨから全員にメッセージが届き、ウィンドウが勝手に表示される。そこには『チート使用の疑いがあったから、この試合では特に目を光らせて見ているよー★』という内容だった。

 三人がウィンドウを見ていると、どこからか現れた玉手箱の中からヤチヨが飛び出してきた。

 

「──やっほー!みんな元気にしてたー?」

 

 突然ウィンクをしながら現れたヤチヨに真実とファイノンは「おー」と声を漏らしていたが、彩葉だけは口を大きく開けて静止していた。

 ファイノンは腰に手を当てたまま「やあ」と声をかける。ヤチヨが懐かしさと安堵の色を滲ませた眼差しをファイノンに向けた。

 優しげな微笑みだ。いつものハイテンションなヤチヨとは思えない表情で、彩葉は不思議に思った。

 

「今回は、ヤッチョが目を凝らしてじーっくり見てるから、不正は絶対に見逃さないよ〜」

 

 それなら安心だ──彩葉はヤチヨを見つめたまま目が離せずにいる。視線に気がついたヤチヨが彩葉に向けて僅かに微笑み、彩葉はショート。頭から煙が噴き出し、そのまま倒れそうになったのをファイノンが慌てて支えた。

 

「おっと、相棒?大丈夫かい?」

 

 彩葉は胸の前で手を組んだまま召している。真実が横から彩葉の目の前で手を振ったり、頬を引っ張って見たが一切反応しない。顔は真っ赤に染まっていて、瞳はぐるぐると渦を巻いていた。

 

「これはまずいかもねぇ」

 

「なんとかならないかな?」

 

 うーん、と腕を組む真実。そこでファイノンがヤチヨに耳打ちで何かを囁く。ヤチヨは僅かに目を見開いてから、笑みを浮かべて「いいよ〜」と了承。倒れている彩葉にゆっくりと歩み寄り、耳元で囁いた。

 

 

「──彩葉、起きてっ」

 

 

 その囁きが鼓膜を叩いて、彩葉の意識が覚醒する。即座に飛び起きた彩葉はヤチヨから一気に離れて、自分の耳に手を当てていた。

 頬を赤く染め、震える手で耳を抑えながら口をパクパクとさせている。そしてようやく現実を理解した彩葉は、思いっきり頭を振った。

 

「や、ヤチヨ!?」

 

「あはは、効果抜群だったみたいだね」

 

 笑い合う四人だったが、ヤチヨの表情がどこか穏やかな色に染まる。彩葉とファイノンだけがその変化に気が付いたが、相手の準備が終わり、KASSENのカウントダウンが始まった。

 

「さて、始めようか」

 

 法螺貝の野太い音がステージ全体に響き渡り、試合が始まった事を知らせる。その瞬間、全員がそれぞれの移動のライドに乗ってステージを駆け抜けていく。彩葉は巨大な黒いオオタカで、ファイノンは見たこともないような四足の翼獣に乗って共に空を進軍していた。

 

「えっ、ファイノンさんが乗ってるのってなんですか?見たことないライドですけど……」

 

「ソラリスって言うんだ」

 

 そう言って、ファイノンは懐かしむような眼差しを向けてソラリスの背中を優しく撫でる。何をモチーフにした翼獣なのかは不明だったが、彩葉は課金アイテムかなと僅かに羨ましく思った。

 視線を地上に落とすと、無数のミニオンたちが矢を弓にあてがってこちらに狙いをつけている。その瞬間に数多の矢が放たれ、彩葉は眉を寄せた。

 

「これ以上は無理そうですね。降りて──」

 

「──先に行くよ!」

 

 彩葉が言い終わるより早くソラリスから飛び降りたファイノン。彩葉が驚愕して「えっ、ちょっ!?」と声を上げる。慌ててオオタカから飛び降り、ファイノンに遅れて敵に肉薄した。

 

「──ふっ!」

 

 ファイノンは着地と同時に大剣──ヘリオスを大地に振り下ろす。爆発に似た鈍い音が響き、大地を砕くと辺りのミニオンが一撃で撃破される。ファイノンは顔を上げると、すぐに駆け出して軽々と振り払ったヘリオスでミニオンを次々と蹂躙していった。

 

「えー……つっよ……」

 

 彩葉は暴風が吹き荒れたような戦場の戦跡を見つめ、ファイノンの後を追いかける。ファイノンの動きはまさにプロ──それどころかすべてを把握しているような完璧な動きだった。

 

 次々と切り払われるミニオンを横目に、ファイノンの援護をしながら戦う彩葉だったが、どこか漠然とした違和感を感じていた。

 彩葉の腕前はプロゲーマーほどではないものの、一般的にはかなり上手い部類に入る。だがそれでも、ファイノンと行動を共にしていて、普段よりも遥かに進みが早かった。

 

 ファイノンが強過ぎる──それも原因の一つだろう。だがそれはあくまでも付属的なものだ。彩葉が感覚的に感じたのは、彼の立ち回りである。

 

「相棒、屈んで!」

 

 ファイノンの言葉を理解するよりも早く身体が反応し、即座に身を屈める。その時、背後から飛来していた矢の嵐をファイノンが一振りで吹き飛ばす。そしてすぐに彩葉がブレードを投げ飛ばし、ミニオンが一網打尽にされた。

 

 違和感──それは、いつにも増して動きやすい。

 芦花や真実、野良でプレイしている時よりも遥かに動きやすいのだ。ファイノン()合わせているのではなく、ファイノン()動きを合わせてくれている。彩葉が他に気を取られることなく、目の前のことに集中して攻撃ができているのは、彼がその巧みな立ち回りで動いていたからだ。

 

 彩葉の死角をカバーし、彩葉が反撃しやすいような位置取りを取る。なにからなにまで、彩葉の思考を寸分の狂いもなく読み取った動きだった。

 その為、エイムも合わせやすく、まるで考えの全てが見透かされているような感覚だった。

 

「ファイノンさん」

 

「ああ、分かっているよ」

 

 彩葉とファイノンは互いに目を合わせず、その先を見据える。相手プレイヤー三人と接敵。どうやらファイノン一人を集中狙いする予定だったらしく、三人は憤慨した様子で一気に駆け出して来た。

 

「相棒、好きに動いてくれ。合わせるよ」

 

「さっきからそうしてるんですよ……ファイノンさん、なんで私の動きが分かるんですか?」

 

 ブレードを構え直して、ファイノンを一瞥する。彼は「うーん」と顎に手を置いて緊張感も無い様子で考える。その間にも敵プレイヤーは正面から突き進んで来ている。やがてファイノンは顔を上げて微笑んだ。

 

「相棒の動きは、何万回と見てきたからね」

 

 彩葉の頭に困惑が広がる。なにか含ませるような口調でそう言ったファイノンが、敵の振り翳した大斧をヘリオスで弾き、一息による一振りで敵を真っ二つに切り裂いた。

 残り二人が左右から飛び出して同時にファイノンへ襲いかかる。一人は隠密スキルで姿を消し、ファイノンは迫り来る片方の敵だけを見ていた。

 

「──ちょっと後ろがら空き!」

 

 彩葉は無防備にも背中を晒しているファイノンのもとへ一気に駆け出す。案の定、彼の背後から現れた敵が勢い良く短剣を振り下ろし、寸前のところで彩葉がブレードで受け止めた。

 

「助かったよ」

 

 まるで来ることが分かっていたかのように、敵の出現も彩葉の動きもすべて驚くことなくファイノンは感謝を告げた。

 

「私が来なかったら、どうしたんです……かっ!」

 

 ブレードで敵プレイヤーを弾き飛ばし、力みで語尾が強く溢れる。同時にファイノンも相手を切り崩してから蹴り飛ばした。

 吹き飛ばされた相手は二人で肩を並べ、ファイノンも彩葉の横に立ちながら、微笑みを崩さずに彩葉を見つめる。その眼差しには信頼の(いろ)が溢れ、彼はまるで当たり前のことを言うように口を開いた。

 

「相棒なら、来てくれると思ったからね」

 

 向けられた表情は、いつもよりも淡いものだった。爽やかな笑顔でありながらも、どこか悲哀の色を滲ませていて、彩葉は今まで見たことのない彼の表情に思わず唖然としてしまった。

 

「なんでファイノンさんは、そんなに私を──」

 

「──来るよ」

 

 ファイノンの警告に言葉は遮られ、彩葉は僅かにムスッとした表情を浮かべながらもブレードを握り締める。相手の攻撃を回避して反撃に出るが、相手は曲がりなりにもプロゲーマーだ。

 彩葉たった一人で真正面から勝てる相手ではない。だが、相手は端からファイノンだけを狙っており、彩葉のことなど眼中になかった。

 

「真実じゃ、牛鬼は押し切れない……かと言ってここを離れるのも……」

 

 立ち回りに迷っていると、二人の攻撃を往なして大剣を振りかざすファイノンが、バックステップをしながら「相棒!」と声を上げた。

 

 彩葉が視線を向けると、彼は彩葉のブレードを指差す。その意図を理解できずに視線を落としてブレードを見つめる。何がなんだか分かっていなかったが、ファイノンが向ける羨望の眼差しを受けて彩葉は逡巡を押し切った。

 

「どうなっても知りませんよ!」

 

 片方のブレードを全力で投擲。高速で回転しながら大きく弧を描くブレードは、ブーメランのように相手の背後を通り過ぎる。空を切り裂く風切り音が耳に吹き抜け、ファイノンの口元が僅かに緩んだ。

 

 大剣で相手を切り裂き、彩葉から投げられたブレードを片手で受け止める。そこでファイノンと彩葉の視線が交じり、彩葉は頷くと一気に駆け出した。

 合わせてファイノンも動き出し、敵二人を中心に円を描きながら駆け出す。相手の攻撃を跳躍し、飛び退き、掻い潜って、詰め寄って来た相手を弾き飛ばしてファイノンは叫んだ。

 

「──相棒!」

 

 声に呼応するよりも早く、彩葉がブレードのスイッチを押し込み、ファイノンと同時に思いっきり引き絞る。その瞬間、彩葉とファイノンが持つブレードに繋がれたワイヤーが勢い良く巻き取られていき、相手二人を締め上げて拘束した。

 

 輪廻の中で、映画の中で、ファイノンが幾度となく見てきた動きである。ファイノンと彩葉は動けない敵へ一気に詰め寄り、お互いがすれ違い様にブレードと大剣を振り抜いて敵を切り裂いた。

 相手はポリゴンと化していき、そのまま空気に溶けていく。呼吸を乱して片膝立ちになっている彩葉に手を差し伸べ、彩葉も素直にそれを受け取った。

 

「流石だね、相棒」

 

「いやいや、ファイノンさんが動きに合わせてくれてるからですよ。今のだって完全にアドリブだったのに」

 

 彼は微笑むだけで、それに対してなにも言わない。彩葉は胸の内側にあるモヤを抱えて、ファイノンと共に突き進む。そこで真実が牛鬼を倒して櫓を占拠した通知が届き、二人は敵の大将落としまでライドに乗って直行する。後の流れはそのままだ──ファイノンが大将落としを天守閣に打ち込み、一本を制した。

 

「ありがとう、真実。君が牛鬼を倒してくれたからスムーズに行けたよ」

 

「彩葉とファイノンさんも強過ぎ〜」

 

 二本目が始まる前に彩葉を筆頭に作戦会議をしていると、相手のIDログにノイズが走る。戦闘が始まってもいないのにも関わらず、相手が戦闘を開始したようで、ファイノンたちは見合って首を傾げた。

 

「仲間割れ?」

 

「いや、にしてもなにか様子が変だ」

 

 彩葉が疑問を浮かべていると、ファイノンは目を細めて訝しんでいる。相手側との通話を試みるが、反応はなく仲間割れにしてもどこか様子がおかしかった。

 そこで相手側のIDが消える。戦闘を放棄してログアウトしたようだったが、相手のログに一つ新しい記載が表示される。ファイノンはそのIDを見て目を見開いた。

 

「Neikos496……」

 

 指先が震える。異変に気が付いた彩葉がファイノンを見上げ、彼はゆっくりと瞳を閉じて深呼吸をする。ファイノンさん、と心配げな声色で呼ばれて彼は瞳を開いた。

 

「これ、誰なんでしょうか。ゲーム中に乱入するって聞いたことないですけど、ファイノンさんは知ってるんですか?」

 

「…………」

 

 ファイノンは言葉を飲む。その時、空間を切り裂いて漆黒の影が一気に飛び出す。彩葉に向かって猛進する漆黒を寸前のところで受け止めたファイノンが、全力で押し返して弾き飛ばした。

 

「な、なにこいつ!?」

 

 彩葉と真実が遅れて武器を構える。吹き飛ばされた漆黒は、吹き飛ばされた勢いを空中で止めて、ファイノンの同じ大剣を構えた。

 漆黒のマントとフードに身を包んだ剣士。左腕は黄金、右腕は白銀といった鎧を纏い、瞳すらも見えない漆黒の仮面が三人を睥睨していた。

 

 

「…………フレイム、スティーラー……」

 

 

 ポツリと、ファイノンはその名を唇から溢した。

 

 

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