(最初に『魔法少女になりたい』って言ったときは、正直ほんとにわかってなかった。
周りの大人達がみんな口を濁してたのもあって、それは仕方ないし当たり前だと思った。
けどさあ!
箱開けてみたらこうなると思わないじゃん!さすがに!
だけど、初回ですぐに奇跡とか信仰とか魔法の扱い方を聞いてて、あれれ〜おかしいぞぉ〜、ってすぐ気づけた。
小出しにして情報収集してったら繋がってきた。
そしてさっき、試されたから
まあ、あたしの内面は何も変わってないけどさ、情報が揃ったから言えたって感じだったわね。うん。
……そしたら儀式に突入した。
あれは "法の儀式" っていう秘跡の一つだって言ってた。
教会の
そりゃそうよね。
福音書読んだけど、司祭クラスでも
聖女に至っては下手すると一個大隊クラス以上。地形変えられるほどだもん。まあ滅多に出現しないみたいだけど。
そしてさっきの話を総合すれば、高位の冒険者では一個中隊クラスの戦闘力がありえる。
……怖いわ、そりゃ。
怖いっていうか、危険。
力の前に戒律、それはそうって感じ。
騎士の訓練、ちょっと参加してみたい。とんでもなく厳しいでしょうね。)
そこまで考えたところで大食堂についた。
いつものように開け放されている扉を越えると、
両親が揃っていた。こんな時間に珍しい。
◆ ◇ ◆
両親だけではなかった。
そして
……さらに、滅多にセラフィーナの前には顔を見せない
座るのを促す空気がありありと流れていたのを察知し、セラは両親たちと向かい合う形でテーブルについた。
両親のその表情は……とても柔和なものだった。そして
「お疲れ、
法の儀式を終えた、と帰り際の
まあ、これも貴族としての戒律だから、今まで色々と言えないことも多かったのは責めないでほしいが……」
その言葉に、食い気味にセラフィーナは応えた。
「いえ、言えないことがあるということも言えなかった、その構造、通過してしまえばよく分かりますわ、
すみません、色々知りたいことが多すぎて」
そう目を流すと、彼は苦笑した。
「いやあ、色々と仕方ないよ。
もっとたくさんのことを伝えてあげたいと思ったけれど、
その言葉をやんわりと包み込むように
「ともあれ、これからはきちんと
もちろん
……っと。ここからは、
そう
全員がそれに倣い、
そして伯爵はゆっくりと口を開いた。
「まずはセバスチャン。
── セバスチャン・スチュアート・
「はっ」
そして、家令……セバスチャン・スチュアート・
「君を正式にセラフィーナ様の専属
以後、庶務で私の判断を仰ぐ必要はない。何かあれば
君はこれより
「我が使命、心得ました」
彼はそう宣言し、惚れ惚れするほど端整に頭を下げたあと、セラフィーナに頭を下げ直す。
「
以後、改めてよろしくお願い申し上げます。」
……そっか。そうなるんだね。
「よろしく、セバス。
改めて約束するわ。無茶はしない。貴方をきちんと
護衛される側として
その言葉に、その場にいた全員がその引き締まった雰囲気の中、温かい顔で頷いた。
そして
「騎士バーソロミュー・チェンバレン。
臨時家庭教師の
本日を以て
一般的な
── 我が領の繁栄と、当家のためにその才を振るってくれ。頼む」
「はっ」
バーソロミューは胸に手をやり、踵を打ち鳴らして応えた。
それに対して、伯爵は空気を一旦緩めて付け加えた。
「それと……私のほうが年齢
他にあまり気安く話せる者もいないので、変わらず
……などとは言うまでもないが」
わざわざ口にしたのはもちろんセラフィーナにその関係を聞かせるためである。
それに対して若干の笑い混じりにバーソロミューも応える。
「ですね。伯爵サマ。
── あ、
公私は分けてるので、察してもらえれば助かります」
そう短く言うと、空気をまた戻した。
そして
「というわけだ。今後はバーソロミューは今まで以上に当家に出入りすることになる。
もちろん
まあ……あまり困らせすぎないように」
最後は苦笑が混じっていた。
セラフィーナはそれに明るく応える。
「はい、ですわ。期待してますわよ、
「よろしく、
そのやり取りはやはり引き締まった空気の中で温かい。
「そして、我が娘、セラフィーナ。
当家の使用人に対して
私や
……実際のところ、人間関係や本来の指揮系統もあるから、私もそう
そして彼らにはそれを聞く
もちろん、
その問いかけに、はっきりと、明瞭に答える。
「はい。彼らを尊重し、壊さず、その権は当家の繁栄のために」
するりと言葉が出た。まあ、今更なにを考えるまでもない。
そして
「それと……、これからは夕食後、私か
貴族としてのことは
真摯に……なんて言うまでもないか。セラはいつもひたむきだからね。わかっているよ。
以上だ。さて、同じくらい重大な……」
と伯爵が言いかけたその時、カツカツと足音が聞こえ、
セラが入室するときに閉じたドアが破裂音に近い音を立てて開いた。
全員が振り向き……、
伯爵とセラが思わずほぼ同時に叫んだ。
「
「
セバスチャン・シニアは、『
自室で
「アイツももう28か。そろそろ結婚と思わなくもないが、
アイツは私が33のときに生まれたわけだが、
あと5年で孫の顔を見れるか?……アイツ女っ気がなさ過ぎるのだよな。
護衛、執事としてはいいが、父親としてはどうにも複雑な思いだ。
本当、どうしたものか」
それに対し、妻もまた、半ば独り言のように応える。
「まあ、気づいたらいい子見つけてくるわよ。
あなただってそうだったでしょう、唐突に私のことを口説いてきて。
男ってそんなものよ、心配しすぎても余計に白髪が増えるだけよ」
61歳、家令。まだまだ元気。
だが、この悩みだけが尽きない。