ハッピー『エンド』じゃ終われない   作:雑Karma

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大変お待たせいたしました
かぐやの一人称を「あたし(ルビ:かぐや)」から「わたし(ルビ:かぐや)」に変更しました(8/29)


【断章Ⅴ】Fly me to the moon

 

 

 

 私を連れて、月の向こうまで飛んでいって

 星々の間で、一緒に歌ってくれる?

 

 歌いながら、一緒に眺めよう

 4番目の星 5番の星

 通り過ぎる赤と橙に、最初の季節が訪れるのを

 

 つまり、ぎゅっとしてってことだよ

 つまり、キスしてほしいってことだよ

 

 

 

 

 

 

 ポーン、トン

 ポーン、トン

 

 

『Fly me to the moon, and let me among the star~♪』

 

 

 わたし(かぐや)は歌を歌いながら、兎になって飛び跳ねる。

 

 

 ポーン、トン

 ポーン、トン

 

 

『Let me see what spring is like on jupiter and mars~♪』

 

 

 足元には、いのちが一つもない灰色の地面。

 見上げれば、ぜんぶを呑み込む真っ暗闇と、そこに浮かぶ青い星。

 

 

 ポーン、トン

 ポーン、トン

 

『In other words, Hold my hand……♪』

 

 

 目の前には、そんな二つを並行にならべた灰色と黒の地平線が広がっていたけど……少しだけ青みがかったセミロングのきれいな黒髪が慣性になびいて、その殺風景を遮りながらわたし(かぐや)の鼻先をくすぐっていた。

 

 彩葉に手を引かれながら、兎になって飛び跳ねる。

 

 目の前の彩葉が着ているのは、わたし(かぐや)とおそろのピッチリした白い服。太陽風の荷電粒子がボディの駆動系に干渉しないようにヤチヨがデザインした防護服だ。

 

 

 ポーン、トン

 ポーン、ズルッ

 

『In other words, darling……あっ』

 

 

 歌の通りに彩葉の腕を引っ張ってキスをおねだりしようとしたら、着地のステップをミスっちゃった。今の速度はざっくり70m/s。特殊環境仕様のアバターボディと地球の6分の1しかない重力にものを言わせた超スピードのままスッ転んで、虚空の彼方に吹っ飛びそうになったけど……

 

 

『よっと…………歌うのはいいけど、ちゃんとしてよね』

 

 

 彩葉はバランスを崩したわたし(かぐや)の腰に腕を回して飛び跳ねて、ジャンプの慣性と姿勢制御だけで危なげなく着地してみせた。

 

 

『おお~~……流石彩葉! もしかして月面移動も初心者じゃなかったり?』

 

『いつかは行くかもって思ってたから一応訓練だけはね……物資の降下ポイントまで残り38771.7m。このスピードなら10分くらいで着くから、もう少し頑張ってね』

 

 

 ポーン、トン

 ポーン、トン

 ポーン、トン

 ポーン、トン

 

 

 わたしたちはもう一度手を繋いで月面を時速250kmで飛び跳ねる。ジャンプの負荷に耐えられる頑丈な靴がなかったら、裸足で月を歩くしかなかったかもね、とは彩葉の言だ。

 

 

『それにしても……呼吸できないのにどうやって歌ってるワケ? 大気自体がないから、声帯を振動させることもできないはずなんだけど』

 

『ん~~……よくわかんないけど、やったらできたよ! 彩葉も一緒に歌お!』

 

『音の波形を電子信号として再現して、それを電磁波に変換して発信してる? ……違うな。それだとこっちが専用の受信アンテナを経由しないでも歌に聞こえる理由に説明がつかないし……ああ、搬送波で変調してるのね──うん、だいたい分かった』

 

 

 やってるかぐやもよくわかってなかった『宇宙での歌い方』を一瞬でマスターした彩葉は、途切れたわたし(かぐや)の歌を引き取って続きを歌い始めた。Fly me to the moon。月に行く時に歌いたい歌第一位(かぐや調べ)。できれば月に着いてからじゃなくって、星間フライトの途中で歌えればよかったけど、計画上それは叶わない。

 

 足元には、いのちが一つもない灰色の地面。

 見上げれば、ぜんぶを呑み込む真っ暗闇と、そこに浮かぶ青い星。

 

 その何もかもに現実感がなくって、正直歌でも歌っていないと気が滅入りそうだった。

 

 

 ──Fill my heart with song,And let me sing forever more……♪

 

 

 真空に伝わる彩葉の声と一緒に歌いながら、二人で目標地点を目指して灰色の地面を飛び跳ねて進んでいく。

 

 

『大丈夫だよ、かぐや。何があっても、私が守ってあげるから』

 

 

 こんなシチュエーションでも、彩葉はいつもみたいに優しくわたし(かぐや)を気遣ってくれる。こんなシチュエーションでも……こんなシチュエーションなのに。なんでもないみたいに、いつも通りに。

 

 

『彩葉、ちょっと変わったよね。前よりもっと落ち着いたってゆ~か……大人になった感じ?』

 

『そう? あんまり自覚はないけど……まぁ、変わらないものなんてないからね。私ももう30になっちゃったし』

 

 

 変わらないものなんてない。だからこそその変化を目いっぱい楽しむのが生きるってことだとおもうけど……今の彩葉の、超然とした、非人間的な心の成熟具合を「良いもの」として受け止めて良いのか、わたし(かぐや)にはわからなかった。今は、まだ。

 

 

 ポーン、トン

 ポーン、トン

 

 

 足元には、いのちが一つもない灰色の地面。

 見上げれば、ぜんぶを呑み込む真っ暗闇と、そこに浮かぶ青い星。

 

 ここはこんなにもさみしい場所だけど、こうやって手を繋いで、一緒に歌を歌えば大丈夫。

 

 大丈夫……だよね?

 

 わたし(かぐや)は怖い結論から逃げるために、兎になって飛び跳ねる。目的地には、先にヤチヨが地球から飛ばしてくれたアンカーが打ち込まれているはずだった。

 

 わたしたちのお仕事の一つ目は、現地の環境を確認しながらアンカーを機能調整すること。

 

 二つ目は、それを入口(ポート)にして()()()()()()()()()()()()だった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 時間は月面から一か月ほどターンバックする。

 

 

「はいはいはい皆の衆~~~! 第103回、酒寄家会議! 司会兼コズミックプリンセスとして、かぐやが進行を務めます! はい拍手! パチパチパチ~!」

 

 

 わたし(かぐや)はまだどよんとした空気を引きずってる彩葉のために、平常時(いつも)の振る舞いから二割増しにテンションを上げた宣言と一緒にバンバンとちゃぶ台を叩いた。

 

 

「コズミックプリンセスって司会の横に並べられるタイプの役職だったんだ……」

 

 

 パチパチパチ……

 

 旧彩葉邸(ボロアパート)……のカタチを模したツクヨミ式仮想空間。もと光る竹・レプリカの中に構築されたスペース。ちゃぶ台を挟んで向かい合う彩葉の控えめな拍手にニッコリと微笑んでみせてから、わたし(かぐや)はギロリと部屋の隅を睨みつける。

 

 

「ちょっとヤチヨ! メソメソしてないで拍手して会議のスタートに合意(アサイン)してみせろっつ~の!」

 

「グスン……」

 

 

 そこには、正座の上に『私は弱った彩葉と無理やり融合しようとしました』と書かれた大きな石板を抱えながらすすり泣く犯罪者が座っていた。

 

 

「ねぇかぐや、そろそろ許してあげても……」

 

「ダメダメダメ! 彩葉は自分がなにをされそうになったのかちゃんと自覚して! 完全にひとつになったらお互いの境界が無くなっちゃうんだよ!? そんでもってできあがるのは彩葉でもかぐやでもヤチヨでもない、まったく新しい別の何かなの! そんなの自殺と変わんないよ! ヤチヨは彩葉だけじゃなくって、【かぐや】(総体としての自分)自身も消そうとしたんだから!」

 

 

 っっっったく信じらんない! という風に渋い顔を作って(かぶり)を振ってみせても、彩葉は困ったように目を伏せながらチラチラと心配そうにヤチヨを見るだけ。

 

 彩葉だってそんなことはわかってるだろうに、つくづくヤチヨには甘いんだから……!

 

 彩葉はかぐやが行き過ぎたらガミガミ叱るけど、ヤチヨに対してはそうしない。それは、ヤチヨが今も変わらない彩葉の憧憬(あこがれ)だからで、ヤチヨの自制の効いた振る舞いに対する信頼があるからで……ヤチヨと彩葉の間にある、埋められない距離の表象(アイコン)だった。

 

 五感を実装してツクヨミをどれだけ現実に近づけても、肝心の肉体(からだ)が現実にある限りその再現度は100%に届かない。

 

 こういう話になるたび、味覚テストの最中に彩葉が用意してくれたシャーベットアイスを思い出す。わたし(かぐや)がツクヨミで最初に食べて、『味がしない』って駄々を捏ねたスイーツの再現品のことを。

 

 

『冷たい! 甘い! 甘いけど、う~~ん……なんだろ、変な感じ』

 

『予想通りのリアクションだね。かぐやは何が()()()()って思う?』

 

『足りない……そっか、足りないんだ。う~~んとね、冷たいのが、こう……広がらない感じ? あと、頭もキ──ンってしない! ……そういえば、なんで冷たいのを食べるとキ──ンってなるの、なんで?』

 

『アイスクリーム頭痛の原因は二つあって、三叉神経の誤作動と口腔内温度の急激な低下への反射が血管に炎症を……あ~~詳細は省くけど、どっちも脳を直接経由しない反射行動が由来なんだよね。だからフルダイブの範囲外なの』

 

 

 彩葉曰く、食べ物は、味覚と嗅覚さえ再現できればいいって訳じゃないらしい。咀嚼(もぐもぐ)したものが崩れていく時の力学とか、唾液で融けていく途中で変わる味のパターン。呑み込んだものが喉を通る感覚。伝わって広がる熱。胃にものが溜まっていくごとに主張してくる満腹中枢。こ~ゆ~流れに合わせた食物の温度の変化。他にも沢山あるフィーリングの全部が組み合わさって初めて食事って名前の素敵な体験はなりたつものだって。

 

 現状のフルダイブシステムではそこまで再現できない……てゆ~か、()()()()()()()()って結論に彩葉はたどりついていた。

 

 

『それは、どうして?』

 

『もしこの全部を再現すると、何も食べてないのに頭相期が刺激されて胃酸やらインスリンやら膵臓消化液やらが体内でドバドバしはじめるから。消化する対象がないままそういうのが分泌されるのは当たり前だけど体にとっても悪いし……そもそも、脳にだけ働きかける今のフルダイブシステムでそれを無理やりやろうとした時の影響は未知数なの』

 

 

 忘れるって機能をゲットしたわたし(かぐや)は、それでもわたし(かぐや)の質問に答える彩葉の眉と眉の間に刻まれた皺をはっきり覚えてる。それが、焦りに近い彩の感情からくるものだってことも。

 

カントさん(純粋理性批判)が言うように、"われ思う。故に我あり(コーギトー・エルゴー・スム)"なんて嘘っぱちだよ。ヒトの自己認知は決して脳だけでは成り立たない。脳からは作れない分泌物を色んな臓器群が分泌して、それが現実を構成してる。脳から独立してる沢山の神経細胞は、それ自体が独自に禍福を判定してる。心は体全体に宿って、その身体を取り巻くまわりまで心を構成する『自分』の一部なの。──それが、私たち、物理現実に根差す生命の限界』

 

 経験を同じ(カテゴリ)の中に詰めて記録する機能をなくしたわたし(かぐや)は、感触の記憶って箱の中からわたし(かぐや)の頭を撫でる彩葉の掌をはっきり覚えてる。そこに、絶望に近い彩の感情からくる小さな震えを感じたことも。

 

 

『100%の食事体験を行いたいなら、ツクヨミの情報を脳に読み取らせるだけじゃなくって、食事に関係して脳の指示を受けないで動く神経系の全部にスマコンを被せないとダメ』

 

『つまり、できないってこと?』

 

『ううん、できるよ。というか、できちゃったの。────いっそ、できない方が、まだ』

 

 

 逆転の発想ってやつらしい。ツクヨミを第二の現実にすることが難しいなら、ヤチヨをこっち側に呼べばいい。ツクヨミを物理現実に近づけるためのアプローチと並行して彩葉が計画してた、物理現実をツクヨミに近づけるためのアプローチ。それがアバターボディ・プロジェクトだった。

 

 ちなみに、ツクヨミを仮想(バーチャル)って呼ぶことも、ツクヨミと比較してこっち側を現実(リアル)って呼ぶことも、わたしたち(かぐやとヤチヨ)は自分たちに禁止してる。理由は彩葉が悲しそうな顔をするから。

 

『ヤチヨが居る場所を現実の下位に置くなんてできないよ。ヤチヨは確かにそこに居るんだから。それに、私たちが現実って呼ぶものは、お世辞にも十全とは言い難い感覚器官から得た情報の継ぎ接ぎ(パッチワーク)が作る影みたいなものだから。私たちは洞窟の壁に映る真なる現実の影を見て、そこから世界を仮想してるだけなの』……ってゆ~のが彩葉の言。しょーじき言葉の綾だと思うけど、そういう専門家(オタク)っぽいこだわりに付き合ってあげるのも恋人の務めだって聞いた。それに、彩葉のそういうこだわりは、いつだって(ヤチヨ)へ向けられた愛ゆえのものだったから、それに文句なんてない。

 

 ────そうだ。わたしたちの全ては、彩葉の愛でできている。

 

 そうやってヤチヨにパンケーキを味わってもらう為に用意されたインターフェースこそが今のKG型アバターボディで……結果的にそれがわたし(かぐや)になった。

 

【かぐや】の()()としての今のわたし(かぐや)はそんな風な彩葉の愛から偶然生まれて、物理現実に根差した身体感覚と、そこに備わった固有のクオリアを手に入れた。そうやって、字義通り物理的にヤチヨからパージされちゃったのだ。彩葉の最初の思惑を越えて……いや、下回って。

 

 彩葉は絶っっっ対にそんなことは言わないけど、それでも敢えて言葉にするなら……今のわたし(かぐや)は、昔と違って100%望まれて生まれたわけじゃない、()()()()()()()()子だった。だから、今のヤチヨと……【かぐや】と一緒に居たい彩葉にとって、ヤチヨからわたし(かぐや)を偶然切り取ってしまったのは赤点もいいところみたい。

 

 わたし(かぐや)は知覚した物理的身体感覚に伴った情報をヤチヨに共有(シェア)することができる。それを追体験すれば、ヤチヨは100%の食事も味わえる。だけど、それだけだ。ヤチヨは絶対に彩葉と同じテーブルには着けない。だって、それを感受するクオリアは彩葉とは別のところにあって、彩葉とはまったく別の仕組みで動いてるから。YC型のアバターボディの適合率が低いままなのがその事実の裏付けだった。

 

 そんな風に、ヤチヨに近づく為に彩葉がする努力は、そのぜんぶが結果的に物理現実に根差す生命と情報精神体の間の断絶の埋め難きを証明していた。

 

 

『足が動かない人の為に車椅子を用意したとして、それで移動できるようになったとして、だからってその二種の人間が同じってことにはならないよ。全員を車椅子に乗せるか、全員に動く足をあげるかしない限り、ずっと違うまま。むしろ、一緒に同じ歩道を進めるようになったからこそ、その二者の違いは浮き彫りになる────ヤチヨは、ずっと一人なの』

 

 

 ────かぐやは確かに救われた。……なら、ヤチヨは?

 

 

 それが彩葉が抱えるヤチヨへの負い目の正体だった。そして、その寂しさよりも、その苦しみを彩葉に与える自分自身がヤチヨはずっと許せなくて……だから、それを解決する手段が目の前に降りてきた瞬間、我慢できなくなってしまったんだと思う。

 

 

「反省してます……もうしません……」

 

「彩葉にごめんなさいは?」

 

「ごめんなさい……彩葉大好き……」

 

「わ、私も大好きだよ、ヤチヨ!」

 

 

 やってらんね~~……と溜息を吐いて、わたし(かぐや)はパチンとフィンガースナップで石抱きの刑を解除した。かぐやはヤチヨで、ヤチヨはかぐやだ。だからこれは自罰行動を彩葉にわかりやすいようにアウトプットしただけだった。かぐやの肉体的なリビドーをヤチヨが止めて、非肉体的なヤチヨのリビドーをかぐやが制止する相剋の構図。もっとも、後者(ふたつめ)がこんなにあぶない形で表出したのは初めてのことだったけど。

 

 あいたたた……と膝を摩るヤチヨのそばに近づいて、手を引いて立たせてちゃぶ台の方に連れて行く。

 

 これも彩葉向けのデモンストレーションだ。かぐやもヤチヨも自分(おたがい)のことが好きだけど、別に好きだろうと嫌いだろうと自分は自分。だからそのことが悪影響になることはあんまりない。それでも自分と自分の仲良し具合を積極的にアピールするのは、それが彩葉にとっての慰めになると分かってるから。

 

 些細なものだったとしても、今の彩葉にはそういうものが必要だった。

 

 

「それじゃ、はじめよっか……FUSHI、現在時刻を記録して」

 

「……ああ」

 

 

 三人、あるいは二人の、明日のための話し合い。

 この12年でなんどもなんどもしたはずなのに、その頭に「いつもの」をつけていいのか、今日のわたし(かぐや)はわからなかった。

 

 変わらないものなんてない。だからその一瞬一瞬を楽しもうって決めてるのに、この胸のザワザワは収まらない。彩葉の身体が消えちゃったことだけが原因じゃない。

 

 きっと、歳月が流れるにつれて積み重なっていく()()から目を逸らすことができなくなったからだと思う。

 

 変わらないものなんてない。だからその一瞬一瞬を楽しもうって決めてるけど、楽しめないこととか、楽しむべきじゃないかもしれない変化まで楽しもうとすることは、現実逃避と何が違うんだろう。

 

 変わらないものなんてない。だからその一瞬一瞬を楽しもうって決めてるけど、あの日のキラキラした一瞬の意味まで変わってしまうことを、その一言で赦せるんだろうか。

 

 変わらないものなんてない。変わらないものなんてない。変わらないものなんてない。変わらないものなんてない。変わらないものなんてない。変わらないものなんてない。変わらないものなんてない。変わらないものなんてない。変わらないものなんてない。変わらないものなんてない。

 

 そうやって、澱みたいに溜まっていく変わりようがない変化を、たしか(ヤチヨ)は穢れって呼んでたな、なんて。

 

 他人事にしか思えなくないくらい変わってしまったわたし(かぐや)自身と(ヤチヨ)の距離を確認して、思う。

 

 

 ────ねぇ彩葉、あの時のハッピーエンドって、今どこに置いてあるんだっけ。

 

 

 口から出かかったそんなしょーもない愚痴は、小さく鼻を鳴らして黙殺した。

 

 

 

 

 

 そうやって心を貴女の歌で満たしたら

 ずっと一緒に口ずさんでいたいの

 貴女は私の全部だから

 祈りと憧れ。望みと願い。そういう求めの詰め合わせ

 

 つまり、ずっと変わらないでいて欲しいってことだよ

 それが、愛してるってことだから




月曜日に次の話を投稿予定です。

お盆回りに消化すべき仕事が沢山あったため執筆が遅れていましたが、皆様の感想を読み返したりしながらどうにかバイブスを高めて事なきを得ました。

感想、ここすき、高評価、いつも本当にありがとうございます。このままギアを上げて更新ペースをもとに戻していきますので、引き続き楽しんでいただければ幸いです。
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