競馬ミリしらウマ娘ファンがウマ娘化されていないモブ(?)ウマ娘に転生したので、頑張って百合ハーレムを作ろうとする話 作:雅媛
春のティアラ路線、第二戦。桜の女王に続く頂点を決める『オークス』もまた、スティルちゃんが勝利をもぎ取った。
二着はハナ差でアルヴさん。正直に言って、二人の身体的な実力やスタミナは完全に互角だったと思う。最後の直線の叩き合いは、見ているこちらの息が止まるほどの死闘だった。
それでも最後にスティルちゃんが前に出たのは、『内なる紅』こと紅ちゃんの執念にも似た凄まじい気持ちの差が勝ったからだ。
このまま順調にいけば、スティルちゃんは秋に『ティアラ三冠』という偉業を成し遂げることになる。ボクの担当ウマ娘が歴史に名を刻むかもしれないと思うと、鼻高々である。
さて、レース後の喧騒も落ち着いたある日の夜。
ボクは姉さんとも相談した結果を踏まえて、寮の自室でスティルちゃんとアルヴさんを前に、真っ直ぐに正座をしていた。
「……というわけで。ボクが『百合ハーレムを作りたい』なんて無責任に言っていたのは、ボク自身の至らなさと甘えでした。二人からこんなに重くて一途な愛情をもらっているのに、ボクの身体は一つしかないから、もらった分だけを平等に返すことができない。本当にごめんなさい」
ボクは深く頭を下げた。
二人を天秤にかけるような真似をして、寂しいからと両方をそばに置いておくのは、トレーナーとしても一人の人間としても不誠実だと思ったのだ。二人が本気でボクを奪い合って傷つく前に、ボクのキャパシティの限界を正直に話し、謝罪しようと決意したのである。
ところが。
神妙な面持ちで顔を上げたボクに返ってきたのは、二人のキョトンとした顔だった。
「えっ? いや、今のままで十分ですけど」
「そうね。私も特に不満はないわ」
「……はい?」
予想外のあっさりとした返答に、ボクは間抜けな声を漏らした。
いつもあんなにバチバチ火花を散らして、ボクの唇を奪い合っているじゃないか。
「むしろ、プイちゃんとマンツーマンになるのは、ちょっとキツイというか……」
スティルちゃんが、なぜか気まずそうに視線を逸らす。
「ええ。こっちの体がもたないというか、命の危険を感じるのよ」
アルヴさんも、深くため息をつきながら同意した。
「いやいや、普通にトレーニングに付き合って、終わったら一緒にお風呂に入って、添い寝して頭撫でてるだけじゃない。そんな、なんで命の危険とか言って腰が引けてるのさ」
「その『普通』の基準が狂ってるのよ、貴女は!」
アルヴさんがボクの頬を両手でむにゅっと挟み込んだ。
「貴女の組むメニュー、緻密で完璧だけど強度がバケモノじみてるのよ! おまけに貴女自身がケロッとした顔で併走してくるから、こっちは意地でも休めないじゃない。私一人で貴女の相手を100%させられたら、過労で倒れるわ」
「それに……」
スティルちゃんが、背後からボクの身体にすり寄るように抱きついてきた。耳元で、紅ちゃんの甘い声が囁かれる。
「夜のスキンシップだって、アナタの無自覚なタラシっぷりと、底なしの体力……私一人で独占したら、多分、理性が焼き切れて干からびちゃうわ。だから、アルヴさんと半分こするくらいで、ちょうどいいと思うのよ」
どうやら、ボクが良かれと思ってやっていたモブなりの全力サポートは、G1ウマ娘の二人からしても規格外のスパルタだったらしい。二人がかりでボクの相手をして、ようやく均衡が保たれていたというのか。
「ま、まあ……そういうことなら。でも、二人とも本当にいいの?」
「ええ。プイが私のことをちゃんと一番……じゃなくて、特別に想ってくれているなら、それでいいわ。だから、これからもたくさん構いなさいよね」
アルヴさんが頬を染めながら、ボクの膝にすり寄って甘えるように頭を乗せてくる。ツンデレのデレが極まっていて、破壊力が凄まじい。ボクは無意識に彼女の艶やかな髪を優しく撫でた。
「ふふっ。私も、プイちゃんが逃げないなら今のままでいいわ。……んっ、ちゅ」
背後から抱きついていた紅ちゃんが、ボクの首筋に熱いキスを落とす。ゾクッとした快感が背筋を走った。
ひとまず三人でしっかり話し合い、お互いに不満があれば溜め込まずに言うことや、風紀的な問題もあるので過剰なスキンシップは『キスまでに留める』という健全なルールを約束した。
姉さんに言われた通り、ボクも結局、この二人のことが大好きなのだ。愛の重さに押し潰されそうになることもあるが、できるだけ二人に返せるように、ボクなりに全力で頑張ろうと決意を新たにしたのだった。
そして季節は巡り、夏。
ボクはスティルちゃんとアルヴさんを連れて、南の海に浮かぶ『島合宿』へとやってきていた。
無人島を自らの手で開拓しながら、大自然の中でフィジカルとメンタルを鍛え上げるという、前世のアプリの育成シナリオを丸パクリした特訓企画である。
と言っても、実家(クッソ太い)の力を使って、あらかじめ快適なログハウスの資材や、一ヶ月分の高級食材、最新のトレーニング機材を大量に持ち込んでいるため、サバイバルというよりは豪華なグランピングに近い。
美しい海と森に囲まれたログハウスで、三人だけで過ごす非日常の時間は、なかなかに楽しく、そして目の保養に満ちていた。
「プイちゃーん! 海水浴の準備、できたわよ!」
白い砂浜に、パラソルを立ててくつろいでいたボクの元へ、二人が駆け寄ってくる。
その水着姿は――正直に言って、色々と凄すぎてボクには持て余すレベルだった。
「どうかしら、プイ。似合ってる?」
アルヴさんが着ているのは、黒を基調とした大人びたビキニだった。持ち前の気品はそのままに、引き締まったウエストと、重力に逆らうような見事な胸の渓谷が強調されている。少し照れくさそうに太ももを寄せる仕草が、最高に艶かしい。
「プイちゃん見て。可愛いでしょ?」
スティルちゃんは、白のフリルがあしらわれた清楚なワンピースタイプの水着だ。しかし、一見大人しそうに見えて、胸元や背中のカッティングが絶妙に大胆であり、清楚さとエロスが同居する破壊力抜群の仕上がりになっていた。
「いや、二人とも目の毒だよ……スタイル良すぎるでしょ。ボクなんて、ただの健康的なモブ体型なのに」
ボクは自分の着ているシンプルなスポーティタイプの水着を見下ろして、ため息をついた。ウマ娘特有の運動量のおかげで無駄なお肉はないが、二人のような暴力的なまでの色気はない。
「そういうプイちゃんこそ、すごく扇情的だと思うけど」
アルヴさんが、ジト目でボクの身体を上から下まで舐め回すように見た。
「えー、普通じゃない? 腹筋とか適度に割れてるけど」
「これが『普通』なわけないでしょ。無駄な脂肪が一切ないのに、女の子らしい丸みは完璧に残ってて……黄金比の彫刻みたい」
スティルちゃんが、ゴクリと生唾を飲み込んでボクにジリジリと近づいてきた。
「ちょ、ちょっと、ストップ! 日焼け止め! 日焼け止め塗ってあげるから!」
ボクは慌てて鞄から日焼け止めのボトルを取り出し、二人の気を逸らした。
「……仕方ないわね。じゃあ、背中お願い」
アルヴさんがビーチマットにうつ伏せになり、無防備な背中を晒す。ボクは手にローションを伸ばし、彼女の滑らかな肌にそっと触れた。
「んっ……冷たい。でも、プイの手、すごく気持ちいい……」
「アルヴさん、肩甲骨の周り、少し張ってますね。ほぐしておきますよ」
マッサージも兼ねて優しく撫でさすると、アルヴさんは気持ちよさそうに目を閉じ、猫のように喉を鳴らした。
「ずるい! 私も! 私もプイちゃんに隅々まで塗ってもらうわ!」
「はいはい、順番ね、スティルちゃん」
「ふふっ、私は前の方も念入りにお願いするわよ♡」
「紅ちゃんモードでセクハラしてこないで!」
青い空と、透き通るような海。
どこまでも続くプライベートビーチで、ボクたちは時間を忘れてはしゃぎ回った。
厳しい秋のG1戦線を前に、しっかりと心身をリフレッシュしつつ、夜になれば満天の星空の下でこれでもかと厳しい基礎トレーニングとイチャイチャをこなす。
バチバチのライバル関係だった二人が、ボクという存在をハブにして、なんだかんだで仲良く笑い合っている。それを見ているだけで、ボクの胸の奥が温かくなるのを感じた。
秋には、スティルちゃんのティアラ三冠がかかった大一番『秋華賞』が待っている。そしてアルヴさんの逆襲も。
ボクの百合ハーレムは、南の島の太陽よりも熱く、順調に進行していくのであった。
追加ヒロイン
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ラインクラフト
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シーザリオ
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デアリングハート
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エアメサイア
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クロフネ
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奈瀬トレーナー
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キングカメハメハ
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カネヒキリ