競馬ミリしらウマ娘ファンがウマ娘化されていないモブ(?)ウマ娘に転生したので、頑張って百合ハーレムを作ろうとする話   作:雅媛

17 / 20
15 モブ(?)ウマ娘、夏合宿へ行く

 春のティアラ路線、第二戦。桜の女王に続く頂点を決める『オークス』もまた、スティルちゃんが勝利をもぎ取った。

 

 二着はハナ差でアルヴさん。正直に言って、二人の身体的な実力やスタミナは完全に互角だったと思う。最後の直線の叩き合いは、見ているこちらの息が止まるほどの死闘だった。

 それでも最後にスティルちゃんが前に出たのは、『内なる紅』こと紅ちゃんの執念にも似た凄まじい気持ちの差が勝ったからだ。

 このまま順調にいけば、スティルちゃんは秋に『ティアラ三冠』という偉業を成し遂げることになる。ボクの担当ウマ娘が歴史に名を刻むかもしれないと思うと、鼻高々である。

 

 さて、レース後の喧騒も落ち着いたある日の夜。

 ボクは姉さんとも相談した結果を踏まえて、寮の自室でスティルちゃんとアルヴさんを前に、真っ直ぐに正座をしていた。

 

「……というわけで。ボクが『百合ハーレムを作りたい』なんて無責任に言っていたのは、ボク自身の至らなさと甘えでした。二人からこんなに重くて一途な愛情をもらっているのに、ボクの身体は一つしかないから、もらった分だけを平等に返すことができない。本当にごめんなさい」

 

 ボクは深く頭を下げた。

 二人を天秤にかけるような真似をして、寂しいからと両方をそばに置いておくのは、トレーナーとしても一人の人間としても不誠実だと思ったのだ。二人が本気でボクを奪い合って傷つく前に、ボクのキャパシティの限界を正直に話し、謝罪しようと決意したのである。

 

 ところが。

 神妙な面持ちで顔を上げたボクに返ってきたのは、二人のキョトンとした顔だった。

 

「えっ? いや、今のままで十分ですけど」

「そうね。私も特に不満はないわ」

「……はい?」

 

 予想外のあっさりとした返答に、ボクは間抜けな声を漏らした。

 いつもあんなにバチバチ火花を散らして、ボクの唇を奪い合っているじゃないか。

 

「むしろ、プイちゃんとマンツーマンになるのは、ちょっとキツイというか……」

 

 スティルちゃんが、なぜか気まずそうに視線を逸らす。

 

「ええ。こっちの体がもたないというか、命の危険を感じるのよ」

 

 アルヴさんも、深くため息をつきながら同意した。

 

「いやいや、普通にトレーニングに付き合って、終わったら一緒にお風呂に入って、添い寝して頭撫でてるだけじゃない。そんな、なんで命の危険とか言って腰が引けてるのさ」

「その『普通』の基準が狂ってるのよ、貴女は!」

 

 アルヴさんがボクの頬を両手でむにゅっと挟み込んだ。

 

「貴女の組むメニュー、緻密で完璧だけど強度がバケモノじみてるのよ! おまけに貴女自身がケロッとした顔で併走してくるから、こっちは意地でも休めないじゃない。私一人で貴女の相手を100%させられたら、過労で倒れるわ」

「それに……」

 

 スティルちゃんが、背後からボクの身体にすり寄るように抱きついてきた。耳元で、紅ちゃんの甘い声が囁かれる。

 

「夜のスキンシップだって、アナタの無自覚なタラシっぷりと、底なしの体力……私一人で独占したら、多分、理性が焼き切れて干からびちゃうわ。だから、アルヴさんと半分こするくらいで、ちょうどいいと思うのよ」

 

 どうやら、ボクが良かれと思ってやっていたモブなりの全力サポートは、G1ウマ娘の二人からしても規格外のスパルタだったらしい。二人がかりでボクの相手をして、ようやく均衡が保たれていたというのか。

 

「ま、まあ……そういうことなら。でも、二人とも本当にいいの?」

「ええ。プイが私のことをちゃんと一番……じゃなくて、特別に想ってくれているなら、それでいいわ。だから、これからもたくさん構いなさいよね」

 

 アルヴさんが頬を染めながら、ボクの膝にすり寄って甘えるように頭を乗せてくる。ツンデレのデレが極まっていて、破壊力が凄まじい。ボクは無意識に彼女の艶やかな髪を優しく撫でた。

 

「ふふっ。私も、プイちゃんが逃げないなら今のままでいいわ。……んっ、ちゅ」

 

 背後から抱きついていた紅ちゃんが、ボクの首筋に熱いキスを落とす。ゾクッとした快感が背筋を走った。

 

 ひとまず三人でしっかり話し合い、お互いに不満があれば溜め込まずに言うことや、風紀的な問題もあるので過剰なスキンシップは『キスまでに留める』という健全なルールを約束した。

 姉さんに言われた通り、ボクも結局、この二人のことが大好きなのだ。愛の重さに押し潰されそうになることもあるが、できるだけ二人に返せるように、ボクなりに全力で頑張ろうと決意を新たにしたのだった。

 

 

 

 そして季節は巡り、夏。

 ボクはスティルちゃんとアルヴさんを連れて、南の海に浮かぶ『島合宿』へとやってきていた。

 

 無人島を自らの手で開拓しながら、大自然の中でフィジカルとメンタルを鍛え上げるという、前世のアプリの育成シナリオを丸パクリした特訓企画である。

 と言っても、実家(クッソ太い)の力を使って、あらかじめ快適なログハウスの資材や、一ヶ月分の高級食材、最新のトレーニング機材を大量に持ち込んでいるため、サバイバルというよりは豪華なグランピングに近い。

 美しい海と森に囲まれたログハウスで、三人だけで過ごす非日常の時間は、なかなかに楽しく、そして目の保養に満ちていた。

 

「プイちゃーん! 海水浴の準備、できたわよ!」

 

 白い砂浜に、パラソルを立ててくつろいでいたボクの元へ、二人が駆け寄ってくる。

 その水着姿は――正直に言って、色々と凄すぎてボクには持て余すレベルだった。

 

「どうかしら、プイ。似合ってる?」

 

 アルヴさんが着ているのは、黒を基調とした大人びたビキニだった。持ち前の気品はそのままに、引き締まったウエストと、重力に逆らうような見事な胸の渓谷が強調されている。少し照れくさそうに太ももを寄せる仕草が、最高に艶かしい。

 

「プイちゃん見て。可愛いでしょ?」

 

 スティルちゃんは、白のフリルがあしらわれた清楚なワンピースタイプの水着だ。しかし、一見大人しそうに見えて、胸元や背中のカッティングが絶妙に大胆であり、清楚さとエロスが同居する破壊力抜群の仕上がりになっていた。

 

「いや、二人とも目の毒だよ……スタイル良すぎるでしょ。ボクなんて、ただの健康的なモブ体型なのに」

 

 ボクは自分の着ているシンプルなスポーティタイプの水着を見下ろして、ため息をついた。ウマ娘特有の運動量のおかげで無駄なお肉はないが、二人のような暴力的なまでの色気はない。

 

「そういうプイちゃんこそ、すごく扇情的だと思うけど」

 

 アルヴさんが、ジト目でボクの身体を上から下まで舐め回すように見た。

 

「えー、普通じゃない? 腹筋とか適度に割れてるけど」

「これが『普通』なわけないでしょ。無駄な脂肪が一切ないのに、女の子らしい丸みは完璧に残ってて……黄金比の彫刻みたい」

 

 スティルちゃんが、ゴクリと生唾を飲み込んでボクにジリジリと近づいてきた。

 

「ちょ、ちょっと、ストップ! 日焼け止め! 日焼け止め塗ってあげるから!」

 

 ボクは慌てて鞄から日焼け止めのボトルを取り出し、二人の気を逸らした。

 

「……仕方ないわね。じゃあ、背中お願い」

 

 アルヴさんがビーチマットにうつ伏せになり、無防備な背中を晒す。ボクは手にローションを伸ばし、彼女の滑らかな肌にそっと触れた。

 

「んっ……冷たい。でも、プイの手、すごく気持ちいい……」

「アルヴさん、肩甲骨の周り、少し張ってますね。ほぐしておきますよ」

 

 マッサージも兼ねて優しく撫でさすると、アルヴさんは気持ちよさそうに目を閉じ、猫のように喉を鳴らした。

 

「ずるい! 私も! 私もプイちゃんに隅々まで塗ってもらうわ!」

「はいはい、順番ね、スティルちゃん」

「ふふっ、私は前の方も念入りにお願いするわよ♡」

「紅ちゃんモードでセクハラしてこないで!」

 

 青い空と、透き通るような海。

 どこまでも続くプライベートビーチで、ボクたちは時間を忘れてはしゃぎ回った。

 厳しい秋のG1戦線を前に、しっかりと心身をリフレッシュしつつ、夜になれば満天の星空の下でこれでもかと厳しい基礎トレーニングとイチャイチャをこなす。

 

 バチバチのライバル関係だった二人が、ボクという存在をハブにして、なんだかんだで仲良く笑い合っている。それを見ているだけで、ボクの胸の奥が温かくなるのを感じた。

 

 秋には、スティルちゃんのティアラ三冠がかかった大一番『秋華賞』が待っている。そしてアルヴさんの逆襲も。

 ボクの百合ハーレムは、南の島の太陽よりも熱く、順調に進行していくのであった。




評価お気に入り・感想お待ちしております

こんなの書いてほしいなどあればディスコード鯖
https://discord.gg/92whXVTDUF

追加ヒロイン

  • ラインクラフト
  • シーザリオ
  • デアリングハート
  • エアメサイア
  • クロフネ
  • 奈瀬トレーナー
  • キングカメハメハ
  • カネヒキリ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。