冥王 レイリー先生。シャーレに立つ!!   作:なにやってんだおまえぇ!

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今回からアビドスに戻ります。よろしくお願いします。





アビドス
第十一話 ブラックマーケットへ出発だ!!


 

「冒険家……か」

 

(ルフィがそう名乗るということは、この世界に海賊という存在はいないに等しいのかもしれん。ホシノはあくまで空想の存在として扱っていたしな。そもそも、この世界が私のいた世界と大きく異なる以上、彼の存在のあり方も大きく変わっているのかもしれん。だが、そうであっても冒険をやめない。君らしいな、ルフィ)

 

「えっと……どうしたのかしら先生? なんか凄く笑顔になってるけど」

 

「ん? あぁすまないね。ただ上機嫌なだけだ。そのルフィという生徒の所属は分かるかね?」

 

「確かトリニティだったはずよ」

 

「トリニティの子なのにゲヘナによく遊びに来るんだから変な子だよね〜。他のトリニティの生徒ちゃんと違って羽もないし」

 

(確かに彼がトリニティに居座っているイメージは湧かないな。いずれにせよ、時が来たら会ってみたいものだ)

 

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「「「「「ご馳走様でした」」」」」

 

 大鍋にあった料理は完食され、鍋は殻になった。

 

「いやぁー美味しかった。先生って料理できたんだねぇ」

 

「意外。全部携帯食で済ませてるタイプだと思ってた」

 

「そもそも食費とか全部ギャンブルに突っ込んでそうだから料理なんてしたことないと思ってたわ」

 

(アビドスの子達にとって私は一体どう映ってしまっているのだろうか……)

 

 おそらく碌な答えは返ってこないため、彼ははあえて聞かなかった。

 

 

 

「ありがとねん先生、まさかさっきまで敵だった子達とご飯を食べることになるとは思わなかったけど」

 

「ハハハ! 私が船に乗っていた頃は敵と三日三晩宝の奪い合いをしていたらいつのまにかプレゼント交換会になることがしょっちゅうだった。このくらいよくあることだ」

 

 〝生きててこその殺し合い〟ロジャーの言う通り、白髭海賊団との抗争は間違いなくただのお遊びではなかった。真剣に実銃、そして覇気が入り乱れる戦場だった。しかしそこからいつも肩を組んで酒を飲み合う状態に移行するというのを何度も経験していたため、便利屋68が敵だとかはあまり気にしていなかった。彼女らが汚れた心の悪党ではないことは火を見るより明らかだったのも大きな要因と言えよう。

 

「ふふ、アウトローとは少し違うかもだけど。そういうライバル関係もまたいいものね」

 

「ま、実態は私たちが勝負に負けただけなんだけどね」

 

「ウグッ…………!」

 

 

 

「さて、明日は全員でブラックマーケットに行く。まず穏やかには済まないだろうからな。ゆっくり寝て備えてくれ」

 

「ね、寝るってまさか……」

 

「無論この校舎でだ」

 

「えぇ!?」

 

 アルはもはや彼女の名物と化している白目になって驚愕する。

 

 

 陸八魔が陸八魔……それも仕方がねェか……! 所詮アルはどこまで行ってもいい子ちゃんじゃけェ……! 

 

 

「なによ、私たちの校舎じゃ不満なの?」

 

 セリカが薄い目でアルを睨む。

 

「い、いえそういうわけではなくて! ただ泊まる準備なんてしてなかったからどうしようって……」

 

「ん、体育館にあるマットを布団代わりにしよう。お風呂は銭湯を利用する」

 

「寝巻きはこの際みんなで買いに行って全員分揃えちゃいましょう〜⭐︎! お泊まり会、楽しみです〜」

 

「シロコ先輩もノノミ先輩も流石の計画速度ですね……」

 

「早くしないと服屋が閉まっちゃいますよ! さっそく出発です⭐︎!」

 

 

 

 

 こうしてレイリーたちは泊まりの準備の為に服屋と銭湯に向かった。過疎化が進んでいるアビドスとはいえ、中心部の都市にはまだそれなりに活気があり、服屋や銭湯、共に見つけ出すのにそう苦労は掛からず、無事に事を済ましたのだった。さらに、ついでと言わんばかりに彼女らは街で寝巻き以外の服やその他雑貨品も買った挙句、レイリーに荷物を全部持たせてアビドス高校への帰路を歩かせるという所業を実行中であった。

 

 

 

「いやー買った買った〜」

 

「買い過ぎだろう……! いくらなんでも」

 

「レイリー先生が言ってたもんねー?誰かのお金は使える限りとことん使った使った方がいいってさ」

 

(まさか過去の自身の発言に苦しめられることになるとはな…迂闊に下手なことを言ったらまずいかもしれん。なにせホシノ達には海賊の才能がありそうだからな…)

 レイリーの両手は合計10個の詰まりに詰まった買い物袋によって塞がれていた。

 

「うへへ〜レイリー先生のお財布、結構中がつまってたんだねー」

 

「今はもうすっからかんだがな……」

 

「あの、先生。いいのかしら? せめて私たちだけの分でもお金を……」

 

 アルはレイリーに申し訳なさそうに視線を向けながら声を掛けた。人に気をつかうその姿はとても凶悪なアウトローとは言えない。

 

「いや、いい。そもそもこの袋の9割はホシノたちのものなのだからな」

 

「うぅ……で、でもぉ……」

 

「アウトローは貸し借りの世界だ。今回は私から貸し一だ。いつか返してもらうとしよう」

 

「……! そうね! ええ分かったわレイリー先生。この借りは必ず返すわよ!」

 

(先生、アルちゃんが喜びそうな言葉を選ぶの上手いなー。クフフ)

 

 

「先生、よろしかったのですか? 全額負担させてしまって……私のカードを使えば……」

 

「子供に金をたかる程、私も落ちぶれちゃいないさ。それに、君達はこうして大人に金銭を支えられる経験はほとんどなかったのだろう? ならば一度くらいはこういった経験はしておくべきだ。まあ、私の財布がまた限りにして欲しいがな。わははは……」

 

「本当にありがとうございます、レイリー先生。先生のおかげで皆んなとっても楽しそうなんです。張り詰めていたものが緩んだ感じがあるといいますか……」

 

「礼は問題が全て解決するまでとっておきなさい。大団円で終わった後に受け取るとしよう」

 

「はい……! 了解です♡」

 

 

(なあロジャー。子供達には、新しい時代への若い芽を存分に伸ばして欲しいものだよな。シャンクスや、バギーがそうだったように────)

 

 

 

 その後、アビドス高校に戻り体育館からマットを引っ張り出して空き教室に敷いて擬似的な布団を作って、生徒たちはそこで全員就寝した。

 

 

 

 

 

 ────ただ1人、小鳥遊ホシノを除いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホシノはただ1人、アビドス高校周辺をショットガン片手に練り歩いていた。所謂パトロールというやつだ。光源の少ないアビドスではすでに自治区内は真っ暗になっており、空には広大な星空が貴重な光となっていた。

 

 

 

「こんな時間にパトロールとは、君は働き者だな」

 

「ッッ……!! ……ってなんだ、先生かぁ。驚かさないでよ〜おじさんもう歳なんだから、ちょっとびっくりしちゃうだけで心臓止まっちゃうんだから」

 

 背後に立つレイリーに対して咄嗟に向けた銃を下ろし、ホシノはいつもの柔らかいようで何故か硬さを感じられる仮面のような顔に戻る。

 

「歳を自虐にするのは私の方が適任ではないか?」

 

「……うへへ、確かにね」

 

「明日は早く出掛けるぞ。すぐに寝た方がいい」

 

「そうだね、でもそれは先生もじゃない? わざわざこんな夜に何してるの? もしかしておじさんのストーカー? いやー困ったなぁ〜先生やっぱりそっちタイプの人間だったかぁ〜」

 

「半分はそれ目的、もう半分は星でもみながら酒を飲もうと思ってな。この星空は、船の上から見る星空とよく似ている」

 

「先生も趣味が悪いね〜」

 

 にへら〜と口元を緩めながら笑ってそう言った後、ホシノは少しの間下を向き、口を開いた。

 

「……ねえ先生、先生が海賊をやってた頃の船長。ロジャーって名前だったっけ? その人って今は何してるの?」

 

「今か、そうだな。地獄で酒でも飲んでるんじゃないか? ハハハ」

 

「…………ごめん」

 

 レイリーの口ぶりから、そのロジャーという男がどうなったのかを察する。そもそもレイリー自身がもはや80にも差し掛かろうとする老体。そんな彼と共にいた人ということは既に老衰で亡くなっていてもおかしくはなかった。それに対して配慮ができなかったと罪悪感を抱きホシノは謝罪する。

 

「気にするな。そもそも心の傷にしているのなら、君達に彼の話など聞かせていないさ」

 

「そう……だね……」

 

 

(先生と違って、皆んなに話を聞かせていないのが()だからね)

 

 

「無論ロジャーが死んだ日ほど泣いた夜はない、酒を飲んだ夜も……!!」

 

「────だが、あの日ほど笑った夜もない……!! 

 

「……悲しかったんだよね?」

 

「ああ、しかし我が船長として、漢として、実に見事な人生だった……!!!! そんな彼の生涯を()()()()というのは侮辱になる! だからこそ、私は美談の一種として扱うつもりだ」

 

 

 

「そっか、先生は前に進めてるんだね」

 

「ん? 何か言ったかホシノ」

 

「んいやぁ? ちょっと欠伸が出かかっちゃっただけだよ〜。おじさん眠くなってきちゃった。もう寝るよぉ」

 

「うむ、ゆっくり寝たまえ。明日定刻になっても起きなかったら、容赦無く叩き起こすぞ」

 

「うへぇ、そりゃ勘弁だね。とっとと寝なきゃー」

「ホシノ」

 

「……どうしたの先生?」

 

「良い夢を見てくれ」

 

「……ありがと、先生」

 

 ホシノは背を向けてアビドス高校の方へ駆け足気味に向かって行く。レイリーはその様子を微笑んで見続けた。しかし、後ろ姿を向けられていたレイリーには、校舎へと向かっていく彼女がどんな顔をしているのか知る術はなかった。

 

 

 

 

 


 

 

──────翌日──────

 

 

 

「全員、準備は出来たか?」

 

「ん、バッチリ」

 

「準備万端です⭐︎!」

 

「シロコ先輩、無法地帯だからってめちゃくちゃしないでよ?」

 

「念には念を入れて、シロコ先輩は重点的にドローンで監視させていただきます!それと、利息返済は私が対応しますので、お任せください!」

 

「ん、ありがとうアヤネ」

 

「うへぇ〜おじさんにはやっぱり早起きはしんどいよぉ〜」

 

「アビドスはホシノ君以外は問題なさそうだな。ホシノ君は……まあ起きているからよしとしよう。便利屋の君達、そっちも準備はいいかね?」

 

「大丈夫だよ先生。……社長以外」

 

 カヨコが少し呆れ気味に視線をやった先にはおそらく寝不足状態であろうアルが目に隈を作りながらフラフラとしていた。

 

「な、何を言ってるのカヨコ課長……私はなんともないわ……」

 

「クフフ♪ アルちゃんブラックマーケット行くのに興奮してたせいで昨日なかなか寝付けなかったから寝不足なの」

 

「そんな遠足前日の子供みたいな理由じゃないわ……ムツキ室長……」

 

「またまた〜、それと役職呼び別に要らなくない? 今日は別に依頼されてるわけじゃないんだからさ」

 

(……多分大丈夫だろうからよしとしよう)

 レイリーは思考放棄した。

 

 

「さて、それじゃあ……出向するとしようか! 

 

「「「「おー!」」」」

 

 こうしてアビドス×便利屋68の同盟はブラックマーケットへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今回も閲覧いただきありがとうございます。キリのいいところが見当たらずに短いところで終わってしまいました。進みが遅くて申し訳ありません。

感想、考察。楽しみに待っています。もしよろしければよろしくお願いします。今回が短く終わってしまったので次話はなる早で出します。
おそらく金曜日になるかと……
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