冥王 レイリー先生。シャーレに立つ!!   作:なにやってんだおまえぇ!

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なんかもうお気に入り50人行きそうです。派手にありがたいです。皆様本当にありがとうございます。皆様の感想心待ちにしています。よろしくお願いします。


第四話 だめだこのジジイ!!!

 

 ヘルメット団を迎え撃つべく、校内を出たレイリーたち。シャーレの介入により弾薬、補給品の制限がなくなったに等しい状況となったため、アビドスの生徒たちの士気もとても高い状態になっていた。まさにやる気十分といった様子である。

 

(彼女らがやる気なんだ。ここは手を出すのも野暮だ。見守るべきだな)

 

 

「覚悟しなさい! ヘルメット団共!」

 

「うへぇ〜おじさんからお昼寝の時間を奪った罪は重いよ〜?」

 

 ホシノは盾とショットガンを生かした前衛。残弾を気にする必要がなくなったことで全開を発揮するノノミのガトリングによる濃密な弾幕に、シロコとセリカの機動力によって行われる制圧。そしてアヤネのドローンよる回復薬の投下とシロコのドローンによる支援攻撃と、各々が自身の力を活かしたチームワークが展開されていた。

 

(皆優秀だな、各々がお互いを邪魔することなく自身の役割をしっかり果たしている。強い信頼関係がないとできない動きだ)

 レイリーはその光景に感心していた。

 

 1人1人が実力者揃い、さらに連携も取れているアビドス生徒たちに対して、数が多くとも所詮はならず者の集まりのヘルメット団。そして唯一の勝ち筋であった物資枯渇による戦闘不能もシャーレによって潰された。勝敗は火を見るより明らかだった。

 

「クソッ! おかしいだろ! 奴らはもう物資が枯渇寸前だって聞いたのに!!」

 

「もう半分以上やられたぞ! どうするんだ!?」

 

 ボロボロのヘルメット団に対して、ほぼ無傷のアビドス。その理由は前衛のホシノのガードによる影響が大きかった。

 

(あの子……メンバーの中でも特に手練れだな。それに動きの癖、見聞色で感じ取れる気配からして元は防御中心ではなく攻撃メインの筈。専門外の分野でここまでとは……)

 

「てっ、撤退ー!! 覚えてろよお前ら〜!!」

 

 ヘルメット団のリーダー格と思わしき人物が他メンバーと共に両手を上げて泣き出しながらアビドス高校に背を向けて逃げ出していく。

 

『ヘルメット団残党、郊外へ撤退していきます!』

 

 勝利を祝うアヤネの明るい声が全員の耳に響き渡る。

 

「わあっ! 私たちの大勝利です⭐︎」

 

「あははっ! どうよ! 思い知ったかヘルメット団め!」

 

「いやはや、見事だったよ。皆んないい仲間を持ったな……!」

 

「ふん、このくらい当然よ! ていうか! なんであんたも外に出てきてるのよ! 巻き込まれたらどうするの!」

 

 セリカが掴み掛かるかのような距離感でレイリーに詰め寄る。

 

「なぁに、君たちのような強者を相手にしている最中にわざわざ突っ立ってるジジイ1人を狙うなんていうバカな真似をするような奴はいないだろうからな。わはははははは!」

 

「流れ弾を喰らう可能性もあるでしょ!」

 

「そうですよ〜、安全第一です⭐︎!」

 

 セリカのツンとした心配の声にノノミののびっとした気遣いの声が加わる。

 

「心配無用だ。私も君達と一緒で銃弾くらいなら平気だからな」

 

 レイリーは2人の肩をトントンと叩きながら落ち着かせるようにそう言った。

 

 

「いやぁ〜しかしまさか勝っちゃうなんてね〜。ヘルメット団の連中もかなり気合を入れてきたみたいだけど」

 

『まさか勝っちゃうなんて、じゃありませんよ、ホシノ先輩……。勝たないとここが不良のアジトにされちゃうじゃないですか』

 

「やっぱり弾数に制限がないと戦いやすさが全然違う。それに先生も…………囮として気を逸らしてくれてた」

 

「いや、そこまで無理に擁護しなくてもいいぞ……」

 

 捻り出されたような擁護に思わずレイリーは複雑な表情をしてしまう。

 

『と、とりあえず皆さんお疲れ様です! 教室に戻りましょう!』

 

 

 

 

 

 アヤネの声を合図にレイリーたちはアビドスの対策委員会の教室へ戻った。そして現在、シャーレ経由で届けられた物資を整理中であった。

 

「こ、これ全部使っていいんですか……!?」

 

「うむ、戦闘物資の支援などは基本経費で落ちるからな。誰かの金というのはとことん使い切るのが定石だ」

 

「……今すごい最低なこと言わなかった?」

 

「ん! これが大人の思考……! すごい」

 

「ちょっとちょっと〜! シロコちゃんに変なこと教えちゃダメだよー。こんな悪いパパだとママは安心して眠れないよぉ〜」

 

「悪いパパってそれ別の意味に聞こえるから!! てか先生は見た目からして普通おじいちゃんでしょ!」

 

「うへ〜じゃあおじさんはおばあちゃんかなぁ〜」

 

「無理に合わせなくていいでしょ……それにおじさんなのかおばあちゃんなのかはっきりして!」

 

「フフフ、愉快な仲間たちだな」

 

「あはは……そうですね。さて、レイリー先生には私たちについて紹介しておきます」

 

 アヤネがホワイトボードのそばに立ち、メンバーを席へと誘導する。

 

「私たちはアビドス対策委員会です。私は書記とオペレーターを担当している一年の奥村アヤネです。そしてこちらは同じく一年のセリカ」

 

「どうも」

 

 セリカは少しツンとした感じに挨拶する。

 

「2年のノノミ先輩とシロコ先輩」

 

「よろしくお願いします、先生〜♡」

 

「ん、ちなみにこの中で一番最初に先生と出会ったのが私。……あ、別にマウントとってるわけじゃない」

 

「そしてこちらが委員長、3年の小鳥遊ホシノ先輩です」

 

「いやぁ〜よろしくー先生」

 

 のんびりとしたホシノの挨拶でメンバー紹介が終了する。

 

「シルバーズ・レイリーだ。改めてよろしくな」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。対策委員会とは、このアビドスの復興を目指して有志が集まった部活です」

 

「ほぉ……」

 

(ここに来る道中で遭難して街を3日ほど彷徨いたが、どこも空き家だらけだったり、建物の多くがひび割れていた。おそらくこのアビドスという場所自体、既に危機的状況なのだろう。それでもめげずに立ち向かう若い意志がここに5人もいる! フッ……やはり長生きというのはするべきものなのかもしれんな……!)

 

「うんうん! 全校生徒で構成される、校内唯一の部活なのです! 全校生徒といっても、私たち五人だけなんですけどね」

 

「いいや、5人“も”だ。とても頼もしいよ。これは酒が美味くなるな。わはははは!!」

 

 そう言いながら小さなアルミの水筒をズボンのポケットから取り出して酒を飲み始めるレイリー。『酒』その単語に対策委員会の生徒たちはポカーンと硬直する。

 

 

 

「ちょっと待って!! あんたまさかお酒飲んでるの!?!?」

 

 硬直を打ち破り最初に声を出したのはセリカだった。

 

「ん? そうだが?」

 

「そうだが? じゃないわよ!! なに真昼間から、しかも学校で思いっきり飲酒してんのよ!」

 

「わしは酒とギャンブルと若い娘さんが大好きでねェ……」

 

「わ、わあ……一人称が変わった上にダメな大人の三拍子が揃っちゃいました⭐︎」

 

「こ、これが大人の思考…………!!」

 

「シロコちゃんステイステイ。若い娘好きのレイリー先生に狙われちゃうよー!」

 

 ホシノはレイリーの若い娘好き発言を強調するかのようにわざとらしく言う。

 

「れ、レイリー先生…………」

 

「あぁ、安心してくれ、君たちの金に手をつけることは決してしないからな!」

 

「あったりまえじゃない!!」

 

「と、とにかくレイリー先生については後でたっぷり問わせていただくとして……今はカタカタヘルメット団について考えないとです!」

 

「うむ、軌道修正ご苦労。話が本題へ入れていなかったからな」

 

「「「「「先生のせい(よ!)(です!)(です⭐︎)(だよ〜)」」」」」

 

(仲が良くて何よりだ)

 

 全員に一斉に突っ込まれるが特に気にする様子もなくレイリーは微笑む。

 

「さてさて、ヘルメット団についてだったよね? それなら私から一つ考えがあるんだー」

 

「えっ!? ホシノ先輩が……!?」

 

「うそっ…………!?」

 

「いやぁ〜うへへ、その反応はいくら私でもちょ〜っと傷ついちゃうなあ。おじさんもやる時はやるのさ〜」

 

「……で、どんな計画?」

 

「ヘルメット団は数日後にまたここを攻撃してくるはず、そういうサイクルが何回も続いてるからねー。だから今度はこっちから仕掛けて、奴らの前哨基地を襲撃しちゃおうかなって今こそ連中が一番消耗してるタイミングだろうし」

 

「い、今からですか?」

 

「そう。ちょうど物資も補給し終えたし、もう面倒なこと気にしなくていいからさ」

 

「なるほど。ヘルメット団の前哨基地はここから30kmくらいだし、今から出発しよっか」

 

「いいと思います。あちらもまさか今から反撃されるなんて、夢にも思っていないでしょうし」

 

「私も賛成だ。無論、同行するよ」

 

「……本当に大丈夫なの?」

 

「そこまで信用が無いと流石にショックだな……。まあ、たまには先生らしいこともせんとな」

 

「よっしゃ、それじゃあいっちょやっちゃいますかー」

 

「善は急げってことだね」

 

「はい〜それでは、しゅっぱーつ!」

 

 

 

 


 

 

 

 

『ヘルメット団の前哨基地があるとされる場所に到着しました! ……半径15km以内に敵シグナルを多数検知! 恐らく敵もこちらが来たことに気付いているでしょう。ここからは実力行使です!』

 

 

 

 

 

 再び行われるアビドス生徒と、ヘルメット団の銃撃戦。しかし今回はアビドスがヘルメット団側を攻める。完全に攻守が逆転したのだ。攻撃に回ってもアビドス側の連携プレイは遺憾無く発揮された。

 

(やはり優秀だ。……だが、まだ足りないものがあるな)

 

 レイリーは足を踏み込み、地面を蹴り風が裂けるような速度で移動する。

 

「セリカ、シロコとの距離の間隔は素晴らしい。だがシロコとの位置をもう少しだけ横に合わせてあげなさい。今の状態だとシロコが前に出過ぎた状態になっていて射撃が彼女に集中してしまう」

 

 レイリーが移動した先はセリカの元だった。

 

「え、え!? なんで居るの!? ていうか巻き込まれるわよ!?」

 

「大丈夫だ。()()()()()()()()()

 

 レイリーの宣言通り、数発の弾がレイリーに向かっていくかのように見えたが、どれも命中することはなく全て外れる。

 

「うそ……分かってたの?」

 

「まぁな。さて次はシロコ君だな!」

 

 瞬間移動かのようなスピードでシロコの横に立つ。

 

「シロコ、セリカがある程度位置を合わせてくれる。だが前の出過ぎは禁物だ。いくら2人に攻撃が分散されるといえども、近づけば近づくほど攻撃の密度は上がり、痛くなる。大丈夫だ、前衛には頼れるホシノ君がいるからね」

 

「ん、了解先生」

 

 レイリーのアドバイス通りに少し下がり、それに合わせてセリカも位置を合わせる。

 

「………………本当だ。すごい戦いやすい」

 

「さて、次は…………ノノミ。君の弾幕は来ると分かっていても十分過ぎるくらいの脅威だ。だから撃つ時は味方を巻き込むことのないよう、大きな声で宣言してしまいなさい」

 

「分かりました! いきますよ〜⭐︎!」

 

 ノノミの宣言を聞いたアビドス生は一斉に開くようにバラける。そしてノノミの放ったガトリングの弾幕はヘルメット団に直撃する。

 

「うわあああ!」 

 

「クソ! 範囲が広過ぎる、どう避ければいいんだ!!」

 

「わーい! 上手く決まりました!」

 

「うむ、素晴らしい。そしてアヤネ、聞こえるかな?」

 

『は、はい! レイリー先生!』

 

「君のドローンによる支援物資の投下にはみんなとても助けられている。見事だ。だが、投下のタイミングは弾の装填中等のみんなが止まってる最中にそばに投下してあげなさい。特にホシノは盾でみんなを守る都合上止まることが多い。投下の機会は多いはずだ」

 

『わかりました……! やってみます!』

 

 ホシノが盾を地面に突き刺し、弾を装填し始めたタイミングで回復薬がそばに投下される。

 

「お、助かるよアヤネちゃん。ありがとねー」

 

『…………すごい』

 

「そして最後にホシノ、君は……現状言うことなしだ! 皆を守るだけでなく散弾銃での強力な攻撃。とても素晴らしい、後輩を守るために磨き上げられた力を存分に誇りなさい」

 

「うへへぇ〜おじさん100点貰っちゃったかなー?」

 

「うむ、実に立派だ。……さてと、そろそろ終わりのようだな。やれやれ私はくっちゃべってるだけで出番が終わってしまったな。ワッハッハッハッ!」

 

「ん、これで終わり」

 

 シロコがドローンを飛ばし、そのドローンから放たれた数々のミサイルがヘルメット団に襲いかかる。

 

 

「「「「「うわああああー!!!」」」」」

 

 シロコの攻撃によりメルメット団は沈黙。アビドスは輝かしい勝利を収めるのだった。

 

『ヘルメット団全滅、並びに敵の補給物資倉庫、弾薬庫の破壊を確認!』

 

「みんなよく頑張ってくれた。素晴らしかったよ」

 

「先生のおかげですー! アドバイスに従ったらとっても戦いやすくなりました!」

 

「それに、先生。あの中を移動してて一発も喰らってる様子がなかった。まるで弾の来ない位置が分かってるみたい」

 

「ダメなパパかと思ったら、頼もしいおじいちゃんだったんだねぇ」

 

「よし、それじゃあみんなで学校は戻るとしよう。アヤネ君が待っているぞ」

 

 

 

 


 

 

 

 

 ヘルメット団の前哨基地から教室へ無事に帰還したレイリーたち。それを教室でオペレーターをしていたアヤネが笑顔で出迎えた。

 

「おかえりなさい。皆さん、お疲れ様でした」

 

「ただいま〜」

 

 ホシノがあくびをしながら教室へ入り椅子に座って机にだらんと突っ伏せる。

 

「アヤネちゃんも、オペレーターお疲れ」

 

「火急の事案だったヘルメット団の件が片付きましたね。これで一息つけそうです」

 

「そうだね。これでやっと重要な問題に集中できる」

 

「うん! 先生のおかげね! これで心置きなく借金の返済に全力で取り掛かれるわ! ありがとう先生! この恩は一生忘れないから!!」

 

「……ん? 借金だと?」

 

「……あ、あわわっ!」

 

 口を滑らせた。そんな所だろう。セリカが慌てふためき始める。

 

「そ、それは……」

 

「まってアヤネちゃん! それ以上は!」

 

 事情を説明しようとしたアヤネにセリカがストップをかける。

 

「いいんじゃないセリカちゃん。隠すようなことじゃあるまいし」

 

「か、かといって、わざわざ話すようなことでもないでしょ!」

 

「別に罪を犯したわけでもないし、それに先生は私たちを助けてくれて、アドバイスもくれた大人でしょー?」

 

「ホシノ先輩の言う通りだよ。セリカ、先生のことは信頼していいと思う」

 

「そ、そりゃそうだけど! 先生だって結局は部外者だし! それに昼間からお酒飲んでるギャンブル好きの大人を本当に信頼していいの!?」

 

「……………………」グサグサ! 

 

 真っ当な高校一年生の指摘がレイリーの心を密かに突き刺す。……まあ例えどんなことがあっても彼は酒もギャンブルも女遊びもやめることはないのだが……。

 

「確かに先生がパパッと解決してくれるような問題じゃないかもしれないけどさ、こんな問題に耳を傾けてくれるのは先生しかいないじゃーん? 悩みを打ち明けてみたら、何か解決策が見つかるかもよー?」

 

「う、ううっ……それでもっ、さっき来たばかりの大人でしょ! 今まで大人たちがこの学校がどうなるかなんて気に留めたことなんてあった!? この学校の問題はずっと私たちだけでどうにかしてきたじゃん! なのに今更大人が首を突っ込んでくるなんて…………」

 

「私は認めないっ!!」

 

「セリカちゃん!?」

 

 セリカは1人、教室を出て走り去ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





途中まで書き溜めておいてあったので2日で更新出来ました。ただ次回の投稿は4日以上かかる可能性が高いです………申し訳ありません。

これは個人的な解釈ですが、レイリーは褒めて伸ばすタイプだと思っています。スパルタな面もありつつ、基本的に褒めてから問題点を挙げる。そんな感じだと勝手に確信しています。

皆様いつもありがとうございます。もしよろしければ感想いただけると超幸いです。
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