冥王 レイリー先生。シャーレに立つ!! 作:なにやってんだおまえぇ!
なんかお気に入り100いったんすけど……い、いいんですか?
皆様本当にありがとうございます。
ちなみに独自展開タグがありますが、大きく変えるつもりなのはアビドス終盤あたりです。それまでは基本的に原作に沿います。よろしくお願いします
「何者?」
「うん。私さ、初めて見るんだよねー。レイリー先生くらい強い人。ゲヘナやトリニティ、ミレニアムにもすごく強い子がいるって噂は耳にするけど、こうして生で見るのは初めてだよ。それに先生、まだ本気出して無いでしょ。まあそもそもお姫様抱っこしながら本気なんて出せるわけないけどねー」
にへらと笑顔を見せるホシノ。しかしその笑顔は貼り付けられたものであり、彼女の目の奥にはしっかりと目の前の男を見定める鋭さを持っていた。
「セリカちゃんを助けてくれたことは本当に感謝してる。ありがとう。でもさ、正直おじさんわかんないんだよねー、そんなに強くて、なんで私たちに力を貸すの? 何にも気にせず気ままに生きた方がよくない?」
「1人で何も気にせずに暴れた所で、退屈なだけだ。そして、自身が何者なのか。それは私にも分からない。なにせここへ来てまだ日が浅いのでな。時代、環境、行動、立場。その一瞬一瞬で人の存在とは如何様にも変わる。ただ、一つ言えることは、私は助けたいという自分の意思に従って助けた。それだけのことだ」
海賊王の右腕、コーティング屋、ルフィの師匠、そして現在はキヴォトスの先生。彼は今既に4つの異なる姿を持っている。絶対的な姿を持っている人間というのは少数なのだ。だが、たとえそうであっても彼が人情に熱い人物であることに変わりはない。
「……うへぇ、曖昧な答えだね」
ホシノは脱力しているようだが、それでも銃を懐にしまうことない。その気になればいつでも銃を向けて発砲できる状態にしている。
「私が思うに、それが人間というものだ。戸惑いこそ人生なのだよ。ホシノ君」
「うーん、そういうものなのかな〜?」
「君も色んなものを見て、色んなことを考えなさい。君の目には、それができる光がある」
「…………ありがと、先生」
「礼はいらんよ。さて! いつまでもセリカ君を抱えている訳にはいかんね。ベッドで寝かせてあげなければ」
「そうだねぇ〜、そいじゃ保健室に運んじゃいましょかー」
セリカを保健室のベッドまで運び、ホシノが家に帰る様子を見送った後、セリカの容態を見守るためにレイリーは今日のところはアビドス校舎で寝泊まりすることにした。
「うゔん……」
朝日に照らされてレイリーは目を覚ます。目を開けた先にはベッドで半身を起こしているセリカがいた。
「おぉ、起きていたかセリカ。怪我はもう大丈夫かね?」
「う、うん。1日休んだから……」
「それはよかった。みんな心配していたからね」
「そっか……ね、ねえ先生! その……一応、改めていっとく、あ……ありがと」
「…………な、なによその表情!」
「いやぁー歳で耳が遠くなったかね、よく聞こえなかったからもう一回言ってくれ」
「こ、こんのっ……!」
「おっと危ない。フフ、礼はいらんさ。君のようなかわいいお嬢さんを助けるのが私の役目だ」
「ば、ばばばばばばっかじゃないの!?」
セリカの顔が照れてみるみるうちに真っ赤になっていく。
「元気そうで何よりだ。さて、もう8時か。そろそろみんな来始める頃合いだろう。教室で待つとしようか」
「うん! もちろんよ!」
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「おはよぉセリカちゃんに先生、元気そうでなによりだ〜」
「ん、おはよう先生。それとセリカ、よかった」
「怪我ももう大丈夫そうですねー!⭐︎」
「心配したんだから……! もうっ……!」
「アヤネちゃん……みんな、ありがとう!」
「セリカちゃんが元気なのも確認できましたし、皆さんにお伝えして起きたいことがあるんです!」
「話したいこと?」
「はい、先日帰る前にレイリー先生が破壊した戦車について調べたところ、キヴォトスでは違法とされている部品を使った改造戦車だったということが判明しました」
「そうなのか? あの戦車とよく似たものを一度見かけたことがあるのだが……*1確かユウカ君がカイザーから流れ着いたものだのなんだのと言っていた気が……」
「ユウカっていう人は知らないけど。先生、今カイザーって……」
「ん? 何か因縁が?」
「因縁もなにも、私たちが借金してる場所だよー。そのカイザーって企業」
「それはまた……なんという偶然だ」
「カイザー……軍事にまで手を伸ばしていたんですね……」
「ちょっと待って!! ってことは、カイザーがヘルメット団に戦車を提供してたってこと!?」
「落ち着いてセリカちゃん、戦車っていうのは類似品も多いから、見た目だけで判断するのはまだ早いと思うよ……」
「でも、可能性は十分にある」
(もしカイザーという企業が黒ならば、何も考えずに叩き潰せるのだから、そうであってくれた方が私としてはありがたいのだがな……向こうが何かボロを出してくれるといいのだが……)
オフィスの一室で大柄の機械仕掛けの男の声が通る。
「また失敗か……主力戦車まで投入してやったというのに、君たちは私を失望させることに関してはよく働くな」
『う、うるさい! そもそもそっちの情報が間違ってたんだ! 標的はアビドスの筈だろ!? それなのに、わけわかんないジジイが突然現れて戦車を蹴ってぶっ壊したんだ! トラックだって破壊されたよ!』
「なんだと? 嘘をつくにしてももう少しマシな嘘をついたらどうかね?」
『ウソだと思うなら見て来いや! 全部スクラップだ!』
「チッ……! もういい」
少し乱暴に受話器が置かれる。
わけわかんないジジイと言っていたな……そういえば、最近噂を耳にしたシャーレのシルバーズ・レイリーという名の先生とやらは老人の姿をしているという情報があったな。そうなると同一人物と見てよいか……余計なことを。
「おい、偵察兵」
「はっ、いかが致しますか。理事」
「破壊されたという戦車を見て来い、写真も撮れ」
「了解しました。すぐに出発します」
1人の兵士がオフィスから出て砂漠へと向かって行く。
寄せ集めのチンピラ集団では役にたたんか、それならプロに依頼するまでだ。
大柄の機械仕掛けの男、カイザーPMCの理事は再び受話器を手に取り電話を掛ける。
『はい、便利屋68です』
「便利屋諸君に仕事を頼みたい。内容はまず手始めにカタカタヘルメット団の残党処理、次にアビドス高校の占拠。最後にシャーレのシルバーズ・レイリーの拿捕だ。ヘルメット団の処理が終わったら一度連絡しろ。報酬を渡す。アビドス高校の占拠用への資金にでも娯楽にでもなんにでも使え。そして依頼を完全に達成したら更なる追加報酬をくれてやろう」
『了解しました。全てこの便利屋68にお任せください』
『うーんこれかなー?』
『そ、それじゃねーぞー? じょ、ジョーカーはもう一枚の方だ!』
『いーやこれだねー!』
『うわー負けたー! なんでだー!?』
『クフフッ相変わらず嘘下手だねー、そんなんじゃ一生ババ抜き勝てないよー』
『ちょっと! 今依頼人と話してるのよ! もう少し静かにしてちょうだい!』
『ごめんごめーん』
『わりぃわりぃ。もう仕事行っちまうのか?』
『ええ、これから出発するわ』
『そっか、じゃおれ帰る。そんじゃーな!』
『バイバーイ⭐︎また遊ぼうねん』
『……こほん! 失礼しました。ご安心下さい、すぐにカタカタヘルメット団壊滅の報をお届け致しましょう』
ヘルメット団のアジト。そこに何人ものヘルメット団が地面へと倒れ伏している。現在彼女らは、突如として何者かからの襲撃を受けていたのだ
「ハァ、ハァ、くそっ! なんでこんな目に! ……ッ! うわあああ!」
ヘルメット団に銃弾が襲いかかる。既にアビドスの生徒たちとの戦闘でボロボロの状態でそれを受け止めれる筈もなく、呆気なく全滅してしまった。
『あー、あー、こっちは終わったよ』
『こっちも任務完了だよ、ボス』
「お、お前ら……アビドスの生徒か……?」
「ウッフフフ……寂れた場所ね、こんな場所があなたたちのアジトだなんて……。いいわ、私があなたたちを労働から解放してあげる」
「な、なんだと……!?」
「要するにクビってことよ。ここから先はアビドスの件は私たちが受け持つわ」
「ふ、ふざけるな! どこの馬の骨かも分からないようなやつらに……グハッ!」
言葉を言い切る前に銃弾によって口が塞がれる。
「知らないのなら覚えておくといいわ、私たちは便利屋68。金さえもらえればなんでもする…………」
ワインレッドのコートをマントのようにひらりと浮かせながらヘルメット団に対してポーズをとって背を向ける。
「────なんでも屋よ」
赤色がよく目立つ少女、陸八魔アルは不敵な笑みを浮べる。しかしその笑みの裏には……
(決まったわぁっ! 今の最高にかっこよかったはずよ! あぁどうしましょ、誰かに動画撮って貰えばよかったわー!!)
「ア、アル様……! 素敵です!」
(クフフッ、多分アルちゃん今すっごい喜んでるんだろうなー)
クールぶる彼女だが、ポーズとっている彼女の手をよく見てみると、成功した感動のあまりプルプルと震えていることが分かる。
「社長……とりあえず、依頼人に完了したって報告入れて、一旦報酬貰っちゃうよ」
「……ええ、今やろうとしたところよ、カヨコ課長」
(絶対決めポーズとるのに夢中になってたでしょ……)
「ハァ……社長。本番はこれからなんだから、しっかりしてよ」
「わかってるわ、でもアビドス高校は生徒さんの数も少ないらしいし、そこまで心配する必要もないと思うわよ?」
「……依頼主が言ってたでしょ、シャーレの先生を拿捕しろって」
「それもわかってるわ。でもシャーレの先生って確かご年配の方なんでしょ? そのくらいSNSで少し調べたわ!」
「…………ハァ」
カヨコはそれで本当に調べたといえるのかとでも言うようにため息をつく
「クフフ、アルちゃんSNS見たのに知らないんだ? あんなに話題になってたのに」
「え? え? な、なによ?」
「その先生、素手で戦車を破壊したって話題になってるよ」
戦車破壊。その言葉に頭が真っ白になって硬直する。彼女の体がワナワナと震え始める。それは先程までの喜びによって起きているものではない。
「へ? せ、戦車を……素手で?」
「ほら、散々写真出回ってるし、……ほんとに見たことなかったの?」
カヨコのスマホに映し出された写真はサンクトゥムタワー奪還の際に破壊された戦車の写真だった。あの時に破壊された戦車が処理されるまでしばらく放置されていたため、その間に何人かの生徒が訪れて写真を撮って投稿したのが、キヴォトス中に出回っていたのだ。
(なによこれ!?!? 大穴空いてるじゃない!! これ素手でできるものなの!? こんなのミサイルでも使わない限り不可能じゃないの!?)
「あぁあと、追加で今回の依頼主から送られてきた画像」
カヨコがさらにスマホで写真を見せる。そこには真っ二つに両断されたトラック、そしてグシャグシャにへこまされて黒焦げになった戦車だったものが写っていた。
「な、なななな…………」
「なんですってー!!??」
「いつ見てもやばいよねーこれ。ゲヘナの風紀委員長でもここまではできないんじゃない?」
「わ、私たち……風紀委員長以上かもしれない人と戦わないといけないってこと?」
「だ、大丈夫ですアル様! いざとなったら私が自爆特攻でもなんでも……!」
「ハルカちゃん流石にそれはダメだよ、通じるかどうかわかんないし」
「…………ってやろうじゃない」
「社長?」
「やってやろうじゃない!! シャーレの先生が何よ! おじいちゃんの1人くらい私1人でどうにかしてみせるわ!!」
「おぉーアルちゃんかっこいいー!」
「……まあ、依頼主側もこのまま成功したら追加で報酬くれるって言ってたしね。やるしかないか」
「そうよ! 終わったらすき焼きでもなんでも贅沢なもの食べてパーッとド派手にお祝いするのよ!!」
「すき焼き……! そんな贅沢な食べ物いただいていいんでしょうか……!?」
「ええいいのよ! みんなで祝うのよ!」
アルは励ますようにガシッとハルカの両肩を掴む。
「あ、ありがとうございます。ありがとうございます」
「とりあえず、傭兵でも雇う? 依頼主もかなりの報酬くれるみたいだし、それと……
「おぉー確かにあの子すごい強いもんね、勝てる可能性グンと上がるよ」
「……いいえダメよ。あの子はあくまで友達、こんな時に頼るなんて情けないし、そもそも、なんの罪もない学校を襲撃するなんて彼は絶対に拒否するだろうから」
「確かにあの子は報酬で動くような人じゃないからね」
「それもそうだね。じゃあ、私たちでやるしかないか……」
「ええ、私たちならきっとどうにかなるわ! さあいくわよ便利屋68!! 輝かしい未来のために!!!」
「「「おー」」」
彼女らは一致団結した様子でアビドスを占拠する作戦を立てるためにアジトへ戻るのだった。
そして作戦立案の際に陸八魔アルがビビリまくって渡された報酬のほとんどを傭兵と爆弾等の武器に消費したのは言うまでもない。
いつもより短めですが、キリがいいのと早めに仕上げられたので投稿してしまいました。
感想のほど心待ちにしております。皆様今回も閲覧していただきありがとうございました。