冥王 レイリー先生。シャーレに立つ!!   作:なにやってんだおまえぇ!

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あ、ありのまま!今起こったことを話すぜ……!!俺はお気に入りの人数が100を超えたことを喜んでいた!だが学校が終わった後にふとハーメルンをみたらお気に入り人数が140を越えていた!!しかも10と8評価まで付いていた!! 挙げ句の果てに瞬間的に日間15位、ルーキー29位になっていた!!何を言ってるかわからねえと思うが、俺もわからねえ………

………めちゃくちゃ派手に喜びました。本当にありがとうございます。強欲になってしまいますがご感想もいただけると私の口角が目の高さまで上がります。




第七話 アウトローたちと超アウトローのおじいちゃん

 

「それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます」

 

 アヤネの一声によって開始された定例会議、ヘルメット団の襲撃が落ち着いたため、十分に時間をとって行うことが可能となった。

 

「本日はレイリー先生にもお越しいただいたので、いつもより真面目な議論ができると思います……」

 

「なによ……いつもが不真面目みたいじゃない…………」

 

「うへぇーよろしくね先生」

 

「あぁ、よろしくな」

 

「早速議題に入ります。今回の議題は私たちを取り囲む問題のメインとなるもの、学校の借金をどうやって返済するかについて、具体的な方法を議論します。意見がある方は挙手をお願いします」

 

「はい! はい!」

 

 セリカが勢いよく手を挙げる。

 

「はい、一年の黒見さん。お願いします」

 

「……あのさ、まず名字で呼ぶのやめない? すごいぎこちないんだけど…………」

 

「え、えぇ? でも、せっかくの会議だし……」

 

「いいんじゃなーい? おカタ〜い感じで、今日は先生もいるんだしね」

 

「いつもと趣向を変えてみると、一段と頭回るかもしれんぞ。まあ、逆も然りだが……」

 

「ん、こんな感じでやるの初めて」

 

「ですね! なんだか委員会っぽくてイイと思いま〜す⭐︎」

 

「まぁ……先輩たちもそういうなら……。とにかく! 対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況は破産の寸前としか言いようがないわっ! このままじゃ廃校よ! みんなわかってるわよね?」

 

「うん、まあねー」

 

 ヘルメット団の襲撃がなくなったとはいえ、9億を超えた借金がある現状は変わらない。そもそもヘルメット団の襲撃があった今の今までがおかしかったのだ。

 

「毎月の返済額は利息だけで788万円! 私たちも頑張って返してはいるけど、正直利息の返済も追いつかない! アルバイトや賞金首を狩るとか、ボランティアじゃ限界がある。もっとこう、でっかく一発狙うべきよ!」

 

「ふむ、分かってきたねセリカ君。それじゃあ早速ギャンブル場に……」

 

「うへぇーダメだよ先生? セリカちゃんを闇の世界に引き摺り込んじゃ。それに先生にギャンブルやらせたら多分借金が倍以上になっちゃうよ」

 

「……………………そこまで弱くはないさ」

 

「強いとはいわないんだねー」

 

「………………」

 

「レイリー先生……ギャンブルは絶対に無しですよ? それにセリカちゃんも」

 

「いや私がやるわけないでしょ!? ……は、話を戻すわよ! それで、街でこんなチラシを貰ったの!」

 

「ん? どれどれ……」

 

 レイリーたちはセリカが見せたチラシに向けて顔を寄せる。そしてそのチラシに書かれていた内容は……

 

 


 

ゲルマニウム麦飯石ブレスレット! これであなたも一攫千金! 

 

 

付けてるだけで運気アップ!? これであなたもラッキー人間に!! 

 

 

あなたのお友達にもどんどん紹介しちゃおう!! 

 


 

 

 というものだった。

 

(こ、これは……ギャンブルよりも酷いものなんじゃないか?)

 

「どお!? これでドカンとデッカく稼ごうよ! セミナーにも連れて行って貰ったわ! 付けてるだけで運気が上がるブレスレットを売ってるんだって! そしてこれをみんなに売れば…………な、なに? みんなどうしたの?」

 

 全員しばらく無言になる。その内には自身の仲間を騙した名も知らぬ連中に対する怒りの割合も少なくない程度には含まれていた。

 

「却下ー」

 

「えぇっ!? なんで?? どうして!?」

 

「セリカちゃん……それ、マルチ商法だから……」

 

「ん、儲かるわけない」

 

「はっきり言ってギャンブルのほうがまだ利益が上がる可能性が高いくらいだな」

 

「そもそもゲルマニウム麦飯石がどんなのかわかんないし、運気になんて関係するわけがないんだからマトモなビジネスな訳ないよ……」

 

「そ、そんなぁ……私2個も買っちゃったのに……」

 

「セリカちゃん、騙されちゃったんですね。かわいいです⭐︎」

 

「まったく、セリカちゃんは世間知らずだねー。気をつけないと、悪い大人に騙されて人生取り返しつかないことになっちゃうかもよー?」

 

 ホシノはジト目をレイリーに向けながらそう言った。おそらく冗談だとしてもセリカをギャンブルに誘ったことが響いているのだろう。これには堪らずレイリーも目を逸らす。

 

(そんな目で見ないでくれホシノ……。とりあえず、このチラシの主は後でアロナに場所を調べてもらって潰すとしよう)

 

「うぅっ……せっかくお金貯めて買ったのに…………」

 

「大丈夫ですよセリカちゃん。お昼、一緒に食べましょう? 私がご馳走しますから」

 

「ぐすっ……ノノミせんぱぁい」

 

 泣きっ面のセリカをノノミがあやすように慰める。

 

「あはは……えっと、セリカちゃんの意見はこれくらいにして、次の意見がある人」

 

「はい! はい!」

 

「えっと……はい、3年の小鳥遊委員長。ちょっと嫌な予感がしますが……」

 

「うむうむえっへん! 我が校の一番の問題は、全校生徒がここにいる数人だけってことなんだよねー。生徒の数イコール学校の力。トリニティやゲヘナみたいに、生徒数を桁違いに増せれば、毎月のお金だけでもかなり増えるはずー」

 

(なるほど……入学金や授業料等でか、それに労働やボランティアの分もさらに上乗せされるとなるとかなりのものだな。いい着眼点だ)

 

「え、えっと。そうなんですか?」

 

「そうだよー! だからまずは生徒の数を増やさないとねー、まずはそこからかなー。そうすれば議員も選出できるし、連邦生徒会での発言権も得られるしね」

 

 実際、ホシノの言っていることはかなり合理的であった。資金源が増えるだけでなく、それが継続的に供給される上に学校自体の力も大きくなる。まさに至れり尽くせりである。……だが、問題はどうやって生徒の数を増やすのかだ。

 

「鋭いご指摘ですが……一体どうやって」

 

「簡単だよー他校のスクールバスを拉致ればオッケー!」

 

「はい!?」

 

「登校中のスクールバスをジャックして、うちの学校への転入学書類にハンコを押さないとバスから降りられないようにするのー。うへーこれで生徒数爆増間違いなーし」

 

「それ、興味深いね。ターゲットはトリニティ? それともゲヘナ? ミレニアム? ……狙いを何処にするかによって戦略を変える必要があるかも」

 

「うーんそうだなー、お隣のゲヘナにしよーっと!」

 

「待てホシノにシロコ。無闇にカタギに手を出すのは容認できんな」

 

「うへー、やっぱだめかー」

 

「れ、レイリー先生……」

 

 アヤネが安堵したのも束の間……

 

「それならヘルメット団にケジメを付けさせる兼、更生を目的として拉致してアビドスに入学させるべきだ。これなら他校と対立することもない」

 

「レイリー先生!? ダメですよ!?!? まず誰であろうと無理やり入学させるのもダメですしヘルメット団を無理やりアビドス高校に入れたら何をしでかすか分かりません!!」

 

「むっ? ……そうか」

 

 アヤネは今気づいた。レイリー先生は止めてくれる側の人間ではないのかもしれないと。

 

 ムハハハハ! 油断したなぁ! シルバーズ・レイリーとはこういう先生だ!! *1

 

「それなら、いい方法がある」

 

「……はい、2年の砂狼シロコさん」

 

「銀行を襲うの」

 

「はいいっ!?」

 

「確実方簡単な方法。ターゲットも選定済み。市街地にある第一中央銀行。金庫の位置、警備員の動線、現金輸送車の走行ルートは事前に把握しておいたから」

 

 シロコはそういいながらドヤ顔で自作の銀行強盗マニュアルを披露する。

 

「さっきから一生懸命見てたのはそれですかっ!?」

 

「5分で1億は稼げる。覆面も用意しておいた」

 

 マニュアルに続けてシロコ自作の覆面もみんなに見せる。

 

「うわー、これシロコちゃんの手作り?」

 

「すごいですーレスラーみたいです!」

 

「ん、ごめん。先生の分はない。でも先生なら大丈夫、今すぐやろう」

 

「無闇にカタギに手を出すなと言っていっているだろう馬鹿者!!」

 

 レイリーはシロコにデコピンを放つ。当然武装色付きである。

 

「ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"!!」

 

 シロコはデコを抑えてのたうち回る。

 

「全く……いやしかし、このマニュアルよくできているな、とても分かりやすい。このまま処分は勿体無い。よし、少し改訂して暴力組織等を襲撃して財産を奪うマニュアルとして流用しよう」

 

「おぉーいいねぇ、人生一発で決めないと。ねぇ、セリカちゃん?」

 

「う、うーん……まあ悪人相手ならセーフ……なのかな?」

 

「ダメですよ!! 一旦物騒なことから離れて下さい! というかレイリー先生も悪人相手なら何してもいいかのようにしないでください!」

 

「う、うむ……」

 

 このレイリーとかいう男。そもそもがギャンブルの資金が尽きたという理由で自ら身売りし。

奴隷を買いにきている時点で碌な奴ではないにしろ

そういった金持ちの市民たちから金を盗んでギャンブルへの資金の足しにしているような奴である。そう、カタギに手を出すなと言っている割にはかなりのグレーゾーン通っているジジイだ。

 

「はあ……みなさんもうちょっとまともな提案をしていただかないと……」

 

「あのー! はい! 次は私が!」

 

「はい……2年の十六夜ノノミさん。犯罪と詐欺と暴力は抜きでお願いします……」

 

「はい! 犯罪でもマルチでもなく、そして暴力とは無縁のとってもクリーンかつ確実な方法があります! それはアイドルです! スクールアイドルです⭐︎!」

 

「あ、アイドル!?」

 

「アイドルとはなんだ?」

 

(ルフィの仲間がやっていたソウルキング……いやあれはスターか)

 

「ご存じないんですかー? 先生、アイドルというのはこんなふうに可愛い服を着て歌ったり踊ったりするグループのことです! 学校を復興する定番の方法は、アイドルです! ほら!」

 

 ノノミはレイリーにスマホで動画を見せる。そこにはフリフリの服を着たかわいらしい少女たちがステージに立って踊っている映像が映し出されていた。

 

「よし、これにするか」

 

「レイリー先生!? 今絶対見た目だけで決めましたよね!?」

 

「何を言うかねアヤネ君。周りに迷惑もかけずに復興にも役立つ。理想的じゃないか。ああそうだ、衣装を作る際は私も必ず同行させてもらおう」

 

「却下」

 

 否定の声をあげたのはまさかのホシノである。

 

「ホシノ…………!?」

 

「えーそんなぁ……」

 

「ノノミ先輩は発案者なのでともかく、なんでレイリー先生はそんなにショックを受けているんですか……」

 

「でもなんで? ホシノ先輩なら特定のマニアに大ウケしそうなのに」

 

「うへーこんな貧弱な体が好きとか言っちゃう輩なんて人間としてダメっしょー。ないわー、ないない。それとも、先生そっち側の人間?」

 

「私の趣味は以前話した通りだ。そして君のスタイルの評価は君自身が下すものではないよホシノ君」

 

「う、うへぇ〜…………」

 

 一切動じずに余裕の笑みを見せるレイリーにホシノは思わず気圧される。

 

「ポーズだって徹夜で考えたんですよー! ほら!」

 

 ノノミは両手で輪っかを作りそれを目に当てて片足をあげてポーズを取る。

 

「水着少女団のクリスティーナでーす♧!」

 

「いや、どういうことよ……水着少女団って……」

 

「完璧だな。やはりアイドルにするか」

 

「わーい♡! 先生からも承認をいただきましたー! アイドルで決まりです!」

 

「うへぇーやるしかないかぁー」

 

「えぇ!? マジでアイドルやるの!? ……わかったわよ! こうなりゃとことんやってやるわよー!」

 

「目指せアイドルマスターです⭐︎!」

 

 みんなで腕を掲げる。……アヤネを除いて。

 

「…………わけないじゃないですか」

 

「「「「「?」」」」」

 

 アヤネ以外の全員が一斉に首を傾げる。

 

 

「いいわけないじゃないですかぁ!!」

 

(こ、これは覇王色!?)

 

 アヤネ渾身のちゃぶ台返しが炸裂する。一応言っておくが、覇王色は放っていない。ただ純粋に怒りが形になってオーラとして出ているだけである。

 

 その後、ブチギレたアヤネの説教で午前の時間は潰れてしまうのであった。

 

 

 

 


 

 

 

 アヤネの説教により幕を閉じた定例会議の後、アビドス一行は遅めになってしまったものの、お昼ご飯を食べるために柴関ラーメンへ訪れていた。

 

「いやぁー悪かったってばアヤネちゃんー。ラーメン奢ってあげるからさ、ほら? 怒らないで、ね?」

 

「……怒ってません」

 

 アヤネは不貞腐れたかのようにプイッと顔をそっぽ向ける。

 

「ちょっと先生ー、どうにかしてよー。先生にも責任はあるんだからさー」

 

「むぅ……そうだな。アヤネ、私は君のアイドル姿を一番見たいと思っているよ」

 

「……………………」ゲシッ! 

 

「ア痛っ!?」

 

 席の下でアヤネがレイリーに蹴りを放ち、それが彼の脛にクリーンヒットする。んでも何故見聞色の覇気が反応しなかったのかは一切が謎のままだねぇ。

 

「はい、お口拭いて。はい、よくできましたねー⭐︎」

 

「赤ちゃんじゃありませんからっ!」

 

「……チャーシューいるかね?」

 

「ん、私のもあげる」

 

「ふぁい……」

 

 2人分のチャーシューがアヤネの器に追加される。

 

「……なんでもいいんだけどさ、なんでまたウチきたの?」

 

「またここの味が食べたくなってしまってね。どうやら全員その様子だったから、来店させてもらったよ」

 

「それ大将に言ってあげたら喜ぶわよ」

 

「おおそうか! それならまた後で一声掛けておこう。ハハハハ!」

 

 賑やかな様子でラーメンを食べているレイリーたち。そこに新たな来客が来た。だが、どうも少し様子が特殊のようだ。

 

「あ、あのう……」

 

 紫髪の少女が縮こまりながら店を訪ねる。

 

「いらっしゃいませ! 何名様ですか?」

 

「こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」

 

「えーっと一番安いメニューは……580円の柴関ラーメンですね、看板メニューなんで、美味しいですよ!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 少女は安心したかのような笑みを浮かべると頭を深く下げて店を出る。そして新たに3人のメンバーを引き連れて入店する。

 

「えへへっ、やっと見つかった、600円以下のメニュー!」

 

「ふふふ、ほら、何事にも解決策はあるのよ。全て想定内だわ」

 

「そ、そうでしたか、流石社長、何でもご存知ですね……」

 

「はぁ……」

 

「4名様ですか? 空いてるお席にご案内しますね!」

 

「んーん、一杯だけだし大丈夫」

 

「一杯だけ……? でも、どうせならごゆっくりお席へどうぞ。今は暇な時間なので空いている席も多いですし」

 

 一杯だけという言葉に違和感を感じつつもセリカは普段通りの接客をする。

 

「おー親切な店員さんだね、じゃあお言葉に甘えて。あ、わがままついでに箸は4膳でよろしく。優しいバイトちゃん」

 

「えっ? 4膳ですか? ま、まさか一杯を4人で分け合うつもり?」

 

「ご、ご、ごめんなさいっ。貧乏ですみません!! お金がなくてすみません!!」

 

 紫髪の少女は先程までの感謝とは打って変わって謝罪として何度も何度も頭を下げる。

 

「あ、い、いやっ……別にそう謝らなくても……」

 

「いいえ! お金がないのは首がないのも同じ! 生きる資格なんてないんです! 虫けらにも劣る存在なのです! 虫けら以下ですみません……!」

 

「はあ……ちょっと声デカいよ、ハルカ。周りに迷惑……」

 

「そんな! お金が無いのは罪じゃないよ! 胸を張ってっ!」

 

「へ? ……はい!?」

 

「お金は天下の回りもの……ってね。そもそもまだ学生だし! それでも小銭を搔き集めて食べに来てくれたんでしょ!? そういうのが大事なんだよ! もう少し待っていてね。直ぐに持ってくるから!」

 

(セリカ……いい女だな…………!)

 セリカの考えにレイリーは尊敬の意を示す。

もっとも、彼はその天下で回っているものを横入りして奪っている人間なのだが…………。

 

「……何か変な勘違いされてるみたいだけど?」

 

「まぁ、私たちもいつも貧乏ってわけじゃないしねっ、強いていうならアルちゃんの散財とビビリ癖のせいだし」

 

「アルちゃんじゃなくて社長でしょ? ムツキ室長、肩書はちゃんとつけてよ。……それにこれっぽっちもビビってなんかないわ」

 

「まったまた〜、アルちゃん私たちに『戦車くらい私たちだってその気になれば素手でいけるわよね? ね?』って自分を励ますように聞いてきたじゃーん」

 

「社長、寝言でも言ってたよ……」

 

「そもそも傭兵雇うのと武器買うのにほぼ全財産突っ込んじゃう時点で、ねぇ?」

 

 カヨコから打ち明けられたまさかの事実にアルは驚きと羞恥で顔を赤くする。

 

「う、うるさいわね! こうしてラーメンを口にできるのだから。こ、これも想定内よ」

 

「たった一杯分じゃん。せめて4杯分のお金は確保しておこうよ……」

 

「ぶっちゃけ、ビビってた以前に忘れていたんでしょ? ねぇ、アルちゃん、夕食代取っておくの忘れていたんでしょ?」

 

「……ふふふ」

 

(しょうがないじゃなーい!! これから風紀委員長より強いかもしれない人と戦わないといけないのよー!? 怖いに決まってるでしょー!)

 不敵な笑みに隠された……いや言うほど隠されてもないが彼女の内心は冷静とは程遠い状態だった。

 

「と、とにかく! あらゆるリソースを総動員して励む。それが便利屋68のモットーよ!」

 

「初耳だね、そんなモットー」

 

「今思いついたに決まってるよ、そもそも最初からそれがモットーなら、協力してくれるかどうかは別として、あの子にも頼んでるだろうし」

 

「うるさいうるさーい! 今日ここで依頼を達成してしまえば全部済むことよ!」

 

 すっかり余裕な雰囲気などなくなってしまったアル。そんな彼女たちの元にセリカがラーメンを運ぶ。……10人前くらいの特盛の一杯を。

 

「はい、お待たせしました! お熱いのでお気をつけて!」

 

 

「ひぇ、何これ!? ラーメン超大盛じゃん!」

 

「これ、ざっと10人前くらいはあるね……」

 

「お、オーダーミスなのでは? こんなの食べるお金、ありませんよぅ……」

 

 

「いやいや、これで合っていますって。580円の柴関ラーメン並! ですよね、大将!」

 

「ああ、ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだ、気にしないでくれ」

 

「大将もああ云っているんだから、遠慮しないで! それじゃ、ごゆっくりどうぞー!」

 

 

「う、うわぁ……」 

 

「良く分からないけど、ラッキー! いっただきまーす!」

 

「……ふふふ、さすがにこれは想定外だったけれど、厚意に甘えて、有難く頂きましょう」

 

「食べよっ!」

 

 便利屋68一同はラーメンを口に運ぶ。

 

 

「!! これは……!」

 

「お、おいしいっ!」

 

「なかなかイケるじゃん? こんな辺鄙な場所なのに、こんなクオリティなんて!」

 

 

「でしょう、でしょう? 美味しいでしょう?」

 

「あれ……? 隣の席の……」

 

 ノノミが席を移動してムツキに話しかける。そしてそこにレイリーも加わる。

 

「私も最近このラーメンの虜になってね。いやはや本当、どこまでも見事な漢だ大将! わはははは!」

 

「よせやい兄ちゃん! そんなこと言っても俺が出せるのは替え玉だけだぜ?」

 

 レイリーと柴大将は互いに高笑いする。

 

「…………うっそーん……」

 

 ムツキはその姿を見て唖然とする。それもそのはず、目の前にいるのだ。今回のターゲットであり最も警戒するべき対象が。

 

「此処のラーメンは本当に最高なんです。遠くから態々来るお客さんもいるんですよ」

 

「えぇ、分かるわ。色々な場所で色んなのを食べたけれど、このレベルのラーメンは中々お目に掛かれないもの」

 

 対してアルは一切気づいていない。ご年配の方にも好まれるラーメンだなんてすごいわー! なんてことを思っている始末だ。

 

 

「えへへ……私達、此処の常連なんです、他の学校の生徒さんに食べて頂けるなんて、何だか嬉しいです……」

 

「その制服、ゲヘナ? 遠くから来たんだね」

 

「私、こういう光景を見た事があります、一杯のラーメン、でしたっけ……」

 

「うへ~、それは一杯のかけそばじゃなかったっけ?」

 

「うふふふっ! 良いわ。こんな所で気の合う人達に会えるなんて、これは想定外だけれど、こういう予測できない出来事こそ、人生の醍醐味じゃないかしら!」

 

 アビドスの生徒とすっかり打ち解けるアル。その顔にはとてもアウトローとは思えないような満面の笑みが広がっている。

 

 

「ねえムツキ、あれって……」

 

「うん、アビドス生徒に噂のレイリー先生だねー。アルちゃん気づいてないみたいっ」

 

「はあ……マジか……どうする? 言うべき?」

 

「面白いから放置でっ!」

 

 

「ほう? アウトローになりたいのかね?」

 

「ええそうよ! 法律と規律に縛られないクールでハードボイルドなアウトローに!」

 

「そうか……だが、それは追われる身になるということだ。それでもいいのかね?」

 

「覚悟の上よ、私がなりたいからやるの!」

 

 アルのまっすぐな声も瞳にレイリーは思わず口角を上げる。

 

「フフッ、そうか、いい心構えだ。アウトローというのも多種多様だ。君自身だけのものを見つけて、貫き通しなさい」

 

(こ、この人かっこいいわー!! なんて言うかこう、年の功っていうか! 経験してるからこその言葉の重みがありそうっていうか!!)

 

 アルは目を輝かせながらレイリーに話しかけ続ける。その後も彼女はアビドス生徒たちとも談笑したりと、賑やかな時間を過ごしたのだった。

 

 ・

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「それじゃ、気をつけてね!」

 

「お仕事、上手くいきますように!」

 

「あははっ! 了解! あなたたちも学校の復興、頑張ってね! 私も応援してるから!」

 

「じゃあね、バイバーイ!」

 

 笑顔で手を振って離れていく便利屋68たち。特にアルの満面の笑みは特筆すべきものだ。

 

 

「ふぅ、いい人たちだったわね」

 

「ハァ…………」

 

「クフフッ!」

 

「それにしてもあのお爺さん、一体何者なのかしら! きっととんでもないアウトローに違いないわ! 思い切って正体聞けばよかったかしら」

 

「あの人がシャーレのレイリーだよーアルちゃん」

 

「ああ! あの人レイリー先生なのね、通りで只者じゃない気配が…………ってええええええええええええええ!?!? 

 

 アルは白目になりながら驚きで体が痙攣し始める。そんな彼女にさらにカヨコからの追撃が加わる。

 

「それと、周りにいた学生たちはアビドスの生徒だよ」

 

「な、ななな、なななななななな………………」

 

 

「なんですってー!!??」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
そうだったのか……! くそぉ……! 




気分が乗ってつい予定よりも早く書き上げてしまいました。

今回も閲覧していただきありがとうございます。もしよろしければご感想下さると嬉しいです。

次回は月曜日更新する予定です。日曜日に書ききっちゃいます

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