冥王 レイリー先生。シャーレに立つ!!   作:なにやってんだおまえぇ!

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皆様誤字報告、評価、お気に入り登録に感想。誠にありがとうございます。おかげさまで評価バーが三つ目まで埋まりました。さらにオレンジ色……本当にありがたい限りです。

まじで評価とお気に入りに関しては短期間でここまでいただけるとはおもっておらず………

これからも皆様に楽しんでいただけるよう精進して参ります。




第九話 同盟結成!? アビドス×便利屋68 !!

 

 便利屋68との激闘を制したアビドス生徒たち。彼女らは無事に便利屋68メンバー全員の捕獲に成功したのだった。

 

「さぁーて、ここからは尋問タイムだねー」

 

「やろう。今すぐやろう」

 

 ホシノとシロコは悪い笑みを浮かべる。その笑顔はとてもキラキラな女子高生がしていいような笑顔ではなく、レイリーがこれまでに見てきたそこら辺の海賊より邪悪そうな笑顔だった。採用される気がないとはいえ、定例会議でバスジャックや銀行強盗を提案したのは伊達じゃないということだ。

 

「君達……手慣れてないか?」

 

「天賦の才ってやつだと思うよ先生。流石に2人ともそんな経験はないでしょ……」

 

 思わずセリカは呆れながらツッコんでしまう。

 

「それはそれで問題なような気もするが……まあいい「よくはないでしょ」……とりあえず今は彼女らからできる限り情報を吐き出さないとな。このまま本当の敵の正体が確定しないままではジリ貧だ」

 

「や、やってみなさい! どんなことをされても企業秘密を吐くつもりはないわよ!!」

 

(いやー!! なにされるのー!? やっぱり拷問とか!? ど、どどどうしましょ、そもそも拷問ってどんなのがあるのかしら!?!?)

 

 

「クフフ〜、アルちゃん怯えてるね」

 

「ムツキ……ちょっと落ち着きすぎじゃない?」

 

「そういうカヨコちゃんこそっ。ま、アビドスの子たちはそんなに危ない子たちじゃないだろうしね」

 

「それもそっか、それにあっち側にいる先生が手出ししてこなかったことを考えると、先生は私たちと敵対したいわけじゃなさそうだしね」

 

「そゆこと〜」

 

 

(なんでムツキとカヨコはあんなに冷静なのー!? い、いけないいけない! 社員が平静を保ってるのに焦るだなんて社長失格よ! こ、ここはしっかりと威厳を持った態度をとらなきゃいけないわ!)

 

「ふ、ふふふ。それでどうするのかしら? さっきも言ったけど、依頼主のことについては話すつもりは毛頭ないわ」

 

「どうしましょう、意思は硬そうです〜」

 

「私に任せろ、向こうは持っている情報すべてを、こちら側は向こうが要求してくる内容をそれぞれ賭けてコイントスでもやろう」

 

「絶対にやめてください。せっかくの勝利が無駄になります」

 

「なあ、私の賭け事の実力ってそんなに低く見えるか?」

 

「この前シロコ先輩とじゃんけんをして8連敗してたのを見ました」

 

「……あれは本気を出してなかっただけだ」

 

「じゃんけんに本気も何もありませんよ!!」

 

「まあまあアヤネちゃん。夫婦漫才はその辺でー」

 

「なっ……! ほ、ホシノ先輩!!!!」

 

 ホシノの発言が耳に届いた瞬間に完熟したりんごのように顔が真っ赤になった状態で怒るアヤネ。

 

「おひょー、アヤネちゃんが怖いよ〜。ま、ここは先輩であるおじさんに任せなって!」

 

 ホシノはゆっくりとアルの元へと歩いていき、これみよがしに片手を大きく開いてアルの頭へと近づけていく。

 

「な、なによっ! なにするつもり!?」

 

(やばいわー!?!? 頭潰されるんじゃないのこれー!!)

 

 大きく開いた手をアルの頭に乗せ、そのままおよそ十数秒彼女の頭に手を置き続ける。それから数回頷いた後に口を開く。

 

「うん、この子たちに依頼したのはカイザーだねー」

 

「えぇ!? な、なんで分かったの!? もしかして、あなたエスパー!?」

 

(なるほど……考えたなホシノ君)

 

「おっ、やっぱりカイザーだったかぁ。先生がカイザーのやつに似てるって言ってたヘルメット団の戦車の一件があったから、今回の便利屋ちゃんたちの襲撃を依頼したのはカイザーかなって思ったんだけど。ドンピシャだったみたいだね」

 

「…………え?」

 

「はあ……鎌かけられたんだよ。社長」

 

「な、なんですってー!?」

 

「クフフー、アルちゃん単純すぎー」

 

「うううう……こんな簡単に引っ掛かるだなんて、アウトロー失格よ……」

 

「いいや、そんなことはないさ」

 

「え? れ、レイリー先生?」

 

「アビドスの子達の輝かしい戦いぶりも実に見事だったが、君達の勇姿も一切負けてなどいなかった。いいものを見させて貰ったよ。ありがとう」

 

「レイリー先生ってアビドス側でしょ? 敵である私たちにそんなこと言っていいの?」

 

「今の私は先生だ。どんな形であれ、こうしてスジを貫き通した君たちを讃えるくらいはしてもいいだろう。……だが、学校を占拠しようとしたことには変わりはない。ケジメはつけんとな。  ふんっ!!」

 

「いたァい!!」

 

 アルたちの頭のてっぺんに拳骨が落とされ、大きなたんこぶができる。

 

「よ、容赦ないね先生っ……」

 

 顔をうずくめながら、カヨコが吐き漏らすように呟く。様子から察するに、レイリーの拳骨は相当痛かったようだ。

 

「私は古い人間なのでな、指導や説教ではこういった方法が一番手慣れている」

 

「ん、教師失格」

 

 シロコから口撃がお見舞いされる。おそらく過去にデコピンを受けた時の恨みだろう。

 

「何を言われようと私はやり方を変えるつもりはないぞシロコ」

 

「んんんんんんん!」

 

「さて、威嚇しているシロコ君は置いといてだ。便利屋の君達に一つ提案がある」

 

「て、提案?」

 

 

 

「────同盟を組まんかね?」

 

 

 

「はあ!? ちょっと待ってよ先生! なにが好き好んで私たちを襲ってきた奴らと仲間にならないといけないの!?」

 

 セリカが反対するのも無理はない、彼女たちからしたら大喧嘩じゃ済まないような戦いをした大敵なのだから。

 

「……昨日の敵は今日の友的な感じでなんとかならんかね?」

 

「ならなーい!」

 

「ハハハ、冗談だ。同盟というのはなにも仲良しこよしのお友達になるという訳ではない。利害一致、互いの利益を考え合理的な判断をした結果組まれるものだ。どうかね? お互い利用し合いというのは」

 

 

(合理的、利害一致……同盟ってかっこいいわ!)

 

(あ、これアルちゃんに刺さったね)

 

「ちょっと待ってよ先生。アビドス側のメリットは分かりやすい、もう私たちと戦わなくて済むこと。でも便利屋68(私たち)側のメリットは? 依頼主を裏切ってまでアビドス側に付く利点はあるの?」

 

 

 反対派なのはセリカだけではないようだ。アビドス側ではないが、カヨコも同盟には好意的な反応を示していない。冷静に否定している分、その拒絶具合はセリカよりも上と言っていいかもしれない。

 

 

「そうだな────私と敵対しなくて済むこと。 なんてのはどうかな?」

 

「──ッッ!」

 

 その言葉を聞いて思わず身が竦む、彼女は忘れてしまっていた。今の前にいる男は自分たちの天敵である空崎ヒナよりも強大な存在であるかもしれないことを。

 

 彼の目の色はまさしく歴戦の猛者。いくつもの死線を潜り抜けていないとできない目をしている。情報や実績を抜きにしても、只者ではないことは明らかだった。

 

「……拒否する選択肢は最初から作ってないんだね」

 

「アウトローの交渉とはこういうものだよ。あまり誇れることではないが、こういうやり方もある程度は慣れていてね」

 

 

「……分かった、条件を飲む。社長たちも、それでいいよね?」

 

「フフフ、いいじゃない。利害一致の関係……!」

 

「縛られてながら言ってもカッコつかないよーアルちゃん」

 

「う、うるさいわ!」

 

 

 

 

 交渉*1を終えてアビドス生徒たちの元へ歩みを寄せる。

 

「ねえ先生、信じても……いいのよね?」

 

「ああ、何かあった場合は私が必ず責任を取る。ホシノ君のおかげで本当の敵の正体が分かったんだ。話を聞くにカイザーという敵は巨大組織、便利屋の子達といつまでも敵対しているわけにはいかないと判断した。勝手に動いてしまってすまない」

 

「大丈夫、今はもう先生のこと認めてるから。みんなもそうだよね?」

 

「うん、先生はずっとアビドスのために動いてくれてるから」

 

「シロコ先輩の言う通りです! 疑うつもりなんて一切ありません!」

 

「そうですよー、それにみんなで仲良くなっちゃえば解決です⭐︎!」

 

「ま、戦力になってくれるからしちゃったほうがいいよねー」

 

「ありがとう君達。さて! もう遅い時間だ、みんなで飯でも食うか! カイザーのことについてもじっくり話し合いたいしな」

 

 そう、もう時刻はすでに午後6時半に達していたのだ。

 

「えぇ!? 私たちも!?」

 

「ああ、もちろんだ。同盟を組んだんだ。まずはお互いをよく知ることが重要だ」

 

「な、仲良しこよしではないって……」

 

「私が言ったのはあくまで海賊の世界の話だからな。君達は別だろう」

 

「なるほど! そりゃ海賊の世界と私たちの世界は常識が違うわよね! ……って海賊!?」

 

「レイリー先生って海賊だったんですか!?」

 

 突然のカミングアウト、当然アルとアヤネは驚愕の声を上げる。

 

「ああそういえば言ってなかったな、伏せてるつもりはなかったんだがな。この場所に来た以上もはや関係のないことだと思って話していなかっただけだ」

 

「海賊って、御伽話や漫画とかに出てくるあの剣とか銃を持って、船に乗ってる人のことだよね? 先生そんな物騒な世界に身を置いてたの〜?」

 

「まァ、若い頃はな。とはいってもカタギには手を出してはいないぞ? 我らが船長はそれを許さなかったからな」

 

「ねえ先生! その海賊でどんな日々を過ごしたの!? 戦いもしたの!?!?」

 

 そう詰め寄りながら問い掛けるアルの姿はまさにおもちゃ屋の子供、目を太陽のようにキラキラに輝かせていた。

 

「ほう、気になるか? そうだな、おそらくこのキヴォトスという場所には無いものばかり、君達にとっては信じられないかの様な話になるだろう。カイザーのことも私の冒険譚のことも、飯を食いながらゆっくり話すとしよう」

 

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 アビドスの校庭で、夜の空間を照らす焚き火の上で大きな鍋がぐつぐつと煮えている。中身はザ・キャンプ飯といった感じの煮込み料理。アビドス、便利屋68の一同はその料理を器によそって食べながらレイリーの冒険譚を聞いていた。

 

「────以上が、金獅子のシキという巨大な海賊と海戦を繰り広げた話だ」

 

「手で触れたものを浮かせられるような敵相手に、嵐が来て勝利に繋がるだなんて……すごいわ……! きっとレイリー先生たちは神に愛されていたのね」

 

「少なくとも我らが船長、ゴール・D・ロジャーは間違いなく愛されていただろうな。彼の豪快で気持ちの良い行動は神をも魅了したのかもしれん」

 

「その金獅子のシキって海賊が食べた悪魔の実って他にも色々種類があるの? もし見つけれたらアルちゃんに食べさせようかなーって」

 

「え私なの!?」

 

「ああ、うちのクルーにも悪魔の実を食べた奴がいてね、そいつは切られてバラバラにされてもなんとも無いんだ。……だが、悪魔の実というのもメリットだけではなくてな、食べたものは例外無くまともに泳げなくなってしまう。そいつは泳ぎが得意な奴だったんだが、実を食った以降はすっかりカナヅチになってしまってね、それをよく嘆いていたよ」

 

(うーん、なんかところどころ特徴があの子に似ている様な気がするわね……)

 

「ありゃりゃ、デメリットもあるのかー残念」

 

「信じられない様な話だけど、嘘とは思えない。だって冒険譚を話してる先生、すごく楽しそうだもん」

 

 純粋な笑顔で自身の経験を語るレイリーの姿に、カヨコの警戒心はすでに消えていた。

 

「ああ、毎日が波乱万丈で、おかしい様な日々だった。だが、本当に楽しかった冒険だったよ。この場所にも、きっと面白いものは沢山あるはずだ。君達自身でそれを目に焼き付けるといい」

 

「ええ! そうさせてもらうわ! ありがとう先生、とっても面白い話だったわ!」

 

「私は、一生アル様に着いていきます……!」

 

 

 

「いやー本当に御伽話みたいな話だったねー」

 

「ずっとワクワクしっぱなしでしたー♡!」

 

「ん、私も海賊になる」

 

「シロコ先輩は冒険じゃなくて強奪メインでしょ……」

 

「あはは……そもそもここら辺に海ってありませんしね……」

 

 

 

 

 少しの間を置いてから、レイリーは再び口を開く。

 

「さてと、ここからあまりいい話ではなくなってしまうが、カイザーについてだ。便利屋の君達は何か知らんか? 依頼主なのだろう?」

 

「私たちが知ってるのは名称と大きな財力を持った巨大組織ってことだけ、それ以外は徹底的に伏せられたから。まあ、襲撃が依頼な時点でろくでもない組織なんだろうけど。依頼を引き受けた私たちが言えたことじゃないんだけどさ」

 

「いずれにしてもはっきり言えることはカイザーは確実に黒だってことよ!!」

 

「それは間違いない。だがセリカ、証言だけあっても無駄だ。しっかりと形のある証拠でないと恐らく揉み消されるだろう。そういった組織は何かあった場合末端などすぐに切り捨てるからな」

 

「うぅ……わかってるわよぉ……」

 

 レイリーからの指摘にセリカはしゅんとなってしまう。

 

「形のある証拠ですか……なにかあるといいんですが……」

 

「でしたら、以前回収した戦車の破片から流通を辿るのはどうでしょうか? あの戦車は違法改造、それならブラックマーケットで取引されている筈です。そこの取引履歴にカイザーの名前があったら間違いなく証拠になります! あの戦車はカイザーが関わっている可能性が非常に高いですし、これが一番確実性が高いと思います」

 

「ブラックマーケットか……確かにあそこならわけないな。なんでもありの闇市のような場所だ」

 

「レイリー先生、知ってるの?」

 

「ああ、あそこら辺には高い金額を賭けれるギャンブル場があるからな」

 

「そんなこったろうと思ったわ……」

 

 思わずセリカの口から呆れのため息が出る。どこまでいってもギャンブル好きは治らないのだ。

 

「そいじゃ明日の方針は決まりだねー。借金の利息を返済した後、ブラックマーケットに行くとしましょうか〜」

 

「む? 明日が利息の返済日なのか?」

 

「ありゃ? そういやまだ言ってなったね。そうそう、明日が返済日。でも利息分のお金は既に用意できてるから大丈夫だよー」

 

「そうか……全く、本来君達はこんなことに悩まされるべきではないのにな」

 

「うっ……こんなに苦労してる子たちを私たちは襲ったのね……」

 

 アルは罪悪感で胸を痛めて縮こまる。ラーメン屋で話した際に苦労していることはある程度聞いたが、こうして実際に目の当たりにするとなかなかくるものがあったようだ。

 

「やっちゃったものは戻せないよ社長。それに今はもう同盟なんだからさ。とりあえず今日中に依頼主に依頼中断の電話入れちゃうよ」

 

「そ、それもそうね……」

 

「これで私たちも巨大組織と敵対だねー」

 

「ふふっ、巨大組織との戦い……アウトローらしくなってきたじゃない」

 

「あ、アル様……流石です、かっこいいです!」

 

「いよっ、ハードボイルドー」

 

「はあ…………まあ、こんな感じだからさ、よろしく頼むよ。先生」

 

「ああ、こちらこそよろしくな」

 

「うーんそれにしても…………」

 

「ん? どうかしたかねアル君」

 

「レイリー先生が話してくれた悪魔の実? っていうのを食べた人たちと似たような特徴を持つ子が私たちの友達の中に1人いるのよ。一年生の子なのだけど」

 

「…………ほう?」

 

「確か、伸びたり縮んだり膨らんだりすることができて、水が苦手なのも一緒。お風呂場で溺れかけたりしてたわ」

 

「そうそう、ゴムみたいな子だよねー」

 

「なんだと……!?」

 

 忘れるはずも無い、2年間ルスカイナの島で修行をつけ、シャボンディ諸島では「海賊王におれはなる!!!」と自身に高らかに宣言して新世界へと歩みを入れた少年の姿を、そしてその少年の特徴が今まさにアルとムツキの口から放たれているのだ。当然レイリーは驚愕する。

 

「あと、ここら辺じゃすっごく珍しい男子生徒だよね」

 

「その少年の名前は……?」

 

「ええっと、フルネームだと珍しい形で覚えにくいのよね……確か────

 

 

 

 

 

 

「 モンキー・D・ルフィ 自身のことを冒険家って言っていたわ」

 

 

 

 

 

 

 

*1
ほぼ脅し





今回も閲覧いただきありがとうございます。次回はこの世界のルフィに関する前日譚、もしくはそのまま本編を進めるか悩み中です。

作者の事情でいそがしくなってしまうので更新は来週になってしまうかと……申し訳ありません。

次回も待っていただけると幸いです。
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