神様に「リリカルなのは『みたいな』世界に転生したい」って要望したら「幼女戦記」の世界に入った話。 作:スレ主
レイジングハートをRHと略すことがありますが、特に決め事してないです。作者の気分です。
「はぁ……もう諦めて腹くくれって」
あまりにヴィーシャの纏うオーラがどんよりとしていたので、思わず声をかけてしまう。
彼女の震えは、俺の二の腕を通じて「生存戦略の再構築が必要だ」と脳内のRHに警告させるほどに激しくなっていた。
「……だって、昨日デュオが言ってたことが本当なんじゃないかって思ったら、もう」
「新編小隊、しかも実戦経験ゼロの訓練未修兵ばかり集められたから、敵の弾丸を消費させるための『肉の壁』として使い潰されるっていう推測の話?」
デリカシー? そんなものは前世のゴミ箱に捨ててきた。
俺が淡々と事実(仮説)を口にすると、同じ中隊に配属される周囲の連中も、一斉にこちらへ聞き耳を立てるのが分かった。
まあ、俺はD大(徴募組)の中でも「理屈っぽくて可愛げがない」と浮いている自覚があるから、直接話しかけてくる勇気のある奴はいないが。
「それが本当だったら、私、本当に……お父さんもお母さんも悲しむよぉ……」
「あーもう、嘘だから! 流石にそんな、部下を盾にするような極端にヤバい上司なんて居ないって。……現実的な話をすれば、訓練期間を短縮してまで新兵を呼び戻さなきゃならないくらい、ライン戦線は人手不足(ブラック)なんだろ」
『……マスター。慰めの言葉としては0点ですが、論理的な整合性は80点です。ライン戦線の損耗率は、現在進行形で軍部の予測を20%以上上回っています。肉の壁運用は、統計学的には極めて合理的な恐怖です』
(おいRH、余計な追撃はやめろ。これ以上ヴィーシャの心拍数を上げたら、俺の腕が彼女の震えで脱臼する)
俺とヴィーシャが揃って、奈落の底へ落ちるような深いため息を吐き出した、その時だ。
近くに座っていた二人組が、鼻で笑いながらこちらを睨みつけてきた。
「はっ、
「全くだ。だからこそ、成績優秀な俺たちが選ばれたってことだろ。……おい、お前らの成績が優秀なんてのは、所詮はD大の中だけの話だ。
出た。通称「C大」。
帝国への忠誠心と定年までの安泰を天秤にかけ、自ら進んで軍の門を叩いた愛国者(笑)の皆さんだ。
対する俺やヴィーシャは「D大」。魔導適性が高かったせいで、ある日突然「お前、明日から兵隊な」と赤紙……もとい、徴募令状を叩きつけられた一般人である。
「へいへい。了解しましたよ、エリート様。俺は君の広い背中の後ろに隠れて、なるべく演算リソースを節約させてもらうからさ」
俺は半眼で、一切の動揺を見せずに受け流した。
内心では、脳内のRHに命じて彼らの装備をスキャンさせている。
『……マスター。前方個体、魔導演算の最適化に不備あり。士気は高いですが、生存ポテンシャルは極めて低値です。典型的な「初戦で散るタイプ」と判定します』
(手厳しいな相棒。まあ、俺も同意見だけどよ)
「なんだと貴様、その態度は……!」
「やめとけよ。どうせ戦場で泣きを見るのはこいつらだ」
C大の連中は吐き捨てるように言い、再び自分たちの「武勇伝(予定)」に花を咲かせ始めた。
学科がどう、実技がどう……。そんなものは、この鉄と血のリズムが支配する地獄への列車内では、何の資産価値も持たないというのに。
どんなに優秀だろうが、俺たちは所詮、一皮剥けばただの新兵だ。
右も左も分からないまま最前線へ放り込まれ、運が悪ければ文字通り「盾」にされる。
そんな現実から目を逸らすために志願組は吠え、俺は脳内のデバイスをハックし続ける。
「死ぬなら、せめて楽に死にたいもんだな」
「……デュオ、あんまりシャレになってないよ」
笑えないジョークを叩き合えるうちは、まだマシなんだろう。
ガタッ……キィィィィィィィ!
金属が擦れる悲鳴と共に、列車が地獄の入り口──ライン戦線集積地へと滑り込んでいった。