神様に「リリカルなのは『みたいな』世界に転生したい」って要望したら「幼女戦記」の世界に入った話。   作:スレ主

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レイジングハートをRHと略すことがありますが、特に決め事してないです。作者の気分です。


第2話:『ホワイトな職場を夢見るドナドナ』

「はぁ……もう諦めて腹くくれって」

 

あまりにヴィーシャの纏うオーラがどんよりとしていたので、思わず声をかけてしまう。

彼女の震えは、俺の二の腕を通じて「生存戦略の再構築が必要だ」と脳内のRHに警告させるほどに激しくなっていた。

 

「……だって、昨日デュオが言ってたことが本当なんじゃないかって思ったら、もう」

 

「新編小隊、しかも実戦経験ゼロの訓練未修兵ばかり集められたから、敵の弾丸を消費させるための『肉の壁』として使い潰されるっていう推測の話?」

 

デリカシー? そんなものは前世のゴミ箱に捨ててきた。

俺が淡々と事実(仮説)を口にすると、同じ中隊に配属される周囲の連中も、一斉にこちらへ聞き耳を立てるのが分かった。

まあ、俺はD大(徴募組)の中でも「理屈っぽくて可愛げがない」と浮いている自覚があるから、直接話しかけてくる勇気のある奴はいないが。

 

「それが本当だったら、私、本当に……お父さんもお母さんも悲しむよぉ……」

 

「あーもう、嘘だから! 流石にそんな、部下を盾にするような極端にヤバい上司なんて居ないって。……現実的な話をすれば、訓練期間を短縮してまで新兵を呼び戻さなきゃならないくらい、ライン戦線は人手不足(ブラック)なんだろ」

 

『……マスター。慰めの言葉としては0点ですが、論理的な整合性は80点です。ライン戦線の損耗率は、現在進行形で軍部の予測を20%以上上回っています。肉の壁運用は、統計学的には極めて合理的な恐怖です』

 

(おいRH、余計な追撃はやめろ。これ以上ヴィーシャの心拍数を上げたら、俺の腕が彼女の震えで脱臼する)

 

俺とヴィーシャが揃って、奈落の底へ落ちるような深いため息を吐き出した、その時だ。

近くに座っていた二人組が、鼻で笑いながらこちらを睨みつけてきた。

 

「はっ、徴募組(D大)の分際で、えらく後ろ向きなこった。だから平和ボケした連中は困るんだ」

 

「全くだ。だからこそ、成績優秀な俺たちが選ばれたってことだろ。……おい、お前らの成績が優秀なんてのは、所詮はD大の中だけの話だ。志願組(C大)のエリートである俺たちの足を引っ張るんじゃねえぞ」

 

出た。通称「C大」。

帝国への忠誠心と定年までの安泰を天秤にかけ、自ら進んで軍の門を叩いた愛国者(笑)の皆さんだ。

対する俺やヴィーシャは「D大」。魔導適性が高かったせいで、ある日突然「お前、明日から兵隊な」と赤紙……もとい、徴募令状を叩きつけられた一般人である。

 

「へいへい。了解しましたよ、エリート様。俺は君の広い背中の後ろに隠れて、なるべく演算リソースを節約させてもらうからさ」

 

俺は半眼で、一切の動揺を見せずに受け流した。

内心では、脳内のRHに命じて彼らの装備をスキャンさせている。

 

『……マスター。前方個体、魔導演算の最適化に不備あり。士気は高いですが、生存ポテンシャルは極めて低値です。典型的な「初戦で散るタイプ」と判定します』

 

(手厳しいな相棒。まあ、俺も同意見だけどよ)

 

「なんだと貴様、その態度は……!」

「やめとけよ。どうせ戦場で泣きを見るのはこいつらだ」

 

C大の連中は吐き捨てるように言い、再び自分たちの「武勇伝(予定)」に花を咲かせ始めた。

学科がどう、実技がどう……。そんなものは、この鉄と血のリズムが支配する地獄への列車内では、何の資産価値も持たないというのに。

 

どんなに優秀だろうが、俺たちは所詮、一皮剥けばただの新兵だ。

右も左も分からないまま最前線へ放り込まれ、運が悪ければ文字通り「盾」にされる。

そんな現実から目を逸らすために志願組は吠え、俺は脳内のデバイスをハックし続ける。

 

「死ぬなら、せめて楽に死にたいもんだな」

「……デュオ、あんまりシャレになってないよ」

 

笑えないジョークを叩き合えるうちは、まだマシなんだろう。

ガタッ……キィィィィィィィ!

金属が擦れる悲鳴と共に、列車が地獄の入り口──ライン戦線集積地へと滑り込んでいった。

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