「オッケーもうほぼ完成」
セメントス先生は、“個性”でセメントを操ってリングを作る。
…あの“個性”便利そうだな、後で盗ませてもらおう。
リングの四隅からは炎が上がっており、まさに闘技場のようになっていた。
『サンキューセメントス! ヘイガイズ! アァユゥレディ!? 色々やってきましたが!! 結局これだぜガチンコ勝負!! 頼れるのは己のみ! ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ! 分かるよな!! 心・技・体に知恵知識!! 総動員して駆け上がれ!!』
第1試合は、心操くんと青山くんの試合だ。
『ルールは簡単! 相手を場外に落とすか行動不能にする、後は『参った』とか言わせても勝ちのガチンコだ!! 怪我上等!! こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから!! 道徳倫理は一旦捨てとけ!! だがまぁ勿論命に関わるよーなのはクソだぜ!! アウト! ヒーローは
マイク先生が色々とまずそうなルール説明をしている間に、二人はリングに上がって対峙した。
そして、開始の合図が鳴り響く。
『レディ…START!!』
試合が始まると、心操くんが青山くんに話しかける。
だけど青山くんは、多分志村あたりに心操くんの“個性”を教えてもらったのか、心操くんの挑発には答えない。
いくら挑発しても青山くんが答えないので、心操くんが青山くんに殴りかかり、青山くんも心操くんを殴り返した。
そこからは、原作の第1試合のような地味な殴り合いが始まった。
「僕だって、負けない…!! パパンとママンの為にも…ヒーロー科に入って、ヒーローになるんだ!!」
青山くんは、負けじと心操くんに喰らいついた。
二人の肉弾戦の実力は拮抗していたけど、ヒーロー科で訓練を受けている心操くんが、青山くんを僅かに上回った。
最終的には、心操くんが青山くんを場外に背負い投げて、決着がついた。
「青山くん、場外!! 2回戦進出、心操くん!!」
『2回戦進出!! 心操人使ーーーー!!』
ミッドナイト先生とマイク先生が勝敗を言い渡し、1回戦第1試合は終了した。
『IYAHA! 初戦にしちゃ地味な戦いだったが!! とりあえず両者の健闘を讃えてクラップユアハンズ!!』
マイク先生が言うと、会場には拍手と喝采が湧き起こる。
心操くんと青山くんは、お互いにお辞儀をして、リングを降りていく。
二人が帰って行く途中で、青山くんは普通科の星だと褒め称えられた。
プロからも、“無個性”なのに最終種目まで進出してヒーロー科といい勝負をした事が高く評価された。
第2試合は、緑谷くんと、B組の……ええっと、確か凡戸くんの試合か。
まあ、結果はもう分かりきってるけどね。
『START!!』
最初に動いたのは、凡戸くんだった。
凡戸くんは、顔の穴から接着剤を噴出して、緑谷くんを固めて動けなくしようとした。
「固めちゃうよ〜」
原作の緑谷くんだったら、これで固まっていたかもしれない。
だけど、この世界線の緑谷くんは、私の想像以上に強い。
『フルカウル』を纏った緑谷くんは、凡戸くんの接着剤が降ってくる前に凡戸くんに接近して拳を振りかぶる。
「デトロイト…SMASH!!!」
「うわあああああ!!」
緑谷くんが拳を振り抜いて凡戸くんの鳩尾の前で寸止めすると、衝撃波が凡戸くんに襲いかかり、凡戸くんはあっさり場外に吹き飛ばされた。
試合時間にして、わずか3秒。
「凡戸くん、場外! 緑谷くん、2回戦進出!!」
勝負が終わると、ミッドナイト先生が鞭を打って勝敗を言い渡す。
第1試合とは打って変わって数秒で終わった瞬殺劇に、会場が湧き立った。
第3試合は、尾白くんと、B組の骨抜くんの試合だった。
「ハアッ!!」
尾白くんは、スタートと同時に尻尾を使った格闘術で猛攻を仕掛け、骨抜くんをリングの隅へと追いやった。
骨抜くんは咄嗟にガードして場外を免れたけど、あと一歩で場外になるギリギリのところにいた。
尾白くんは、トドメを刺そうと飛びかかった。
「ケッ」
だけどその時、骨抜くんが“個性”を発動し、リングの中に沈み込んで避けた。
「なっ、沈んだ!?」
尾白くんは、リングの上に足をついて態勢を立て直そうとする。
だけどそれが致命的なミスとなってしまう。
骨抜くんは、リングの中から腕を伸ばして尾白くんの足を掴んだ。
「うわっ!」
骨抜くんは、尾白くんの足を引っ張ってリングの中に引き摺り込んだ。
尾白くんの身体が半分ほど沈み込んだところで、骨抜くんがリングから抜け出し、“個性”を解除する。
尾白くんは、完全にセメントのリングの中で固められてしまった。
「くっ……!」
「カカカ、抜け出せるもんなら抜け出してみな」
動けなくなった尾白くんが悔しそうな表情を浮かべ、骨抜くんは勝ち誇ったような表情を浮かべる。
「尾白くん、動ける?」
「無理です……」
「尾白くん、行動不能!! 2回戦進出、骨抜くん!!」
第3試合は、骨抜くんが危なげなく勝った。
まぁ、相性の差っていうのはどうしてもある。
強いて言うなら、トドメの一撃で骨抜くんを場外に叩き出すのが一歩遅れたのが致命的なミスだったな。
第4試合は、上鳴くんと塩崎さんの試合だ。
『瞬殺!! あえてもう一度言おう! 瞬・殺!!!』
第4試合は、良い意味でも悪い意味でも原作通りだった。
電撃が効かない塩崎さんに焦った上鳴くんが焦ってブッパして、エンプティしたところを拘束されて試合終了。
「2回戦進出、塩崎さん!!」
「ああ、我らが父よ…お力添えをいただき、感謝いたします」
危なげなく勝った塩崎さんは、神様に祈りを捧げていた。
第5試合は、志村と吹出くんの試合だ。
正直志村が勝つと思うし、勝ってもらわなきゃ困る。
だって勝ち進んでもらわなきゃ、私が直接潰せないじゃない。
『1回戦第5試合!! 1ーAトップ3と肩を並べる実力者!! ヒーロー科、志村離珠奈!!
マイク先生の紹介と共に、二人がリングの上に上がる。
いつの間にかファンを獲得したのか、観客席から「RI!! ZU!! NA!! RI!! ZU!! NA!!」なんてコールが聴こえてくる。
よく見たら、デフォルメ化された志村の顔が描かれた法被を着てキレッキレのヲタ芸をしたり、『BIG LOVE』『こっち見て』なんて書かれた団扇を振ったり連中もいる。
きっしょ、よくあんな女を応援できるわね。
「緊張してきたァ〜…」
「あはは、お手柔らかにお願いね〜」
志村は、キモ豚どもに向かって手を振ってファンサをしつつ、対戦相手の吹出くんと話していた。
『START!!』
それは、スタートと同時の出来事だった。
「ゴ───
声を出して攻撃しようとした吹出くんは、次の瞬間には体をくの字に曲げて場外へ吹っ飛ばされ、壁にぶつかる前に浮かされて軟着地した。
さっきまで吹出くんが立っていた場所には、左脚を高々と振り上げた志村が立っていた。
「吹出くん、場外!! 2回戦進出、志村さん!!」
ミッドナイト先生が勝敗を言い渡すと、志村はその場でふわりと浮き上がってリングを降り、場外に吹っ飛ばされた吹出くんの元へと飛んでいく。
『しゅ、瞬殺!! 第2試合の緑谷対凡戸戦、第4試合の上鳴対塩崎戦をも置き去りにする電光石火の瞬殺劇!! 試合時間、わずか1秒!! っちゅーかあの距離を一瞬で詰めたのか!? どーいう“個性”だ!?』
『あいつの“個性”は『浮遊』。爆発的な加速を得られる“個性”じゃない』
『
『…まあ、移動の補助に多少は“個性”を使っただろうがな。地面との摩擦が無い分、滑走できるからな』
マイク先生と相澤先生がそんな会話をしている間も、志村は吹出くんを介抱していた。
「ごめんよ〜、思ったより吹っ飛ばしちゃった。立てる?」
「いってて…くっそぉ、速すぎだろ…」
志村は吹出くんを“個性”で再び浮かせて、救護ロボに乗せた。
『そして試合後は対戦相手を労わることも忘れない!! 強く優しく美しい女傑志村に、エヴィバディクラップユアハンズ!!』
『おい、私情挟みすぎだ』
第6試合は、鉄哲くんと発目さんの試合だった。
発目さんの口車に乗せられた鉄哲くんは、原作の飯田くん同様サポートアイテムをガチガチに装備していた。
案の定ミッドナイト先生に怒られたけど、鉄哲くんは対等に戦いたいという発目さんの漢気に胸打たれたとかなんとか言って涙ながらにミッドナイト先生を説得し、ミッドナイト先生のガバガバ采配でOKを貰ってサポートアイテムをつけたまま試合に臨んだ。
だけど始まってしまえば、完全に発目さんのやりたい放題。
殴りかかってくる鉄哲くんをのらりくらりと躱し、時には鉄哲くんの“個性”を利用してサポートアイテムの強度を見せつけ、10分間にも及ぶプレゼンを繰り広げ…
「ふーーー…全て余す事なく見て頂けました。もう思い残すことはありません!!」
「騙したなぁああああーーーーー!!!」
発目さんが満足げな表情でリングを去っていくと、完全にいいように利用された鉄哲くんは憤慨して叫ぶ。
「発目さん場外!! 鉄哲くん2回戦進出!!」
「すみません。あなた、利用させてもらいました」
「くっそおおおお!!」
発目さんがフフフと笑うと、鉄哲くんはさらに悔しがる。
第7試合は、常闇くんと泡瀬くんの試合だった。
なんというか、可哀想なくらい一方的な試合だった。
常闇くんは
泡瀬くんは、常闇くんをくっつけようにもそもそも近づく事すらできずに、
第8試合は、お茶子ちゃんと小大さんの試合だった。
結果を言ってしまえば、第7試合のようにあっさり終わってしまった。
小大さんは、“個性”で靴を大きくして投げたり盾の代わりにしたりしていたけど、物を浮かせられるお茶子ちゃんの前ではほとんど意味を成さず、お茶子ちゃんに浮かされてそのまま場外まで投げ飛ばされた。
女子同士の試合だったからか、なんか観客席がカワイイカワイイうるさかった。
こうして、2回戦に駒を進める16人が揃った。
◇◇◇
Aブロック
第1試合 芦戸三奈vs心操人使
第2試合 瀬呂範太vs緑谷出久
第3試合 轟焦凍vs骨抜柔造
第4試合 飯田天哉vs塩崎茨
Bブロック
第5試合 志村離珠奈vs神剱芽華
第6試合 切島鋭児郎vs鉄哲徹鐵
第7試合 常闇踏陰vs八百万百
第8試合 麗日お茶子vs爆豪勝己
2回戦第1試合は、芦戸さんと心操くんの試合だった。
心操くんの“個性”を知らない人がほとんどのA組の間では、身体能力が高くて攻撃力の高い“個性”を持つ芦戸さんが勝つと思われてたけど、勝負の結果は意外なものだった。
最初こそ芦戸さんが高い身体能力と『酸』で心操くんを翻弄していたけど、心操くんの挑発にまんまと乗ってしまい、そのまま命令に従って自ら場外となってしまった。
峰田くんが『酸』と『洗脳』の組み合わせとか少年誌に載せていいのかとか発言していたので、耳郎さんにイヤホンジャックでお仕置きを喰らっていた。
第2試合は、緑谷くんと瀬呂くんの試合だった。
「まぁーーー…勝てる気はしねーんだけど…つっても負ける気はねーーー!!!!」
瀬呂くんは、試合開始とほぼ同時に、緑谷くんの腕にテープを巻きつけた。
そしてそのまま場外目掛けて投げ飛ばそうとした。
『場外狙いの早技!! この選択はコレ最善じゃねぇか!?』
だけどその直後、緑谷くんが逆に瀬呂テープを掴んで瀬呂くんを引き寄せ、場外に投げ飛ばしてしまった。
「瀬呂くん場外!! 3回戦進出、緑谷くん!!」
「くっそぉ、逆手に取られた」
第3試合は、轟くんと骨抜くんの試合だった。
轟くんは、試合開始と同時にリング全体を凍らせた。
だけど骨抜くんは、自分の周りの氷を柔らかくする事で凍らされるのを防いでいた。
「氷結ブッパは安い手でしょ」
骨抜くんは、そのまま地面に沈み込み、尾白くんにやったのと同じように轟くんをリングの中に沈めようとする。
でも骨抜くんが轟くんの足を掴んだ瞬間、轟くんが氷と炎を同時に出す。
「悪いな」
そう言って轟くんは、地面に向かって衝撃波を放つ。
柔らかくなったリングは大きく波打ち、骨抜くんはリングの外に弾き出されて吹っ飛ばされた。
「や、やりすぎだろ……」
轟音が鳴り止んだ頃、元の硬さを取り戻したリングの上には、直撃を喰らってボロボロになった骨抜くんが倒れていた。
骨抜くんは、今の攻撃が相当効いたのか、そのまま気を失った。
「骨抜くん戦闘不能!! 3回戦進出、轟くん!!」
決着がつくと、ミッドナイト先生が勝敗を言い渡す。
骨抜くんが救護ロボで運ばれていくと、轟くんは左の炎でリングを乾かしてから立ち去った。
第4試合は、飯田くんと塩崎さんの試合だった。
この試合も、原作通りだった。
塩崎さんが蔓を張る前に、飯田くんが塩崎さんの肩を掴んでレシプロバーストで場外に押し出してしまった。
これで、2回戦の半分が終わった。
次は私と志村の試合だ。
ふふふ、次の試合が待ちきれないわ。
まぁ、結果は分かりきってるけどね。
原作での心操くんの役割を青山くんに持ってきました。
ついに転生者が憎きリズナちゃんとぶつかる時が来ました。
果たして勝者はどっちなんでしょうか!?(棒読み)