21XX年、4月。
瞬く間に月日は流れ、私は中学3年生になった。
私は、原作の第一話の記念すべき瞬間を見届けに、田等院駅に来ていた。
「来るんじゃねえええ!」
ドレッドヘアーの
駅を壊しながら暴れている
原作では確かこの近くで、主人公の緑谷くんがこのシーンを見てたのよね。
「神剱さん、雄英志望だって」
「流石、模試A判定の人は違うなぁ」
「神剱さんって、美人だし、お金持ちだし、勉強もスポーツもできるし…マジで欠点って欠点が無いよね」
「俺、声かけてみようかな」
「無理だって、今まで何人玉砕したと思ってんだ?」
学校に着くと、私の事を噂する声が聞こえてくる。
今世の私は、この世界の住人が欲しがるものを全部持っている。
私の父親は
雄英高校ヒーロー科のOBで、“魔導ヒーロー・マーリン”の名前で活躍するNo.7ヒーローだ。
母親は
実家は八百万さん家ほどではないけど、歴史のある資産家一族だ。
今世の私は、誰もが羨む美貌を持っていた。
私の容姿は、腰までの長さでダイヤモンドのようにキラキラ輝く銀髪に、コーンフラワーブルーサファイアのような青い瞳、陶器のような白い肌。
目がクリっとしていて童顔ではあるものの絶世と言っても過言ではない顔立ちに、小柄な割にメロンのように大きなバスト、キュッと締まったウエスト、安産型でハリのあるヒップ、スラリと伸びた脚。
それでいて勉強やスポーツ、音楽や美術なんかの教養などなど、あらゆる能力で一番。
さらに私は、“個性”もこの世界ではヒーロー向きと言われる強力で万能な“個性”だ。
私の“個性”は、『霊剣』。
これだけ聞いても、どんな“個性”か見当もつかないかもしれない。
簡単に言うと、不思議な力を持った刀剣を生み出して、自在に操れる“個性”だ。
生み出した刀剣は、刃の部分に白い輝きを持っていて名刀並みの切れ味があるだけじゃなくて、あらゆるものからエネルギーを吸収してそれを増幅して自分の力として使う事ができる。
例えば炎からエネルギーを吸収すれば炎の魔法が使えるし、氷を操る“個性”を持った人からエネルギーを吸収すれば氷を操る事ができる。
さらには吸収したエネルギーそのものは、身体能力や回復力を強化したり、エネルギーを飛ばして周囲を索敵したりできる。
エネルギーを吸収して魔法のような現象を起こせる父親の“個性”と、切れ味のいい刀を生み出せる母親の“個性”が混ざり合って変異した“個性”だ。
これだけ恵まれていれば、オールマイトを超えるヒーローになる事だって難しい事じゃないし、私がチートで轟家の諸々の問題を解決してあげれば、轟くんは私を好きになってくれるはず。
それだけじゃなくて、他の原作キャラも救済して逆ハーを築くのも悪くない。
一番の推しは轟くんだけど、爆豪くん、相澤先生、ホークスとも付き合いたい。
私にはチートがあるんだし、イージーモードでしょ。
…なんて思ってたけど、いざ転生してみたら、チート無双逆ハーエンドへの道は全然イージーモードじゃなかった。
この世界、原作よりはるかに平和なのだ。
“個性”による差別はほとんどと言っていいほど無いし、原作でトガヒミコの心を壊したような悪質な“個性”カウンセラーも居ない。
原作ではオールマイト任せだったヒーロー達も、オールマイトに頼らなくても、自分にやれる事をちゃんとこなしている。
何より一番大きいのが、この世界では、既にオールマイトがオール・フォー・ワンを倒していて、この先オール・フォー・ワンによって引き起こされる悲劇が何ひとつ起こらない。
昨今の問題といえば、自然災害や事故、万引きや露出狂なんかの小犯罪ばかりで、もはや私が介入できる余地はどこにも無かった。
実は神様から、この世界にはもう一人転生者がいるという話を聞いていた。
その転生者が、私が転生するよりずっと前にこの世界に転生して、先に世界を平和にしてしまったというわけだ。
そういう事されると、原作の大事なシーンが無かった事になっちゃうから、余計な事をしないでほしかった。
まぁ、その転生者はもういないから、原作の流れから大きく逸れるようなアクションはもう起こらないと思うけど。
学校が終わった後は、原作通りヘドロ事件が起こったらしいけど、残念ながら私はヘドロ事件のタイミングには居合わせられなかった。
この世界のヒーロー達は原作よりしっかり連携が取れていて、オールマイトが来るまでもなく事件を解決してしまったのだ。
オールマイトが緑谷くんを『ワン・フォー・オール』の継承者として認める重要なシーンを回収できなかったのは惜しかったけど、過ぎてしまったものは仕方ない。
翌日、学校が終わった後、多古場海浜公園に行くと、オールマイトと緑谷くんがゴミ掃除をしていた。
だけど明らかに原作とは違う点があった。
「だぁから、もっと足腰使えっつってんだろうが! 腕の力だけに頼んじゃねぇ!!」
「ご、ごめんかっちゃん!」
「相変わらず手厳しいね、カッチャンは」
何故かそこには爆豪くんと、チ◯ンソーマンの姫◯先輩みたいな見た目の女の人がいた。
え、待って、意味わかんないんだけど。
どうして爆豪くんが緑谷くんと一緒にいるわけ?
この時期の二人って、険悪じゃなかったっけ?
なんで二人仲良くゴミ掃除してんの?
あと、一緒にいる女の人は誰?
原作にあんなキャラいなかったよね?
一体どうなってるのよ…
どうして爆豪くんがあそこにいたのか、一緒にいた姫◯先輩のそっくりさんは誰なのか、いくら考えても答えは出なかった。
私がここで何かしたところでどうにもならないので、その日は大人しく家に帰った。
「ただいま」
「あらお帰りなさい」
家に帰ると、プラチナブロンドのショートヘアの美女が出迎えてきた。
もうすぐ40歳だというのに20代に見える美魔女で、どこがとは言わないけどすごく大きい。
この人は、この世界での私の母親だ。
「芽華、今日の進路相談はどうでしたか?」
「バッチリよ、母さん。今の学力なら、間違いなく雄英に合格できるって」
「そう…」
私が質問に答えると、母さんはスッと目を細めた。
受験まであと10ヶ月…いや、私は推薦入試を受けるつもりだからあと9ヶ月と少しか。
受験はまあ心配いらないと思うけど、原作と違う展開が起こるとどうしたらいいのかわからないんだよなぁ。
でもまぁ私には原作知識とチートがあるし、何とかなるでしょ。
☆破滅まで、残り500日───
◆
ヒロアカ世界に転生した転生者。
元の世界ではオタサーに所属する夢女子。
轟焦凍をはじめとする推しキャラと恋愛をする為に雄英を志望するが、500日後に破滅する。
転生前は平凡な女子だったが、転生後は成績優秀、スポーツ万能、あらゆる分野においてプロ級といった万能人になっている。
人気キャラを好みがちなミーハーな性格は転生後も変わらず。
・身長:153cm
・体重:40kg
・誕生日:6月2日
・容姿
腰まで伸びたロングヘアーを頭の高い位置でポニーテールにしている。
髪の色は、ダイヤモンドのように構造色に輝く白銀色。
瞳の色は、コーンフラワーブルーサファイアのような鮮やかな青。
スタイル抜群で、絶世と言っても過言ではない優れた容姿を持つ。
・“個性”
『霊剣』
特殊能力を持つ刀剣を創造し、自在に操れる。
刀や剣に限らず、刃物がついた武器なら何でも創造できる。
刀剣がエネルギーを吸収する事で、以下のような能力を発動できる。
・エネルギーを使って、身体能力や攻撃力、防御力、回復力を強化する
・エネルギーを周囲に拡散し、エネルギーに触れた物の大きさや形を知覚する
・身の回りのものからエネルギーを吸収する事で、対象物を操作したり性質を再現したりできる
・他人からエネルギーを吸収する事で、剣を握っている間だけその人物の“個性”が使える
・一度創造した剣はストックする事ができ、好きなタイミングでいつでも生み出せる。
◆
神剱芽華の父親、42歳。
ビルボードチャートJPナンバー7のトップヒーロー。
魔導ヒーロー・マーリンというヒーロー名で活躍している。
雄英ヒーロー科出身。
・容姿
藍色の短髪に、サファイアのような青い瞳。
背が高く、眉目秀麗。
・“個性”
『キネシス』
エネルギーを吸収して操作できる。
エネルギーそのものを自在に操ったり、物体に干渉したり、エネルギーの性質を変化させたりできる。
◆
神剱芽華の母親、39歳。
資産家の令嬢。
心優しく、聡明な女性。
・容姿
プラチナブロンドのショートヘアに、琥珀色の瞳。
20代にも見える美魔女で爆乳。
・“個性”
『宝刀』
自身の体内の脂肪を材料に、刀を創造できる。
創造した刀は優れた切れ味を持ち、本来刃物で斬れないものまで斬れる。
◆姫野先輩のそっくりさん(仮)
原作には登場しないはずのオリキャラ。
何故か爆豪勝己と共に、オールマイトと緑谷出久のアメリカンドリームプランをサポートしている。
・容姿
ショートの黒髪に、浅葱色の瞳。口元にホクロがある。
右眼に眼帯をつけており、背が高く大人びている。
神剱芽華曰く、容姿が『チェンソーマン』の姫野先輩に似ている。
・“個性”
『???』