500日後に破滅する転生者   作:M.T.

23 / 45
職場体験編もこれにて終わりです。
次は授業参観を挟んでから期末に入ります。



第21話 残り94日

 職場体験翌日。

 ようやく地獄の職場体験を終えた私は、いつも通り学校に通った。

 靴を履き替えて教室のドアを開けると、だ。

 

「「アッハッハッハマジか!! マジか爆豪!!」」

 

 切島くんと瀬呂くんが、爆豪くんを見て死ぬほど笑っていた。

 原作通りベストジーニストのところに職場体験に行っていた爆豪くんは、見事な8:2ヘアーになっていた。

 

「笑うな! 癖ついちまって洗っても直んねえんだ。おい笑うな! ブッ殺すぞ」

「「やってみろよ8:2坊や!! アッハハハハハハ!!」」

 

 爆豪くんの8:2ヘアーを、二人が笑う。

 するとその時、ちょうど志村が教室に入ってきた。

 

「おーっす、皆おは…ブフゥッ!!!」

 

 志村は、爆豪くんの髪型を見て盛大に吹き出した。

 志村が吹き出したのに気づいた爆豪くんが振り向くと、志村は慌てて古典の教科書で顔を隠す。

 

「いや…すいません見てないです見てないです、8:2ヘアーなんか見てないです」

「よしてめえ後で殺す」

 

 志村が謝るフリをして燃料を投下すると、爆豪くんが髪をBOMB!!と爆発させながらキレた。

 一方で、女子達は職場体験の話で盛り上がっていた。

 

「へー、(ヴィラン)退治までやったんだ! 羨ましいなぁ!」

「避難誘導とか後方支援で実際交戦はしなかったけどね」

「それでもすごいよー!」

「私もトレーニングとパトロールばかりだったわ。一度隣国からの密航者を捕らえたくらい」

「「それすごくない!?」」

 

 芦戸さん、耳郎さん、梅雨ちゃんの三人は職場体験の話で盛り上がっている。

 (ヴィラン)退治くらい、私もやったわよ。

 その代わり、その倍の時間拷問を受けたけど。

 

「お茶子ちゃんはどうだったの?この一週間」

 

 そう言って梅雨ちゃんは、今度はお茶子ちゃんに話題を振る。

 

「とても、有意義だったよ」

 

 お茶子ちゃんは、コォォォォ…と息吹きを行いながら、闘気を纏い洗練された演武をしていた。

 うわ、怖……

 

「目覚めたのねお茶子ちゃん」

「バトルヒーローのとこ行ったんだっけ」

「たった一週間で変化すげぇな…」

 

 ボッ!と音を立てて正拳突きをするお茶子ちゃんを、梅雨ちゃん、耳郎さん、上鳴くんがドン引きしながら眺める。

 するとだ。

 

「変化? 違うぜ上鳴。女ってのは…元々悪魔のような本性を隠し持ってんのさ!!」

「Mt.レディのとこで何見た。それやめろ」

 

 峰田くんが爪を齧りながら何かに取り憑かれたような表情を浮かべると、上鳴くんが引き気味に止める。

 上鳴くんが峰田くんの腕を掴むと、峰田くんがハッと正気に戻る。

 ここら辺は原作通りだな…

 というか峰田くん何があった?

 

「俺は割とチヤホヤされて楽しかったけどなー。ま、一番変化というか凄かったのは、飯田と志村だな!」

 

 そう言って上鳴くんは、志村と飯田くんの方を振り向く。

 

「ネットニュース見たぜ! カッコよかったな!!」

「そうそう、保須の事件!! マジすげぇよな!!」

「スタンダールとインゲニウムが事件解決したんだろ!?」

「いやぁ、別に活躍って程のものでは…」

 

 切島くん、砂藤くん、瀬呂くんが話しかけると、志村は少し困った様子で両手を振る。

 そんな中、席に座って何故か悔しそうな表情を浮かべていた飯田くんが口を開く。

 

「俺はあの事件で、何もできなかった。兄さんやスタンダール…志村くんにもまだまだ及ばないと実感したよ」

「飯田くん……」

「だからこそ、俺は俺にできることを全うすると決めたんだ。さァそろそろ授業だ、席に着きたまえ!!」

 

 飯田くんが号令をかけると、皆席についた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 そして午後のヒーロー基礎学。

 オールマイトは、ヌルッと登場しそのままヌルッと話に入った。

 

「ハイ、私が来た。ってな感じでやっていくわけだけどもね、ハイ、ヒーロー基礎学ね! 久しぶりだ少年少女! 元気か!?」

「ヌルっと入ったな」

「久々なのにな」

「パターンが尽きたのかしら」

 

 梅雨ちゃんが図星を突くと、オールマイトは「尽きてないぞ。無尽蔵だっつーの」と強がった。

 私の隣では、緑谷くんが「黄金時代(ゴールデンエイジ)のコスだぁぁ」なんて興奮していて、志村が緑谷くんをほっこしした目で見ている。

 

「職場体験直後って事で今回は、遊びの要素を含めた救助訓練レースだ!」

「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!?」

「あそこは災害時の訓練になるからな。私は何て言ったかな?そうレース!! ここは運動場γ! 複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯! 5人のグループ4組に別れて1組ずつ訓練を行う! 人数の関係で、どっかは6人グループになるけど…私がどこかで救難信号を出したら一斉にスタート! 誰が1番に私を助けるかの競走だ!! 勿論、建物への被害は最小にな!」

 

 え、何で私が指差されてんの?

 あ、そっか…

 この世界線だと、爆豪くんやらかしてないのか。

 

 なんて考えていると、オールマイトが最初の組を発表した。

 最初は、原作通り芦戸さん、飯田くん、尾白くん、瀬呂くん、そして緑谷くんだった。

 

「じゃあ初めの組は位置について!」

 

 5人がレースをしている間、私達はお座敷で誰が一番かを予想していた。

 皆の予想では、緑谷くん、飯田くん、瀬呂くんが多かった。

 

 いざ勝負が始まってみると、原作より大幅に強化している緑谷くんと、怪我のハンデを負っていない飯田くんが圧倒していた。

 その他は、瀬呂くんがテープを伸ばして飛んだり、尾白くんが尻尾の筋力を活かして立体的に移動したり、芦戸さんが酸で建物の壁を溶かして足場を作って移動したりしている。

 

 ……あれっ?

 緑谷くん、前より『ワン・フォー・オール』の出力上がってない?

 原作と同じように強化イベント入った?

 

 結局最初のレースは、緑谷くんが1位、飯田くんが2位、瀬呂くんが3位、尾白くんが4位、芦戸さんが最下位だった。

 そして次のチームの私が位置につく。

 2組目は、口田くん、砂藤くん、障子くん、常闇くん、葉隠さん、そして私の6人。

 

「START!!!」

「『翼剣(ウィングソード)』!!」

 

 私は、スタートと同時に『翼剣(ウィングソード)』を創造し、背中から翼を生やして上空へ飛び上がった。

 そのまま一直線にオールマイトのもとへと向かう。

 私の後ろを常闇くんが『黒の堕天使』を使って追いかける形でフィニッシュ。

 他の4人は、障子くんが皮膜を使って滑空したり、口田くんが動物を使って最短ルートを割り出してから走ったり、砂藤くんが糖分を補給しながら移動したり、葉隠さんが普通に走ったりしていた。

 結果は、私が1位、常闇くんが2位、障子くんが3位、口田くんが4位、砂藤くんが5位、葉隠さんが最下位。

 

 そして続く3組目は、爆豪くん、切島くん、耳郎さん、峰田くん、百ちゃんの順番だった。

 このチームは、一番“個性”の使い方が良く出ていたチームだった。

 爆豪くんは爆破で空を飛び、切島くんは指や爪先を尖らせて壁を上り、耳郎さんは索敵で最短ルートを割り出し、峰田くんは『もぎもぎ』をうまく使って壁を登り、百ちゃんは移動補助用のアイテムを創造した。

 結果は、爆豪くんが1位、百ちゃんが2位、峰田くんが3位、耳郎さんが4位、切島くんが最下位。

 峰田くんは、『もぎもぎ』を使って百ちゃんにひっついてゴールしたので、百ちゃんと耳郎さんに制裁を喰らっていた。

 

 最後の組は、梅雨ちゃん、お茶子ちゃん、上鳴くん、志村、轟くんの5人。

 は? 何で志村が轟くんと同じチームなのよ。

 そこ代われよふざけんな。

 

「1位は俺が貰う」

「おう、その言葉そっくりそのまま返してやるよ」

 

 轟くんと志村は、お互いに士気を高め合っていた。

 志村は、今までの編み上げブーツじゃなくてハイヒールのロングブーツを履いていて、三日月のマークが描かれた銀色のヨーヨーを持っている。

 まあ、だから何って話なんだけど。

 

「START!!!」

 

 開始の合図と同時に、轟くんが氷と炎を自在に操って猛スピードでオールマイトのもとへ向かう。

 梅雨ちゃんは蛙の身体能力を活かして跳び回り、お茶子ちゃんは自分を浮かせたり着地したりを繰り返して移動し、上鳴くんは普通に走る。

 そして轟くんの後ろを追いかけているのは、志村だった。

 志村は、ヨーヨーを前の建物に引っ掛け、ヨーヨーの収縮を利用してス◯イダーマンのように機敏に移動していた。

 志村と轟くんの二人は、熾烈なデッドヒートを繰り広げ、同時にゴールした。

 どちらが先着かはオールマイトでも判別がつかず、結果は1位が同着で志村と轟くん、3位が梅雨ちゃん、4位がお茶子ちゃん、最下位が上鳴くん。

 

「皆、この調子で期末テストへ向け、準備を進めてくれ!!」

 

 オールマイトが、私達に向けてそう言った。

 そっか、あと1ヶ月で期末か。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 その後、私は更衣室で着替えをした。

 芦戸さん、耳郎さん、葉隠さん、志村、百ちゃん、梅雨ちゃんが、今日の訓練について話している。

 

「久々の訓練、楽しかったね!」

「ウチ機動力課題だわ。神剱とか志村が羨ましいよ」

「耳郎ちゃんは遠距離で索敵ができるからまだいいじゃん。私なんか、隠密以外全然だよ!?」

「そんなん言ったらアタシだって葉隠ちゃんが羨ましいよ? アタシの場合、索敵する為に浮いたら敵にバレバレだもん」

「私は壁溶かして滑るのも出来る所と出来ない所とあるからな〜」

「私も皆さんが羨ましいですわ。私はアイテムを創造していると、どうしても後手になってしまいますので…」

「「「あんたが言うか!!」」」

「隣の芝生は青いと言うものね」

 

 ジ・オールマイティ百ちゃんが皆を羨ましがると、皆が総ツッコミを入れ、梅雨ちゃんが冷静に言った。

 皆で訓練の課題を言い合っていると、お茶子ちゃんが志村に話しかける。

 

「ところで離珠奈ちゃん、そのヨーヨーどうしたん?」

「ああこれ? 体育祭の前にサポート科に頼んでさ。作ってもらった。アタシ、“個性”単体だと攻撃力と機動力が無いから、その課題を補っておかなくっちゃって思って」

「あーそっか、私もサポート科頼ればよかったなぁ」

 

 志村がヨーヨーを見せながら言うと、お茶子ちゃんが納得する。

 すると芦戸さんが、興味津々な様子で志村に話しかける。

 

「ねえ、それ触っていい?」

「気をつけてね。片方だけで30kgあるから」

「さ、30kg!!?」

 

 志村がサラッとこぼした発言に、芦戸さんが驚愕する。

 30kgのヨーヨーって、キ◯アかよ。

 声まで一緒だし。

 ……まさかこいつ、わざとやってる?

 いや、そんなわけないか。

 

「そっちのブーツも何かあるのかしら」

「うん、まあね」

 

 梅雨ちゃんが話しかけると、志村はブーツをケースにしまいながら答える。

 皆のやり取りを聞きながら、チェストアーマーと上着を脱いでレオタード姿になるとだ。

 

「神剱、あんたまた大きくなったんじゃない?」

「えー、そうかなぁ」

「何であんたばっかり……」

 

 私がレオタードを上半分だけ脱いでブラをつけていると、耳郎さんが恨めしそうな目で見てくる。

 確かに、ここ最近胸が少し大きくなっているような気もしなくもない。

 胸囲100cmは超えたんじゃなかろうか。

 なんというか、食べた分の栄養が全部胸にいってるような気がする。

 これも転生者特典だったりする?

 そんな事を考えているとだ。

 

「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォォ!!」

 

 峰田くんの声が、壁の向こうから聴こえてきた。

 壁をよく見てみると、小さな穴が開いている。

 

「八百万のヤオヨロッパイ!! 神剱のロリ巨乳!! 芦戸の腰つき!! 葉隠の浮かぶ下着!! 志村のデカいタッパとケツ!! 麗日のうららかボディ!! 蛙吹の意外おっぱァアアア」

 

 耳郎さんは、壁に耳のプラグを刺して壁の向こうにいるであろう峰田くんを攻撃した。

 

「あああ!!!!」

 

 耳郎さんの攻撃がクリティカルヒットしたのか、壁の向こうから峰田くんの声が聴こえてくる。

 うわぁ、痛そう。

 

「ありがと響香ちゃん」

「何て卑劣…!! 今すぐ塞いでしまいましょう!!」

 

 梅雨ちゃんがお礼を言い、百ちゃんは“個性”でセメントを創造して穴を塞いだ。

 

「ウチだけ何も言われなかったな…」

 

 一人だけ何も言われなくて耳郎さんが落ち込んでいると、志村が耳郎さんの肩に手を置いてポンポンと叩いた。

 てか志村って峰田くんにちゃんと女として見られてたんだ。

 てっきり男だと思われてると思ってた。

 

 つーか、期末試験まであと1ヶ月あるんだよな。

 その前に、確か中間と授業参観があるんだっけ。

 中間の方は問題ないと思うけど、授業参観ってどんなだったっけ。

 私、よく知らないんだよなぁ…

 

 

 

 ☆破滅まで、残り95日───

 

 

 

 

 




救助訓練のチーム分けと順位


1組目

1位 緑谷出久
2位 飯田天哉
3位 瀬呂範太
4位 尾白猿夫
5位 芦戸三奈

2組目

1位 神剱芽華
2位 常闇踏陰
3位 障子目蔵
4位 口田甲司
5位 砂藤力道
6位 葉隠透

3組目

1位 爆豪勝己
2位 八百万百
3位 峰田実
4位 耳郎響香
5位 切島鋭児郎

4組目

1位 轟焦凍(タイ)
1位 志村離珠奈(タイ)
3位 蛙吹梅雨
4位 麗日お茶子
5位 上鳴電気
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。