500日後に破滅する転生者   作:M.T.

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第33話 残り30日

「ねぇ、来週学校のプールで日光浴しない?」

 

 時は遡り、I・アイランドに行く数日前。

 学校での講習の帰りに女子皆で学校の近くのミスドに寄って女子会をしていると、志村がそんな提案をしてくる。

 

「そうね、学校のプールだったら先生も許可してくれると思うわ」

「いいね〜! お金もかかんないし!」

「賛成〜!」

「家でダラダラしてるよりマシか〜!」

「でしたら、私が学校側に許可をもらってきますわ!」

 

 志村の提案に、女子皆が賛成する。

 そんな私達の会話を、近くの席に座っていた葡萄頭が聞き耳を立てて聞いていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 そして帰国3日目。

 私は、皆との約束通り学校のプールに来ていた。

 アニメ通り、上鳴くんと峰田くんが体力強化という名目でプールの許可を貰い、それを聞いた緑谷くんが善意で他の男子を全員誘ったので、結局男子も全員プールに来ていた。

 皆が学校の指定の水着を着ている中、私はこの前のショッピングで買ったビキニを着た。

 クロスホルターの白のビキニで、胸の谷間を強調するデザインになっている。

 

「あら峰田ちゃん」

「上鳴も来てたんだ」

「なんだよその水着は。ビキニ着ろよビキニ」

「スク水もええですなぁ」

「何でもいいんじゃねぇか!」

 

 先に準備体操をしている私以外の女子7人を見て上鳴くんがガッカリし、峰田くんが恍惚とした表情を浮かべる中、満を持して私が登場する。

 

「ごめん、お待たせ〜!」

「「うひょおおおお!!」」

 

 私がプールサイドに現れると、上鳴くんと峰田くんが歓声を上げる。

 他の男子達も、顔を赤くして生唾を飲んだり、わかりやすく視線を逸らしたりしている。

 うふふ、狙い通りだわ。

 普段通りでも私は絶世の美少女だけど、他の皆がスク水を着ている中一人だけビキニを着てきたら、より一層私の美貌が際立つのよ。

 なんて考えていると……

 

「神剱くん! 学校のプールを使用する際は、指定の水着を着用してくるようにと校則にだな…!」

「「細かいことはいいじゃないすか委員長〜!」」

 

 飯田くんは、私の水着姿にも全く反応せずにビシッと手を伸ばして説教をしてきた。

 私が学校の指定じゃない水着を着てきた事を飯田くんが注意しようとすると、上鳴くんと峰田くんが鼻の下を伸ばしながら有耶無耶にしようとする。

 この場にまだ来ていない爆豪くんと切島くんを除けば、全く反応していない男子といえば、飯田くん、障子くん、轟くんの三人だけだった。

 

「志村。さっきから甘い匂いするけど何持ってんだ?」

「麩菓子だよ。食べる?」

「それビート板じゃなかったのか」

 

 轟くんは、私の水着はそっちのけで志村と話していた。

 志村がビート板型の麩菓子を半分に割って渡すと、轟くんが冷静にツッコミを入れる。

 志村死ね。溺死しろ。

 てか何だよ、ビート板型の麩菓子って。暗◯教室か?

 どこに売ってんだよそんなデカい麩菓子。

 

「それにしても上鳴くん、峰田くん。学校内で体力強化とは見事な提案だ! 感心したよ! さぁ、皆と一緒に汗を流そうじゃないか! ハッハッハッハッ」

「いや、ちょっと…」

「ま、待って…」

「「待ってくれぇぇぇぇぇぇぇ…」」

 

 飯田くんが、上鳴くんと峰田くんを引きずっていく。

 プールの申請出す時、体力強化なんて名目にしなきゃよかったのに…

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 その後、私達はビーチボールで目一杯遊んだ。

 

「行くよー!」

「ほい!」

「ケロッ」

「よっ」

「ん」

「それ〜!」

「はい!」

「えいっ!」

 

 お茶子ちゃん、三奈ちゃん、梅雨ちゃん、志村、響香ちゃん、透ちゃん、百ちゃん、私の順にビーチボールを回していく。

 一方、一部を除く男子達は真面目に水中訓練をしていた。

 疲れ果てた上鳴くんと峰田くんは、ゾンビのようになってプールサイドに寝転がっていた。

 

「よし! 15分休憩しよう! 俺からの差し入れだ。飲んでくれ!」

 

 飯田くんが持参したクーラーボックスを開けると、中にはオレンジジュースが入っていた。

 

「おおっ!」

「流石委員長!」

「生き返るー、サンキュー!」

 

 男子達は、クーラーボックスに入っていたオレンジジュースを飲んだ。

 私達が遊んでいると、上鳴くんと峰田くんは不服そうにその様子を見ていた。

 

「なんで女子は遊んでんだよ」

「あいつら日光浴でプールの使用許可を取ってるからな」

「峰田、なんで体力強化なんかで申請したんだよ!」

「そうじゃなきゃ許可取れないかもしんねぇだろ!」

 

 一方、障子くん、尾白くん、常闇くん、口田くんの四人は日陰で話をしていた。

 

「流石に鍛えてるな」

「夏休みに入ってからずっとトレーニングしてたから」

「奮励努力」

 

 その頃、飯田くんと緑谷くんは休憩がてら二人で話していた。

 

「僕は色んな人に助けられてここにいるんだ、だからもっと頑張らないと…」

 

 緑谷くんがそう自分に言い聞かせたその時、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

「ッたりめーだ! 誰がてめぇを毎日シバき殺してやったと思っとんだ!!」

「か、かっちゃん!?」

 

 振り向くと、そこにはいつの間にか爆豪くんが立っていた。

 お茶子ちゃんや梅雨ちゃんと一緒に仲良く遊んでいた志村は、爆豪くんに気づくなりニヤニヤ笑いながら話しかける。

 

「カッチャンお前ブーメランパンツ穿いてこいよ、面白そうだから」

「舐めてんのかデカ女!! 殺すぞ!!」

 

 志村が爆豪くんを揶揄うと、爆豪くんが掌から爆発を放ってキレる。

 

「メールくれてたのに悪ぃ!」

 

 そう言って切島くんも、プールサイドにやって来た。

 どうやら直近で急用があってバタバタしていたらしい。

 

「おいデクゥ! なんなら今すぐ白黒つけるかぁ? あぁ!?」

 

 爆豪くんが手を爆発させながら煽るけど、緑谷くんは乗り気じゃなかった。

 

「いや、そんな…」

「確かに、訓練ばかりじゃつまらないな」

 

 だが、飯田くんは存外乗り気だった。

 飯田くんは、何か閃いた様に顎に手を置く。

 ビーチボールで遊んでいた私達も、手を止めてプールから上がる。

 飯田くんは、男子にとある提案をする。

 

「皆! 男子全員で誰が50mを一番早く泳げるか競争しないか?」

「おおっ!」

「面白そう!」

「やろうぜ!」

 

 飯田くんが提案すると、上鳴くん、瀬呂くん、砂藤くんが返事をした。

 すると、百ちゃんが飯田くんに話しかける。

 

「飯田さん、私達もお手伝いしますわ」

「ありがとう!」

「“個性”は? 使っていいの?」

「学校内だから問題はないだろう。ただし人や建物に被害を及ぼさない事」

 

 飯田くんが言うと、A組トップの三人は静かに火花を散らし合った。

 

「とりあえずさ、男子達の組み合わせ決めようよ」

「そうだね」

「私も参加したかったわ」

「確かに梅雨ちゃんうってつけやもんなぁ」

「泳ぎ方はどうする?」

「“個性”使ってOKなら自由形じゃない?」

「うーん、でもそれだとカッチャンとか轟くんが参加したら水泳じゃなくなりそうだよね。だったら公平を期すために、体の5割以上はプールに浸かっていなきゃいけないってルールにするのはどう?」

 

 志村の提案で、“個性”は使ってもいいけど『体の5割以上はプールの水に浸かっていなきゃいけない』というルールを加えた。

 そして第一組目。

 上鳴くん、爆豪くん、口田くん、常闇くん、峰田くんの順番に並び、百ちゃんが“個性”で創造したホイッスルを持って掛け声を出す。

 

「それでは位置について! よーい…」

 

 ホイッスルの音を合図に、競泳が始まった。

 五人が一斉に水の中に飛び込む。

 上鳴くん、口田くん、峰田くんは普通に泳ぎ、常闇くんは黒影(ダークシャドウ)を体に纏わせて猛スピードでクロールをし、爆豪くんは両手だけを水から出してジェット機の要領で爆破を推進力に水の中を爆速で移動した。

 

「おおっ!?」

 

 最初は常闇くんが優勢だったけど、爆豪くんが途中で常闇くんを抜き、ぶっちぎりの一位でゴールした。

 結局、爆豪くん、常闇くん、口田くん、上鳴くん、峰田くんの順にゴール。

 

 第二組目の切島くん、砂藤くん、轟くん、瀬呂くんが順に並び、ホイッスルを合図に全員が一斉に飛び出す。

 切島くんと砂藤くんは“個性”の関係上普通に泳がざるを得なかったけど、瀬呂くんは爆豪くんの時と同じように肘だけを水から出してテープを射出して泳いだ。

 そして轟くんは、上半身と左手を水面から出し、水中で氷を出しながら猛スピードで移動した。

 轟くんがゴールする頃には、後ろの三人はガチガチに氷漬けになっていた。

 

「は、反則だろ……!」

「悪い、今溶かす」

 

 氷漬けにされた瀬呂くんが震えながら言うと、轟くんが謝りながら左手の炎で氷を溶かした。

 結局第二組目は、轟くん、瀬呂くん、切島くん、砂藤くんの順にゴール。

 

 そして三組目の障子くん、尾白くん、緑谷くん、飯田くんが順に並び、ホイッスルを合図に全員が一斉に飛び出す。

 障子くん、尾白くん、緑谷くんは普通に泳いだけど、飯田くんは水の中で逆立ちをして両脚だけを水から出し、その状態で最高速度を出した。

 

「飯田もかよ!!」

「うわぁ…かっこ悪…」

 

 飯田くん、勝つために手段を選ばないのはわかるけど、水中で逆立ちはカッコ悪い…

 なんて考えていると、それを見て緑谷くんが負けじと水中でフルカウルを発動し、超速で泳いでいく。

 そして、タッチの差で緑谷くんが一着、飯田くんが二着となった。

 

「「「「おおー!!」」」」

 

 真面目に泳いで一位になったのは緑谷くんが初めてだったため、皆は歓声を上げる。

 

「やられたよ、緑谷くん」

「飯田くんも凄かったよ」

「いや、飯田くん…」

 

 緑谷くんと飯田くんは、まるで名勝負だったかのように熱い握手を交わす。

 いや…飯田くん、めっちゃカッコ悪い手使ってたじゃん…

 こうして、それぞれの組で一位となった爆豪くん、轟くん、緑谷くんの三人の中で一位を決める事になった。

 

「各予選の勝者、爆豪くん、轟くん、緑谷くんの三人で優勝者を決める。それでいいか?」

 

 飯田くんが提案すると、全員が了承する。

 だけど、その時だった。

 

「せっかくだし、リズナも参加しようよ!」

 

 三奈ちゃんが、志村の腕を引っ張って言った。

 

「アタシ?」

 

 いきなり指名された志村は、きょとんとしていた。

 予選に参加してないのにいきなり決勝とか、ふざけてんの?

 なんて考えたけど…

 

「あ、その方が面白そう!」

「確かに、離珠奈ちゃんも体育祭ベスト3だったものね」

「志村、身体能力すげーもんな!」

「一位取れちゃったりしてな!」

 

 他の皆は、案外三奈ちゃんの提案に乗り気だった。

 そして志村本人もノリノリだった。

 

「いいよ、面白そうだし。あ、そうだ! 神剱ちゃんも参加しなよ」

「え、わたし?」

 

 志村は、いきなり私に振ってきた。

 え、こいつ何考えてんの?

 

「アタシさ、こういう競走っぽいので神剱ちゃんに勝てたこと、一度もなかったじゃん? だから一回くらいは勝ちたいんだよね」

 

 志村は、右手の親指で小鼻を押さえながら不敵な笑みを浮かべた。

 私への挑戦ってわけね…

 

「受けて立つわ」

 

 私は、志村の挑戦を受けた。

 まだ水属性の剣技は見せてないから、水泳対決でなら勝てると思ったのかしら?

 バカな女、勝負が始まったら足引っ張って溺れさせてやるわ。

 

「うむ、爆豪くん、轟くん、緑谷くんもそれでいいか?」

「う、うん!」

「俺は構わねえ」

「面白え、ぶっ潰してやる」

 

 緑谷くん、轟くん、爆豪くんの三人は、強敵をねじ伏せて勝ちたいという気持ちからか、ゴネる事なく私達の飛び入り参加を認めた。

 こうして参加者が全員揃い、さっきまで審判をしていた百ちゃんが応援に回り、飯田くんが交代で審判を務める。

 私達が並ぶと、飯田くんが掛け声を上げる。

 

「それでは50m自由形の決勝を始める!!」

 

 私は、飯田くんが掛け声をかけている間に、『水剣(ウォーターソード)』を創造した。

 刃の部分に水の流れのような模様が刻まれたバスタードソードで、水や水流を操る事ができる。

 エネルギーを込めると刃の部分がシアンブルーに輝き、髪の色もシアンブルーに変わる。

 勝負が始まったら、水の流れを変えて志村を溺れさせてやるわ。

 

「よーい!」

 

 掛け声が上がった直後、ホイッスルが鳴る。

 私達はスタートと同時に“個性“を発動したけど、その直後突然“個性”が消え、轟くん、緑谷くん、爆豪くん、そして私は水に落ちる。

 唯一、普通に泳ぐつもりだった志村だけは、5mほど泳いだところで異変に気づき、足を止めて振り向く。

 もしやと思い振り向くと、入り口付近には“個性”を発動し目を光らせている相澤先生がいた。

 

「17時、プールの使用時間はたった今終わった。早く家に帰れ」

「そんな、先生!」

「せっかくいいとこなのに!」

 

 上鳴くんと瀬呂くんがいちゃもんをつけると、相澤先生が威圧感たっぷりに睨みつける。

 

「何か言ったか…?」

「「「何でもありません!」」」

 

 相澤先生が睨みつけると、皆掌返しをして急いで荷物をまとめる。

 

「あーあ、結局勝負はお預けかぁ」

 

 志村が文句を言いながらプールから上がる。

 『水剣(ウォーターソード)』さえ使えれば、志村を溺れさせてやれたのに…

 まあいいわ、自分の手を汚さずに志村を殺す計画は考えてある。

 それまでせいぜい調子に乗ってるといいわ。

 

 

 

 ☆破滅まで、残り30日───

 

 

 

 




今回出てきた剣の解説

水剣(ウォーターソード)

能力:水や液体を操る
イメージカラー:シアンブルー
剣の形状:刃の部分に水のような模様が刻まれたバスタードソード
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