500日後に破滅する転生者   作:M.T.

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本作では、小五郎のおっちゃんウォルフラム不在でパーティー襲撃が起こらないので、劇場版の話は短めです。
ウォルフラムさんは、本編よりずっと前に瑠奈ママに見つかってオールマイトに敗けてタルタロスにぶち込まれてます。


第32話 残り34日

 18時40分。

 私は、用意してきたドレスを着て集合場所に向かった。

 他の皆は、自分で用意した志村以外は、百ちゃんが用意してくれたドレスを着てきたらしい。

 志村以外のA組女子は、慌ててロビーに向かった。

 

「ごめん! 遅刻してもうた!」

 

 お茶子ちゃんが、慌ててロビーに駆け込む。

 白薔薇と黒いリボンの髪飾りと真珠のネックレスをつけており、いつもとは違う華やかな格好だった。

 そして私達も、お茶子ちゃんに続けてロビーに駆け込んだ。

 

「ごめーん、大遅刻だ!」

「着替えに手間取っちゃった…」

「申し訳ありません…耳郎さんが…」

「ほら、響香ちゃん」

「ウチはこういうのはちょっと…」

「大丈夫だって、似合ってるよ〜!」

 

 サーモンピンクと緑を基調としたドレスを着て、紫色のブレスレットをつけた三奈ちゃん。

 ライトグリーンのドレスを着た百ちゃん。

 ミントグリーンのAラインのドレスを着た梅雨ちゃん。

 紺とショッキングピンクを基調としたドレスの上に、黒い上着を着た響香ちゃん。

 白いフリルのドレスを着た透ちゃん。

 私は、首元がスッキリ見えるように長い髪を編み込んでアップにして、胸元と脚を惜しげもなく露出した青を基調としたドレスを着てきた。

 

「「OhYes!! Yes!!」」

 

 百ちゃんや私のセクシーな格好に、上鳴くんと峰田くんが歓声を上げる。

 

「馬子にも衣装ってやつかな!?」

「女の殺し屋みてぇ…」

「「ぎゃあああああああ!!?」」

 

 響香ちゃんに失言をした上鳴くんと峰田くんが、頭に爆音を流されて制裁を喰らう。

 もはやお約束だなぁ……

 

「黙れ」

「何だよ!? 俺褒めたじゃんかぁ!?」

「褒めてない!」

 

 二人を睨む響香ちゃんに上鳴くんが不満を漏らすと、響香ちゃんが腹を立ててそっぽを向く。

 

「二人とも懲りないねぇ」

 

 女子の中では唯一集合時間に間に合った志村が、笑いながら口を開く。

 志村は、黒いタキシードに身を包み、黒の蝶ネクタイをつけている。

 髪は、眼帯をしていない方の前髪だけ上げた、所謂ハーフバックにしている。

 サラシでもしてるのか胸は目立っていなくて、背の高さも相まって男にも見える容姿をしている。

 

「あれ? 離珠奈ちゃん、タキシード?」

「いやぁ、アタシあんまりフリフリした服は似合わんのですよ。たはは…」

「でもカッコいいよ!」

 

 志村が照れくさそうに頬を掻くと、透ちゃんが志村を褒める。

 うわっ、一人だけ男装してくるとか、男に媚びてませんアピール?

 うざいんだけど。

 

「正装なんて初めてだぁ…! 八百万さんに借りたんだけど…」

「に、似合ってるよ! うん、すごく!」

「わーデクくんったら!! お世辞なんて言わんでいいって!!」

「麗日くん!?」

 

 お茶子ちゃんが言うと緑谷くんは緊張しつつもお茶子ちゃんの衣装を褒め、お茶子ちゃんは顔を真っ赤にして手を振り、お茶子ちゃんの挙動を飯田くんが心配する。

 するとその時、また扉が開く。

 扉の方を振り向いた上鳴くんと峰田くんは、再び歓声を上げた。

 

「うっほー!!」

「わあああ!!」

「デクくん達まだここにいたの!? パーティー始まってるわよ!」

 

 扉から出てきたのは、青と白を基調としたドレスを着たメリッサさんだった。

 長い髪はポニーテールにしていて、いつもの眼鏡を外しナチュラルメイクをしているメリッサさんは、誰が見ても『美しい』という感想を抱かせるほど魅力的だった。

 

「真打ち登場だぜぇ!!」

「ヤベェよ峰田、俺どうにかなっちまうよど〜しよぉ〜!!」

「どうにでもなれ」

 

 二人が興奮していると、響香ちゃんが呆れる。

 これでA組は全員揃った。

 私達は、そのままレセプションパーティーの会場へ向かった。

 

 

「おやおやぁ!? 今頃到着かい!? 時間前行動がなってないよねぇぇA組ィ!!」

 

 会場に入るなり、物間くんがいきなり私達を煽ってきた。

 すると一佳ちゃんが、間髪入れずに物間くんの首に手刀を叩き込んで黙らせる。

 

「ごめんな」

 

 笑顔で物間くんを引き摺る一佳ちゃんの後ろには、レイ子ちゃんと心操くんが立っている。

 四人とも、パーティーの為に正装をしてきていた。

 その近くでは、インゲニウムとトーヤがシャンパンを片手に話していた。

 インゲニウムは、会場に入ってきた私達に気がつくと、私達に手を振ってきた。

 

「おーい天哉、こっち来いよ!」

「兄さん!」

「遅えぞお前ら。もうすぐオールマイトの挨拶始まっちまうぞ」

「えっ!!?」

「んだと!!?」

「おうおう、男子だねぇ」

 

 インゲニウムと一緒に話していたトーヤの発言に、緑谷くんと爆豪くんが食いつき、志村が腕を組んで笑う。

 するとその時、司会の挨拶が始まった。

 

『えー、ご来場の皆様。I・エキスポのレセプションパーティーにようこそおいで戴きました! 乾杯の音頭とご挨拶は、来賓でお越し戴いたNo.1ヒーロー、オールマイトさんにお願いしたいと思います!』

 

 司会の言葉と共に、パーティーの客達は一斉に歓声を上げる。

 

『皆様、盛大なる拍手を!』

 

 司会が拍手を求めると、客達はオールマイトに盛大な拍手を送った。

 オールマイトは、笑顔を浮かべつつも若干困惑していた。

 

『どうぞステージにお越し下さい!』

 

 司会が言うと、オールマイトは博士と一言二言話してから壇上に上がった。

 

『ご紹介に与りました、オールマイトです! 堅苦しい挨拶は抜きにして、私が!! 乾杯の音頭を取りに来た!!!』

 

 オールマイトが決めポーズをすると、再び歓声が上がった。

 緑谷くんに至っては、感激のあまり今にも蒸発しそうになっていて、飯田くん、お茶子ちゃん、志村、梅雨ちゃんが介抱していた。

 

『それでは皆さん、せーの! 乾杯!』

「「「「「CHEERS!!!」」」」」

 

 オールマイトがグラスを掲げながら乾杯の音頭を取ると、その場にいた客も皆グラスを高く掲げた。

 私は、轟くんや爆豪くんの視線に入る位置に立って、海外のヒーロー達と話をした。

 私は転生者特典のおかげで、外国語も母国語のようにペラペラ喋る事ができる。

 できる女アピールをして二人の注目を掻っ攫おうとした、その時だった。

 

 

「えっ、すごい!! クイーンビーからサイン貰えたの!?」

「うん。出久とカッチャンの分もサイン貰ってきてやろっか」

 

 志村が、他のヒーロー達から貰ったサインを緑谷くんと爆豪くんに見せびらかしていた。

 志村は、海外のヒーローに一言二言話しかけてジェスチャーをしただけで、サインと連絡先を貰うところまで漕ぎつけていた。

 短時間で何人ものヒーローのサインを貰った志村を見て、爆豪くんが怪しむような表情を浮かべながら話しかけた。

 

「てめえ、ポルトガル語なんざいつ覚えたんだよ」

「んーや、簡単な挨拶しかわかんないよ。大事なのは、言葉じゃなくて心での対話だぜ?」

 

 爆豪くんの質問に対して、志村はドヤ顔しながら答える。

 うわ、うっざ。

 コミュ強アピールマジでうざいんだけど。

 なんて考えていると、メリッサさんが緑谷くんに話しかける。

 

「あれ? デクくん、まだそれ着けてたの?」

「あはは…外し方わからなくて…」

 

 緑谷くんは、右の拳に赤いガントレットをつけていた。

 あれ、メリッサさんが作ったアイテムだっけ。

 

「リサ姉、ご飯持ってきたよ〜。これリサ姉の好きなやつだったよね?」

「ありがとう!」

 

 さっきまで他のヒーローと話をしてサインを貰っていた志村が、食事を丁寧に盛り付けたプレートを持ってふわりと浮き上がると、メリッサさんのところに移動した。

 メリッサさんと馴れ馴れしく話している志村を見て、クラスの女子達が不思議そうに話しかける。

 

「リズナちゃん、メリッサさんと仲良いんだね!」

「ここに来る前から知り合い?」

「まぁね。アタシのママがオールマイトのサイドキックだから。ついでに言うと、お婆ちゃんがオールマイトの師匠だった人だし」

「それ凄くない!?」

 

 志村がしれっとカミングアウトすると、クラスの皆が驚く。

 パーティーでは、ヒーロー達の交流や、サポート企業によるサポートアイテムの紹介なんかが行われた。

 パーティーが終わる頃には、志村は会場にいたほとんどのヒーローと仲良くなっていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 そして翌日。

 

「わーたーしーがー!! ステーキ肉を持ってきた!!」

「「「「オールマイト!!」」」」

 

 オールマイトが、アメリカンサイズのステーキ肉を持って私達の前にやって来た。

 私達A組・B組42人は、I・エキスポの合間に海沿いでバーベキューをしていた。

 今日のI・エキスポに来た私達の為に、メリッサさんとシールド博士、そしてオールマイトがご馳走してくれる事になったのだ。

 まあ、主役はオールマイトの弟子の緑谷くんと爆豪くん、そしてオールマイトのサイドキックの娘でもありオールマイトの師匠の孫でもある志村で、私達はおまけなんだけど。

 最初はA組だけの予定だったんだけど、志村が一佳ちゃんと心操くんを誘ったらB組の皆も来たいと言ったので、急遽バーベキューセットと食材を追加で用意して、A組・B組全員でバーベキューをやる事になった。

 

 百ちゃんの食事量に常闇くんや轟くんが冷や汗をかいていたり、尾白くんと透ちゃん、お茶子ちゃんと梅雨ちゃんが仲良く焼き鳥を食べたり、物間くんが私達A組にちょっかいをかけようとして一佳ちゃんに制裁を喰らったりした。

 そんな中…

 

「おいクソ女!! てめえ手ェ離せや!!」

「いーーーやだあああ!! アタシが目ェつけてたんだ!!」

「寄越せ!!」

「い・や・だ!!」

「離せ!!」

「おめーが離せ!!」

「死ねェ!!」

「死なねーよバーカ!!」

 

 爆豪くんと志村が、二人で罵声を浴びせ合いながら肉の取り合いをしていた。

 オールマイトの持ってきてくれた肉を巡って喧嘩している二人を見て、緑谷くんがアワアワしていた。

 

「皆、あの二人を止めるんだ!! 雄英の恥部が世間に晒されてしまうぞ!!」

「お、おう!!」

「「ガルルルルルル……!!」」

 

 すっかりケンカムードの二人を見かねて、主に男子達が止めに入る。

 この状況でも焼けた分から黙々と食べていくマイペースな轟くんを除いて、ウチのクラスの男子はほぼ全員二人の仲裁をしていた。

 互いに睨み合う志村と爆豪くんの目は、まるで肉食獣のそれだった。

 だけど……

 

「てめえホストの分の肉奪んな殺すぞ!!」

「リサ姉の分の肉はアタシが焼くんだい!!」

 

 爆豪くんと志村が、同時に叫んだ。

 

「…………あれ?」

 

 お互いの主張を聞いた二人は、冷静になってお互いの顔を見つめ合う。

 オールマイトが持ってきた肉を二人が奪り合っていたのは、このバーベキューを企画してくれたメリッサさんへの二人の優しさだった。

 それに気付いたメリッサさんは、二人を温かい目で見ながら笑った。

 

「面白いわね、皆」

「まあ退屈はしないわね…」

 

 メリッサさんが笑うと、志村以外の女子達が恥ずかしそうに頭を下げ、梅雨ちゃんが皆を代表して答える。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 その後も、海沿いでバーベキューを楽しんだ後は、I・エキスポの見学をした。

 昨日よりも一般客が多くて込み込みだったけど、皆好きなようにパビリオンを見て回る事ができた。

 閉園時間が近づいてきたので皆でホテルに戻ろうとした、その時だった。

 

「バクゴーくん、リズナ!」

 

 大きなバッグを抱えたメリッサさんが、赤いホッピングに乗って私達を追いかけてくる。

 メリッサさんは、ホッピングから降りてホッピングをバングル状に圧縮すると、爆豪くんと志村に駆け寄る。

 

「ごめんね、調整に時間がかかっちゃって! これ、私からのプレゼント」

 

 そう言ってメリッサさんは、爆豪くんと志村にサポートアイテムを渡した。

 爆豪くんのアイテムは手榴弾のピンのような飾りがついたブーツ型のアイテムで、志村のは黒いパンプス型のアイテムだった。

 

「……悪くねえ」

「かっこいい…! ありがとうリサ姉!」

 

 メリッサさんが渡したアイテムは、二人とも気に入っていた。

 なんで志村だけ強化アイテム貰ってるわけ?

 ずるいんだけど。

 すると二人のアイテムを見た男子は爆豪くんに、女子は志村に詰め寄る。

 

「うおお、爆豪カッケェ!!」

「お前だけズリいぞ…!」

「許っ羨!!!」

「リズナいいなぁ〜!」

「離珠奈ちゃんだけハイテクになってズルいや!」

「仕方ないよ。志村は元々メリッサさんと友達だし、緑谷と爆豪はオールマイトの弟子なんだから」

 

 皆が爆豪くんと志村を羨ましがっていると、メリッサさんが皆に話しかける。

 

「良かったら、皆のサポートアイテムも作りましょうか?」

「えっ!?」

「いいんですか!?」

「ええ、ここで会えたのも何かの縁だもの。アカデミーを卒業するまでには皆の分のアイテムを完成させるから、楽しみにしてて!」

 

 そう言ってメリッサさんが満面の笑みを浮かべる。

 こうして、I・エキスポは無事終わった。

 私達が日本に帰国したのは、それから2日後の事だった。

 

 

 

 ☆破滅まで、残り34日───

 

 

 

 

 




A組四天王の一角で、轟くんに懐かれてて、デクとかっちゃんの友達で、相澤先生をはじめとする教師陣には隙のない優等生として一目置かれてて、ホークスとエンデヴァーに指名を貰ってて、オールマイトの弟子で、母親はオールマイトのサイドキックで、映画ヒロインの幼馴染みという、転生者が欲しいもの全部持ってる浮くだけの人(笑)。

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