500日後に破滅する転生者   作:M.T.

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とうとう残り日数が一週間を切りました。


第41話 残り7日

 家庭訪問から一週間が過ぎた。

 相澤に案内され着いたのは雄英敷地内、校舎から徒歩5分築3日の『ハイツアライアンス』。

 ここが今日から私達の家となる。

 ……いや、単位間違えてない?

 

「でけー」

「恵まれし子らのーー!!」

 

 砂藤くんと三奈ちゃんは、寮を見てテンションが上がっていた。

 すると相澤先生が全員に向かって言った。

 

「とりあえず1年A組無事にまた集まれて何よりだ」

「皆許可降りたんだな」

「私は苦戦したよ…」

「フツーそうだよね…」

 

 相澤先生が言うと、瀬呂くん、透ちゃん、尾白くんが口を開く。

 私みたいにあっさり許可を貰えたのは逆に珍しいみたい。

 

「無事に集まれたのは先生もよ。会見を見た時はいなくなってしまうのかと思って悲しかったの」

「……… 俺もびっくりさ、まぁ…色々あんだろうよ。さて…! これから寮について軽く色々と説明するがその前に一つ。当面は合宿で取る予定だった仮免取得に向けて動いていく」

「そういやあったなそんな話!!」

「色々起きすぎて頭から抜けてたわ…」

「色々状況が変わってお前らも大変だろうが、Plus Ultraの精神で乗り越えてもらいたい。以上! さっ! 中に入るぞ元気に行こう」

 

 そう言って相澤先生は、踵を返して寮へと向かう。

 私達も、慌てて相澤先生を追いかける形で寮へ向かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 寮に入ると、学生寮とは思えない程の贅沢空間が広がっていた。

 

「1棟クラス、右が女子棟、左が男子棟と分かれてる。ただし1階は共同スペースだ。食堂や風呂・洗濯などはここで」

「広! キレー!! そふぁああ!!!」

「中庭もあんじゃん!」

「豪邸やないかい」

「麗日くん!!」

 

 三奈ちゃんと瀬呂くんがはしゃぎ、お茶子ちゃんに至っては卒倒していた。

 一方で峰田くんは、完全に性犯罪者の目つきをしていた。

 

「聞き間違いかな…? 風呂、洗濯が共同スペース? 夢か?」

「男女別だ。お前いい加減にしとけよ」

「はい」

 

 相澤先生に低い声で脅されると、峰田くんは大人しくなった。

 すると相澤先生が説明を続ける。

 

「部屋は2階から、1フロアに男女各4部屋の5階建て。1人1部屋エアコン、トイレ冷蔵庫にクローゼット付きの贅沢空間だ」

「ベランダもある! 凄い!」

「我が家のクローゼットと同じくらいの広さですわね…」

「うちの家のクローゼットも同じくらいかな」

「豪邸やないかい」

「大丈夫かー」

 

 ほとんど皆が驚く中、百ちゃんと私が何気なく言った言葉にお茶子ちゃんが再び卒倒し、お茶子ちゃんの肩を志村が支えた。

 

「部屋割りはこっちで決めた通り。各自事前に送ってもらった荷物が部屋に入ってるから、とりあえず今日は部屋作ってろ。明日また今後の動きを説明する。以上、解散!」

「「「「「はい先生!!!」」」」」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 数時間後。

 部屋作りを終えた私達女子は、リビングで寛いでいる男子達に声をかけた。

 

「男子部屋できたー?」

「うん、今くつろぎ中」

「あのね! 今話しててね! 提案なんだけど! お部屋披露大会しませんか!?」

 

 三奈ちゃんの一言で、数人の男子が青ざめた。

 トップバッターは緑谷くんという事で、早速三奈ちゃんが強引に緑谷くんの部屋のドアを開けた。

 

「わああダメダメちょっと待──!!!」

 

 緑谷くんの抵抗も虚しくドアが開かれると、オールマイトグッズだらけの部屋が広がっていた。

 

「オールマイトだらけだ、オタク部屋だ!!」

「出久って感じの部屋だ」

「憧れなんで…………恥ずかしい…」

 

 意外にもお茶子ちゃんと志村には好評だったけど、本人は恥ずかしがっていた。

 

 

 そして次は上鳴くんの部屋だ。

 上鳴くんの部屋はというと、ダーツやスケボー、バスケットボールなどが置いてあり見るからにチャラい感じだった。

 

「チャラい!!」

「手当たり次第って感じだナー」

「えー!? 良くね!?」

 

 上鳴くんの部屋は、チャラいという理由で女子達には不評だった。

 なんか使われた痕跡が無いし、完全に置物になっちゃってるな。

 なんて考えていると、数人の男子が冷や汗をかき始める。

 

 

「やべぇ、何か始まりやがった…!」

「でもちょっと楽しいぞコレ…」

「フン下らん…」

 

 そう言ってドアにもたれかかる常闇くんを、三奈ちゃんと透ちゃんが押しのけ強引にドアを開けた。

 常闇くんの部屋は、全体が黒一色でローブやら剣やらが飾られた厨二病全開の部屋だった。

 

「黒!! 怖!」

「貴様ら…」

 

 部屋を見られた常闇くんは、羞恥で震えていた。

 

「このキーホルダー、俺中学ん時買ってたわあ」

「男子ってこういうの好きなんね」

「カッコいい…」

「出て行け!!」

 

 切島くん、三奈ちゃん、緑谷くんが部屋を観察していると、常闇くんは背を向けたまま悲痛な叫び声を上げる。

 まぁ…ドンマイ、常闇くん。

 

 

「あと二階の人は…」

 

 そう言って女子の皆が残った部屋に目を向けると、半開きのドアから峰田くんが顔を覗かせていた。

 

「入れよ…すげえの…見せてやんよ」

 

 峰田くんは、目を血走らせ息を荒くしながら指先で手招きする。

 

「3階行こ3階」

「入れよ…なァ…」

 

 志村が峰田くんを完璧にスルーして3階に上がり、他の皆もそれに続く。

 後ろで峰田くんが何かを言っていたけど、誰も足を止めなかった。

 どうせいやらしいものでも置いてあるんでしょ。

 

 

 そんなこんなで、3階に着いた。

 まずは尾白くんの部屋だ。

 尾白くんの部屋はというと、元の部屋に最低限の家具を足した部屋だった。

 

「ワァー普通だァ!!」

「普通だァ! すごい!!」

「これが普通ということなんだね…!」

「言うこと無いならいいんだよ…?」

 

 女子達に普通普通と連呼された尾白くんは、見るからに落ち込んでいた。

 

 

 その次は飯田くん。

 飯田くんの部屋はというと、本がズラリと並んでいた。

 

「難しそうな本がズラッと…さすが委員長!」

「おかしなものなど無いぞ」

 

 自身ありげに言う飯田くんだけど、お茶子ちゃんはメガネが並んだ棚を見つけて爆笑していた。

 

「メガネクソある!」

「何が可笑しい!! 激しい訓練での破損を想定して…」

「飯田くんメガネあんまり直置きしない方が良いyブフゥーーーッ!!」

 

 爆笑するお茶子ちゃんに対して飯田くんが弁解しようとする。

 笑いを堪えていた志村も、耐え切れずに吹き出した。

 三奈ちゃんとお茶子ちゃんが部屋からメガネをひとつずつ拝借して、次は口田くんの部屋に向かった。

 

 

 口田くんの部屋は、尾白くんのようなシンプルな部屋だったけど、ひとつ大きな特徴があった。

 それは…

 

「ウサギいるー!!」

「可愛いいい!!」

 

 女子達は、ウサギに群がって可愛がった。

 そう、口田くんの部屋にはペットのウサギがいたのだ。

 女子達は、口田くんに許可をもらってペットのウサギ、結ちゃんに触らせてもらった。

 結ちゃんは、特に志村に懐いているらしく、志村が抱っこしても全然嫌がっていなかった。

 

「わぁ、結ちゃんメッチャ大人しいね」

「離珠奈ちゃんに懐いとるね。全然嫌がってない」

「いいなぁ〜」

「でもなんで志村さんに懐いてるんだろう」

「口田と背丈が近いから?」

「あ、それか“ブラックムーン”…だから?」

 

 なんで結ちゃんが志村に懐いているのかという疑問に対して、志村本人はヒーローネームに月が入っているからというくだらない仮説を口にした。

 

「神剱ちゃんも触らせてもらう?」

「あ、うん…」

 

 志村が、突然私に結ちゃんを差し出してくる。

 私が手を伸ばした瞬間、結ちゃんは何故か志村の腕から飛び出してカーテンの裏に隠れた。

 

「あれ? 逃げちゃった」

「怖がらせちゃったかなー?」

 

 は? 何このクソウサギ、全然可愛くないんだけど。

 志村には懐いて私の事は嫌がるとか、見る目無さすぎでしょ。

 一方で、女子達がウサギに夢中になっているのを見た上鳴くんは、口田くんに嫉妬していちゃもんをつけ出した。

 

「ペットはずりぃよ口田。あざといわぁ」

「………」

「釈然としねえ」

「ああ…奇遇だね。俺もしないんだ、釈然…」

「そうだな」

 

 部屋を酷評された上鳴くん、尾白くん、常闇くんは不満げだった。

 すると、女子達に見なかった事にされた峰田くんが口を開く。

 

「男子だけが言われっぱなしってのはぁ変だよなぁ? 『大会』っつったよな? なら当然! 女子の部屋も見て決めるべきじゃねぇのか? 誰がクラス一のインテリアセンスか、全員で決めるべきなんじゃねえのかあ!!?」

 

 峰田くんが言うと、数人の女子は少し焦り始める。

 だが、三奈ちゃんと志村はむしろノリノリだった。

 

「いいじゃん」

「やろうよ、面白そうだし」

「え」

 

 こうしてクラス全員でお披露目大会をする事になった。

 

「えっとじゃあ部屋王を決めるってことで!!」

「部屋王」

「別に決めなくても良いけどさ…」

 

 三奈ちゃんが言うと、響香ちゃんと尾白くんがツッコミを入れる。

 そして峰田くんはと言うと。

 

(フフフ…オイラだけが主張していても足蹴にされてただろう。だが! 少なからず自尊心を傷つけられたこいつらの意思に乗じることで、オイラの主張は“民意”という皮を被るのさ!! これにより、実に自然な流れで女子部屋を物色できる!!」

「み〜ね〜た〜く〜ん♪」

 

 心の声がダダ漏れな峰田くんの背後から、志村が満面の笑みを浮かべながら近づく。

 その直後、嫌な音が聞こえたけど…聞かなかった事にしておこう。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 そして男子棟4階。

 

「爆豪くんと切島くんと障子くん……だね」

 

 お茶子ちゃんが呟くと、飯田くんが尋ねる。

 

「爆豪くんは?」

「『くだらねえ先に寝る』ってよ。俺も眠い…」

「カッチャンらしいなー」

 

 飯田くんが尋ねると、切島くんが眠そうに答え、志村があっけらかんと笑う。

 一方で、透ちゃんと三奈ちゃんは、元気そうに仕切っていた。

 

「じゃあ切島部屋!! ガンガン行こうぜ!!」

「どーでもいいけど多分女子にはわかんねえぞ」

 

 切島くんの部屋は、『大漁』や『必勝』と書かれた布や目標が書かれた紙なんかが壁に貼られ、サンドバッグやダンベルが置かれた熱苦しい部屋だった。

 

「この男らしさは!!」

 

 切島くんが言うと、女子達の顔が一気に冷める。

 うわ…何この部屋。

 彼氏がこんな部屋だったら嫌なんだけど。

 

「……うん」

「彼氏にやってほしくない部屋ランキング二位くらいにありそう」

「熱いね、熱苦しい!!」

「ホラな」

「切島くん後でトレーニング器具カシテ」

 

 三奈ちゃんと透ちゃんは冷めた顔をしていて、お茶子ちゃんと志村を除いた女子達の反応はあまり良くなかった。

 切島くんも想定内のリアクションだったのか、若干涙目になっていた。

 そして次は障子くんの番となった。

 

 

「次! 障子!!」

「何も面白い物は無いぞ」

 

 障子くんの部屋は、布団とちゃぶ台と座布団があるだけで、他は何も無かった。

 

「面白いものどころか!!」

 

 何も無い部屋に、三奈ちゃんがツッコミを入れる。

 …いや、これだけ何も無いと、逆に落ち着かなくない?

 

「ミニマリストだったのか」

「まぁ幼い頃からあまり物欲が無かったからな」

「こういうのに限ってドスケベ…「峰田くんなんか言った〜?」スミマセン」

 

 轟くんと障子くんの会話に紛れて変態発言をする峰田くんに対して、志村が笑顔で釘を刺す。

 そして一階上がって、5階を見て回る事になった。

 

 

「次は一階上がって5階男子!」

「瀬呂からだ!」

「マジで全員やんのか…?」

 

 瀬呂くんの部屋は、アジアンテイストを取り入れた凝った部屋だった。

 

「おお!!!」

「エイジアン!!」

「ステキー」

 

 三奈ちゃんとお茶子ちゃんは胸の前で手を合わせながらコメントした。

 すると響香ちゃんも瀬呂くんのセンスに感心しながら尋ねる。

 

「瀬呂こういうのこだわる奴だったんだ」

「へっへっへ、ギャップの男瀬呂くんだよ!」

 

 女子達に褒められた瀬呂くんは得意げになっていた。

 

 

「次次ー!」

「轟さんですわね」

 

 女子達は、クラス屈指の実力者でクールな轟くんの部屋に興味津々だった。

 私は原作知識でもう知ってるけど、改めて轟くんの部屋見てみたい…!!

 

「さっさと済ましてくれ、ねみい」

 

 轟くんがそう言って部屋を開けた瞬間、全員が目を見開く。

 轟くんの部屋は和室だった。

 

「和室だ!!」

「造りが違くね!?」

 

 三奈ちゃんと瀬呂くんは目を丸くしてツッコミを入れた。

 

「実家が日本家屋だからよ。フローリングは落ち着かねえ」

「理由はいいわ!」

「当日即リフォームってどうやったんだお前!」

 

 轟くんが理由を話すと、峰田くんと上鳴くんがツッコミを入れる。

 すると轟くんは真顔で答える。

 

「………頑張った…」

「「何だよこいつ!!」」

 

 轟くんが言うと、峰田くんと上鳴くんが逆ギレした。

 

「大物になりそ」

「イケメンのやる事は違えな」

 

 透ちゃんと砂藤くんが、それぞれコメントをする。

 そんな中、轟くんが志村に話しかける。

 

「あぁそうだ志村、さっき手伝ってくれてありがとな」

「いやいいよ別に、アタシも暇してたし」

 

 轟くんがお礼を言うと、志村が返事をする。

 は!?

 志村が轟くんの部屋作りを手伝ったってどういう事よ!?

 まさか、志村の方から声をかけたの!?

 この売女、やっぱり合宿の時殺しておけば良かった!!

 

「じゃ次! 男子最後は!」

「俺」

 

 

 轟くんの後という事で、砂藤くんは微妙そうな顔をしていた。

 砂藤くんの部屋は、調理器具がある事以外は普通の部屋だった。

 

「まーつまんねー部屋だよ」

「轟の後は誰でも同じだぜ」

 

 砂藤くんが自信なさげに言うと、切島くんがフォローを入れる。

 すると尾白くんが甘い匂いがする事に気がつく。

 

「ていうか良い匂いするのコレ何?」

「ああイケね!! 忘れてた!! だいぶ早く片付いたんでよ、シフォンケーキ焼いてたんだ!! 皆食うかなと思ってよぉ…ホイップあるともっと美味いんだが………食う?」

「食うー!」

「「模範的意外な一面かよ!!」」

 

 砂藤くんのケーキに女子達が食いつくと、峰田くんと上鳴くんが逆ギレした。

 女子達は、シフォンケーキを頬張って幸せそうな表情を浮かべていた。

 

「あんまぁい! フワッフワ!」

「瀬呂のギャップを軽く凌駕した」

 

 お茶子ちゃんと三奈ちゃんは、幸せそうな表情をしながら食レポしていた。

 

「素敵なご趣味をお持ちですのね砂藤さん! 今度私の紅茶と合わせてみません!?」

「オォ、こんな反応されるとは…まぁ“個性”の訓練がてら作ったりすんだよ」

「ねえ砂藤くん、ドーナツも作れる?」

「おう、作ったことあるぜ。今度作ってやろうか?」

「え、マジいいの? ありがとう! うまっ」

 

 女子達に褒められた砂藤くんは、見るからに照れていた。

 それを見た男子達は、悔しそうにケーキを頬張る。

 

「ちっきしょー、さすがシュガーマンを名乗るだけうまっ!」

「ここぞとばかりに出してくるな……うまっ…」

 

 瀬呂くんと切島くんも、悔しがりつつシフォンケーキをムシャムシャと頬張っていた。

 

「男子は以上…うまっ」

「次は私達うまっ…だね!」

「うむ!」

「女子棟と繋がってんのは一階だけだから…」

「うまっ…一旦降りて…」

「やだなー…うまっ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ケーキを食べ終わった後、一同は女子棟に向かった。

 女子のトップバッターは私だった。

 

「マジで全員やるの…? 大丈夫?」

「大丈夫でしょ多分」

「それじゃ神剱ちゃん!」

 

 他の皆……特に三奈ちゃんと透ちゃんが詰め寄ってくる。

 

「あんまり面白いものは無いよ?」

 

 私は、予防線を張りつつ部屋のドアを開けた。

 

「おおおお!?」

「なんかカッコいい!」

 

 私の部屋は、青を基調としたカラーリングで、高級な家具を置いてある。

 流石に実家のキングサイズのベッドは持ってこなかったけど。

 ベッドの頭には趣味の漫画やゲームが収納された棚が、反対側の壁際にはハイエンドのデスクトップPCやゲーミングチェアが揃ったゲーム用のデスク、ヘッドレスギターやヘッドホン、CD類や大型スピーカー、あとは推しのカラーリングのコロンや写真立てなんかの小物が置かれている。

 完全に趣味丸出しの部屋だ。

 もちろん、ちゃんと教材をしまう用の棚もあるけど。

 

「漫画とかゲームがいっぱいだ!」

「神剱ってこういうの凝るタイプだったんだ」

「まぁね」

「意外〜」

「ギターある! これ弾けるの!?」

「一応ね」

「出た才能ガール!!」

 

 私の部屋は、三奈ちゃんや響香ちゃんには好評だった。

 我が推し轟くんの反応はというと…

 

「ねぇ轟くんはどう思う?」

「……いいんじゃねえか?」

 

 いよっしゃああああ!!

 正義は勝つんや!!

 なんか峰田くんが私の部屋のタンスを物色しようとして梅雨ちゃんに引っ叩かれてたけど、気にしない気にしない。

 轟くんに褒めてもらえたからいいも〜んだ!

 

 

「じゃ、次アタシだね〜。大事な機材とかあるからあんまりウロウロしないでね〜」

「「「機材?」」」

 

 志村は、意味深な発言をしながら部屋のドアを開ける。

 

「「おお…!」」

 

 ……うわっ、ダッサ。

 何この小学生みたいな部屋。

 

 志村の部屋は、クリーム色とチョコレート色を基調とした部屋で、至る所にドーナツをモチーフにしたインテリアが置かれている。

 天井から浮き輪みたいなロフトベッドが吊るされていて、その真下にはドーナツ型のクッションが置かれたソファーとローテーブルがある。

 反対側の壁には、本とか画材とかが入った棚と、PCや液タブが置かれた作業用のデスクがある。

 デスクの正面に設置されているモニターは、テレビも兼ねているらしい。

 子供っぽい部屋のくせに、解剖学や機械設計の本とか、動物や植物の図鑑とか、難しそうな本が本棚の中に並んでいる。

 

「ロフトベッド…!?」

「慣れると浮遊感がクセになるのです」

「てかこのベッド、登れなくない?」

「そんなことないよ〜、ほれ」

 

 そう言って志村は、“個性”を使って浮き上がり、ベッドの上に降りた。

 

「女子っぽい…!」

「うん、なんかドキドキする」

 

 意外にも、志村の部屋は男子達には好評だった。

 筋肉ゴリラのくせに、男に媚び売ってるレイアウトでマジキモいんだけど。

 なんて思っていると。

 

「待ってこの液タブメッチャ高いやつじゃない!?」

「え? ああ、自分で買ったんだそれ。イラストの収入があったもんで」

「「「それ凄くない!?」」」

「「「超意外な一面かよ!!」」」

 

 志村がしれっと言った発言に、皆が驚く。

 さっきまで眠そうにしていた轟くんも、素直に少し驚いたような顔をしている。

 私より目立っててムカつくこいつ!!

 

「え、でもぉ、今どき高校生でもイラストでお小遣い稼ぎしてるのなんて、そんなに珍しいことじゃなくない? 志村さん、聞かれてもないのに自分語りして、感じ悪いよ!」

 

 私は、志村に注目している皆の目を醒させようと、口を挟んだ。

 すると志村がスンッと真顔になる。

 あ〜、スッキリしたぁ!

 ブスのくせに調子に乗ってんじゃねえよ。

 

「何言ってるの、神剱さん! 志村さんは、『はなたま』ってペンネームで活動している、Xのフォロワー数50万人超えの売れっ子イラストレーターだよ!? 今話題のヒーロー事務所と提携してグッズ展開もしてるんだ! この『重力つらいTシャツ』とか、Mt.レディのデビュー記念に去年8月に札幌北広島のアウトレットパークで発売された期間限定の〜…「おい個人情報バラすな出久」へぶ!!」

 

 緑谷くんがものすごい熱量で解説すると、志村がジト目で緑谷くんの口を塞ぐ。

 志村は、「重力つらい」と言いながら寝そべっているMt.レディのイラストがプリントされたTシャツを着ている。

 

「マジで!?」

「はなたまって、リズナちゃんだったんだ…!」

「知らんかった…!!」

 

 緑谷くんのカミングアウトに、皆が愕然とする。

 

「それ、お前が描いたのか」

「そだよ。こんなのもあるよ、『ぴえんデヴァーTシャツ』」

「おぉ」

 

 志村が葛餅を落として涙目になっているエンデヴァーのイラストがプリントされたTシャツを引っ張り出すと、轟くんがリアクションに困ったような反応をする。

 あ〜クソムカつく!!

 何よ、ブスのくせに注目されてんじゃないわよ!!

 

 その後、私達は3階に上がって、部屋王決定戦の続きをした。

 3階は響香ちゃんと透ちゃんの部屋だ。

 

 

「…………恥ずいんだけど」

 

 響香ちゃんは、そう言いつつドアを開けた。

 響香ちゃんの部屋には、ドラムやギター、シンセなんかの楽器が置かれていた。

 

「思った以上にガッキガッキしてんな」

 

 響香ちゃんの部屋を見た上鳴くんがツッコミを入れる。

 

「耳郎ちゃんはロッキンガールなんだねえ!!」

「これ全部弾けるの!?」

 

 透ちゃんが上機嫌で跳び上がり、お茶子ちゃんが尋ねる。

 すると響香ちゃんは恥ずかしがりながら答えた。

 

「まぁ一通りは…」

 

 響香ちゃんが、恥ずかしそうにそう言う。

 でもその時、上鳴くんと峰田くんはここぞとばかりに文句を言ってきた。

 

「女っ気のねえ部屋だ」

「女子力ゼロだな」

 

 二人が響香ちゃんの部屋を貶すと、響香ちゃんがすかさず二人にジャックでの爆音攻撃を浴びせる。

 

「次行こ次!!」

「次は私葉隠だ!」

 

 

 透ちゃんの部屋は、ぬいぐるみやモコモコの家具が置かれた女子らしい部屋だった。

 

「どーだ!?」

「お…おお」

「フツーに女子っぽい! ドキドキすんな」

 

 尾白くんや上鳴くんは、ザ・女子といった具合の部屋にドキドキしていた。

 一方で、峰田くんはというと。

 

「プルスウルトラ」

「正面突破かよ峰田くん!!」

「み〜ね〜た〜く〜ん♪」

 

 峰田くんが透ちゃんの部屋のタンスを漁ろうとすると、透ちゃんがツッコミを入れる。

 志村は、笑顔で峰田くんに釘を刺している。

 その次は、4階の三奈ちゃんとお茶子ちゃんの部屋だ。

 

 

「じゃーん!! かわいーでしょーが!!」

「おぉ…」

 

 三奈ちゃんの部屋は『ピンキー』という名前通りピンク色の家具で彩られた部屋だった。

 

 

「味気の無い部屋でございます…」

「おぉ…!」

 

 お茶子ちゃんの部屋は、扇風機や急須、煎餅が置かれた和やかな部屋だった。

 

「何かこう…あまりにもフツーにフツーの女子部屋見て回ってると、背徳感出てくるね…」

「禁断の花園…」

 

 尾白くんが言うと、常闇くんが何かを呟く。

 最後は、5階の梅雨ちゃんと百ちゃんか……

 

 

「さぁ、どうぞ」

「「「「梅雨ちゃんっぽい!!」」」」

 

 梅雨ちゃんが部屋を見せると、お茶子ちゃん、志村、三奈ちゃん、透ちゃんが声を漏らす。

 梅雨ちゃんの部屋は、ミントグリーンを基調にしていて、蓮の葉っぱや水玉なんかのカエルを連想させる模様をモチーフにしたインテリアで統一されている。

 

 

「じゃ最後は八百万か!!」

「それが…私、見当違いをしてしまいまして…皆さんの創意溢れるお部屋と比べて…少々手狭になってしまいましたの」

 

 百ちゃんの部屋は、キングサイズのベッドをはじめとした高級家具が部屋の面積の8割方を占領していた。

 

「でけえーー!! 狭!! どうした八百万!」

「私の使っていた家具なのですが…まさかお部屋の広さがこれだけとは思っておらず…」

 

 百ちゃんが恥ずかしそうに言う。

 お嬢様なんだね。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 そして1階談話スペース。

 

「えー皆さん、投票お済みでしょうか!? 自分への投票はナシですよ!? それでは! 爆豪を除いた…第一回部屋王暫定1位の発表です!!」

 

 三奈ちゃんは、投票用の箱に手を突っ込みながら言った。

 

「得票数7票!! 圧倒的独走単独首位を叩き出したその部屋はーーーー砂藤ーーーーー力道ーーーー!!!」

「はああ!!?」

 

 部屋王に選ばれた砂藤くんは、自分でも驚いていた。

 

「ちなみに全て女子票! 理由は『ケーキ美味しかった』だそうです」

「「「部屋は!!」」」

 

 私以外の女子達が涎を垂らすと、男子達がツッコミを入れる。

 

「「てめーヒーロー志望が贈賄してんじゃねー!!」」

「知らねーよ、何だよすげえ嬉しい」

 

 上鳴くんと峰田くんが嫉妬に狂い、二人に詰め寄られた砂藤くんは満更でもない様子だった。

 こうして部屋王決定戦は、無事終わった。

 

 

 

 ☆破滅まで、残り7日───

 

 

 

 

 




神絵師を平気で殺そうとする転生者ェ…
そんなだから結ちゃんに嫌われるんすよ。

ちなみに部屋割りはこうなってます。
原作では上鳴くんは3階でしたが、常闇くんの暴走防止の為に隣の部屋に配置されていた青山くんが本作ではいないので、代わりに上鳴くんが2階にいます。


    2F
 男子   女子

 峰田   神剱
 緑谷   空室
 上鳴   空室
 常闇   志村

    3F
 男子   女子

 空室   耳郎
 口田   空室
 飯田   空室
 尾白   葉隠

    4F
 男子   女子

 障子   麗日
 切島   空室
 爆豪   空室
 空室   芦戸

    5F
 男子   女子

 空室   八百万
 砂藤   空室
 轟    空室
 瀬呂   蛙吹
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あの日、俺が『彼女』と出会ったのは偶然だったのかもしれない。▼けど、出会ったこと自体は決して間違いではなかったと今でも思っている。▼彼女がいなかったら、色んなことが変わっていたかもしれないから。▼これは、そんな闇の中で生きて、闇の中で育ってきた『彼女』と、アングラな俺が出会ったことで始まる物語だ。▼


総合評価:552/評価:7.59/連載:17話/更新日時:2026年05月29日(金) 23:19 小説情報

間違えずに、失う者たち(作者:助兵衛)(原作:僕のヒーローアカデミア)

 ある者は、憧れを前に正しい距離を保ち。▼ ある者は、より優れた後継者を選び。▼ 誰もがほんの少しだけ賢い選択を重ねていった。▼ その結果、救われる命は増え、守られる日常は広がり、▼ 世界はかつてよりも穏やかで、正しく回り続けている。▼ それは確かに、より良い結末へと近づいたはずの世界だった。 ▼ だが――▼ すべてが上手くいったその場所で、たった一人だけ、…


総合評価:571/評価:8.67/連載:35話/更新日時:2026年05月30日(土) 18:00 小説情報


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