“個性”把握テストが終わった後、私達は更衣室で着替えて、女子会をした。
せっかくだから皆の“個性”を教え合おうって事で、皆で順番に紹介をした。
「はーい、まず私ね! 私の“個性”は『酸』! 文字通り酸を出せるよ!」
「ケロケロ、私は『蛙』。蛙っぽいことが色々できるわ」
芦戸さんは掌から酸を出しながら、梅雨ちゃんはペロッと舌を出しながら自己紹介する。
「私は『
「お茶子ちゃんて、自分は浮かせられないの? 立ち幅跳びの時使ってなかったけど」
「できなくないけど、負担クソ重いからあんまりやりたくないんよ」
「あ、そこはアタシと真逆だね。アタシはむしろ自分に使う方が反動軽いよ。アタシの場合は、重力を小さくしてるんじゃなくて、別のエネルギーで釣り合いを取ってるイメージなんだよね。むしろ、キャプテン・セレブリティとかザ・スカイクロウラーの“個性”の方が近いかも」
そう言って志村は、“個性”で体操服袋を浮かせた。
キャプテン・セレブリティ? ザ・スカイクロウラー? 誰それ。
知らないキャラの名前出されても、わかんないんだけど。
もしかして、志村みたいにこの世界にしかいないイレギュラーキャラ?
「いいなぁ。ウチも離珠奈ちゃんみたいに飛び回ったり出来たらなぁ」
「そんなん言ったらアタシだって、周りのものを武器にできるお茶子ちゃんが羨ましいよ」
「お互い無いものねだりやね…」
お茶子ちゃんと志村は、お互いの“個性”の話で盛り上がった。
「ウチは『イヤホンジャック』。これで細かい音を聴き取ったり衝撃波を放ったりできるよ」
「私は見ての通り『透明化』だよ〜!」
「私の“個性”は『創造』。生物以外ならどんな物でも創れますわ」
耳郎さんは指先に耳朶を巻きつけながら、葉隠さんはパタパタ腕を動かしながら、八百万さんは胸に手を当てながら自己紹介した。
「それじゃ、最後は神剱だね」
「『霊剣』って言ってたけど、どんな“個性”なのかしら?」
「なんか剣を出したり髪の色が変わったりしてたよね!」
「電気出したり、腕伸ばしたり、とにかく凄かった!」
「関連性のない複数の能力…聞いたことがないケースですが…複数の“個性”を持っていらっしゃるのでしょうか?」
他の皆が、私の“個性”について色々考察する。
八百万さんは私を複数“個性”持ちだと予想しているようだけど、残念、不正解。
「ううん、“個性”はひとつだよ。わたしの“個性”は、剣を創造して、周りから吸収したエネルギーを溜めて自分の力として使えるの。例えば炎からエネルギーを吸収すれば炎の剣が出せるし、空を飛べる“個性”の人からエネルギーを吸収すれば、握るだけで空が飛べる剣が出せるってわけ」
「…凄いですわね。ですが、何かデメリットや制限はありませんの? それだけ強力な“個性”ですと、普通は何かしらの制約が伴うものだと思うのですが…」
「う〜ん、特に無いかな? 一度エネルギーを吸収したら、あとは自前のエネルギーで能力が使えるんだけど、そのエネルギーの出所もよくわからないんだよね。弱点と言えば、あんまりたくさん剣を創り過ぎちゃうと、自分で何の剣を創ったのか把握しきれなくなることくらいかなぁ」
「何それ、チートじゃん!」
私が説明すると、八百万さんと葉隠さんが驚く。
そんな中、志村は顎に手を当てて何かを考え込んでいた。
「弱点が無い“個性”、ねぇ…」
「…何?」
「んーん、何でもない」
私が志村の発言に引っかかって尋ねると、志村は首を横に振る。
何こいつ、何考えてんのか全然わかんないんだけど。
なんて考えてると、お茶子ちゃんが志村に話しかける。
「そういえば離珠奈ちゃん、爆豪くんと仲良さそうやったよね。どういう関係なん?」
「ああ、同中」
「おなちゅう? とは何ですの?」
「同じ中学校出身ってこと」
八百万さんが小首を傾げていると、耳郎さんが説明した。
「出久と勝己とは、小学5年の頃から一緒の学校なんだ。クラスは何故か5年間ずっとアタシだけハブられてたけど。BLの間に挟まる女は要らねーってか、カカカ」
志村は、頭の後ろで手を組んで自虐ネタを言いながら説明した。
やっぱり、志村は二人と同じ中学出身だったのか…
だから原作開始前から二人に介入できたわけね。
原作キャラと同じ中学出身とか、美味しいポジションにちゃっかり居座っちゃってさ。
なんて少しばかり対抗心を燃やしていると、梅雨ちゃんが志村に話しかける。
「あのね、私、思ったことは何でも言っちゃうの。離珠奈ちゃん、どこかで会ったことあるような気がするの」
「あ、そういえば…」
「誰かに似てるような…?」
「えー、そうかな? まぁ、世の中には三人同じ顔がいるって言いますし」
他の皆が志村に既視感を抱く中、志村はケタケタ笑いながらとぼける。
私もちょうど、志村に既視感を抱いていたところだ。
でも志村との会話を通して、やっと思い出した。
志村って、もしかして……
……いや、仮にそうだったとしても、だから何って話よ。
志村が私の事を知ってるはずがないし。
志村がこのタイミングで雄英に入学したのは、流石に偶然…だよね?
浮遊系の“個性”で、志村と似たような顔をした女を、私は一人だけ知っている。
志村
この世界線が原作から大きく逸脱する原因を作った女。
私がこの世界に転生するよりずっと前に転生した、もう一人の転生者。
☆破滅まで、残り137日───
転生者は、相澤先生推しのくせにヴィジランテ未履修です。
なので、コーイチ誰ソレ状態です。
オリキャラの解説です。
◆
本来存在しないはずのオリキャラ。
雄英ヒーロー科1年A組の新入生。
緑谷、爆豪と同じ折寺中学校出身。
どこか飄々とした性格。
芽華に目をつけられているが、本人が芽華をどう思っているかは不明。
『ワン・フォー・オール』7代目継承者・志村菜奈の血縁と思われるが、詳細は不明。
・容姿
ショートの黒髪に、浅葱色の瞳。八重歯と口元のホクロが特徴的。
右眼に眼帯をつけており、背が高く大人びている。
神剱芽華曰く、容姿が『チェンソーマン』の姫野先輩に似ている。
・“個性”
『浮遊』
空中に浮遊できる。
負担はかかるが他者にも適用でき、生物・無生物問わず発動できる。
本人曰く、キャプテン・セレブリティやザ・スカイクロウラーの“個性”に近い。
キャパオーバーすると眠くなる。
◆
もう一人の転生者。
芽華よりずっと前にヒロアカ世界に転生している。
『ワン・フォー・オール』7代目継承者・志村菜奈の血縁と思われるが、詳細は不明。