雄英高校入学二日目。
午前は必修科目、英語等の授業だった。
一時間目は、プレゼント・マイク先生が教える英語の授業だ。
『んじゃ次の英文のうち間違っているのは? おらエヴィバディヘンズアップ! 盛り上がれーー!!!』
プレゼント・マイク先生の授業は、至って普通だった。
そして昼休み。
「轟くん、一緒に学食行かない?」
「おう」
私は、早速轟くんに声をかけに行った。
だけど、その直後だった。
「轟く〜ん、一緒に食堂行こーよ!」
志村が、馴れ馴れしく轟くんに話しかけてきた。
志村の後ろには、緑谷くんと、飯田くんとお茶子ちゃんがいる。
は? こいつ、空気読めよ!!
せっかく轟くんと二人きりになれると思ってたのに!!
「あぁ、俺は構わねえが…」
轟くんは、チラッと私の方を見た。
すると志村は、私の方を見てハッとしたような表情を浮かべる。
「あぁごめん、神剱ちゃんが先に声かけてたのか」
「わたしは皆と一緒でもいいよ」
「ホント? じゃあ皆で一緒に行こうよ!」
こいつ……!!
さりげなく断れない空気感出しやがって…!!
ここで断ったら私が協調性無い奴みたいになるじゃん!!
いや、ここはポジティブに考えなきゃ。
むしろこれはボーナスステージ!
この世界線の情報を手に入れられるチャンスじゃん!
「んん、お米が美味い」
雄英高校にある大食堂では、一流の料理を安価で頂ける。
クックヒーロー“ランチラッシュ”を始めとする一流の料理人達が調理しているのだ。
食堂に移動した私達は、それぞれ食べたいものを注文した。
私と轟くんはざる蕎麦を、飯田くんは大盛りカレーを、お茶子ちゃんと志村は日替わり定食を、緑谷くんは大盛りカツ丼を注文した。
6人分の座席を確保して、男子三人、女子三人で分かれて向かい合わせに座った。
これじゃまるで合コンじゃん。
って、そうだった。
せっかく緑谷くんがいるんだし、志村とどういう関係なのか聞かないと。
「ところで、緑谷くん、“個性”把握テストの時凄かったよね。どんな“個性”なの?」
「それは俺も気になっていたところだ。ただの増強系の“個性”ではないようだが?」
「私も気になる!」
私が尋ねると、飯田くんとお茶子ちゃんも緑谷くんに尋ねた。
「えっと、僕の“個性”は『フルカウル』って言って、全身にエネルギーを纏って、身体能力を強化したりエネルギーを操作したりする“個性”だよ」
なるほど、そういう誤魔化し方をするわけか。
この流れで、ついでに志村や爆豪くんの事も聞いておこう。
「そういえば、志村さんと爆豪くんの記録も凄かったよね。確か同じ学校なんだよね? 何か関係あるの?」
「僕の“個性”、調整が難しくて。志村さんとかっちゃんには、“個性”を使いこなせるように、中学の頃から特訓に付き合ってもらってたんだ。お互いに長所や短所を分析し合って特訓してたんだけど、志村さんの教え方が的確だから、僕もかっちゃんも強くなれたんだ」
「なるほど、緑谷くん達の強さの秘密はその特訓にあったのだな!」
緑谷くんが若干早口で説明すると、飯田くんが納得した。
ああ、やっぱりそういう事か。
爆豪くんも志村も、ワン・フォー・オールの秘密を共有した上で、緑谷くんの特訓に付き合ってたのね。
緑谷くんと爆豪くんの仲が険悪じゃないのも、二人が原作より大幅に強化されてるのも、やっぱり志村の仕業だったんだ。
でも待って?
志村と一緒に特訓していた緑谷くんがオールマイトに認められてワン・フォー・オールを継承するなんて、そんな偶然あり得る?
志村は、緑谷くんがワン・フォー・オールを継承するのをあらかじめ知っていて、緑谷くんを強化する為に事前に一緒に特訓してたんじゃないの?
まさか
…いや、そんなはずない。
あいつには、そこまでの事ができる力はなかったはず。
だとすると、やっぱりただの偶然?
ダメだ、考えれば考えるほどこんがらがってきた。
◇◇◇
そうしているうちに昼休みは終わり、午後の授業が始まった。
「わーたーしーがー!! 普通にドアから来た!!!」
HAHAHAHAと特徴的な笑い声を響かせながらオールマイトが教室に入ってきた。
「オールマイトだ…!! すげぇや本当に先生やってるんだな…!!!」
「
皆が、実物のオールマイトを見て興奮している。
改めて見ると画風が違うな…
皆からのキラキラした眼差しを受けながら、オールマイトが声高らかに告げる。
「ヒーロー基礎学! ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う課目だ! 単位数も最も多いぞ! 早速だが今日はコレ!! 戦闘訓練!!!」
「戦闘……」
「訓練…!」
オールマイトは、『BATTLE』と書かれたカードを見せながら宣言する。
戦闘訓練、その響きに皆が興奮する。
実は私も結構テンション上がってます。
「そしてそいつに伴って…こちら!!! 入学前に送って貰った『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた…『
「おおお!!!!」
オールマイトが手元のリモコンを操作すると、壁からケースが迫り出す。
ケースの中には、21人分の新品のコスチュームが収められていた。
「着替えたら順次、グラウンド・βに集まるんだ!!」
「「「はーい!!!」」」
私達は、元気よく返事をして更衣室に移動した。
◇◇◇
「芽華ちゃんのコスチューム、カワイイ!」
「カッコいいし」
「ゲームのキャラみたい!」
「素敵ね」
「そうかなぁ」
私のコスチュームは、女子の皆に好評だった。
私のコスチュームのデザインは、白と銀を基調としたドレスアーマーだ。
胸元とお腹が露出した紺色のレオタードの上に、裾の部分がマントみたいに広がった白い上着、さらにその上に白いフリルのついた銀色のチェストアーマー。チェストアーマーのフリルはお腹から脚の付け根くらいまでの長さで、ミニスカートみたいになっている。
手足には、チェストアーマーと同じ色の籠手とレッグアーマー。
レオタードが鋭角のハイレグで、両脚には白いニーハイソックスを履いているので、絶対領域が丸見えになっている。
「皆コスチュームカワイイね。アタシももうちょっとカワイイデザインにすれば良かったかな」
志村のコスチュームは、ヒーローというより、サラリーマンという印象を受けるデザインだった。
黒のビジネススーツに、白のシャツに、黒のネクタイ。
靴は黒のレースアップブーツ。
ネクタイには金色の三日月型のボタンが付いていて、耳にはイヤリング型の通信機器がついている。
マジでパッと見姫◯先輩じゃん。
「志村さんそれ、動きにくくないの?」
「いやぁ、それが全然動き阻害されないんだよ。温度の調節機能がついてるから、年中着られるし。最近のサポート会社ってすごいんだね」
私が話しかけると、志村がヘラヘラ笑いながら答える。
着替え終わった私達は、皆で一緒に女子更衣室を出て、グラウンド・βに向かった。
◇◇◇
「始めようか有精卵共!!! 戦闘訓練のお時間だ!!!」
オールマイトの前には、私達A組21人が勢揃いしていた。
皆ほとんど原作通りのコスチュームだったけど、轟くんと緑谷くんはデザインが違っていた。
轟くんは左半分を氷で覆っていないし、緑谷くんはオールマイトの触角を模したマスクはつけているものの、ちゃんとサポート会社に作ってもらった機能性のあるコスチュームを着ている。
「良いじゃないか皆!! カッコいいぜ!!」
オールマイトが、私達のコスチュームを見てサムズアップをする。
峰田くんが、しゃがんで私のスカートの中を覗きながら「ヒーロー科最高」なんてほざいていた。
白いアーマーを纏った飯田くんがガシャン!と音を立てながら手を挙げる。
「先生! ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
「いいや! 今回は屋内での
飯田くんの質問に、オールマイトが答える。
そっか、この世界線では21人だから、どっかのチームが三人になるのか。
なんて考えていると、梅雨ちゃんが口を開く。
「基礎訓練も無しに?」
「その基礎を知る為の実戦さ!」
梅雨ちゃんが質問すると、オールマイトはサムズアップをしながら答える。
「勝敗のシステムはどうなります?」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか…?」
「分かれるとはどの様な分かれ方をすればよろしいですか!」
「んんん〜〜聖徳太子ィィ!!!」
八百万さん、お茶子ちゃん、飯田くんが質問すると、オールマイトが唸る。
「いいかい!? 状況設定は
オールマイトがカンペを読みながら説明すると、皆が「設定がアメリカン…!」なんて呟く。
言うほどアメリカンか?
「コンビ及び対戦相手はクジだ!」
「適当なのですか!?」
「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップする事が多いしそういう事じゃないかな…」
「そうか…! 先を見据えた計らい…失礼致しました!!」
「いいよ!! 早くやろ!!」
緑谷くんの発言に飯田くんが勝手に納得する中、オールマイトがヤケクソ気味に説明を終わらせた。
こうして、チーム分けが行われる。
Aチーム:麗日お茶子&緑谷出久
Bチーム:障子目蔵&神剱芽華
Cチーム:峰田実&八百万百
Dチーム:飯田天哉&爆豪勝己
Eチーム:志村離珠奈&轟焦凍
Fチーム:口田甲司&砂藤力道
Gチーム:芦戸三奈&上鳴電気&耳郎響香
Hチーム:蛙吹梅雨&常闇踏陰
Iチーム:尾白猿夫&葉隠透
Jチーム:切島鋭児郎&瀬呂範太
「アタシは轟くんとか。よろしく〜♪」
「ああ」
「Eチームは良いチーム、なんちって」
「…おう」
ああもう、なんでよりによって志村が轟くんとペアなのよ!!
あとその変なギャグクソ滑ってるし!
「続いて最初の対戦相手は、こいつらだ!!!」
オールマイトは、色違いの箱からボールを一個ずつ取り出した。
白いボールには『A』、黒いボールには『D』と書かれている。
「Aコンビが『ヒーロー』!! Dコンビが『
最初の組み合わせは、原作通りだった。
最初の4人が移動する中、私達は地下のモニタールームに移動して観戦した。
「え、何これ…原作と全然違う…」
第一戦の結果は、原作とは大きく違っていた。
結論から言って、勝ったのは爆豪くん達
最初こそ爆豪くんが奇襲をかけ、緑谷くんがお茶子ちゃんを核のある部屋へ行かせたのは同じだったけど、爆豪くんと飯田くんはちゃんと連携が取れていたし、爆豪くんは私怨じゃなく、戦闘力の高い緑谷くんを飯田くんのところに行かせない為に足止めしていた。
飯田くんはほぼ原作通りの立ち回りをし、お茶子ちゃんは自力で頑張って飯田くんから核を奪おうとしていたけど、あとちょっとのところで時間切れ。
4人とも大きな怪我はなく、無事に訓練が終わった。
第一戦のMVPは爆豪くんだった。
初手で奇襲をかけてヒーローチームを分断し、緑谷くんを核のある部屋から遠ざけて、仲間の飯田くんに勝ち筋を作った事が評価された。
そして次点は緑谷くんだった。
結果的には核の回収には失敗したものの、仲間や核に被害を出さないようにお茶子ちゃんを逃がして爆豪くんを最大限食い止めた事が評価された。
原作通りだったのは、飯田くんが堅すぎるとコメントされたのと、お茶子ちゃんの気の緩みが注意された事くらいか。
第二戦は、ヒーローチームが梅雨ちゃんと常闇くんのHコンビ、
常闇くんが
MVPは梅雨ちゃんだった。
第三戦は、ヒーローチームが芦戸さん、上鳴くん、耳郎さんのGチーム、
この試合は、ヒーローチームの人数が多いので、公平を期す為に制限時間は他の試合より5分少ない10分、そしてヒーローチームは三人のうち二人が確保された時点で負けというルールだった。
八百万さんと峰田くんは、三人の“個性”に完璧の対策をした上で核のある部屋を守り固め、制限時間いっぱいまで核を守り切り、
MVPは八百万さんだった。
第四戦は、ヒーローチームが口田くんと砂藤くんのFコンビ、
体格の大きいヒーローチームの二人が肉の盾で
MVPは口田くんだった。
そして最終戦。
ヒーローチームが私と障子くんのBコンビ、
轟くんが敵になっちゃったのはショックだけど、これはある意味ボーナスステージ。
この試合で活躍して、カッコいいとこ見せないと!
本作でのデクのコスチュームは、サポート会社にちゃんとしたものを作ってもらっています。
学校に提出する用のデザイン案は引子さんが用意したという設定です。
ついでに、戦闘訓練の試合表を載せときます。
白丸が勝ったチーム、黒丸が負けたチームです。
ヒーローチーム ヴィランチーム
第一試合 ● Aコンビ(麗日・緑谷) VS Dコンビ(飯田・爆豪) ◯
第二試合 ◯ Hコンビ(蛙吹・常闇) VS Jコンビ(切島・瀬呂) ●
第三試合 ● Gチーム(芦戸・上鳴・耳郎) VS Cコンビ(峰田・八百万)◯
第四試合 ◯ Fコンビ(口田・砂藤) VS Iコンビ(尾白・葉隠) ●
第五試合 Bコンビ(障子・神剱) VS Eコンビ(志村・轟)