死滅回游 泳者 八百歳比名子   作:螺旋坊主

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第24話 ――――見せろ

 

 

 

 ――世界を、眺めていた。

 

「――――」

 

 かつてあざみの手にかかり、腕が飛び、下半身が飛び、身動きを取る術が消し飛んだまま、崖から海に落下して。

 波間を漂い、口に飛び込んでくる小魚を食みながら、ただ世界を眺めていた、あの頃を思い出す。

 

「――――」

 

 汐莉には、親兄弟はいない。

 人間の幼児期、あるいは呪霊の呪胎に相当する期間があったかすら定かではない。いつの間にか、気づいた時には現在と同じ姿の人魚として存在していた。

 側に家族などいたこともない。愛され、慈しまれ、心を繋げてもらった経験などありはしない。

 ああ。私は、世界の“外側”にいるんだ――そんなことばかり考えて、海底からぼんやりと生命を、水面を、その上から照る太陽を見ていた、空虚な日々。

 

 ――今の汐莉の置かれた状況も、あの頃とよく似ているように思えた。

 

「――――」

 

 深い。深く、深く、どこまでも深い。

 どうしようもなく深いところに沈んで、身動ぎ一つできない。手を伸ばそうとしても足掻こうとしても粘つく水流が四肢へ絡みつき、指先一つさえ自由にならない。そんな状況。

 あのころと違うのは、汐莉の自由を奪っているのが肉体の欠損ではなく――死滅回游が始まってから降り注ぎ続けた絶望と、精神の疲弊だ。

 心の中に澱のように重なった諦念が、腐った海藻のように全身に纏わりついている。

 

「――――」

 

 もう一つ違うのは、ここはあの時のような海底ではない、魂の奥底。すなわち、自分という深海の最深部であるということだ。

 水底みたいに暗く、冷たい、しかしあの時漂っていた海には確かに存在した生命が影も形もない、汐莉自身の意識の底。

 

 ――そしてその()では、誰かが自分の体を使っている。

 

「――――」

 

 呪物。汐莉が無理矢理呑み込まされた、あの悍ましい指。

 それを媒介に侵入してきた何者かが、汐莉の体を勝手に動かし、勝手に言葉を発している。

 

 誰かと戦っている。誰かを見下している。誰かを嗤っている――その全てを、汐莉はぼんやりとしか把握できない。

 まるで水中から水面越しに世界を見上げるように。遠く、曖昧に、輪郭の崩れた景色としてしか認識できない。

 

 当然だ。あの怪物は、汐莉のことなど一顧だにしていない。汐莉の裡を土足で踏み荒らしておきながら、あの子のように“内側”に入れてくれる気など露ほどにもない。

 奴にとっての汐莉はただの器。ただの肉袋。

 必要だから使っているだけで、それ以上でも以下でもない。

 

「あぁ――」

 

 そうだ。ずっと、ずっと、生まれた時からそうだったではないか。

 世界は。汐莉以外に存在するあらゆるものは、いつだって、汐莉を“外側”に置き去りにするのだ。

 

「…………」

 

 抗おうとは思えなかった。

 その、気力もなかったから。

 

 ――あの時、比名子に振り下ろした人魚の爪。

 完全に人魚へ変態したわけでもない、大部分はヒトガタを残した姿だったけれど、それでもアレは渾身の一撃だった。

 怒りも、焦りも、悲鳴も、胸中を渦巻く激情を全て乗せた一撃だった。

 

『……どうしたの?』

 

 比名子は、それをいとも容易く止めた。

 春風でも受け止めるみたいに、呪力の流れすら知覚できないほど自然に、服のほつれ一つなく、汐莉のことを気に掛ける余裕すら残して。

 

「比名子が……」

 

 一秒でも長く、ただ存在し続けていてほしい。呪いなどに関わらず、平穏に、健やかに暮らしてほしい。汐莉の本来の望みはそんなささやかなものだった。

 けれど、10年前の忌まわしいあの事故で、比名子の笑顔はどうしようもなく陰ってしまった。幸せに満ちた日々など望むべくもなく、比名子は自らの死を望み続ける存在になり果てた。

 

 ならばせめて、比名子の望む死を。「圧倒的な力による、避けられない死」を、汐莉は与えてやらねばならなかったのに。

 

「今の私は」

 

 今の汐莉は、何だ。

 何百年も無駄に永らえ。何一つ成し遂げられず。側にいた子には恨まれ続け。大切な人の望みを叶える術すら失った木偶の坊。

 何が不老不死の人魚だ。海底に沈んだ流木め。砂浜に打ち上げられた腐った鯨め。波に削られ、貝を張り付かせ、魚の住処になるだけの残骸め。

 

 支配に抗う術もない、抗う気力もない、空っぽだ。

 腹を裂かれた魚みたいに中身が無くて、網にかかったクラゲのように意思がない。そんな存在は――、

 

「…………もう、いい」

 

 どうせ自分が何の役にも立たないのなら。

 今更、自分が何をしたところで、どうにもならないだろう。

 

 汐莉はそうして、目を閉じようとした。

 

 

 

『――もっともーっと、ヒナとあそぼ!』

 

 

 

「――――――――ぁ?」

 

 声が、聞こえた。

 水底へ、魂の奥底へ、うずくまって腐っている汐莉(ゴミ)の内側に、響いた。

 ――その声に反応し、汐莉はゆっくりと顔を上げる。

 

 意識の底は、水底が石床に変わった海のような印象を受ける奇妙な場所だ。

 遥か上方に水面があり、その向こうに現実世界がある。

 差し込む日の光だけを頼りに、おぼろげに外を知覚するしかない、そんな場所。

 

 なのに、今。

 その光が、異様なほど強く差し込んでいる。

 まるで太陽そのものが海へ落ちてきたみたいだった。

 

「――――」

 

 ――その逆光の中に、一人の少女がいた。

 

 顔は見えない。水面を隔てた誰かの表情を見通せる視力を、汐莉は持ち合わせていない。

 

 それでも、見えた。見えてしまった。

 

 

 少女が――――比名子が、爛漫に笑っている。

 

 

「ぁ――――」

 

 深海の底から浮かび上がる泡のように、曖昧な吐息が一つ零れる。

 魂の奥底を掻きまわされたような震えが、掠れ切った音声となる。

 

 ――瞬間、汐莉の胸に、感情が雪崩れ込んできた。

 

 歓喜。

 

 安堵。

 

 困惑。

 

 焦燥。

 

 渇望。

 

 祈り。

 

 どうしようもないほど大量の感情が、一気に。

 あれだ。あれだ。汐莉がもう一度見たかった顔。一度はもう、二度と見られないと思ってしまったあの顔だ。

 

「何が、彼女を」

 

 変えてくれたのか。

 見なければ。一刻も早く。

 どういう感情が、比名子をあんな風に笑わせてくれたのか。

 一体誰が、汐莉では取り戻せなかった笑顔を、取り戻してくれたのか。

 

「行かなければ」

 

 汐莉の魂が軋む。「呪言」に押さえつけられていた意識が、ぎりぎりと浮上を始める。

 怪物がなんだ。呪物がなんだ。

 自分より格上? 超越者? ――だから、何だというのか。

 

「確かめなければ」

 

 どこの誰とも知らない寄生虫が、勝手に私の体を使うな。何百年も浅ましく生にへばり付く矮小な呪い風情が、永遠の存在たる汐莉の意思を抑えきれると思うな。

 先刻は薄汚いゴミと自嘲した人魚という存在。己を鼓舞するために、今だけは、偉大な存在だと誇示しよう。

 

 今すぐ、即座に、とっとと私の体を返せ。

 そして私にアレを見せろ。

 

 見せろ。

 

 見せろ。

 

 見せろ。

 

 ――――比名子の笑顔を、私に見せろ!!!

 

 

--------

 

 

「――――ッ!?」

 

 びきり、と、宿儺の意識の奥で何かが蠢く。

 きわめて微細な違和感。しかしそれは、決して無視できない異物感だ。

 

 それは、自らの裡に沈めていたはずの魂が、深海の底から浮かび上がってくる感覚だった。

 

「…………」

 

 汐莉の記憶。感情。価値観。それらは受肉の過程で宿儺の脳内に流れ込んできている。

 ゆえに宿儺は理解した。この抵抗。執着。その正体が人魚、近江汐莉のものであると。

 

『見せろ』

 

 宿儺の中へ、脳髄に直接爪を立てるような声が響く。

 

『見せろ』

 

 重い。あまりにも重い。

 何百年もの間、腐らず死なず終わらず、永遠という檻の中で沈殿し続けた生命が、初めて抱いた情念。

 その全てが、たった三文字に圧縮されている。

 

『見せろ』

 

 比名子――今宿儺と戦っている、あの娘の笑顔に反応し、沈み切っていた汐莉の魂が、再び息を吹き返したのだ。

 汐莉が比名子に抱く愛。宿儺に封じ込められた状況でなおそれを求めるという、汐莉の身の丈を超えた理想に手を伸ばし続けることによって。

 

『見せろ』

 

 圧倒的な強さ。それゆえに抱くことのなかった、身の丈に届かぬ願い。

 

 だからこそ――宿儺は、まだ、気づかない。

 

 遥か格下の弱者が、理想を貫く意志の強さでのみ、宿儺と並ぶことが出来ると。

 

「沈め――」

『黙れ』

 

 先程と同じように吐いた呪言。魂への絶対命令が、真正面から弾き返される。

 宿儺の魂に対する強烈な拒絶。猛烈な勢いで、自分を体外へ叩き出そうとする力が膨れ上がっていく。

 同時に――、

 

「~~~~~~~~!!!」

 

 術式反転「旱」――比名子の放った小さな恒星。視界を焼き潰す光量と殺意そのものが変換されたような灼熱が、宿儺と汐莉の肉体の同調を一瞬で削り取って行く。

 宿儺の頬が焼ける――否、焼かれているのは魂だ。肉体との接続が急速に乖離していく。

 このままでは引き剥がされる。そんな思考が脳裏をよぎった次の瞬間――、

 

 ――光が、消えた。

 

「…………?」

 

 唐突に、小さな太陽が輪郭を失う。

 溶けるように。崩れるように。超越的な呪力の塊が、あり得ないほど小さな干渉によって搔き消される。

 

 それを見た宿儺は、初めての感覚に襲われる。

 例えるなら、重力。それに逆らって空を駆けることはできても、それそのものを世界から消し去ることは出来ない、世界を縛る絶対則。

 

 ――宿儺の目には、そんな絶対不変の原理が突如として出現し、あの光玉を呑み込んだように見えた。

 

「――――」

 

 そして、それを為した術式――その矛先が比名子に向けられ、一息に彼女を呑み込む。

 呪術全盛の世に君臨した呪いの王ですら理解の外の概念を操る術式が、景色を歪ませ、空間を軋ませ、あっという間に比名子の姿を見えなくする。

 

 ――だが、もう遅い。

 

「――ア゛ア゛ア゛ア゛アア゛ア゛ア゛ッッ!!!」

 

 宿儺の絶叫。

 それは喉を震わせ、肺から空気を吐き出して発せられる“声”ではない。

 魂そのものを無理矢理引き千切られるような、存在の根幹から迸った断末魔。

 

 ――次の瞬間、弾けた。

 

 汐莉の身体から、宿儺の魂が、空中へ。

 飛沫を撒き散らすように、災厄そのものが肉体から叩き出される。

 

「ぐ、うぅぅぅっ」

 

 胃を強く押し潰された時のような情けない苦鳴。

 肉塊に乱雑に指と口と目を付けたような醜い姿を晒し、宿儺は為す術もなく空中から落下していく。

 

 ――だが、程なく宿儺はその苦鳴を止める。

 もう、声を漏らす必要がなくなったからだ。

 落下の最中――その目が、次なる“器”を見つけていたからだ。

 

 ――一人の少女が駆けてくる。

 宿儺が視認したのは、洋装。金髪。碧眼――都合よく、開かれた口。

 

「お、おぉぉぉぉ――――――っ!!」

 

 宿儺は迷わない。

 開かれていた小さな口に、消えかかった自らの存在を無理矢理ねじ込んでいく。

 

 ――虎杖や汐莉とは違い、彼女は宿儺の存在に対する拒絶を一切することがなく。

 

 宿儺は、三度目の受肉を果たす。

 

「――エリカ!! 勝手な真似を!!」

 

 少女の怒号がその場の空気を震わせる。

 比名子の術と比名子自身を己が術式で呑み込んだ術師――あざみが、比名子から視線を外し振り返る。

 

 洋装の少女――あざみの連れていたエリカという妖怪の体には、罪人のように醜い刺青が浮かんでいた。

 

「――人魚から剥がされる間際、奴から肉を少々引きちぎっておいた。受肉と共にこの妖怪に食わせ、疑似的な不死の器とするためにな」

 

 まんまと肉体から叩き出される無様な醜態を晒しておきながら、それをまるで感じさせない余裕を浮かべた嗤い顔。

 その言葉に、あざみの表情が凍る。

 

 ――私の所有物を、憎むべき人魚の肉で、穢した?

 

 その事実はまさしく、彼女の心の逆鱗をバラバラに引き裂くが如き所業で。

 

「――――」

 

 怒りのあまり消えた表情で、彼女は宿儺に術式の照準を合わせる。

 羂索が目覚めさせてくれた「茫洋」、世界の定義を崩壊させる概念を、眼前の死にぞこないに向け――、

 

「――大島のおばさんだぁ」

 

 背後から無邪気な声がかかった瞬間、あざみが総毛立つ。

 声色の純真無垢さとは途方もなくかけ離れた、呼吸すら忘れかけるような圧倒的な存在感が、真後ろから吹き荒れる。

 

 ――振り返った先にいた比名子は、場違いなほど明るい、にこにことした笑顔だった。

 

「嘘でしょ……」

 

 手加減したつもりはなかった。2週間前に汐莉をミンチにした時とは比較にもならないほど強く、あざみはあざみの“概念”を比名子に押し付けたはずだ。

 効いていないわけではない。比名子の体はいたるところから血が噴き出て、手指の何本かは欠損している。間違いなく、あざみの「茫洋」が比名子の体を溶かしているはずなのに。

 なんで、平然と立っていられる。肉体を世界に溶解させられて、なんで存在を保っていられる。

 

「おばさんも、ヒナと、あそぼ?」

 

 嬉しそうに、屈託なく、首を傾げる比名子。あざみがつけた傷は、もうとっくに治っている。

 ――なんて、余計なことを考えている暇はない。

 

「宿儺は――」

 

 羂索はどうやら奴と何らかの約束を結んでいるらしい。であるので、宿儺もある程度は羂索の言う事に従ってくれると。

 つまり、宿儺はあざみと同じ羂索陣営。果てしなく業腹だが、目の前の比名子(怪物)に確実に対応するため、援助を要請しようと――、

 

「……不老不死の原点たる人魚自身の肉体ならまだしも、その肉で不死になった程度の紛い物では俺を受け止めきれんらしい」

 

 ――吐き捨てる宿儺。その体の至るところから血が溢れていた。

 血反吐を吐き、肉が裂け、ガクリと膝をついている。

 明らかに、裡に入れたモノに器の強度が追い付いていない。

 

「やはり、何事にも仕上げは必要だな」

 

 エリカの肉体が軋み、悲鳴を上げている。

 少し動いただけではち切れそうな有様だった。

 

 ――ならば、自分でやるしかない。

 

「……そうね。私、比名子ちゃんのおばさんだったわよね」

 

 あざみが術式に目覚める前、汐莉(アレ)の血を取り込んだ比名子に取り入るため、エリカの呪いを使用して自分を「大島のおばさん」という存在しない叔母だと思い込ませた。

 呪いに覚醒し、一般的な術師の枠組みに収まらない特級の力を得た今の比名子であれば、エリカの矮小な呪い程度とうに解けているであろうに。

 それでも自分を「おばさん」と呼ぶのは、単なる悪趣味な揶揄いか、それとも――、

 

「……いいわ」

 

 ぱちりと、日傘が開く。

 

 禍々しく、美しく、月光に濡れた毒花めいた破滅的な魅力を纏い。

 

 死を煮詰めたような鬼気が、その細い身から噴き上がる。

 

「おいで、比名子ちゃん」

 

 あざみが嗤う。

 獣みたいに。

 狂人みたいに。

 

 ――そして。

 

「おばさんが、遊んであげる」

 

 ――次の瞬間、常外の物量と、未知なる概念とが衝突し、世界の法則を根本から塗り替えた。

 

 

--------

 

 

「……何が」

 

 起こっているのか、途中までなら理解できないわけでもない。

 自分達がいる総合病院の遥か先、そこで圧倒的にぶつかり合っていた大海と斬撃の嵐。

 それが止んだと思えば今度は小さな光玉が現れ、その熱波がこちらまで届き、季節外れの猛暑を味わい。

 

 その光が何かに呑まれた直後、今度こそ何にも例えようのない意味不明の力が海と衝突し始め――その瞬間から彼らの認識は理解の外に飛んで行った。

 

「――――」

 

 おおよそこの世界の頂点に近いであろう比名子の“海”の呪術と、相対する和装の少女が解き放つ呪力の伴わぬ概念とが衝突し、見たこともない色が生じ、広島結界全体に聞いたこともない音が響く。

 それは都市を圧し潰す瀑布、空を切り刻む斬撃、万象を干上がらせる熱光、そういった物理的破壊の顕現とはまた異なった破滅の光景だ。

 

 衝突。爆砕。溶解。崩壊。景色が元に戻る暇もなく、また別の景色に塗り替えられる。まるで古い世界を破壊し、その残骸を材料に新たな世界を組み上げているようだった。

 そしてその乱暴な現実改変、世界改変は、二人の少女の力がぶつかり合うたびに何度も、何度も、何度も生じる。

 

 

 ――一人の人魚の気まぐれから転じた二人の少女の運命の交差は、絶え間ない破壊と再生を広島の地に刻み込む。

 

 

 それを見ていた病院の屋上の面々には二種類。

 汐莉を助けに行こうとして下手に近づけば、そちらに意識が向いて戦いの均衡が崩れる可能性が高い――そう考え、比名子の強さと汐莉の不死性に懸けて不干渉を決め込む者。

 ――あるいは、自分の有している呪術とあの戦いのスケールが違いすぎて、干渉しようという想像すら湧いてこない者。

 

 彼らに共通することは――結局、それを見ていることしかできないということだった。

 

 比名子たちの神話的な激突が世界を乱雑に捻じ曲げるのも。

 

 得体の知れないナニカに精神を侵されながら、倒れ伏す汐莉が巻き込まれないよう配慮する比名子の意思が、その衝突をゆっくりと汐莉から遠ざけていくのも。

 

 汐莉から弾き出された後、幼い少女に懲りずに受肉した宿儺、奴がどういうわけか体中から血を流し、必死の形相の白髪の坊主に抱えられてその場を離れていくのも。

 

 そのぶつかり合いが終息するまで、見ていることしか、できなかった。

 

 

 

 できなかった。

 

   

 

 




 汐莉の自虐シーン、やたら筆が進みました。何故。
 あと、広島ごめんなさい。

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