※最終加筆2022/9/10
人類が宇宙に生活圏を移して半世紀、サイド3が独立国家ジオン公国を名乗った時、俺はやっぱりそうかと思った。殺伐とした宇宙世紀の世界だ。
なんやかんやあって一年戦争が始まり結局、国力差で連邦の反撃が始まったわけだが、「戦争は数だよ兄貴」は名言ですな。
あの厳つい顔からよくぞミネバちゃんなんて希少種が生まれたな。将来はタイを直してくれるお姉様かもしれないが、今のミネバちゃんも中々よろしい。チュッチュッしたいです。ぐへへへ。
ジオン本土防衛の砦、ア・バオア・クーに向かう連邦艦隊。その一翼を第13独立戦隊が担っていた。
原作ではホワイトベース一隻のはずが、サラミス級巡洋艦が六隻、レパント級フリゲートとコロンブス級輸送艦も付いている。
宇宙国語辞典によると戦隊とは二隻以上の軍艦で組んだ部隊を言うそうで、マゼラン級よりもやっすいサラミス級は三~四隻で一個の隊、それが数個集まって戦隊を組むそうだよ。
俺の前に佇むRX-78ガンダヌ。「ム」ではなく「ヌ」なのは俺と言う異分子の存在の結果だろうか。
思えば遠くへ来た物だと武田鉄矢の曲が脳裏を流れる。気分は未来からやって来た青狸の映画か。
え、どうでも良いって? 馬鹿野郎、回想ってのはお約束なんだよ。
さあ、俺のガンダヌ戦記行くぜ!
U.C.0079、中立コロニーのサイド7に俺、ホンマ・ヤネンはいた。空にも大地がある円筒形の宇宙コロニーです!
このコロニーは連邦の影響下にあり、連邦軍の秘密施設が存在した。公然の秘密ってやつで、住民は連邦軍関係の軍人や軍属、企業。それらの家族だ。
「ジオンの糞虫どもが調子に乗りおって。我ら地球連邦は、劣等人種の宇宙人ごときに負けはせん」
「あら貴方、宇宙で生まれたらみんな宇宙人なの?」
「ああ。糞虫ってのは勝手に繁殖するから始末に悪い」
俺の両親はガンダヌ開発計画に加わっている軍属の技師だ。原作のアムロポジションなのかと思ったがアムロはアムロで居るんだ。
俺は学生で、学生の本文は勉強にあると言うが、思春期のリビドーは抑えきれない。徹夜で無料エロ動画を見て明け方に寝た。ウイルスや架空請求は怖いが、思春期の体だ。リビドーは抑えられないのだ!
さて、どれくらい寝ただろうか。
「ホンマ、起きなさい」
目を開けるとボブカットな茶髪の少女が映った。動画の姉ちゃんたちと比べて、体型はまだ成長途中でお子様だなと、失礼な採点を内心で取る。
「おはよう、フラウ」
ご近所のフラウ・ボゥ。日本人の命名基準や感性から考えて、妙な名前の少女が今日も起こしに来てくれた。
別にフラグって訳ではない。同年代でほぼ一人暮らしの俺を気にかけてくれている。ええ子やで。
「いつも、すまないねえ」お約束なので言っておく。
「そのベタなギャグはいらないわ」
フラウの頭を撫でようと手を伸ばしたら、あっさりと弾かれる。イケメンでないとナデポは難しい。
用意してあった着替えを投げ付けてくるフラウ。あんたはお母さんか!
「連邦の船が入港したから避難命令が出てるの。急いで」
「へいへい」
着替えると二人で向かい側にあるアムロの家に向かう。アムロの親父さんはガンダヌ設計の監督で、俺の両親の上司に当たる。親が職場に籠りっきりで立場的に俺もアムロと同じって訳だ。
かつて知ったるなんとやらで、アムロの家のホームセキュリティを解除して俺とフラウは家に入る。
「相変わらず、きたねえ家だな。典型的、片付けの出来ない屑だな」
毎朝、フラウが片付けをしてくれているがアムロは汚すのが速い。食いかけのチャイニーズフードの紙タッパが箸を突っ込んだまま放置されている。
「喉乾いた。何かねえのか」
知った家だ。冷蔵庫をあさりコークをいただく。
「かーっ」炭酸の喉越しが効く。目覚めはばっちりだ。
やっぱり朝一番はこれだよな。
「Hey yo、兄弟。起きてるか」
イカ臭いアムロの部屋をノックする。
「ホンマにフラウ。もう朝なのか」
のっそりと出てきたアムロは肥えた腹をぼりぼりかきながらあくびをしている。
「呆れた。また夜更かししたのね」
ドアの隙間から見えた室内。アムロの枕元に置かれたティッシュの箱に俺は気付いた。
「Hey dude。おいおい、幾ら思春期とは言えやりすぎは禁物だぜ。HAHAHA」
おかずは金髪さんだろうか。俺個人としては黒ギャルも捨てがたいが、世の中では熟女・近親・人妻が売れ筋だと言う。嘆かわしい限りだ。
「一物だけに禁物って何でやねん!」
「へぶっ!」
フラウの一撃をくらいよろめく俺。
下らないやり取りをしているとサイレンの音が聞こえた。何よ?
「何、警報?」
続いて断続的に爆発音が聞こえた。何かの事故かと思ったが気付いた。
轟音と共に現れた緑の巨人。赤い一つ目が光る。
「ジオンのモビルスーツ!」
MS-06C-6、ザクⅡだ。マジでかっこいい! ジーク・ジオン!
あのザク、フリッツタイプの頭をしてるな。この時期に普及してたのか?
って、今日がシャア襲来の日だったのか。平和ボケで開戦から8ヶ月目の大イベントを忘れていた。
ザクマシンガンの120mm弾がコロニーの外壁を破壊した。激しい吸引力で吸い出される空気と土。こいつは危険だ!
「What!? あの糞野郎、コロニーで発砲しやがった」
自分の生活を脅かされて怒りが沸き出してくる。ともかくもあいつを倒さないと。
「アムロ!」
そう、アムロが────
あれ?
フラウが倒れたアムロの腹をたぷんたぷんと揺すっている。デブが。
「う~もう食べられないよ~」とのたまうアムロ。この危機に何を悠長に言ってるんだ。
「そんなベタなボケいらんわ!」
フラウの突っ込みでアムロが気絶した。おいおい、お前ら夫婦漫才してる場合か。
あ、正確にはアムロがバナナの皮を踏んで頭を打って気絶している。
誰だよ、バナナの皮を捨てやがったのは!
連邦の
糞、ここは俺がガンダムに乗るしかないのか。
よし、やってやるよ! 俺がガンダムだ!
「ホンマ!」
走り出した俺にフラウが声をかけてくる。
「逃げるなら私も連れていって!」
転けそうになるが耐えて決め顔で告げる。
「俺に任せろ」
「キモい……」と言う彼女の台詞を聞き流し片手をあげてそのまま走る俺。重力の軽いコロニーで過ごしてると体力不足を感じる。息切れしてきた。
撃破された連邦軍のトランスポーターが見えた。あれだ。
よじ登ってシートを捲ると、下は間違いなくガンダヌがあった。
それにしても、何でこんな重要機密に護衛が付いていないんだ? 責任者は職務怠慢だぞ。
そう言えばテム・レイ大尉か?
まあ良い。今は目の前のこいつを動かす事だ。
両親のPCを覗いて操作は分かっている。
「フフン、分かる。分かる。こいつ動くぞ」
起動するガンダヌのOS。ユーザー登録から始めるのか?
そして俺が初期設定に苦労している頃、ジオン軍新兵ジーンの操るザクは破壊の限りを尽くしていた。ガンタンクが脆くも破壊されている。
「そこまでだジーン!」
コーディネーターと違い時間はかかったが、設定を終えた俺はガンダヌで格好良く駆けつけた。
破壊の限りを尽くす悪党め、もう勘弁出来ぬ。正義のパンチを食らわしてくれる。
『な、何故俺の名前を。それに連邦のモビルスーツ?』
ガンダヌに気付いてザクマシンガンの銃口を向けてくる。
「遅い! 俺の右手がお前を倒せと叫ぶ。ゴッドフィ……いや、手だからハンドォォォォ」
ガンダヌの右手がザクの頭部を握り潰す。天誅だ。
『カメラが潰された。見えない! 助けてください、シャア少佐ああああ』
狼狽えるジーンの機体を膝カックンで倒す。
「さあ、お医者さんごっこしましょうね~」
倒れたザクの手足をもいでいく。四肢を失ったザクはダルマだ。うほほ。
『うわあああ』
ジーンの通信を聞いて駆けてくるザクが一機いた。
『ジーンがやられただと! あれが連邦のMSの威力っ』
デニム曹長はヒートホークと呼ばれる斧を持って襲いかかってきた。
「あっち向いてホイ!」
とっさに反応するデニム曹長のザク。器用だな。だが────
「隙ありっ!」
ジーンのザクマシンガンを拾って殴り付けた。
『貴様、卑怯──』
倒れるデニム曹長機。構わずヤクザキック。ついでに停まっていた乗用車を持ち上げて叩き付ける。大破したザク。デニム曹長は気絶してるのか反応はない。
「ふ、正義は勝つる」
『好き勝手やってくれたな、白いモビルスーツ』
現れたのは赤色に塗装された角付き。ただの指揮官機ではない。
「その赤い機体、まさか……」
『私も名が売れてるようだな』
調子に乗ってきやがった。だが甘い。
「ジョニー・ライデン!」
すかさず突っ込みが返ってくる。
『違う! 私はシャア・アズナブル!』
「ジョークだよ。まだまだ甘いね赤い彗星も」
戦いとは二手、三手先を読む物であり、俺は赤い彗星の本領を発揮させず、シャアの調子を崩させた。
『貴様のような重力に魂を引かれた人間は私シャア・アズナブルが粛清してくれる!』
怒り狂ったシャアは向かってくるが、コロニーでの人工重力下で戦うのは不馴れらしく動きに機敏さは無い。
「意味わかんねーよハゲ。あ、アルテイシア」
『何!』
10年前に別れた妹の名前を呼ばれ、動きの止まったシャア。
「嘘でーす」
ジーンのザクマシンガンで蜂の巣にする。
『おのれえ! まだだ、まだ終わらん』
と言いつつ爆発するシャアの機体。若さゆえの過ちか、南無……。
俺がジオンのザクを片付けると何処からか連邦軍の制服を着た青年がやって来た。撃破された赤い機体を前に驚いている。
「赤い彗星を撃破しただと!」
この人がブライト・ノア。マフティーなんたらの実の父か。
「君、名前は」
「ホンマ・ヤネン。学生です」
「このコロニーは放棄される。避難民を乗せて船が出港する。君も一緒に来なさい」
ブライトと一緒にいた金髪さんの視線に複雑な物が混ざっている。彼女にしてみれば、キャベツ太郎兄さんを殺した相手だからな。と言うか兄と認識してるのか?
無傷のトランスポーターに俺はガンダヌを乗せた。途中でアムロとフラウも拾ってもらった。
港で慌ただしく出港の準備を急ぐ巨艦があった。強襲揚陸艦か宇宙空母と言った艦種だろうか。
(これが連邦の木馬か……)
ガンダヌのモニター越しにホワイトベースを観察する。巨砲の他に防空火器の類いは見当たらない。内部収納か、まだ武装の搭載も途中と考えられる。
パウロ艦長が負傷して最先任のブライト・ノアが指揮を取っていると言うのが俺の記憶だが、どうもペガサス級強襲揚陸艦にしては細部がおかしい。
「大西洋連邦軍技術大尉のマリュー・ラミアスよ。ヤネン君のお父様とは親しくさせて貰っているわ」
「え……」
親しくってことは、親父の不倫相手らしい。こんな美人さんが相手とは、羨ま……けしからん! 衝撃の事実の告白は勘弁してほしい。
「じゃあ指揮はラミアス大尉が?」
「ナタル・バジルール少尉。彼女よ」
ラミアス大尉の視線の先に黒髪の美人さんが居た。正史の流れではブライトだが違った。士官候補生のブライトよりは先任だし、サイド7に入った技師、軍人は壊滅したそうだから当然か。
「ヤネン君、君の腕は聞いている。本艦の避難民を守る為に協力してほしい」
俺はアムロのアホと違うので下手に逆らわない。
「美人なお姉さん達に頼まれてNOと言う男はいませんよ」
少尉待遇の軍属として協力する事に成った。軍隊は階級社会だから一応でも将校様に違いはない。
「本艦はルナⅡに向かう」
バジルール少尉の指示で出港する木馬だったが、そうは簡単に行かなかった。
観測データを受け取るとバジルール少尉は内心で舌打ちをした。コロニーの周囲はミノフスキー粒子の散布濃度が高かった。ミノフスキー粒子を散布するのは誰か? 考えられる事は敵艦の存在だった。
コロニーに侵入したMSがどこからやって来たかを失念していた。MSの推進能力はともかく搭乗員が長距離機動に耐えられない。
「前方に敵艦!」
シャア達の母艦であるムサイ級巡洋艦が待ち構えていた。あれのメガ粒子砲が脅威だ。
すかさずバジルール少尉は迎撃の指示を出した。
「デスラー砲用意!」
……まてまて、なんだって?
艦首からにょっきりと逞しい大砲が現れた。射撃はほぼ無人化されている為、艦橋で作業が行われている。
(艦橋にザクバズーカ一発喰らえば終わりなのも納得かな)
準備よしの報告が入るとバジルール少尉は勇ましく射撃号令を出した。
「射てぇ!」
何かのビーム光線が漆黒の宇宙に走った。伸びた先はムサイ。 視界が真っ白に輝いた。
俺が出撃する必要も無かったな。ファルメルらしいムサイは沈んだ。
ルナⅡ、宇宙空間の鉱物資源を採るために月軌道上に運ばれてきた小惑星。ここに連邦の前進基地があり、俺達は補給を行う事になった。100人以上の民間人を艦内に避難させていたので、飲み水も足りない。人は飲み食いしないと死ぬし、こればっかりは精神論でも我慢できない。
ルナⅡへの航路、シャアを始末したはずだがジオン軍の追跡を受けていた。
パプアだ。補給艦が追跡ってどう言う事だ。
ルナⅡに逃げ込むか、逆襲に転じて打って出るか多数決が行われた。結果、補給艦なら始末しようと言う事になった。
(あれって、もしかしてシャアの補給に来るはずのガデムか)
船の差が戦力の決定的差ではないと言う闘志を感じたが、それでも補給艦では話にならん。
しかし予想に反して出撃したFF-X7コア・ファイターは、パプアの防空網に捉えられ撃墜された。
「ええい、ジオンの補給艦は化け物か!」
ガンダヌハンマーを装備した俺はパプアの攻撃に当たるが、覚醒したガデム大尉とザク4機の袋叩きにあって命からがら帰還した。
「ご苦労だったなホンマ。君は生き残る事が出来た」
「ポケモンショックになりそうな攻撃でしたよ」
「ポケモン?」
あれからルナ2のエイノー分艦隊と合流し無事、地球に降下した俺達は北米、東欧、北アフリカ、東南アジア、アラスカ、パナマと転戦し、再び宇宙へ上がった。宇宙こそ魂が解放される故郷なのかもしれない。
「ヤネン大尉、出番だ」
おっと、お呼びがかかった。ガンダヌに戦場の情報が送られてきた。
消耗戦で混沌とする戦場。損害も大きいだろうが、連邦は押しきるだろう。
「敵の一部が撤退を始めた。しかし多くは徹底抗戦の姿勢を崩さない」
「末期戦の日本軍か」
玉砕覚悟の敵、死兵を相手にするのは面倒だ。後衛として残る部隊に目を向ける。
(エイみたいだな)
赤いMAは初めて見る。敵は試作兵器まで投入しており、戦って見てからのお楽しみと言った所か。
とりあえず戦争が終わったらエロゲーの会社を作る予定だ。まだまだ死ねんよ!