「今日は色々あったねえ…」
夫は家の玄関に入るなり、荷物をどさりと落とす。
残務はすべて友人たちに任せ、二人は帰宅した。
「アンタ、具合悪いなら横になったら?」
「いや、平気」
とはいうものの目はうつろだ。
なんだか熱があるような顔をしている。
─まさか名前呼んだらこんなことになるとはなあ…
まあ、徐々に慣れていくやろ、
うちもこの人も。
「あ、せや、アンタ昼ごはん食べたん?」
「…ううん、まだ食べてないよ」
時刻は14時過ぎだ。遅めの昼食となる。
「まだやったらなんか作るわ。何がええ?」
そう夫の方に振り返った瞬間に強く抱きしめられた。
「………タマがいい」
「何ゆうとんねん???ちっこくても
うちは食べられへん…………あっ……」
夫は妻の耳に花を愛でるように口を寄せる。
18cmの身長差があるので彼女の耳の位置は
ちょうど、彼の口元くらいだ。
「タマ………」
吐息とともに低い声で耳元で囁かれた。
「んっ…何、急にええ声出して…っ
……なんやこれ?
んもう、ホンマにアンタどこに
鞭仕込んでんね………ん?
これって………ひゃあああああ!?」
彼女の背中に回された手が徐々に下がる。
「ちょお、アンタ!どこ触っとんの!?」
「…嫌?」
捨てられた子犬のような眼で妻を見る。
「……まつ毛長いよなあアンタ…
ああいや、嫌やないけど…あかんあかん、
一旦落ち着こ?さすがにまだ昼間やで!?」
「無理…止めらんない…」
夫は妻をあっちこっち撫で回し始めた。
「…あ……やぁっ…あ、そうや!」
なんとか背伸びをして耳元で夫の名を囁くと
案の定ピタリ、とその動きが止まった。
その夫の唇を軽く人差し指でつつく。
「……ちょっとおあずけやで。
お楽しみはあとに取っといてえな」
なにしろ夫の言う通り今日は色々あった。
結果的には丸く収まったが。
「ウチも走って汗かいたしなあ。
せや、風呂沸かし………………─っ!?」
止まっていたはずの夫の手が再び
タマモクロスの背をなぞり落ち、
彼女の尻尾を持ち上げる。
「あっ……だめっ……」
「……名前呼ばれるのすごい嬉しい。
もっと呼んでほしくなっちゃった」
夫は今度は恍惚とした視線を妻に向け、
尻尾の根元の裏、剥き出しの部分に触れる。
「ここ、早く見たいな……」
先ほどはタンカを切り
ヤケクソで全裸になってまで
夫に見せようとした部分だが
冷静さ取り戻した今は羞恥が勝る。
「まだ心の準備が!!」
と言おうとするも
「ひゃあんっ……」
と、代わりに甘い声が出てしまう。
「タマ、ここ触られるの初めて?」
無骨な指が執拗に根元を擦る。
「そんなん当たり前やん…………」
─…あ……こら、あかんわ……。
すでに適応済みやこの人……
もはやなすがままになる。
とろりと溶け出した意識の片隅で
夫の適応能力を甘く見ていたことに気づく。
名を呼べば止まると思われたが
すでに耐えられるようになったどころか
夫を逆に煽ることになった。
もはや彼の冷静さを失わさせるには
十分な媚薬となっていたのだ。
「……タマ…俺は…」
─ずっと、自分のものに、
自分だけのものにしたい。
君は俺のものだと、
彼女の体に刻みつけておきたい。
自分は彼女のものだと思ってほしい─
「……だめだ、どうしよう、こんなに君に溺れてる」
「…ちょお……待ってぇ…」
ウマ娘の力ならその腕を振りほどけるはずだが
腰砕けになっており体が言うことを聞かない。
その弱々しい抵抗がまた夫を昂ぶらせた。
「……これ以上は……堪忍やぁ…」
上目遣いで荒い息を吐きながら懇願する。
妻はわざとやってるわけではない。
だがその仕草と言葉で夫はもはや
バフ盛り盛りチャージMAXである。
今ならチャンミでどのような条件でも
ぶっちぎりで勝利できる勢いだ。
トレーナーなのに、だ。
「タマ…!…メイクラしよう‼」
「…え、なんやのそれ?あの連戦する
きっついやつやっけ」
「連戦か…!!!!!それいいね!!!!!
君がそうしたいなら」
妻は何かとてもまずいことを言った気がした。
夫はひょい、と軽々と妻を横抱きにすると
寝室に向かっていく。
さすがにタマモクロスも夫の意図を察する。
「そ、そんないきなり…ウチはどうすれば…」
彼女は今までそういう経験がない。
「俺に全部任せとけばいいよ」
「…う、うん…」
妻は少しの不安と照れと、それよりも
自分でももう抑えられない
体の芯の疼きを押し隠すように
夫にしがみつくとその胸に顔を寄せ、
そっと呟いた。
「……優しく、してな…?」
「…善処いたします!!!!!」
多分この様子だとそれは無理そうである。
さて、この後の展開はこの世界の理、
つまりガイドラインに抵触しないように
漠然とした表現のみとなるのを
ご了承いただきたい。
バ場状態は稍重から重へ変更。
スタートからかなりかかり気味だったが
道中前が壁なのをインを突いてこじ開ける。
一旦抑えて我慢、スキル「独占欲」
否、「独占力」と「魅惑のささやき」
を発動しつつ様子を伺いながら徐々に進出。
直線の途中、進路を狭まれるも
余力十分、スタミナ勝負の
追い比べで突き抜ける。
めでたく夫婦のクライマックス開幕となった。
こちらはどれだけ「連続出走」となっても
やる気が下がらない
Make Love…もとい「メイクラ」である。
R15でギリいけるはずや…