艦隊これくしょん 〜超甲巡高千穂〜   作:星龜

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ラバウルへ


 

「あの…私の艦種が気になりますか?」

と訊く高千穂。

 

「装甲巡洋艦という艦種は、数年前に廃止されたはずだからね。」

と言う比叡改二。

 

「それが、私で復活したんです☆」

と自慢げに言う高千穂。

 

そんな高千穂を見て、表情を曇らせる比叡改二。

 

(ラバウルには戦艦は私だけ…。

そして、こんな、わけのわからない艦娘と一緒にまたラバウルに配属されるってことは…

もうソロモン戦線は、それほど脅威ではないってことか…。

つまり…

深海棲艦にボコられた私は

左遷

されたってわけだ…。)

と思う比叡改二。

 

 

暗い気持ちで艤装を装備する

比叡改二

高千穂

新高

 

「それが、改二の艤装ですか?」

と訊いてくる高千穂。

 

「そうだよ。

アンタには、まだまだ早いよ。」

と、嫌味ったらしく答える比叡改二。

 

(ん?)

と、高千穂の艤装を見る比叡改二。

 

高千穂の艤装は、大和改の艤装を簡略化したかのような物で、大和の物より一回りほど小さな三連装主砲は、とても巡洋艦の主砲とは思えない物だった。

 

「な…なんなの、アンタ…。

本当に巡洋艦なの?」

と訊く比叡改二。

 

「え…あ…はい…巡洋艦です⋯。

じつは、私の艦種は装甲巡洋艦ですが、正しくは

超甲巡洋艦

なんです。」

と言う高千穂。

 

超甲巡洋艦?

何、それ?」

と、聞いたこともない艦種に、首をかしげる比叡改二。

 

「従来の巡洋艦を凌駕する巡洋艦…

まぁ、わかりやすく言えば

スーパー巡洋艦

といったところでしょうか?」

と苦笑する高千穂。

 

「じゃ、何で装甲巡洋艦を名乗っているの?」

と訊く比叡改二に

 

「新しい艦種を作ると、上の方で書類上の問題とかで厄介だから、廃止された艦種を復活させる方がいいとかで…

ま、いわゆる

大人の事情

ってやつですね★」

と苦笑する高千穂。

 

「でも、私、装甲巡洋艦って名前、気にいっているんです。

なんだか、超甲巡洋艦よりも強そうじゃないですか☆」

と微笑む高千穂。

 

「その主砲は…?」

と、目を引く三連装砲について訊く比叡改二。

 

「新兵器の

31センチ砲

です☆

比叡さんの36センチ砲には及びませんが、それでも強力ですよ☆」

と、自慢げに言う高千穂。

 

 

次に、新高の艤装を見る比叡改二。

 

「アンタも、個性的な艤装ね…。」

と、新高の艤装を皮肉っぽく評する比叡改二。

 

新高は

右手に艦首

左手に艦尾

を模した艤装を持っているのだが、その艤装が、かなりの大きさなのだ。

 

両手に持った艤装には、秋月型駆逐艦に装備されている九八式長10センチ連装高角砲が3基づつ装備されている。

 

さらに、新高の腰の両側にも九八式長10センチ連装高角砲が3基づつ装備されている。

 

すなわち

九八式長10センチ連装高角砲が合計12基

も装備されている。

 

つまり

新高1人で秋月型3人分の対空火力をほこる

のだ—。

 

 

そんな高千穂と新高を、冷ややかな目で見る比叡改二…。

 

 

重巡洋艦の主砲よりも強力だが、戦艦の主砲よりかは劣る主砲を持つ高千穂…。

 

強力な対空火力をほこる新高も、脅威がなくなりかけているソロモン戦線で、自慢の対空火力が必要なのか疑わしい…。

 

そんな2人と一緒にソロモン戦線に赴く…

 

つまり

ソロモン戦線は、本当に脅威ではなくなりつつある

のだろう。

 

高千穂と新高にとっては、経験を積むのに最適な場所かもしれないが、歴戦の比叡改二にとっては、左遷以外の何物でもない…。

 

 

だが、ラバウル鎮守府への配属という辞令が出ている以上、そこに行かなくてはならない。

 

ここで愚痴っていても仕方がないのだ…。

 

 

「じゃ、行くよ…!!」

と、比叡改二を先頭に、高千穂と新高が続いて出港する―。

 

 

1月5日の夜に、最初の目的地の硫黄島に到着する。

 

ここで一泊して燃料を補給し、マリアナ諸島のサイパン島に向かう。

 

 

1月7日、硫黄島を出港。

マリアナ諸島のサイパン島までは3日かかる。

 

航行中

比叡改二は零式水上観測機を

高千穂は零式水上偵察機を

発進させて対潜警戒をする。

 

 

1月10日、サイパン島に到着する。

 

ここで一泊して燃料を補給し、トラック(チューク)諸島に向かう。

 

夜、サイパン島の宿舎の風呂で、比叡改二が

トラック(チューク)諸島に着いたら、たぶん、大和がいると思う。

間違っても、大和に向かって『ホテル』なんて言うなよ?」

と、高千穂と新高に注意喚起する。

 

「どういうことですか?」

と訊く高千穂に

 

「金剛姉さまが大和に向かって『ホテル』って言ったら、大和が怒ってな…。」

と答える比叡改二。

 

「たぶん、ちほちゃん(高千穂)が訊きたいのは、そういうことではなく

大和とホテルの関係

についてではないでしょうか?」

と言う新高。

 

「ん?

大和とホテルの関係…?」

と、首をかしげる比叡改二。

 

「そういや、何で、大和は『ホテル』と呼ばれたら怒るんだろう?」

と考える比叡改二。

 

「きっと

ホテルで提督にナニかされた

んじゃないでしょうか?」

という、高千穂の発言を聞いた比叡改二は

ゑっ!?

そ…そっち!?

と、顔を真っ赤にした。

 

「え?

ホテルって、そういうことをする場所

でしょ?」

と言う高千穂に

 

普通に宿泊施設

だろッ!!

ま…一応…そういうことをする場所でもあるけどさ…★」

と、顔を赤らめて言う比叡改二。

 

「私は

ホテルって、提督とそういうことをする場所

だと思っていました★」

と言う高千穂に

 

ちほちゃん(高千穂)、それは

偏見

だよ★」

と言う新高。

 

そんな高千穂を見て

(ダメだ…★

この、高千穂という艦娘…

どうツッコんでいいのかわからん…★)

と、比叡改二は一人悩むのだった⋯。

 

 

翌朝、サイパン島を出港する。

 

トラック(チューク)諸島までは3日の行程の予定だ―。

 

 

サイパン島を出港してから、スコールに遭ったりもしたが、幸い、敵潜水艦に襲われることもなく、1月13日にトラック(チューク)諸島に到着した。

 

ここは、ソロモン戦線の後方基地でもある。

 

昨年までは、ソロモン戦線に向かう艦娘や、ソロモン戦線で傷ついた艦娘達で溢れかえっていたが、今はソロモン戦線か、あるいは他の戦線で傷ついた艦娘が数名いるだけで、大和や武蔵の姿は無かった。

 

名取改二の姿を見つけた比叡改二は、ソロモン戦線の状況を訊いてみた。

 

名取改二によると、ソロモン戦線は落ち着いてきて、昨年までのような激戦はなくなったとのこと。

 

それを聞いて、複雑な心境になる比叡改二…。

 

 

昨年11月のガ島への砲撃には失敗したものの、敵艦隊に痛撃をあたえたことで、深海棲艦はソロモン海域から手を引いたのだろう。

 

そう思うと、その時の敗北は、けっして無駄ではなかったようだ。

 

しかし、そんな脅威がなくなった海域の鎮守府に配属されるというのは、やはり、左遷されたのだと思い知らされる…。

 

 

「大和達は、どこに行ったの?」

と訊く比叡改二に

 

パラオ諸島

の方ですね。」

と答える名取改二。

 

それを聞いて、怪訝な顔をする比叡改二。

 

パラオ諸島といえば、トラック(チューク)諸島から西…

 

すなわち、フィリピン最南端のミンダナオ島の近くだ。

 

主戦場は、パラオ近海に移ったのだろうか?

 

そういえば、金剛改二と榛名改二が配属された昭南島(シンガポール)鎮守府は、パラオからそれほど離れていない。

 

金剛(あね)榛名(いもうと)は最前線に…

 

自分は安全な海域…。

 

 

情けなかった…。

 

 

翌朝、トラック(チューク)諸島を出港し、ラバウルに向かう。

 

トラック(チューク)諸島からラバウルまでは、何事も無ければ2日で到着する。

 

実際、スコールに遭いはしたが、深海棲艦に出会うこともなく、ラバウルにたどり着いた―。

 

 

「左舷前方!!

煙が見えます!!」

と叫ぶ高千穂。

 

「あれがラバウルのシンボル、花吹(タブルブル)山の噴煙だよ。」

と、高千穂に教える比叡改二。

 

(帰ってきたんだな…ラバウルに…。)

と、比叡改二は水平線から立ち昇る花吹(タブルブル)山の噴煙をみつめた―。

 

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