艦隊これくしょん 〜超甲巡高千穂〜   作:星龜

4 / 6
出撃


 

夜間哨戒に出ていた一式陸攻が、眼下に深海棲艦の艦隊を発見したのは、午後7時過ぎだった。

 

偵察員の妖精は、すぐさま無線士の妖精に深海棲艦発見を意味するセ連送を打つよう指示する。

 

無線士はラバウル鎮守府に向けてセ連送を発信する―。

 

 

夜間哨戒に出ていた一式陸攻から発信されたセ連送は、ラバウル鎮守府に受信された。

 

ラバウル鎮守府の提督執務室にいたラバウル鎮守府の角田提督の秘書艦の妙高改二は、内線電話で角田を呼ぶ―。

 

 

比叡が食堂から飛び出した数分後―

 

内線電話が鳴った。

 

内線電話に出たのは、ラバウル鎮守府の提督の角田。

 

角田が電話に出たのを見た艦娘達は、一斉に静まりかえる。

 

「どうした?」

と訊く角田に

 

《セ連送です。〉

と言う妙高改二。

 

「わかった!!」

と、電話を切る角田。

 

そして

「総員、戦闘配置!!」

と叫ぶ。

 

宜候(ようそろう)!!」

と、艦娘達は一斉に出撃ゲートに向かう―。

 

 

高千穂は、外でふさぎこんでいる比叡改二を呼ぶ。

 

「比叡さん!!

セ連送です!!」

と高千穂に言われた比叡改二は

「わかった…!!」

と立ち上がり、出撃ゲートへと向かった―。

 

 

艤装を装備した艦娘達の前に、角田が姿を見せ

「哨戒機からの報告によると、敵は

戦艦2

軽巡1

駆逐艦11

という編制で、現在、ブーゲンビル島南東沖50浬*1を西進している。

続いて、艦隊編制を発表する!!」

と告げる。

 

 

【第1部隊】

旗艦

装甲巡洋艦高千穂

 

警戒艦

防空巡洋艦新高

 

僚艦

戦艦比叡改二

重巡妙高改二

重巡羽黒改二

軽巡阿賀野

駆逐艦天霧改二

 

 

【第2部隊】

旗艦

軽巡川内改二

 

警戒艦

駆逐艦若月

 

僚艦

駆逐艦白露改二

駆逐艦時雨改二

駆逐艦五月雨改二

駆逐艦長波改二

駆逐艦初風改

 

 

「ちょっと待ってください…!!

新高が警戒艦って…

新高は防空巡洋艦なんですよ?」

と、第1部隊の編制に異議を唱える高千穂。

 

「こちらもです!!

若月は、まだ新参です!!

警戒艦を任せられるほどの技量はありません!!」

と、第2部隊の旗艦の川内改二も反対する。

 

 

警戒艦とは

隊列の前に出て、敵情を捉える

いわゆる斥候だ。

 

基本的に、警戒艦は

動きが軽快な駆逐艦が担う事が多い

が、その任務上

真っ先に敵からの集中砲火を浴びる

ことになるため、技量の優れた駆逐艦が選ばれる。

 

 

だから何だ?

防空艦だからといって、警戒艦の任務ができないはずはないだろ!!

という角田の発言を聞いて絶句する高千穂と川内改二。

 

(そういえば…

比叡さんは

角田提督は砲術出身

と言っていたわね…。)

と思い出す高千穂。

 

おそらく、角田は

防空艦の高角砲でも深海棲艦にダメージをあたえられるとでも思っている

のだろう。

 

たしかに、防空艦の高角砲でも深海棲艦にダメージはあたえられる。

 

ただし

まともにダメージをあたえられるのは駆逐イロハ級

くらいだ。

 

「てゆうか、深海棲艦は西太平洋に移動したんじゃないの?」

と訊く比叡改二に

 

「敵の編制の規模の小ささから、おそらく

後方撹乱用の残置部隊

だろう。」

と言う角田。

 

しかし、後方撹乱が目的の残置部隊とはいえ、戦艦が2人もいるのだから侮れない戦力だ。

 

 

「総員、異状が無ければ、ただちに出撃せよ!!

各員の奮戦に期待する!!」

という角田の号令に

 

「「了解!!」」

と敬礼する艦娘達―。

 

 

発進ゲートに並ぶ第1部隊―。

 

2番ゲートに立つ比叡改二が、1番ゲートに立つ高千穂に向かって

「悪いけど…

私はアンタを認めたわけじゃない…。

もし、アンタに旗艦としての資質が無いと思った時は

その時は、私が仕切るから…!!

と言った。

 

「正直…

私も旗艦としてやっていける自信が無い

んです…。

それでも…

私は私の役目を果たします⋯!!

と、前を向く高千穂。

 

そして

第1部隊、抜錨!!

と叫んで、高千穂を先頭に

新高

比叡改二

妙高改二

羽黒改二

阿賀野

天霧改二

の順番で、第1部隊が出撃した。

 

第1部隊出撃後、川内率いる第2部隊も出撃した―。

 

 

ラバウルを出撃してから6時間後の午前1時―。

 

新高が警戒艦任務につく時間だ―。

 

 

新高が、高千穂の右隣に来た。

 

「じゃ、行ってくはるよ。」

と言う新高。

 

「気をつけてね。

無理だけはしないで…!!」

と言う高千穂。

 

「うん。」

と微笑んで、新高は増速して先行していった…。

 

 

第2部隊でも、若月が川内改二から注意を受けていた。

 

「いいか?

絶対に無理はするなよ!?

無理だと思ったら、迷わず戻ってこい!!」

と川内改二から言われた若月は

「は…はい…!!」

と、やや震える声で返事をし、増速して先行していった…。

 

 

新高とともに先行する若月。

 

【挿絵表示】

 

「よ…よろしくおねがいします…!!」

と、緊張する若月。

 

「こっちこそ、よろしく…。」

と微笑む新高。

 

「新高さんって…

凄い艤装

ですね…。」

と言う若月。

 

重いのが難点

だけどね★」

と自嘲する新高。

 

新高は

右手に艦首

左手に艦尾

を模した艤装を持っているのだが、その両手に持った艤装には、秋月型駆逐艦に装備されている九八式長10センチ連装高角砲が3基づつ装備されているため、非常に重いのだ。

 

「防空巡洋艦なのに、初めての戦闘が、まさかの対艦戦とはね…★

お互い、無理はしないように、気をつけて行きましょう。」

と言う新高。

 

「わかりました…!!」

と、若月は新高とともに先行していった―。

 

 

午前1時30分―。

 

新高の二二号電探に反応があった。

 

「11時の方向!!

距離15000!!」

と叫ぶ新高。

 

しかし、若月は二二号電探の調子が良くないようで、探知できないでいる。

 

そこで、妖精が双眼鏡で11時方向を望見する。

 

たしかに、何かいる。

 

それが何かはわからないが、十中八九、深海棲艦だ。

 

だが、艦種がわからない。

 

「こちら、若月!!

敵艦発見!!

11時の方向!!

距離15000!!

艦種不明!!」

と、川内改二に報せる若月。

 

《よくやったぞ、若月!!

急いで戻ってこい!!〉

と言う川内改二。

 

「了解!!」

と、反転しようとした時

周囲に水柱が立った…!!

 

「マズいね、若月さん!!

敵に気づかれたみたいだ!!」

と叫ぶ新高。

 

「そんな!?

どうすれば!?」

と訊く若月に

 

「逃がしてくれるとは思えないから…

戦う(やる)しかないね…!!」

と、新高は両手に持つ艤装をかまえる。

 

「こちら、新高!!

われ、交戦中!!」

と高千穂に報せ、新高は敵に向かう。

 

「そんな…!?

新高さん!!」

と、新高が敵に向かって行ったのを見て、慌てふためく若月。

 

「川内さん、どうしよう!?

新高さんが敵に向かって行きました!!」

と、若月は川内改二に報せる。

 

《何だって!?

止めろ!!〉

と叫ぶ川内改二。

 

「と…止めろって…

どうやって!?」

と困惑する若月…。

 

 

新高からの通信を受信した高千穂も、新高に自重を求めた。

 

「新高!!

戻って!!

私達と合流して!!」

と呼びかけるも、新高からの応答は無い。

 

「バカがッ!!

功名心にかられやがってッ!!」

と怒る比叡改二。

 

「どうしよう…?」

と悩む高千穂に

 

「こうなったら、新高の手助けをするしかない!!

水偵を発進させて、吊光弾を落とすんだ!!」

とアドバイスする比叡。

 

「わかりました…!!」

と、高千穂は零式水上偵察機を発進させた―。

 

 

敵に向かう新高と若月―。

 

突如、夜空が昼間のように明るくなった

 

何だぁ!?

と驚く新高と若月。

 

ふと、空を見上げれば、零式水上偵察機が飛んでいた。

 

おそらく、高千穂か比叡改二が発進させた零式水上偵察機が投下した吊光弾の照明は見事な背景照射となり、敵のシルエットが浮かびあがらせた。

 

「あれは…

軽巡ツ級…?

 

新高が見たのは、深海棲艦の軽巡でありながら人型をした

軽巡ツ級

だった。

 

情報によると

軽巡ツ級も防空艦

だと聞く。

 

そんな軽巡ツ級が、なぜ、単独で行動しているのか?

 

こちらと同じ、警戒艦なのだろうか?

 

「とにかく…!!」

と、新高は両手に持つ艤装に3基づつ装備されている九八式長10センチ連装高角砲の砲口を軽巡ツ級に向ける。

 

そして―

 

くらえ!!

と、九八式長10センチ連装高角砲を発砲した―!!

 

新高からの砲撃をくらった軽巡ツ級は炎につつまれる。

 

やったぁ☆」

と喜ぶ新高。

 

だが、沈む気配は無い。

 

炎上したとはいえ、実際にあたえたダメージは微々たるものだろう。

 

だが⋯

 

炎上している軽巡ツ級に水柱が立った。

 

ゑっ?

と驚く新高の後ろで

 

やったぁ

魚雷命中☆」

と喜ぶ若月。

 

新高が砲撃している後ろから、若月が魚雷を撃ち、命中させたようだ―。

 

*1
約90キロ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。