「こちら、新高!!
敵、軽巡ツ級、大破!!
炎上中!!」
と、高千穂に報せる新高。
「やりましたね、若月さん!!」
と、魚雷を命中させた若月を称える新高。
しかし、若月は魚雷を命中させたことに浮かれることなく
「戻りましょう、新高さん!!
これ以上は…!!」
と、新高に撤収をうながした。
「そうですね。
少し、深追いしてしまいましたね。」
と、撤収することにする新高。
新高の砲撃をくらって炎上し、さらに若月の魚雷をくらった軽巡ツ級だが、沈む気配は無いものの、攻撃してくる気配も無い。
逃げるなら今のうちだと新高と若月が反転した時だった。
突如、新高と若月の周囲に水柱が立った…!!
「これは…!?」
と驚く若月。
「マズいですね…
敵本隊の射程に捉えられてしまった
ようです!!」
と叫ぶ新高。
「そういえば
向こうには戦艦がいた
んでしたね…!!」
と狼狽する若月。
「はい!!
急いで戻りましょう!!」
と新高が言った直後…
「ぎゃあああ…!!」
という、新高の悲鳴を聞いた若月。
「に…新高さん!!」
と、新高を見る若月。
敵からの砲撃の直撃をくらった新高が、海面にうつ伏せになって倒れていた…。
◇
《こちら若月!!
新高、大破!!〉
と、若月からの通信を受信した高千穂。
「そんな…!?
新高…!!」
と狼狽する高千穂。
「うろたえている場合かッ!!
向こうには戦艦が2体もいるんだッ!!
急がないと、若月もやられちまうぞッ!!」
と怒鳴る比叡改二。
「わかりました…!!
全艦、最大戦速!!
われに続け!!」
と下令する高千穂。
しばらく進むと、前方から新高を抱えて
だが…
「あれは…!?」
と若月の後方に
駆逐ニ級改
4体が追跡してきているのを見る高千穂。
「何ボサッとしているのよッ!!
若月を助けないとッ!!」
と比叡改二に怒鳴られた高千穂は
「全艦、砲撃開始!!
目標、若月を追跡している敵駆逐艦!!」
と叫んで、31センチ砲を発射する。
高千穂の発砲に続いて
比叡改二
妙高改二
羽黒改二
阿賀野
天霧改二
も砲撃する。
駆逐ニ級改の周囲に水柱が上がるが、命中はしなかった。
しかし、旗艦からの命令か、または自身の判断か、4体の駆逐ニ級改は反転した―。
新高を抱えた若月が高千穂の前に来た。
「新高!!」
と呼びかける高千穂。
「ごめん、
やられちゃったよ…。」
と、弱々しく謝る新高。
「若月。
お前は新高を連れて退避しろ。」
と言う川内改二。
「了解です…!!」
と、川内改二に敬礼し、若月は後退していった―。
再び、進撃を開始する高千穂達。
「新高からの報告だと、敵軽巡ツ級を炎上させたそうです。」
と言う高千穂。
「高角砲しかないのに、よくそこまでできたな…。」
と驚嘆する比叡改二。
まもなく、前方に炎の明かりが見えてきた。
新高と若月が炎上させた軽巡ツ級だ。
「
と、炎につつまれながらも、いまだ沈んでいない軽巡ツ級を見て、驚愕する高千穂。
「なら沈めろ!!
鎮火したら復活するかもしれない!!」
と叫ぶ比叡改二。
高千穂は、主砲の照準を軽巡ツ級に合わせる。
そして―
31センチ三連装砲を撃った。
砲口から飛び出した31センチ徹甲弾が、炎上している軽巡ツ級に命中し…
軽巡ツ級は大爆発をおこした…。
爆発がおさまると、そこに軽巡ツ級の姿は無かった…。
倒れたから見えないのか…
または本当に沈んだのかはわからない。
しかし、角田提督の秘書艦でもある妙高改二は撃沈と判断し
「敵軽巡ツ級、撃沈を確認しました。」
と、高千穂に報せた。
その直後―
高千穂達の周囲に水柱が立った。
敵からの砲撃だ。
しかし、水柱の大きさから、戦艦からの砲撃によるものではない。
この時になって、ようやく、高千穂の二二号電探が敵を捉えた。
「敵駆逐ニ級接近!!」
と叫ぶ高千穂。
若月を追跡していたのと同じ個体だろうか?
4体の駆逐ニ級改が高千穂達に突撃してくる。
「各艦、撃ち方始め!!」
と叫ぶ高千穂。
高千穂の発砲に続いて
比叡改二
妙高改二
羽黒改二
阿賀野
天霧改二
も主砲を発砲する。
高千穂の31センチ砲をくらった駆逐ニ級改の1体が動きを止めた。
比叡改二の36センチ砲の直撃をくらった駆逐ニ級改は大爆発をおこした。
妙高改二と羽黒改二の20.3センチ砲をくらった駆逐ニ級改も大爆発をおこした。
阿賀野の15.2センチ砲をくらった駆逐ニ級改は動かなくなり、そこに天霧改二が魚雷を撃ち込んで、とどめをさした。
高千穂も、自身の砲撃で航行不能になった駆逐ニ級改に31センチ砲を撃って、とどめをさした。
これで
軽巡ツ級1
駆逐ニ級改4
を撃沈だ。
それでも、敵はまだ駆逐ニ級改が7体生き残っているし、戦艦2体もいるのだ―。
高千穂達が駆逐ニ級改4体を全滅させた直後、周囲に水柱が立った。
水柱の大きさと高さから、かなりの大口径砲弾…
すなわち、戦艦の砲弾の着弾だ。
「全艦、最大戦速!!」
と高千穂は叫んで前進する。
高千穂は二二号電探を使って敵戦艦を捜すが、反応は無い。
反応が無いというよりも
電探が作動していない
ようだ…。
「比叡さん!!
私の電探は役にたちません!!
比叡さんの電探はどうですか?」
と、比叡改二に訊く高千穂。
「ダメだね!!
私の電探も、まともに動いちゃいないよ!!」
と言う比叡改二。
だが
「私の電探に反応があります!!
10時の方向!!」
と叫ぶ羽黒改二。
同時に、高千穂の妖精が双眼鏡で、10時の方向に怪しい影を見つけた。
そして―
10時方向の水平線が明るく輝いた。
高千穂が発進させた零式水上偵察機が吊光弾を投下したのだ。
高千穂が発進させた零式水上偵察機が投下した吊光弾の光の中に浮かぶ影―。
「あれは…
戦艦新棲姫
と
南方戦艦新棲姫」
と叫ぶ比叡改二。
比叡改二にとって、見間違えることのないシルエット―
戦艦新棲姫
と
南方戦艦新棲姫
昨年11月、ガ島砲撃に向かった比叡改二達は、戦艦新棲姫と南方戦艦新棲姫が率いる深海棲艦の艦隊の待ち伏せにあい、ガ島砲撃は中止。
戦艦新棲姫と南方戦艦新棲姫の砲撃で比叡改二は大破。
霧島改二にいたっては、大破退役となった…。
(もしかして…今、水平線の彼方にいるのは、あの時のヤツらなの!?)
と思う比叡改二。
もちろん、今、ここにいる戦艦新棲姫と南方戦艦新棲姫が、昨年の11月に戦ったのと同じ個体がどうかはわからない。
それでも、比叡改二にとっては、仇敵であることにはかわりはない―。
「あれが…姫級の深海棲艦…!!」
と、姫級の深海棲艦を初めて見て戦慄する高千穂。
「そうだ!!
生半可な攻撃は効かないぞ!!」
と叫ぶ比叡改二。
「だからといって、逃げるわけにもいきません!!
全艦、左砲戦、用意!!
撃てっ!!」
と、31センチ砲を撃つ高千穂。
高千穂の31センチ砲から放たれた徹甲弾は、戦艦新棲姫に命中し、戦艦新棲姫は爆炎につつまれた。
だが…
爆炎がはれると…
そこには無傷の戦艦新棲姫の姿があった。
「そんな…!?
直撃だったのに…!?」
と、31センチ砲の直撃をくらっても平気な戦艦新棲姫を見て戦慄する高千穂―。