艦隊これくしょん 〜超甲巡高千穂〜   作:星龜

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戦闘


 

「この…!!」

と、再び砲撃する高千穂。

 

31センチ徹甲弾が戦艦新棲姫に直撃するも、戦艦新棲姫は命中の衝撃で身じろぎはすれど、効いている様子は無い。

 

「そんな…!?」

と、驚愕する高千穂。

 

「そんなヘッピリ腰じゃダメだッ!!

しっかり、腰を入れて撃てッ!!」

と、高千穂を叱咤しつつ、砲撃する比叡改二。

 

比叡改二の36センチ徹甲弾が戦艦新棲姫に命中した時、初めて戦艦新棲姫はうめき声とも悲鳴ともつかない声をあげた。

 

どうやら効いたようだ。

 

(さすが戦艦…。

31センチと36センチ…。

主砲の口径が5センチ違えば、これほど威力に差が出るのね…。)

と、驚嘆する高千穂。

 

(それにしても…

比叡さんの言う

ヘッピリ腰

腰を入れて撃て

って、どういう意味なんだろう?)

と、首をかしげる高千穂。

 

だが、自分の周囲に水柱が立ったのを見て、高千穂は我に返る。

 

(戦闘中に考え事をしてちゃダメだ…。

でも、考えないと戦えない…。

どうすれば、私の31センチ砲で戦艦新棲姫にダメージをあたえられる…

ん…?)

と、高千穂は

超甲巡本来の建造目的

を思い出した。

 

 

超甲型巡洋艦は、本来

夜戦部隊の旗艦

となるべく開発された。

 

水雷戦隊を率いて突撃し、強力な敵重巡を31センチ砲で撃破するのが役目だ―。

 

 

(そうだ…!!

私は夜戦部隊の旗艦なんだ…!!

旗艦が後ろに引きこもっていちゃダメだ!!)

と、戦艦新棲姫と南方戦艦新棲姫を見据える高千穂。

 

そして

「これより、敵戦艦に対し、突撃戦を敢行する!!

巡洋艦部隊はわれに続け!!」

と叫んだ。

 

「な…何言ってんのよ、高千穂!?」

と驚く比叡改二。

 

「比叡さんの言う通りです!!

ヘッピリ腰では戦えません!!」

と言う高千穂。

 

「妙高、了解!!」

「羽黒、旗艦の命に従います!!」

「わ…私も続きます…!!」

「私も同伴させていただきます☆」

と、高千穂の突撃命令に答える

妙高改二

羽黒改二

阿賀野

天霧改二

 

「比叡さん!!

援護をお願いします!!」

と言って、高千穂は戦艦新棲姫と南方戦艦新棲姫に向かっていく。

 

「あぁ…もぅッ!!」

と、高千穂達の突撃を援護するため、主砲を撃つ比叡改二―。

 

 

戦艦新棲姫と南方戦艦新棲姫に向かって突撃を開始しようとした時、川内改二から

《われ交戦中!!〉

という通信が入った。

 

どうやら、川内改二の艦隊が、駆逐ニ級改の部隊と交戦しているようだ。

 

これで、こっちは戦艦新棲姫と南方戦艦新棲姫との戦いに集中できる。

 

高千穂

妙高改二

羽黒改二

阿賀野

天霧改二

は全速力で戦艦新棲姫に向かう。

 

戦艦新棲姫と南方戦艦新棲姫からの砲撃をかいくぐり、戦艦新棲姫と南方戦艦新棲姫の容姿がはっきり見える距離にまで接近した。

 

(あれは…?)

と、戦艦新棲姫の容姿を見た高千穂。

 

 

戦艦新棲姫…

 

その姿は、カニのような艤装の上に白い肌の少女が座っており、紅い瞳を輝かせていた―。

 

 

戦艦新棲姫に照準を合わせた高千穂だったが、艤装に乗っている少女を見て、一瞬だけ、主砲を撃つのを躊躇した。

 

しかし…

 

少女…子供の姿をしていても、彼女は人類の敵…

 

深海棲艦なのだ。

 

そして、高千穂の…艦娘の使命は

深海棲艦の撃滅

 

その使命感が、高千穂から躊躇いを消し去った。

 

てぇー!!

と、31センチ砲を撃つ高千穂。

 

放たれた徹甲弾は、戦艦新棲姫の艤装を撃ち砕いた…!!

 

やはり、接近すれば31センチ砲も効くようだ。

 

やった!!

と喜ぶ高千穂だったが、戦艦新棲姫の苦痛に歪む顔を見て、胸の奥が痛くなった…。

 

 

妙高改二と羽黒改二は、さすがに20.3センチ砲は効かないので、魚雷を撃つ。

 

近距離からの攻撃ゆえ、戦艦新棲姫は回避できず、妙高改二と羽黒改二が撃った魚雷のほとんどが命中した。

 

妙高改二と羽黒改二が撃ったのは酸素魚雷なので、雷跡が見えにくい。

 

ゆえに戦艦新棲姫は、なぜ魚雷をくらったのか、理解できなかった…。

 

 

続いて、阿賀野と天霧改二も魚雷を撃つ。

 

阿賀野も高千穂と同じく、最近竣工した艦娘なので、まだ改にもなっていない。

 

しかも、今回のこの戦闘が初陣だ。

 

だが、ゆくゆくは駆逐艦達を率いる水雷戦隊の旗艦になる身だ。

 

戦艦新棲姫が、魚雷命中の水柱に覆われる。

 

「やったぁ☆

当たったよぉっ☆」

と喜ぶ阿賀野。

 

「お見事☆

こうやって経験を積んで、川内さんみたいな立派な旗艦になってくださいね☆」

と、阿賀野を称える天霧改二―。

 

 

戦艦新棲姫の艤装からは火の手が上がり、黒煙が立ち昇っている。

 

戦艦新棲姫は艤装の上で、炎の熱と黒煙でもがき苦しんでいる…。

 

そんな戦艦新棲姫の姿を見て、思わず顔をそむける高千穂。

 

たとえ敵とはいえ、人間の少女と変わらない姿をした戦艦新棲姫が、もがき苦しんでいる姿は見るに堪えなかった。

 

そんな戦艦新棲姫に、比叡改二の36センチ徹甲弾が炸裂し、戦艦新棲姫は爆炎につつまれた。

 

爆炎の中に、戦艦新棲姫の悲鳴が聞こえた。

 

「イマハ…サガッテアゲル…。

デモ、イイ?

オボエテオイテ…。

カンタイハ…コノチカラハ、マモルタメニアルノ…。

ジブンジャナクテ…ネ…。」

と言い残し、戦艦新棲姫は沈んでいった…。

 

 

続いて、南方戦艦新棲姫に立ち向かおうとした…

 

その時—!!

 

きゃあああっ!!

という、妙高改二の悲鳴が響いた。

 

高千穂が妙高改二の方を見れば、妙高改二は爆炎につつまれていた。

 

「妙高姉さん!!」

と、妙高改二に駆け寄る羽黒改二。

 

(しまった…!!)

と悔やむ高千穂。

 

どうやら、南方戦艦新棲姫からの砲撃が、妙高改二を直撃したようだ。

 

「ハッ…アハハハハッ!!」

という、何者かの笑い声が聞こえたので、高千穂は声がした方に向いた。

 

そこには、エビのような艤装に乗った、星が三つ並ぶ髪飾りをつけた、黒いメッシュの入った白髪の長髪に、ワンピースの左右の裾やアームカバーの手の甲にも星形のアクセサリーを付け、右手に十字型の細身の杖を持った、口元を黒いマスクで覆っている背の高い女性―

南方戦艦新棲姫がいた。

 

「ハッ…アハハハハッ!!」

と笑う南方戦艦新棲姫を睨む高千穂。

 

「何で笑うの?

どうして笑っているの?

何がおかしいの?

何が面白いのよ!!」

と、笑っている南方戦艦新棲姫に怒りの声をあげる高千穂。

 

そこに、比叡改二が来た。

 

「ムダだよ、高千穂。

アイツらに何を言っても…。」

と言う比叡改二。

 

「それよりも…」

と、妙高改二を介抱している羽黒改二を見る比叡改二。

 

「羽黒。

妙高を連れて逃げろ!!」

と比叡改二に言われた羽黒改二は

「は…はい…!!」

と答えて、妙高改二を抱えて退避していった。

 

「天霧と…阿賀野だったっけ?

魚雷はあるか?」

と訊く比叡改二。

 

「「はい。」」

と答える阿賀野と天霧改二。

 

南方戦艦新棲姫(アイツ)に魚雷をブチ込んだら退避するんだ。」

と言う比叡改二。

 

「聞いてのとおりだ、高千穂。

天霧と阿賀野が魚雷を撃ったあとは、私とアンタで南方戦艦新棲姫と撃ち(殴り)あいだ。」

と言う比叡改二。

 

「わかりました…!!」

と答え、笑っている南方戦艦新棲姫を見据える高千穂。

 

そして

「攻撃、開始ー!!」

と叫ぶ―。

 

 

「殴リ合ヒ…

痛イ…

暗イ…

眩シィ…眩シィヨォ!!」

と、意味不明なことを叫びながら、南方戦艦新棲姫は高千穂達に向けて16インチ砲を撃った―。

 

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