♢♢月☆☆日
俺達は沢山の絵本が置いてある展示会場に来ていた。先日あげはさんのバイト先でもあるお馴染みプリティホリックに立ち寄った際に、色々あってましろが絵本コンテストに応募する為の絵本を描き始めたのだ。最初はストーリーで行き詰っていたましろだったが、公園でエルちゃんが他の子に自分の遊具を譲ろうとしない場面を目撃する。子供のお母さんが来て何とか事なきを得たが、何か思い浮かんだのか、それからましろの絵本製作は順調に進み、無事に描き上げることが出来た。締め切り日にバッタモンダーとランボーグの邪魔が入ったもののすぐに奴らをぶちのめし、無事に応募することが出来た。
そして今日、この展示会場に応募作が集まっており、その中にましろが描いた絵本も展示されていた。自由に読む事が出来るようにもなっていたので読んでみる事にする。一人で遊んでいた女の子の元に子供と動物達が集まって、仲良く笑い合うというましろらしい優しい絵本であった。入賞こそ逃したものの、ましろはこれからも絵本を描いていくと決めた。そんなましろの目はいつもより輝いているように俺には見えた。
☆☆月♢♢日
今日もランボーグの襲撃があったので軽くぶちのめして浄化し、キラキラエナジーを回収した。もうすぐキラキラエナジーが溜まりそうだ。
♢♢月☆☆日
今日はみんなで虹ヶ丘家の大掃除をした。家が綺麗になるところを見るのはとても良い気持ちだ。だけどツバサ君がどこか浮かない顔をしているように見えたので、気になってツバサ君の元へ行ってみたらヨヨさんがツバサ君の相談に乗ってあげていた。ヨヨさんなら大丈夫だろうという事で、俺も他の場所を掃除する為にこの場を後にした。ソラ・ハレワタールはクールに去るぜ。
そういえば掃除中、ましろもどこか上の空になっていた。それとなく悩みがないか訊いてみたが「なんでもないよ」と言われた。無理に訊き出してもましろを追い詰めるだけなのでひとまずそっとしておく事にした。
☆☆月♢♢日
今日はヨヨさんを含めたみんなで野菜畑へとやって来た。なんでもここの畑は全てヨヨさんが自分で作ったそうだ。しかも今年から始めたばかりとは思えない程沢山の野菜が実っていた。そんな中エルちゃんは畑にある鳥の模型が気になるようだ。あれは野菜を野鳥から守る為にある案山子なのだが、なんでもあの鳥の模型を作ったのはツバサ君らしい。ツバサ君曰く、航空力学を研究する過程で沢山作った物の一つらしく、ヨヨさんから譲ってくれないかと言われてあげたそうだ。「畑に使うってわかってたらちゃんとした物を作りましたのに…」と言っていたが、俺はあの完成度なら充分効果はあると思う。っていうかヨヨさんがちゃんと野菜を守ってくれていると言っていたしな。
それから野菜を収穫したり、新しく種を撒いたりし、ヨヨさんから肥料の仕組みを詳しく教えてもらったりしつつ、昼食を食べようとしたらツバサ君がもうすぐ雨が降るかもしれないと言ってきた。そしたら本当に降ってきたので本降りになる前に屋根のある場所へ行って改めて昼食を食べる事にした。昼食にはましろお手製のサンドイッチに加え、先程収穫した野菜があった。他の野菜は良いのだが、ピーマン…うん、あまり好きじゃない。っていうか嫌いだ。
「ソラちゃん、気持ちわかるよ…」
「あげはさん、あなたもですか…!」
俺にはあげはさんという同士が居た。あげはさんも俺という同士が居た事が嬉しかったようだ。俺達はすぐさまハグをし合った。いつもなら女性特有の匂いや柔らかさで照れてしまうが、今の俺にはそんな邪念はなかった。
「二人とも、なんだか凄くわかり合ってるみたいだよ…」
「いや、何をわかり合っているんですか…」
(あげはの奴、羨ましすぎる…!)
それからどうして雨が降る事がわかったのかをツバサ君に教えてもらった。ツバサ君の知識は大したもので、あのヨヨさんも太鼓判を押す程だ。それからヨヨさんのありがたい深いお話を聞いたところでバッタモンダーが現れてツバサ君が作った鳥の模型をランボーグに変えてしまった。ツバサ君が作った物をランボーグにするとか、人の心とかないんか?
ランボーグは鳥の模型を素体にしているだけあり、空を飛んで羽を飛ばして攻撃してきているが俺は浮遊魔法で対抗出来るし、なんなら空を飛べるウィングもいるので苦戦する事もなくタイタニック・レインボーで浄化してキラキラエナジーを回収し、バッタモンダーを空の彼方にぶっ飛ばした。今回の戦いで遂にキラキラエナジーが薬を作れるくらい溜める事が出来た。ようやく王様と王妃様、シャララ隊長の呪いを解く事が出来るぞ。
それから家に帰ったわけだが、家に入る前にましろが外の空気を吸いたいと言って散歩に出かけていった。
この時にましろを止めておけば良かったと、俺は激しく後悔する事になった…
♢♢月☆☆日
ましろが行方不明になり、今日で一週間が経った。流石に大切な孫がいなくなった事でヨヨさんも警察に捜索願を出していたがまだ見つかっていない。原作で起きなかったイレギュラーに流石の俺も滅茶苦茶焦っていた。もしもこの時ベリィが声をかけてくれなかったらいつも以上に無茶をしてましろを探しに行ったかもしれない。
それから今日も手分けしてましろを探したが今日も見つかる事はなかった。もしもこの日記を読んでいる者がいれば「どうして転移魔法でましろの所に行かないんだ?」と、疑問に感じる事だろう。俺も最初はそうしようとしたがプロテクトの様な物が邪魔をしているのか、ましろの顔を思い浮かべても転移する事が出来なかった。もうすぐ日が暮れそうだったので今日の捜索を止めようとしたそんな時、一人で歩いているましろの姿を見つけた。罠だというのは百も承知だが、今のところ手掛かりがないので俺の前を歩いているましろを追いかける事にした。ましろを追って工事現場にやってきたが、突然目の前にいるましろが俺に殴り掛かってきた。こいつの正体はわかっているのでジッとしていると、目の前のましろは幻だったかのように消えていった。俺はすぐにバッタモンダーが鉄骨の上に立っている事に気づいた。
「随分みみっちい嫌がらせだな。そんなに俺の事が嫌いなのか?」
「嫌いなんて生易しい物じゃないよ…殺してやりたい程憎いんだよ!スカイランドの城でお前から味わった屈辱…あの日からソラ・ハレワタール!お前に復讐する事だけを考えてきたんだよ!!」
「ったく、要は逆恨みだろ?ホントに器がちっちゃいんだな」
「…フフッ、その舐め切った態度を見るのは…今日が最後だよ!」
バッタモンダーが指を鳴らすと、俺の目の前に黒い靄の様な物が現れる。その靄の中から現れた人物に、思わず俺は絶句してしまった。
目の前にいたのは、ましろ…キュアプリズムだった。
だが、いつものプリズムとは違い、白が基調になっていたドレスは黒く染まっており、髪色も明るい桃色ではなく、黒色になっていた。その姿は原作の終盤で闇落ちしたキュアスカイ…通称ダークスカイを彷彿とさせるものだった。バッタモンダーによると、以前巨大ランボーグを生み出す時にバッタモンダーに協力した奴がましろを捕らえ、彼女にアンダーグ・エナジーを注ぎ込んでこの姿に変えてしまったそうだ。こんなゲスな事をする奴は、あいつしかいない。
とうとうやっちゃいけねぇ事をしてくれたな…
俺がハゲ野郎に対する怒りを増幅させているとプリズムが殴り掛かってきた。流石の俺も反応が遅れ、壁に叩きつけられてしまった。今の騒ぎを聞きつけたのか、そこにウィング、バタフライ、エルちゃん、ベリィが駆けつけてきた。みんなもプリズムを見て驚いており、俺はこうなってしまった経緯をみんなに説明し、すぐにキュアスカイに変身した。
「君は僕達が無理矢理彼女にアンダーグ・エナジーを注ぎ込んだと思っているようだけど、この力が欲したのは彼女自身…虹ヶ丘ましろさ」
「なにっ…?」
「どうも彼女はずっと悩んでいたらしいよ。キュアスカイのように滅茶苦茶な強さを持っていない…自分はキュアスカイに並び立てる程強くないってね…あの人がその辺を揺さぶったら、あっけなくこの力を欲したみたいだよ」
「何が言いてぇんだ…!」
「まだわからないかい?虹ヶ丘ましろがこうなってしまったのは…ゼーンブお前のせいなんだよ!キュアスカイ!アーハッハッハッハ!!」
バッタモンダーの言葉に、俺は何も言い返せなかった…
ましろが悩んでいるって気づいていた筈なのに、俺は何も出来なかった…いや、何もしようとしなかった…俺がちゃんとましろの話を聞いていれば、こんな事にはならなかったんだ…
…俺は、大馬鹿野郎だ!!
「バタフライ!俺を思いっきり殴ってください!」
「え、えぇっ!?そんな事出来ないって」
「いいから早く!!」
「え、ええい!ハァァァァーーーッ!!」
俺の要求通り、バタフライは俺を思いっきり殴り、再び壁に叩きつけられた。
「ヤバッ!やり過ぎた!ごめんスカイ!」
「「スカイ!」」
「すかい!」
みんなが俺の元に駆け寄ってくるが、これで良いんだ。
「ハハッ、仲間割れかい?」
「ちげーよ馬鹿が…大切な親友の悩みを解決しようとしなかった大馬鹿野郎の俺に、喝を入れてもらったんだよ」
俺は立ち上がって、プリズム…いや、ましろの元まで歩いていく。みんなが危ないと俺の所に来ようとするが「手出しをするな!」と言って止まってもらった。
「ましろ!俺にパンチをしてこい!お前の想いを全部受け止める!!」
俺がそう言うとましろは俺に向かって拳を振りかざし、それを俺が素手で受け止めた。正直滅茶苦茶重いパンチだったが、ましろが抱えていたモノと比べればなんて事はない。
「どうした!お前が抱えてたモンはこんなもんじゃないんだろ!?もっと攻撃してこい!」
それから俺はましろのパンチを受け止め続けた。手は赤く腫れ、痺れが強くなってきた。だがまだだ。ましろの想いを、全部受け止めるんだ!そして次のパンチが俺に当たろうとしていたが、攻撃が当たる事はなかった。ましろが動きを止めたからだ。
「…ソラ…ちゃん…っ!」
俺の名前を呼ぶましろの眼からは涙が零れ落ちていた。それを見た俺はましろを抱きしめた。ごめんなましろ…俺がもっとお前に寄り添っていれば、こんな事にはならなかったのにな…その時俺は決意した。何があっても俺はましろに寄り添っていく。絶対に…
するとましろから光が放たれ、ましろのドレスと髪色も元の色に戻った。
「…おかえり、キュアプリズム」
「…ただいま、キュアスカイ」
そして俺達は、互いに抱き合った…
あれから俺はバッタモンダーを空の彼方にぶっ飛ばし、パンパンに腫れた手をミックスパレットの力で治してもらったのだが、ウィング、バタフライ、ベリィから「無茶しすぎ!」と言われ、長い事お説教を受ける事になった。
その日の夜、部屋で今日の日記を書いているとドアからノック音が聞こえてくる。部屋に入ってきたのはましろだった。俺達はベッドに座ったのだが、どこか気まずい雰囲気になっていたが、同じタイミングで「「ごめん!」」と謝った。
「…ごめんなましろ。俺、お前が悩んでるって気づいてた筈なのに、何も出来なかった…」
「…謝るのは私の方だよ。私が一人で抱え込んだせいで、ソラちゃんやみんなに心配かけちゃって…ソラちゃんに攻撃して…」
「ましろ…」
それから俺は自分の決意を改めて伝える事にした。
「俺、お前がまた悩んだら、絶対に寄り添い続ける。ましろがやめてって言ってもだ!」
「ソラちゃん…うん。ありがとう」
ましろは俺の言葉を聞いて笑顔を浮かべていた。
「ソラちゃん…私の想い、全部受け止めてくれるんだよね?」
「あ、ああ…ひょっとして、覚えてるのか?」
「うん、薄っすらだけどね…目を瞑って」
俺は言われるがまま瞼を閉じた。すると自分の唇に温かい感触が当たっている感覚になった。目を開けるとましろは顔を赤くしながら微笑んでおり、そんなましろを見た俺は思わず息を呑んでしまった。
「それじゃあおやすみ、ソラちゃん」
そう言ってましろは部屋を出て自室へと戻っていった。もしかして俺、キスされた?ましろに?なんで!?どうして!?
俺は自分の唇に触れ、茫然としたまま動けずにいた。