♢♢月☆☆日
ランニングをしていたら突然雨が降ってきたので偶々通りかかった屋敷で雨宿りをする事になったのだが、変な声が聞こえてきたのと同時に屋敷のドアが開いた。
どうも屋敷には誰も住んでいないらしく、汚れている猫のぬいぐるみがポツンと置いてあるだけだった。そのぬいぐるみに触れてみたら「連れてってニャ!」と喋り出した。突然非科学的な事(プリキュアも非科学的みたいなもんだけど)が起きたので流石の俺も驚いてしまったが、ほっとけなかったのでぬいぐるみの話を聞いてみる事にした。
なんでもこいつはこの家に住んでいた『りほちゃん』という女の子のぬいぐるみで、とても大切にされていたとの事だ。だが去年、りほちゃんとその家族が引っ越していく際にこの屋敷に置いていかれたそうだ。そこまで大切にしていたのなら置いていくとは考えにくいな。きっと引っ越しでバタバタしててうっかり忘れていったのだと思う。
「安心しろ。俺がお前とりほちゃんを会わせてやるからさ」
「ホントニャ!?…でも、あの子は僕の事を嫌いになってるかもしれないニャ…だから僕を捨てたんだニャ…」
「…なぁお前、名前はあるのか?」
「…りほちゃんからは、『マロン』って呼ばれてたニャ」
「ならよく考えてみろ。名前をつけるくらいお前を大切にしていたりほちゃんがお前の事を嫌いになると思うか?」
「それは…そうかもニャ」
「だろ?だからりほちゃんを信じてみな」
「…ありがとうニャ!えっと…」
「ソラだ。ソラ・ハレワタール。少しの間だけどよろしくな、マロン」
「よろしくニャ、ソラ!…でも、どうやってりほちゃんと会わせてくれるニャ?」
…それは考えてなかった。とはいえこのまま屋敷に置いておくわけにはいかないので家に連れて帰る事にした。今日の出来事をましろ達に話したが、帰ると同時にマロンがただのぬいぐるみの様に動かなくなったので中々信じてもらえなかった。だが少しだけマロンが動いてポルターガイストを起こしたので信じてもらえた。お前オバケみたいなこと出来るんだな。
☆☆月♢♢日
俺が考えたマロンとりほちゃんを会わせる方法…それはこの屋敷でひたすら待ち続ける事だった。本当にマロンを忘れていったのならその内りほちゃんは来てくれる筈だ。ただ街中を探すのも効率が悪いしな。本当は俺とマロンだけで待つつもりだったが、ましろも一緒に待ってくれると言ってきた。
「ソラちゃん、前に言ってたよね?私に寄り添い続けるって…だから私もソラちゃんに寄り添い続けたいんだ」
正直メッチャ健気だなと思ってしまった。お言葉に甘えて一緒に屋敷で待ってもらう事にした。ちなみにツバサ君とあげはさんは俺達とは別行動を取り、街中ででりほちゃんの事を聞き込みしてくれている。それとマロンはましろの前でも普通に動いていたが、声は俺にしか聞こえないようだ。
それからあっという間に日が暮れてきたので今日のところは引き上げる事にした。ツバサ君達の方も特に情報を入手できなかったようだ。とはいえこのまま諦める訳にはいかない。明日も頑張ろう。
♢♢月☆☆日
目が覚めるとマロンがいなくなっていた。昨日眠っていた時に夢の中でマロンと話していたら「これ以上ソラ達に迷惑をかけられないニャ…」と言っていたが、本当に出ていっちまうとは…
すぐに俺達はマロンを探しに例の屋敷に向かった。あいつが戻る場所といえばあそこしか考えられないからな。屋敷に着いたところでミノトンが現れ、屋敷をランボーグに変えてしまった。中々手強かったがマロンの助けもあり、無事に浄化することが出来た。それから屋敷の前で待っているとタクシーがやって来て、中からりほちゃんと思われる女の子と母親が降りてきた。どうやらりほちゃんで間違いないようで、やはりマロンは引っ越しの際に忘れていったようだ。りほちゃんはマロンを置いていった事を負い目に感じているのか、悲しそうな表情をしていた。そこで俺はマロンの気持ちを代弁して伝える事にした。
「ずっと待ってたニャ」
「えっ…?」
「マロンはさ、君をずっと待ってたんだよ」
俺はりほちゃんにマロンを差し出す。りほちゃんは涙を流しながらマロンを抱きしめた。それにしても、不思議な体験をしたもんだ。
(ありがとニャ、ソラ…)
りほちゃんに抱かれながら去っていくマロンを見送っていたら、マロンの声が聞こえてきた気がした。
俺もお前の事をずっと忘れないからな、マロン…
☆☆月♢♢日
もうすぐ夏休みが終わろうとしているので、最後のお楽しみという事で明日海に行く事になった。それで今日はましろと一緒にショッピングモールまで水着を買いに来た。正直この前のファッションショーで凝りているので、出来ればあまりフリフリしていない水着が良いな。
するとましろが同じ水着を二つ持ってきてくれた。二つの水着の違いは色くらいで、桃色がましろ、空色が俺にとの事だった。やっぱフリフリしてる部分はあるし、デザインも全体的に可愛いな…とはいえ、せっかくましろが選んでくれたしこの水着を買う事にした。それにましろとお揃いの水着というのも悪い気はしないしな。
…悪い気はしない…か。
♢♢月☆☆日
今日は予定通り、みんなで海水浴にやって来た。さっそく昨日買った水着に着替えた訳だが、「ソラちゃんとましろん、お揃いの水着じゃん!ペアルックみたいだね!」というとましろは顔を真っ赤にしてしまったが、かく言う俺も何だか体温が高くなっていくのを感じた。きっと俺の顔も赤くなっていた事だろう。以前キスをされて以来、俺は時々ましろを意識するようになっていた。実際ましろって美少女と言っても過言ではないくらい可愛いからな。するとエルちゃんが「そら!えるもみて!」と言って足にしがみ付いてきた。なんだか好きな人が他の女の子と楽しそうにしていて、それに嫉妬した女の子みたいだな。ただエルちゃんはまだ赤ちゃんなので俺に恋愛感情は持ち合わせていないだろう。
「もしかして、エルちゃんも…」
「そ、そんなわけないじゃん!ほら、エルちゃんはまだ赤ちゃんだよ?いくらソラちゃんが女誑しだからってそれはないんじゃないかな?」
「そ、そうだよね!」
何を話していたかわからなかったが、ましろとあげはさんが小声で何かを話していた。その後ツバサ君と合流し、海水浴を存分に楽しんだ。そういや原作だとこの辺でソラが泳げないと判明してた気がするが、俺は普通に泳ぐことが出来るので問題ない。遊んでいると偶々海で特訓をしていたミノトンに勝負を仕掛けられた。
今回のランボーグは浮き輪を媒介をしているので攻撃は全て吸収されてしまう。俺はプリズムにランボーグを海に叩きつけてもらうが、海水で濡れただけでやはりダメージはなかった。
だが、それで良い。
俺はランボーグの元へ行き、ランボーグに付いている栓を抜く。恐らくこの日記を読んでいる者はただ空気を抜く為の行為だと思っている事だろう。残念、不正解でーす!
正解は、栓が取れた事で開いた穴の中に雷魔法をぶち込むでしたー!
雷魔法を内部にぶち込まれた事でランボーグは激しく感電し、最後には黒焦げになった。さっきプリズムに海に叩きつけてもらったのはこの為だ。水は電気を通しやすいからな。
それからランボーグを浄化した俺達は夕方まで海を満喫したのであった。