TS転生ヒーローガールのプリキュア日記   作:のぞむ

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待ってたぜ、この時をよぉ!(PART2)

☆☆月♢♢日

 

 

エルちゃんに嫌われてしまった。

 

事の発端はましろが描いた絵本にエルちゃんが自分の絵を描いてしまった事だ。俺が「エルちゃん。ましろに自分の事も描いてほしかったのはわかるけど、勝手に描くのはいけない事だぞ」と、なるべく優しく諭すとエルちゃんがましろの元へ行き、「そら、きらい」と言われてしまった。勿論拗ねているから出てきた言葉なので本気で嫌いだとは思っていないだろう。なので俺は少し揶揄ってみる事にした。

 

「そっか…エルちゃんは俺の事が嫌いなのか…じゃあ俺、今からましろと〝二人だけ〟で遊んじゃおっかなー!」

 

「えるっ!?」

 

「ソ、ソラちゃん?」

 

「そういやましろ。この前観てみたい映画あるって言ってたよな?これから〝二人だけ〟で楽しんじゃおっかなー!」

 

「そらぁ!!」

 

エルちゃんはすぐさま俺の足にしがみ付いてきて「きらいうそ!えるのこときらいにならないで!」と泣きながら言ってきた。とはいえエルちゃんの泣き顔を見てたら、流石に大人げなかったと反省した。流石のましろも俺が大人げないと思ったのか珍しく怒っており、しばらくましろのお説教を受ける事になってしまった。せ、正座してるから足が痺れてきた…

 

「ソラちゃん!ちゃんと聞いてるのかな!?」

 

「き、聞いてます!聞いてますよ!」

 

うぅ…お説教と正座は辛いぜ…

 

それからしばらくの間三人で一緒にお絵描きをしていたらヨヨさんに良い場所があると言われ、ソラシド写真館のチラシを渡された。なんでも子供用のレンタル衣装を取り扱っている写真館らしく、エルちゃんも興味津々だったのでいつものメンバーで写真館に行く事にした。写真館には俺達プリキュアの衣装もあった。やはり最近のプリキュアの知名度は凄まじいな。

 

それからエルちゃんはプリキュア全員の衣装を着て楽しんだ。帰る頃になるとはしゃぎ疲れたのか眠ってしまっていた。あげはさんの車で家に帰っている中、「そら…だいすき」と寝言を言っていた。俺は「俺も大好きだぞ、エルちゃん」と言いながらエルちゃんの頭を撫でてあげた。そんな中、突然あげはさんが急ブレーキをした。なんでも目の前に突然人が現れたらしいのだが、目の前には誰もいなかった。するとバックミラーにフードの男が映っていた。間違いなくスキアヘッド(ハゲ野郎)だ。王様達が呪いにかけられた時にスキアヘッドを見ていたましろもあげはさんに車を出すように言った。しかしスキアヘッドは車の上に乗り、車の目の前にトンネルを開いて車ごと俺達を引きずり込んでしまった。

 

トンネルを抜けた先はどこかの駐車場だったが、問題はそれではない。一緒にいた筈のエルちゃんがいなくなっていた。外に出てみると案の定シャボン玉に閉じ込められたエルちゃんが上空に開いている穴に吸い寄せられているのが見えた。俺はすぐさま転移魔法でエルちゃんの元へ行き、シャボン玉から出してあげた。みんなの所に戻ろうとするとスキアヘッドが突然目の前に現れたので炎魔法で怯ませるが、そうこうしている内に俺はエルちゃん諸共穴の中に入ってしまった。当然行き先はアンダーグ帝国だ。

 

敵の本拠地に連れてこられた俺とエルちゃんの目の前に紅色の髪の女性が現れる。こいつがアンダーグ帝国の女帝、カイゼリン・アンダーグだ。

 

「まさかお前のような招かれざる客まで来るとはな、ソラ・ハレワタール」

 

「…お初にお目にかかります。アンダーグ帝国の女帝様」

 

目の前にいるこいつは紛れもなくここの主ではある。だが、原作知識を持っている俺は知っている。アンダーグ帝国を裏で操っているのは、別の奴だ。

 

「一応訊くが、なんでエルちゃんを執拗に狙うんだ?」

 

「貴様が知る必要はない」

 

「家族がプリンセスに殺された…だったりするか?」

 

「っ!?」

 

しめしめ、思った通り反応してくれたぞ。エルちゃんは「えるしらない!」と首を振っているが、そんな事は勿論わかっている。

 

「エルちゃんの事じゃないよ。だから安心しな」

 

そう、厳密には太古の時代のプリンセスだな。それからカイゼリンはあっさり自分の過去を語ってくれた。太古の時代のスカイランドとアンダーグ帝国は争い合っていた。当時のアンダーグ帝国の帝王であり、カイゼリンの親父でもあるカイザー・アンダーグが一方的に攻めていたのだが、勿論スカイランド側も黙っておくわけにもいかず抵抗を続けていた。そんなある日、スカイランドに救世主が現れた。その救世主こそ、当時のプリンセスであったエルレイン…キュアノーブルだ。そこからの展開は原作通りなので割愛するが、なんやかんやあってスカイランドとアンダーグ帝国は和平を結び、互いに歩み寄ろうとした時、キュアノーブルがカイザーを手にかけたそうだ。カイゼリンも命を狙われたそうだがスキアヘッドに助けられたそうだ。それ以来カイゼリンはスカイランドに復讐すると誓い、始めにエルレインが生み出し、エルレインと同じ力を持つエルちゃんをこの手で始末するつもりだったようだ。

 

…嘘です!キュアノーブルがカイザーを殺しただなんて、全て噓です!

 

思わずどこぞのパンツみたいな事を言ってしまったが、俺が言ったのは本当だ。原作通りならカイザーを殺害した真犯人はスキアヘッドだ。それからスキアヘッドはカイゼリンの記憶を封印して嘘の記憶を埋め込み、自分の思いのままに操っていた。それどころかカイゼリンに「愛している」と言って傷心の彼女につけ込んだ。今原作知識を思い出してみても、やっぱあのハゲ腐れ外道だわ~。

 

このままどうにかカイゼリンの本当の記憶を思い出させても良いのだが、スキアヘッドを相手にしているプリズム達にそろそろ限界が近づいているようなのでそろそろ戻らなければいけない。ただ転移魔法は別の世界にいる時に使っても元いた世界には戻れないという結構面倒くさい仕様なのだ。俺がソラシド市に来た時、すぐにスカイランドに戻らなかったのはそういう事情があったからだ。そこで俺が取った行動は、エルちゃんに全てを委ねる事だった。エルちゃんがキュアマジェスティになれば原作通りソラシド市に戻れる筈だからだ。エルちゃんもみんなを助けたいと思っているようで、祈りを捧げると彼女から光が放たれ、俺はその光に呑み込まれた。

 

気が付くと俺は先程居た駐車場の上空に浮かんでおり、隣には俺と同い年くらいの女の子の姿があった。言わずもがなエルちゃんだ。そこからエルちゃんはキュアマジェスティに変身し、スキアヘッドに向かっていった。スキアヘッドはバリアーを張りながらマジェスティに名前を問い、マジェスティも自身の名を答えた。バリアーがマジェスティに砕かれ、スキアヘッドはこの場から消えていった。正直一発ぶん殴ってやりたかったが、それはまた今度にしよう。

 

するとプリズム達が俺達の元へ駆け寄ってきたところでマジェスティは変身を解き、いつものエルちゃんに戻った。当然プリズム達は盛大に驚いていたが、俺達が無事に戻って来た事を喜び、みんなが俺とエルちゃんに抱き着いてきたのだった。

 

 

 

 

♢♢月☆☆日

 

 

どうやらはエルちゃんはまだ自分の意思でキュアマジェスティになれないらしく、落ち込んでいた。ツバサ君からミラージュペンを借りて試してみたが、当然自分のミラージュペンではないので失敗に終わり、とうとう泣き出してしまった。まぁあげはさんが励ましてくれたので何とか落ち着いてくれたがな。この時あげはさんも言っていたが、俺達にはそれぞれ自分だけのミラージュペンがある。だからエルちゃんにはエルちゃんだけのミラージュペンがある。

 

そんなこんなで鳥さん達からSOSが届き、俺達が街に駆けつけると、そこに居たのは巨大化して暴れているミノトンと、ビルの上から高みの見物をしているスキアヘッドだった。どうやらミノトンにアンダーグ・エナジーを注ぎ込み、自分の下僕に変えてしまったようだ。更にもうエルちゃんを攫うような事はせず、俺達共々始末するつもりの様だ。とりあえず俺はすぐさまスキアヘッドの元へ飛んでいき、奴がバリアーを張る前に顔面をぶん殴ってやった。

 

待ってたぜ、この時をよぉ!

 

「…随分な挨拶だな」

 

「テメェのような腐れ外道には丁度いいだろ?」

 

「私に構っていいのか?じきにミノトンがプリキュアどもを始末するぞ?」

 

「へっ!あいつらを簡単に倒せると思ったら大間違いだぜ?…プリキュア(俺達)を舐めんなよ!」

 

「…いいだろう。私自らが貴様を排除してやろう」

 

そう言ってスキアヘッドは俺に攻撃を仕掛けてきたので俺も応戦する。スキアヘッドはトンネルを使って俺の背後に移動したり、バリアーを張ったりして結構厄介な戦い方をしてくるが、俺も転移魔法とバリアーを使えるのでそこまで苦戦をしていない。とはいえこの時のこいつはまだ底を見せていないので油断は禁物だ。このままじゃジリ貧なので俺は浮遊魔法で上空に移動し、炎魔法を最大出力まで上げ、それを陸にいるスキアヘッドに向ける。スキアヘッドは「貴様にそれを撃つ事は出来ない。そんな物を撃てばここ一帯も、他のプリキュアどももただではすまんぞ」と言っている。現に俺を見ていたプリズム達も俺が本気で撃つ筈がないと思っているようだし。だが本気だ。スキアヘッドが油断している隙に俺は転移魔法で奴の間近に移動し、最大出力の炎魔法をぶち込もうとする。ドラゴンボールで悟空がセルに使っていた戦法と同じだな。

 

「貴様の思惑などお見通しだ」

 

だが、スキアヘッドは俺がやろうとした戦法を見抜いていたらしく、アンダーグ・エナジーで作ったビームを俺に向かって放った。ビームが諸に当たった事でスキアヘッドは勝利を確信していたようだが、ビームを撃った場所に居た筈の俺の姿がなかった。

 

「なっ!?」

 

「残像だよバーカ!」

 

本物の俺は初めて動揺を見せたスキアヘッドの背後から炎魔法を放った。お前は無駄に賢いからな。だから先を見据えて二段構えの作戦を使わせてもらったぜ。流石にバリアーを張る暇もなかったようで、スキアヘッドは苦痛の表情を浮かべながら地面に倒れていた。こいつをこのまま生かしておく訳にはいかないので、このまま浄化しようとしたが、スキアヘッドはトンネルを開いてどこかへ消えていった。転移魔法を使ってもスキアヘッドの元へ行けなかったので、きっとアンダーグ帝国へ引き返したのだろう。逃げられはしたが、ひとまず俺はプリズム達の加勢に行ったら、そこにいたのはマジェスティを含めたプリキュア達と、アンダーグ・エナジーを浄化されて倒れているミノトンだった。どうやら既に片がついていたようだ。するとマジェスティが俺の顔を見るなり「スカイ!」と呼んで俺に抱き着いてきた。

 

「ちょ、マジェスティ!?」

 

「私ね、ずっとスカイやプリズム達と一緒に戦いたかった!力になってあげたかった!こんな風にお喋りもしたかったの!」

 

そう言ってマジェスティは俺の頬に頬擦りをしてくる。やれやれ、俺達と同い年くらいの見た目になっても、マジェスティはまだまだ赤ちゃんだな~。

 

「あっ!今私の事、まだまだ赤ちゃんだな~って思ったでしょ!?今の私はもう赤ちゃんじゃないよ!」

 

「ハイハイ、わかってるよ…エルちゃん(・・・・・)?」

 

「ムゥ…なら、これはどう?」

 

そう言ってマジェスティは、俺の唇にキスをしてきた。

 

へ?何で唇!?赤ちゃんなら普通ここはほっぺたとかじゃないの!?プリズムとバタフライはメッチャ顔を赤くして動揺してるし、ウィングも「プリンセス!?何をしてるんですか!」と顔を赤くしながら言っていた

 

「こういう時は、こう言うんだよね…スカイ。私はあなたを…ソラ・ハレワタールを愛しているわ」

 

そう言っているマジェスティの表情には見覚えがあった。時折ましろが俺に向けてくる表情と同じだ。

 

「フフッ、照れてるのね…お可愛いこと…」

 

マジェスティはどこぞのかぐや様が言いそうな言葉を言いながら顎に手を添え、蔑んだような目をしていた。

 

「ちょ、どこでそんな言葉を…」

 

「バタフライが読んでた絵本みたいな本に出てた女の子が言ってたよ」

 

「あんたかぁぁぁぁーーー!!」

 

バタフライは目を逸らしながら口笛を吹いていた。しかもあのセリフ…マジェスティの声がかぐや様と似ている事もあり、俺はメッチャ羞恥心に襲われていた。ちょっとだけ白銀君の気持ちがわかったぜ…

 

それからミノトンが目覚め、「いずれまた、手合わせ願うぞ!」と言って去っていき、俺達は家に帰っていたのだが、俺の目にどこか不安そうな表情をしているましろが映ったのだった。

 

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