☆☆月♢♢日
あれから二日ほどかけて城の前にある町に辿り着いたのだが、町の住民達は揃って「アークに苦しめられている」、「誰かアークを倒せるものはいないのか?」と、ゲームのNPCみたいに同じ様な事しか言わない。まぁこの町の人間はみんなシュプリームが生み出した存在だからな。
それからしばらく歩いていると「一体何なのよ!?この町の人間は!」という声が聞こえ。いの一番にまなつが反応した。前方を見てみると何人かの女の子が歩いて来ていた。あそこにいる全員を俺は知っている。さっき叫んでいたキュアラメールことローラ・ラメール(フルネームはクッソ長かった筈)、キュアフィナーレこと菓彩あまね、キュアグレースこと花寺のどか、原作映画でもキーになっていた妖精のプーカ、そして俺の親友であるキュアプリズム…虹ヶ丘ましろだ。更にまなつはローラを、ゆいはあまねさんを見つけた事ですぐに駆け寄ろうとしていた。向こうも俺達に気づいてすぐに駆け寄ってくるが、そんな中プーカはあいつを…プリムを見ていた。
すると突然地面に穴が開き、ましろ達は穴の中に落ちていった。これはプーカが持つ破壊の力だな…助けてやりたいが、転移魔法を使っても流石に全員は助けきれない。
「ソラちゃん!」
「っ!」
「お城で…お城で会おう!」
「…ああ!」
そう言ってましろ達は穴の中に消えていった。まなつとゆいもそれぞれの仲間からお城で会おうと言われていた。こんなところで諦めてたまるかよ!
それから俺達はプリキュアに変身し、城内へ突入した。中には大勢の怪物達で溢れていたが、今の俺達の敵ではなかった。そして辿り着いた最深部。そこにいたのは敵の黒幕という事になっているアーク。だがアークは動くことなく倒れてしまう。状況が呑み込めていないサマーとプレシャスだったが次の瞬間、部屋に大勢のプリキュア達が入ってきた。その中にはプリズム、ウィング、バタフライ、マジェスティの姿があった。それぞれの仲間達が再会を喜ぶ中、プリズムとマジェスティがこちらに駆け寄ってきた。
「…会えたな」
「「うん!」」
二人が抱き着こうとしたが、俺はそれを止める。
「スカイ?」
「わりぃ二人とも…まだ終わってないんだよ」
「えっ…?」
「彼女の言う通りだよ」
そう言って倒れているアークに近づいていくプリム…いや、シュプリーム。それからシュプリームは俺以外のプリキュア達の封印されていた記憶を思い出させ、自分が何をしようとしていたかを語った。要はプリキュアに興味を持ったシュプリームは一度消した世界を新しく創り替え、自身をプリキュアに似た姿へ変化させた。だがシュプリームが創ったのは必要な物と役に立つ物だけで、俺やましろ、みんなの家族は復活していないとの事だ。
「必要ないと役に立たないと言えば…お前もそうだったよな?」
「プカッ!?」
シュプリームの視線の先にはプーカがいた。プーカもシュプリームが生み出した妖精で、シュプリームと同じ破壊の力を持っている。だが性格は正反対の臆病者。だからシュプリームはプーカを捨てたそうだ。
「僕が興味を持ったのは君達だけだ。君達と一緒に行動すれば強さの秘密がわかると思った。でも蓋を開けてみれば、君達はくだらない話をしたり。笑ったりするだけだった…全て無意味だったんだ」
シュプリーム…お前、本当に…
「可哀想な奴だな」
「ス、スカイ!?」
「ちょっとあなた!挑発してどうするのよ!?」
「事実を言っただけだ」
ラメールが慌てながらそう言っていたが、それよりも目の前のこいつだ。
「可哀想…僕が?」
「ああそうだ。さっきは黙って聞いてたけどよ、プリキュアの事をわかった風に言ってるけど、全然わかってねぇよ。プーカの事だってそうだ。俺の知ってるプリキュアは、パートナーの妖精を捨てるような事は絶対にしない」
そう言ってプレシャスとコメコメに目線を送ると、プレシャスも俺の言葉に頷いていた。
「ハッキリ言うけどよ、俺はお前が好かん」
あくまでも俺個人の感想なのだが、俺は『プリキュアオールスターズF』という映画が好きではない。というか嫌いだ。確かにストーリー自体は面白いが、それ以上に好きじゃない要素があり過ぎるんだ。その原因が目の前にいるこいつ、シュプリームだ。自分の勝手で世界を壊し、自分の都合で生み出したプーカを自分の都合で捨てた。更に自分がこの世界で一番強いと我が物顔でいて、プリキュア達を圧倒する。誰がプリキュア達が手も足も出ずに倒される所を見たいんだよ?
映画では最終的にプリキュア達が勝利したが、ラストでこいつが許されたみたいなシーンは見ていてモヤっとした。ほとんどのファン達はこれがプリキュアらしいと言っているが、それでシュプリームを好きになれる程、俺は大人じゃない。
「上辺だけのプリキュアになったお前に、俺は倒せないぜ」
「…キュアスカイ、やっとわかったよ。僕が心に抱えていた物が何だったのか…」
そう言うとシュプリームの衣装の色が白から黒に変わり、姿も所々変化した。
「僕は君が…お前が大嫌いだ」
そう告げるシュプリームはとてつもない圧を放っていた。
「プリキュア共々消そうと思ってたけど、まずはお前を…僕のプライドに傷を付けたお前を消すことにするよ」
「…なら付き合ってやるよ。このくだらねぇ戦いにな!」
「スカイ!」
プリズム達が加勢しようと向かってくるが、俺は炎魔法をプリキュア達の所に放って炎の壁を作った。
「お前らは手を出すな。俺一人でこいつを倒す」
「何を言ってるんだ!君一人で勝てる筈が…」
フィナーレの言葉を最後まで聞かず、俺はスカイランド神拳でプリズム達がいる地面に穴を開け、その穴に落ちてもらい、更に穴をバリアーで塞いだ。これであいつらはここに戻って来られない。だが隅の方にいたプーカはここに残っていた。
「プーカ。確かにお前はあいつの身勝手で生まれた妖精だし、あいつと同じ力も持っている」
「プカ…」
「でも、お前は今、確かに生きている」
「プカ…!」
「それにお前の力は破壊する為だけの力じゃない。それを覚えときな」
そう言って俺はシュプリームの方を向く。
「俺とあいつの戦い、しっかり見とけよ!」
「…プカ!」
「役立たずとの話は終わった?」
「プーカは役立たずじゃねぇよ…さっさと始めようぜ」
「お前に言われるまでもないよ」
俺とシュプリームは互いに拳をぶつけ合う。それからの戦いは日記では上手く説明できない程の死闘だった。純粋な肉弾戦、シュプリームが放つビームと俺の魔法攻撃のぶつかり合い。このような死闘を繰り広げる内に俺の体力は徐々に減っていった。それはシュプリームも同じ事だったが、俺と違いシュプリームはまだ余裕の様だ。
こうなったら、奥の手使わせてもらおう。正直なところメッチャ不安だ。この奥の手は数年前に考案したのだが、これまで一度も試した事がない。何故ならこの奥の手は下手をしたら命に関わるかもしれないからだ。だが相手はあのシュプリーム。ハッキリ言って戦闘能力はスキアヘッドもといダークヘッドより圧倒的に上を行っている。そんな相手だからこそ、今使うべきなんだ。
俺は右手に炎魔法を作り出し、それを俺の心臓がある胸にぶつけた。血迷ったかと思っている君、俺は至って本気だ。すると俺の身体に熱が広がり、体温が高くなっていく感覚になり、身体からは蒸気の様な物が出てきていた。よく見ると俺の髪色も空色から赤色に変化していた。この奥の手は炎魔法を自分の身体の中に入れ、体温を高めて血流の速度も上げる事で戦闘能力を更に向上させる力だ。だがその反面、体力の消耗も激しくなるだろう。他作品で例えるなら、ドラゴンボールの悟空が使う『界王拳』、ワンピースのルフィが使う『ギアセカンド』みたいな強化技に近いな。
名付けるなら、『キュアスカイ・ファイアモード』だ。
「…何をしたかわからないけど、お前が僕に勝つことは」
シュプリームが何かほざいていたが、俺はお構いなしでシュプリームに腹パンを喰らわせてやった。
「がはっ!?」
「ダァァァァーーーー!!」
「(馬鹿な!僕が反応出来なかった!?)…舐めるなぁぁぁぁーー!!」
それから俺はシュプリームに攻撃を当て続けた。先程も言ったが、ファイアモードは体力の消耗が激しい。だから短期で決着をつけなければならない。シュプリームは負けじと反撃をしてくるが、俺はほとんどの攻撃を躱すことが出来た。
やがてこの死闘は、終わりを迎える事になった。
「俺の…勝ちだ…!!」