♢♢月☆☆日
スカイランドの町周辺にトンネルが開かれた事を聞き、俺達はプリキュアに変身して戦闘態勢に入っていた。勿論青の護衛隊の人達もだ。すると周りに無数のトンネルが開かれ、そこからアンダーグ・エナジーのビームが出てきてバリアーを砕こうとしていた。このバリアーは簡単に壊されるほど軟ではないが、ずっと攻撃され続けたら持たないだろう。俺達は街の外へ出て、俺とバタフライが無数のバリアーでビームを受け止め、それをプリズムが光弾で消し去っていった。
ひとまずなんとかなったが、前触れもなく俺達の目の前にカイゼリンが現れた。だがカイゼリンの様子はどこかおかしく、少しすると雄叫びを上げながら怪物へと変貌してしまった。いきなりかよと思っていたら、そこへハゲ野郎が現れ、カイゼリンに何をしたのか教えてくれた。
何でもプリキュア…特に俺の力があまりに強大だと感じたのと、俺にカイザー殺害を見抜かれた事で急遽計画を早めてカイゼリンを騙し討ちし、そこから残酷な真実を告げてバッタモンダーの様にアンダーグ・エナジーで怪物へと変えたとの事だ。それを言い残してハゲ野郎はどこかへ消えていった。
…やっぱ、あのクソハゲだけは勘弁してやる訳にはいかねぇな…!
怪物となったカイゼリンはアンダーグ・エナジーのビームでバリアーを破壊し、ビームに当たった無機物は大量のランボーグとなって町に侵入してしまった。武器にキラキラエナジーを纏わせた青の護衛隊が応戦してくれているがどこまで持つか…
そこでウィングとバタフライが町の方へ行く事になった。ウィングがバリアーの修復、バタフライが町のランボーグと戦うそうだ。そして俺とマジェスティがカイゼリンと戦っている間にプリズムがプリズムシャインを作り、それをカイゼリンを照らす事になった。
俺が雷魔法や炎魔法でダメージを与えつつ、マジェスティはこれまで以上に素早い動きで攻撃を当てている。昨日エルレインに力を与えられた事で身体能力が向上しているようだ。そうこうしている内に破壊されていたバリアーの修復が完了し、プリズムシャインも最大まで作ることが出来ていた。プリズムはカイゼリンを光で照らし、更に『アップ・ドラフト・シャイニング』でカイゼリンのアンダーグ・エナジーを完全に浄化した。浄化は出来たものの、真実を知り、本当の記憶を思い出した事でカイゼリンの生きる希望を失くしたかのような表情をしていた。
「…カイゼリン、あんたが抱えている絶望の全てを俺達は理解してやる事が出来ない…だからこそ、俺達はあんたを救ってやりたいんだ」
「…何故だ…私は道を誤った…なのに何故!?」
「…俺はヒーローを目指してる。俺が尊敬してるあるヒーローが言っていたんだ。『泣いている人に手を差し伸べるのに、理由なんていりません』って…俺はそのヒーローみたいに優しくないし、敵にも容赦が出来ない…でも、俺は俺なりに、その人に一歩でも近づきたい。そしてそのヒーローを超えて、『スーパーヒーロー』になる…それが俺の目指す夢だ!」
俺はそう言ってカイゼリンに手を差し伸べる。カイゼリンは俺の手を掴もうとするが、カイゼリンに向かっている槍が見えたので俺はそれを掴み、へし折った。
案の定現れたのはハゲ野郎だったがさっきと姿が変わっており、身体の色も更に濃くなっていた。これが奴の正体、ダークヘッドだ。
ダークヘッドは「私が許せないのだろう?なら、アンダーグ帝国で決着をつけるとしよう」と言ってトンネルを通っていった。間違いなくこの先がアンダーグ帝国だろう。罠だろうが何だろうが、俺は突き進むだけだ。そしてトンネルを通ろうとする俺の側にプリズム、ウィング、バタフライ、マジェスティが来る。みんな気持ちは同じってか?
カイゼリンはここに助っ人に来ていたカバトン、バッタモンダー、ミノトンに任せて俺達はアンダーグ帝国へと向かっていった。入ってすぐに大勢のランボーグが居たが、こいつらはウィングとバタフライが引き受けると言ってたので俺はプリズムとマジェスティと先へ進む事になった。だが、再び大勢のランボーグが出現し、それをマジェスティ一人で食い止める事になった。
みんなの事は勿論心配だが、今はダークヘッドだ。それに、あいつらは簡単に負けはしないし、ランボーグも全て浄化してくれる。あいつらの決意に応える為にも、ここで決着をつけてやる!
ようやく最深部まで辿り着き、ハゲ野郎をぶっ飛ばしてやろうとした矢先、突然俺の身体から力が抜け、息苦しくなってしまった。それはプリズムも同じようだ。ハゲ野郎が言うには、アンダーグ・エナジーは帝国の者ではない人間にとっては毒なんだと。それからハゲ野郎はアンダーグ・エナジーの海から出して凝縮させた力を俺に見せ、誘惑してきた。
…いいぞ、ここまでは作戦通りだ…!
俺がちょっと力が欲しいと願ったら、アンダーグ・エナジーは俺の中に入っていった。これでファンも沢山いる人気者、ダークスカイの誕生である。勿論アンダーグ・エナジーの毒も平気だぜ!
ちなみに原作のように俺の心がアンダーグ・エナジーに蝕まれる事はなかった。これも長年鍛えてきた精神力が為せる業である。この作戦は滅茶苦茶賭けだったが、何とか成功したようだ。とりあえずアンダーグ・エナジーで苦しむ演技をしながらハゲ野郎を殴り飛ばす。あんま認めたくねーけど、アンダーグ・エナジーを使えば結構強くなれるんだな…とはいえあまり使いたくないけど。
俺が殴り続けるも、ハゲ野郎は嬉しそうに笑っていた。ドMかよお前。俺が更に苦しむ演技をするとハゲ野郎は蛇の様な姿になり、チャンスと言わんばかりに俺の身体を奪おうとしてきた。
「次にお前は、『貰い受けるぞ!その入れ物!!』と言う!!」
「貰い受けるぞ!その入れ物!!…ハッ!」
俺は蛇状態のハゲ野郎を手で鷲掴みにする。
「へっへーん!作戦大成功!」
「き、貴様…!何故正気を保って…!?」
「元々俺は正気を保ってたんだよ。俺レベルの演技も見抜けないとか、お前の観察眼も大して凄くねぇんだな…そうだ!せっかくだからこの事、知識の宮殿に記録しとこうかな…なんて?」
「貴様ぁ!!」
「フンッ!」
「がっ!?」
俺の手の中で喚いているハゲ野郎を俺は強く握る。するとハゲ野郎は俺の手から脱出し、元の人型に戻った。
「キュアスカイ…貴様だけは生かしてはおけない…私の手で葬り去ってやる!」
「へっ!やってみろよ」
俺は中々動けずにいるプリズムに目を向ける。先程アンダーグ・エナジーの海の一部を俺に使った事で濃度が薄まったのか、プリズムの表情は多少マシになっていた。
「…安心しろプリズム。どんな姿になっても俺は俺だ…すぐ終わらせてやるから、待っててくれ」
「…うん」
俺がプリズムと話しているのを好機と見たハゲ野郎は背後から俺に攻撃をしてくるが、俺は裏拳で殴り飛ばしてやった。この日記を読んでいる者がいれば、そこからの展開は予想出来るだろう。俺に完膚なきまでにボコボコにされたハゲ野郎は苦しそうに地面に倒れていた。
「どうした?さっきまでの勢いは…笑えよハゲ野郎」
「…は、初めてだ…この私を、ここまでコケにした愚か者は…!!」
お前はどこぞの宇宙の帝王かよ…そういうお前こそ、散々人をコケにしてきた癖によく言うよ。
「これで終わりだ、ハゲ野郎…もし浄化されてもあの世に行けるんなら、カイザーに泣いて謝るんだな」
俺はヒーローガールスカイパンチを当てる。これによりハゲ野郎は完全に消え去った。意外とスッキリしないもんだな…
とはいえ…お前の敗因は、たった一つだ。たった一つの
「てめーは俺を怒らせた」
あれからプリズムと一緒に最深部を後にすると、ランボーグと戦い終わった三人と合流した。流石に俺の変わりようには驚いてしまっていたが…
さて、そろそろプリズムの調子も良くなってきたし、プリズムシャインで元に戻らせてもらうか。
『…まだ、終わっていませんよ?』
どこからともなく声が聞こえると、突然俺の中にあるアンダーグ・エナジーが膨れ上がっていく感覚になり、俺の身体からアンダーグ・エナジーが出てきた。
そのアンダーグ・エナジーは人型へと変化していき、それを見た俺達は驚愕していた。
「お、お前は…!?」
「…私は、ブラックスカイ」
現れたそいつは、自身をブラックスカイと名乗った。ブラックスカイというのは確かひろプリの感謝祭に出ていたというキャラだ。俺は感謝祭を見ていないから詳しくは知らないが、滅茶苦茶強いそうだ。
何でも俺の中に入ったアンダーグ・エナジーが自我を持ち、更に俺の中で力を蓄えて誕生したのが目の前にいるブラックスカイだそうだ。
それからブラックスカイは、一瞬の内に俺達の背後に立っていた。俺にはギリギリ奴の動きが見えていたが、プリズム達には見えていないようだった。
「ヤバ…今まで戦って来た奴らよりずっと強いよ…!」
「僕達じゃ、どうする事も…!」
「…いや、策はある」
「えっ?」
「ホントなの?スカイ!」
「ああ…たった一つだけ、とっておきの策がある!」
「たった一つだけの…」
「とっておきの策…!?」
とっておきの策がある事に、プリズムとバタフライは驚いていた。
「あ、あの、スカイ…」
「もしかして、あなたの言うとっておきって…?」
一度この策を見ていたウィングとマジェスティは俺がやろうとしている事を察しているようだ。
「フフフ…逃げるんだよォ!」
「「えぇぇぇーーーーっ!?」」
「「やっぱりそうだったぁぁぁーーーーっ!!」」
勿論とっておきの策とはジョースター家伝統の策、『逃げる』だ!
俺が逃げ始めた事でプリズム達も俺の後について走っている。当然俺達を逃がすまいとブラックスカイも追いかけてきていた。逃げている最中、俺達が気がかりでここへ来たのであろうカイゼリン達アンダーグ組がトンネルを開いて来ていた。説明をする余裕はないので急いでプリズム達をトンネルの中へ入れてもらった。
「…カバトン。トンネルを閉じてくれ」
だが俺は、トンネルには入らなかった。
「ス、スカイ!?」
「お前!何言ってるのねん!?」
「なんかヤベー事になってんだろ!?お前もこっちに来いよ!」
「悪いけど、それは出来ない…あいつとは、俺自身で決着をつけねぇといけねぇんだよ」
「ダメだよ!スカイ!まだちゃんと、あなたの答えを聞いてないんだよ!?」
「私だって!まだスカイからお返事を貰ってないんだよ!?」
そう言ってくるプリズムとマジェスティの眼から涙が零れ落ちていた。
「バーカ。俺は死なねぇよ」
俺は二人の涙を拭ってやった。
「…頼む」
「…わかったのねん。カバトントン!」
こうして俺を残したまま、トンネルは閉じられた。そこへブラックスカイも追いついてきた。
「何故、みんなを逃がしたんですか?」
「…お前とは、サシで話がしたかったんだよ。俺から生まれた存在ならわかってんだろ?俺がこの世界では異質なんだって事…」
「…はい」
そう、俺から生まれたこいつはわかっているんだ。俺が前世の記憶を持つ転生者だという事を
「…出来ればさ、俺はお前と戦いたくない。これから俺達がやろうとしている戦いこそ、意味のない事なんだからよ」
「何が言いたいんですか」
「お前は悪い奴じゃないって言いたいんだよ」
「…意味不明ですね。あなたはヒーロー、そして私はヒーローの前に立ちはだかる
「…言っても聞かないか?」
「はい。この問答こそ、無意味です」
そういう事なら。戦ってやるか…
「ヒーローの出番だぜ!!」
「悪役の出番です」