☆☆月♢♢日
エルちゃんを連れて家を出た俺はましろにソラシド市を案内してもらっていた。よくよく考えたらソラシド市を案内してもらってなかったし良い機会かもな。
その最中、上空に電車の姿をしたランボーグが現れた。電車の中にはアンダーグ・エナジーを電車に限界まで注ぎ込んだ為に痩せ細ったカバトンが乗っていた。
「オラオラ!出てきやがれプリキュア!!最強にTEEEE俺様のランボーグでぶちのめしてやるのねん!」
どうやら性懲りもなく俺達と勝負がしたいらしい。応じてやりたいところだが俺とましろが戦いに向かえばエルちゃんが無防備になってしまう。するとエルちゃんがいるゆりかごが宙に浮かび、動いていた。どうやらエルちゃんの意思で自由に飛ぶ事が出来るようだ。そういえばこのゆりかごそんな機能があったな。
ひとまず大丈夫だろうと俺とましろはプリキュアに変身してカバトンとランボーグに戦いを挑んだ。確かにこれまでのランボーグより強いが俺にとってそこまで脅威ではなかった。プリズムも光弾を撃って援護してくれている。しかし特訓を重ねているとはいえまだ実戦経験が乏しいので動きが少しぎこちない。カバトンもそれを見抜いたのか、プリズムを攻撃するようランボーグに指示を出した。俺はすぐさま転移魔法でプリズムの元に行き、プリズムを抱き抱えてエルちゃんが隠れている場所に転移した。転移魔法は基本的に使用者しか転移出来ないが、使用者が他の人間に触れる、もしくは触れられるとその人間も転移することが出来る。この前のキノコランボーグの触手から抜け出す時に転移魔法を使わなかったのはこういった事情があったからだ。
ひとまず身を隠す事が出来たが、先程俺に助け出され、自分が不甲斐ない、俺の足手纏いになっていると思い込んで落ち込み始めた。
「プリズム、確かにお前はまだ実戦経験が乏しい。けど、俺はプリズムは足手纏いだなんて思ってねぇよ」
「でも、さっきスカイに助け出されてなかったら、今頃…やっぱり私、スカイみたいに強くなれそうにないよ…」
そう言ってプリズムは涙を流してしまった。
「…俺みたいに強くなってほしいだなんて、これっぽっちも思ってないぞ」
「えっ…?」
「プリズムは俺にはない、人を温かく包み込める優しさって大きな武器がある。この前あげはさんもそう言ってたろ?俺なんて小さい頃からいじめっ子達をボコボコにするくらい敵に容赦しないんだぜ。それで父さんと母さんにやり過ぎだって大目玉喰らったしさ」
「スカイ…」
「…そんなに不安なら、一緒に戦おうぜ!」
「…私がいなくても、スカイ一人で…」
「俺はお前が良いんだ。他の誰でもない、虹ヶ丘ましろ…お前に俺の側に居てほしいんだ」
そう言って手を差し伸べると、プリズムは俺の手を持ち、彼女に笑顔が戻った。
「うん!一緒に行こう、スカイ!」
「ああ!一緒にやろう、プリズム!」
「ぷいきゅあ~!!」
するとエルちゃんが俺とプリズムに二つのスカイトーンを飛ばしてきた。これを使えばきっとあの技を使える。そう思った俺はプリズムと一緒にカバトンとランボーグの元へ舞い戻った。そして俺とプリズムは一緒に浄化技、『アップ・ドラフト・シャイニング』でランボーグを浄化した。この技はキュアスカイとキュアプリズム、二人が手を繋ぐことで繰り出せる技なのだ。
一件落着な訳だが、戦いが終わってもプリズムは俺の手を握っていた。
「…やっとわかったよ、スカイ…ううん、ソラちゃん。私のこの想いが何なのか…」
「えっ!?」
プリズムは手を繋ぎながら俺に身を寄せてきた。へっ?何で!?
不味い。前世男の俺がプリズムみたいな美少女に身を寄せられたら滅茶苦茶意識してしまう。
助けてエルちゃん。俺この子好きになっちまう。
「える?」
♢♢月☆☆日
今日から新学期が始まるらしく、ましろは学校へ行っていた。いつも一緒にいたましろがいない事に少し違和感を感じてはいたが、せっかくなので今日はヨヨさんのお手伝いをする事にした。居候させてもらっている身なのでお手伝いくらいはしないとな。
ヨヨさんは今、スカイランドに繋がるトンネルを開く準備をしているらしく、俺もその手伝いを始める。作業の途中、ヨヨさんからましろと学校に行きたいかと聞かれるが、正直なところどっちでも良いかなという感覚だ。まぁ転生してから学校には通ったりしなかったから通えたら楽しいかもしれないがな。
それから俺はヨヨさんに頼まれてトンネルを開く為に必要な材料を買う為に街へ出ていた。その途中ソラシド市に来ていたあげはさんと鉢合わせた。俺はあげはさんに連れられてプリティホリックの二階にあるカフェにやって来てパフェを奢ってもらった。あげはさんから今日はましろと一緒じゃないのかと聞かれたので今日から新学期で学校に行っていると伝えた。
「ねぇソラちゃん。ましろんと一緒に居られなくて寂しかったりする?」
「まぁ、寂しいかはわかりませんけど…ましろがいないとなんか違和感を感じるんスよね」
「それ多分寂しいって感じてるんじゃないかな?案外ましろんもソラちゃんと一緒に居られなくて寂しいって思ってるんじゃないかな?」
「そうですかね?」
ましろも寂しがってるか…ちょっと気になるな。そういえばそろそろ学校が終わる時間だな。すると何を思ったのか、あげはさんは俺を連れてプリティホリックの化粧室に移動し、俺にメイクをし始めた。正直メイクするのは趣味じゃなかったので嫌がったがあげはさんは問答無用で俺にメイクをしていった。あげはさんによればメイクと言うのはただオシャレをするだけではなく、ちょっと勇気が足りない時に力を貸してくれるらしい。メイクが完了し、鏡でメイクされた自分の顔を見てみると何だか不思議な感覚になってしまう。メイクって案外アリかも…いやいや!何考えてんだよ俺!
それからあげはさんにましろを向かいに行くよう言われたので俺はましろが通っている学校に向かい始めた。途中喧嘩をしていた不良二人を両成敗したり、何故か工事関係者の格好をしていたカバトンを有無を言わせず空の彼方へぶっ飛ばしてやったりした。あいつほっとくと絶対面倒な事になるもん。
しばらく歩いているとましろが通ってるソラシド学園に辿り着く。するとちょうど下校時間になっていたらしく、ましろが門の前で友達らしき女の子と別れていた。ましろは俺がやって来た事で驚いていたが、俺の顔をじっと見て、俺がメイクをしていると気づいた。いや違くて、これはあげはさんが無理矢理…
「綺麗…」
「へ?」
「…あっ!な、何言ってるのかな私!アハハ…」
ましろは顔を赤くしながらそう言った。そして家に向かっていた最中、突然ましろから話しかけられた。
「ソラちゃん、今日私と一緒に居られなくて寂しかった?」
「何だよ急に「私は寂しかったよ」…え?」
「学校の友達と会えて、沢山お話出来て楽しかったよ。でも、何だか違和感を感じちゃったんだ…すぐにわかったよ。ソラちゃんが一緒に居ないから寂しいんだって」
「…実はさ、俺もましろが居ない事に違和感を感じてたんだよな。あげはさんにも言われたんだけど、俺も寂しかったんだな」
「…フフッ、やっぱりソラちゃんも寂しかったんだね」
「それを言うならお前もだろ」
それから俺達は他愛もない話をしながら家に帰っていった。家に帰るとヨヨさんから俺も明日から学校に通えるようになったと聞かされた。俺が街に行っている間にヨヨさんが諸々の手続きを済ませてくれたようだ。確か原作のソラもこれで学校に通えるようになったんだったな。とにかく前世ぶりに中学生活を送れるんだ。非常に楽しみだぜ。
☆☆月♢♢日
ソラシド学園に通う日がやってきた。先生に連れられて教室に入ると生徒達が物珍しそうな目で俺を見ていた。クラスにはましろの姿もあった。
「スカンディナビア半島にある国から来ました、ソラ・ハレワタールです!ヒーローになる為に日夜特訓をしています。皆さん、よろしくお願いします!」
自己紹介を終えた俺はましろの隣の席に座った。ちなみに俺の出身地のアイディアはヨヨさんから貰ったものだ。それからクラスメイト達から質問攻めに合う。「何でヒーローになりたいの?」とか、「どんな特訓してるの?」とか。あたふたしていたら先生が止めてくれたので事なきを得たが。それと今日はちょうどスポーツテストがあるらしい。確か原作だとソラが目立たない為に手を抜こうとするがことごとく失敗し、結局全種目で学園新記録を叩き出していたが。無論俺も手を抜くつもりだが、あくまで常人より運動が出来るくらいまで力を抑えるだけだ。結果として原作同様学園新記録を叩き出した。もちろん生徒達の注目の的になった訳だが、なんとましろもクラスメイト達から注目されていた。なんでも前回のスポーツテストより良い記録を出せたようなのだ。きっと俺との特訓で身体能力が向上したのだろう。それから制服に着替え終えて廊下を歩いているとクラスメイトの女子二人と男子一人が駆け寄ってきて俺とましろを称えてきた。女子二人がつむぎとるい、男子があさひという名前だ。ましろによるとよく一緒に話すくらい仲が良い友達だそうだ。
さて、昼休憩になったし昼飯食うかという所でクラスメイトの一人が慌てながら教室に入り、なんか不審者が現れて購買から食べ物を盗んでいったと知らせてきた。スポーツテストで腹が減ってこれから飯だ!ってところで邪魔をされたので俺の怒りは最高潮に達していた。俺はクラスメイトから不審者がどこに行ったか訊き出して(何故かそのクラスメイトは俺を見て顔を真っ青にしていたが)その不審者がいる場所へ赴くと購買から盗んだであろう大量のメロンパンを平らげていた。なんかメロンを上手く調理してパンにするとかスゲーと食レポ擬きをしていた。
「それメロンっぽい風味にしてるだけで、メロン自体は使われてないらしいぞ」
「なっ!?マジかよ!…ゲッ!ソラ!?」
「やっぱテメェか豚公…」
「お、おい、なんか怖ぇぞお前…!?」
「これから楽しく昼飯食うってとこだったのに…空気読みやがれこのクソ豚がぁーーー!!」
毎度の様にカバトンをぶっ飛ばし、スッキリした俺はましろ達と一緒に昼飯を食ったのだった。