提督が退役しました。これより年金生活に入ります 作:デモステネス
柳たちを乗せたAN-2は、一旦北東に針路を向け十勝川河口に向かうと北西に針路を変え十勝川沿いに飛び続けた。真西に飛ぶこと暫し、支流の合流点で再び針路を変えて支流を辿ること約10分。大地寮上空に到着した。
響がいちいち目標物をアナウンスするので飛行場姫が呆れる。
「コウホウエンジョ フヨウノ ヒコウコースヲ オシエルトハ ドウイウツモリダ。」「いやあ、うちがどんな場所か知って欲しいからね。」と、柳。「うちは、基地でもなんでもない、ただの合宿所だからね。秘密にする理由がない。」
「バクゲキコースニ ナルノダゾ。」
「それは困るな。うちには掩体壕一つないからね。木端微塵だな。」
アントノフは、サークリングアプローチに入り、ここが第一旋回点、ここが第二旋回点、と響が解説していくもので飛行場姫が困惑していた。対空陣地もなければ掩体壕もない滑走路に吹けば飛ぶような建物。M69焼夷弾一発で炎上するのは間違いない。北方棲姫と艦娘が連れ立って歩いていて、機が旋回を始めたところでこちらに手を振っているのが見えた。敵地に乗り込んでいるはずなのに扱いがまるで初めての飛行場の勝手を教えられる味方パイロットでは調子が狂って仕方がない。
アントノフは、素人ならいきなりドン、と降りて、思いっきり急ブレーキかけられてつんのめった、と表現しそうな着陸をして飛行場姫を感心させた。航空機が事故を起こすのは何かにぶつかるからである。何かにぶつかりそうな低空や滑走状態は短ければ短いほどよい。蒼龍の誘導で駐機場に停まると、柳がドアロックを解放してドアを跳ね上げ、最上がタラップをセットした。
「ほっぽー、お姉ちゃんたち来たぞ。」
「オネエチャーン、イラッシャーイ!」
「ほっぽ、心配したのよ。」
港湾棲姫が駆け寄って北方棲姫を抱きしめた。「知らない人に着いていっちゃ駄目でしょう。」
「知らない人?」北方棲姫はきょとんとして小首を傾げた。「知ってるよ。」柳を指差す。「ヤナギのおっちゃん」
「「あー、もう。」」
港湾棲姫と飛行場姫は同時に大息した。深海棲艦の姫ともあろう者が略取されるとは思っていなかったが、誘拐どころか籠絡されていた。さっきの飛行機のパイロットといい、NKVDさん、こっちです。
「諸君。深海棲艦の姫が私の招きに応じてくれた。」
ニコニコ顔で柳は食堂のテーブルを見回した。主人の柳が独身のため、縦長のテーブルの上辺、主人席に柳。柳の右側に港湾棲姫、北方棲姫、日向、夕張、明石。左側に飛行場姫、元工廠長のシロー、蒼龍、初雪が着席。白雪と響は厨房で腕をふるっており、ダースクスーツ姿の最上が柳の後ろに控えていた。
「戦場で砲火を以て沈黙させねばならない相手の頂点だ。そして我が方の少なからずが化け物と罵る。
なるほど化け物呼ばわりすれば己の無能は隠せるだろう。人知の及ばぬ存在だから力及ばずとも仕方がない、と。だが、私は、なぜそう言えるのか不思議でならないね。
自分と自分につき従う艦娘の持てる総力をもって戦争しているのに、相手がただのわけのわからん奴であってたまるものか。我々が全力を尽くすからには全力を尽くすに足りる相手でなければならない。
だから私は、深海棲艦のことが気になって気になって仕方がなかった。通信から伝わる声、映像だけでは全然物足りなかった。一体何を考え、どんな表情、どんな声で語るのか。艦隊が帰投して報告を受ける度に私はとてもじれったい思いをしていたのだよ。
そして今日、その長年の夢が叶った。まこと、歓喜に堪えない。」
柳が頷くと最上がシャンパングラスを配った。
「では、乾杯をしよう。 畏敬すべき敵に」
「畏怖すべき敵に」
グラスを皆掲げる。お子様の北方棲姫にはジンジャーエールが注がれていた。
「オマエガ ワレラニ ケイイヲモッテ ツクシテイルコトハ ワカッタ。」
「イササカ キミョウナ ヤリカタ ダケレドネ。」
「まずはこちらをどうぞ。蝦はオニエビ。赤身は板マス、白身はヒラメだよ。」
最上が刺身の三点盛りを運んできた。ワサビが何かを知らない北方棲姫が全部溶いてしまって最上が慌てて止めに入る。
「ぽ?」
醤油を小指につけて舐めさせた。
「※☆@!!」 ちょっと涙目になる北方棲姫。
「あっはっは。ちょっとほっぽちゃんには早かったね。これくらいなら大丈夫かな。」
皿を交換して香り付け程度にワサビを溶くと食べてごらん、と言った。
「ウマ!」
ニパッっと笑う北方棲姫に港湾棲姫と飛行場姫が目を細め、それから恐る恐るといった様子で刺身に手をつける。
「ナマノ サカナデモ ナカナカ ウマイモノダナ。」
子供の北方棲姫は何も考えずに手をつけていたが、大人の二人は生魚ということに抵抗があったらしい。まさか認識がサムライフジヤマゲイシャガール辺りで止まっているんじゃなかろうな。
「どれも旬でね。煮ても焼いても炒めても、揚げても巻いても挟んでもおいしいんだが、日本人は、まず刺身で食べたいものなんだ。」
最上が飲み物を尋ね、白ワインを頼んだ飛行場姫があらおいしい。いいお酒ね、といい、その言葉を聞いた港湾棲姫が柳に詫びを言う。貴賓に安酒を出すわけがないので、それをいい酒、というのはホストの柳が酒の良し悪しがわからないか、客人を侮っているという婉曲表現に他ならないのだが、飛行場姫は社交辞令を知らない。
「お気になさらず。気に入っていただいて何より。ようやく日本でもちゃんとしたアイスワインを作れるようになったのでね。こうして出せるようになったのだよ。
最上、私にも白ワインを頼む。」
港湾棲姫が軽く安堵のため息をつき、ホストに敬意を表して日本酒を頼む。九谷焼の盃を渡されて一瞬戸惑っていたが、日向が既に日本酒に切り替えており、左手で盃を取り飲む姿を見て事なきを得た。
「アスパラガスのオリーブオイルグリル焼きだよ。」
響が厨房からやってきて直径が3cmもありそうなアスパラガスを配る。
「根元に行くほど甘く、先に行くほどほろ苦い。味のグラデーションを楽しんでほしいな。」
へえ、とか、ほう、とか声を上げながら舌鼓を打つ面々。オリーブオイルを吹きつけてグリルで焼くだけ、といえば簡単だが、素材を味わうには必要かつ十分であった。下手にソースをかければ味の勾配がわかりづらくなる。
「うーん、ちょっと細切れにしすぎたかしら」と、夕張。アスパラを2cmずつ均等に切り分けていた。
「ボーリングのサンプルじゃないんだぞ、嬢ちゃん」
というシローも一寸ずつ切り分けているのだが、それが正解だったらしい。
「おいしいわあ。おかわりないの。」とは蒼龍。根元と真ん中と穂先の三等分にして一気に食べていた。
「・・・さすが二航戦。」隣でぼそっと呟く初雪に、伊勢はそんな大食艦ではないぞ、と日向が姉のフォローに入る。山口多聞中将の影響は艦娘によって違うらしい。
次に出てきたのは茶碗蒸し。
「オネーチャン。オイシイ?」 興味深々で北方棲姫が港湾棲姫を見つめる。
「ン、オイシイナ。」
「ホッポガ ツクッタ。」
「ソウカ。コノ プディングハ ホッポガ ツクッタノカ。」
「ウン」輝くような笑顔で喜ぶ北方棲姫。
「エビもプリップリよねえ。」
「お、栗が一杯。」
艦娘の好意的な感想に誇らしくなる港湾棲姫と飛行場姫であった。
「さて、あらためて自己紹介しよう。私は、柳佐理。
先だってまで佐世保第八鎮守府の提督を勤めていたが、やっと恩給もらえる歳になったので退役して念願の年金生活をしに田舎に帰ってきた。はずなのだが」
柳は周りを見回した。
「一抜けた、と言ったら、二抜けた、と引退してきたのがこの面子だ。
流しの職人のシローさん。」
「わたくし、生まれも育ちも肥州、佐世保です。姓は海、名は志郎。人呼んでフーテンのシローと発します。」
「シローさんは、元工廠長でね。内陸に妖精さんはいないものだから、ここの運営が軌道に乗るまで手を貸してもらっている。大切な客人だ。航空戦艦日向。」
「よろしく」
「師匠だ。何か困りごとがあって相談すると高確率で腹案を持っている。イギリス人は、いよいよ切羽詰まるとサー・アーネスト・シャクルトンの写真に祈ったそうだが、私の場合は師匠だな。」
ポーカーフェィスの日向を見て微笑むと柳は先を続けた。
「航空母艦蒼龍。空母一番ちっこいの、だ。」
「なんですかそれー」
「小さく打てば小さく響き、大きく打てば大きく響く。西郷南洲みたいな大人物だよ。未だに自分は蒼龍をちゃんと使えたんだろうか、と考えることがあるね。」
「アカオニト アオオニハ?」
飛行場姫の問いに日向と初雪を除く艦娘が失笑する。深海棲艦の姫から見ても鬼なんだ、一航戦の二人。
「あの二人が退役するとすれば、病気か何かで体きかなくなるくらいしか考えられんなあ。船坂弘も老衰で死んだから最終的にはそうなるのかもしらんが、私には想像もつかないよ。 航空巡洋艦最上。」
「よろしくね。」
「ブロンズバックラーだ。したくないことさせたら、疾きこと島風の如く、徐かなること林の如く、ギンバイすること火の如く、動かざること山の如くバックれるぞ。」
「ひどいなあ。」
「ソンナヤツニ ホッポノ モリヤク サセタノカ?」
「遊ぶことにかけてはS級なのだよ。日向ぼっこするならここがいいとか、昼食するならこことか。それが屋根の上だったり、木立の間だったりするのだが、身近にこんなところがあるのか、よく探してくるものだ、といつも感心させられている。」
「えへへへ」
「軽巡洋艦夕張。ロマン主義者だ。」
「初めまして夕張です。・・・・・・ え、あたしそれだけ?」
「必要かつ十分だろう。 ゲルリッヒ砲もロータリーエンジンもいらんからな。」
「えーっ!なんでえ!」
笑みをたたえた明石にポンポン、と肩を叩かれる夕張であった。
「駆逐艦初雪。」
「・・・初雪です。・・・よろしく。」
「憧れの年金生活2号だ。1号は私だな。田舎に引っ込んで気ままにのんびりのはずが、退役後もキリキリ働くことになったことへの疑念を共有する唯一の同志だ。」
「・・・どうしてこうなった。」
「アイテム屋明石。」
「いらっしゃいませ。」
「豆の缶詰から戦闘機まで、とは言わないが、大抵の物は仕入れてくる。先立つ物次第だが。」
「ご利用、ご利用。スタドリ10本セット、要ります?」
「こらっ、初対面の客人にそんなものを売りつけるんじゃない。」
「えへっ。冗談ですってば。」
「お前がいうと冗談に聞こえないんだが。」柳は首を振った。
「シロエビを炒ったものです。箸休めにどうぞ。」
白の割烹着に三角巾姿の白雪がエビを大皿に山盛りにして運んできた。香ばしい匂いが辺りに広がる。
「駆逐艦白雪。うちの主計だ。大地寮が回っているのは白雪のお陰だな。渉外も白雪になるので懇意にしていただきたい。大抵のことは白雪を通せばなんとかなるはずだ。
吹雪と響は先に紹介したから、以上がこの大地寮のメンバーだな。」
「フム。イモガ タリテイルナ。」と港湾棲姫。
「はいぱーしすたーずハ イナイノネ。」と飛行場姫。
「大井はともかく、北上が年季あけていない。それに北上様に退役するなんて言われたら、土下座して引き留めるだろう。私ならそうする。」
「ソウダロウナ。」
陸上型の港湾棲姫や飛行場姫には他人事だが、鬼や姫に止めを刺すのは大抵が北上の雷撃である。流星改や彗星一二型の九一式魚雷や二式五〇番爆弾を物ともせず、大和の放つ一式徹甲弾すら貫通を食い止める戦艦棲姫や空母水鬼の重装甲も北上が放つ九三式酸素魚雷3型20射線×2の雷撃にはたまらなかった。もっとも本人は、ああっ、神様北上さまっ!という提督達の祈りに結構プレッシャーを感じているようで、戦いの後は「あ~よかった~活躍できて~」とよくぼやいているが。
「ソレデ タイエキシャガ、ナニヲ キリキリ ハタライテ イルノカシラ?」
良い質問だな。さすが姫級。柳は飛行場姫に感心しながら答えた。
「保養施設と術科学校が混じったようなところにしよう。そう私は考えている。
戦時下で艦娘の練度は下がりがちだ。古参に抜けられると戦果が落ちる。そう考える刹那主義者のせいで前線に張り付きっぱなしのヴェテランが疲弊している。ひどいところになると昼間から幻覚を見る艦娘がいるくらいだ。
新兵は新兵でろくな訓練を受けていないものが多い。実戦こそ最良の訓練だ、とかいっていきなり実戦に出すバカも珍しくない。しかし、君たちもそんな者と戦っても面白くもなんともなかろう。」
「カオ アラッテ デナオシテコイ、ト オモウコトガ ヨクアルワネ。」
「オトトイ キヤガレ、ソウ イウノデハ ナカッタカ。」
「一朝一夕に、というわけにはいかんだろうが、少しは歯応えのある艦娘を送りだすつもりだから楽しみにしていてほしい。それについてお願いがあってね。」
「ナンダ?」
「こんなど素人相手に真面目に戦争するのが馬鹿馬鹿しい、と興醒めすることがあったらその都度教えてほしいのだよ。そういうのは、敵の立場にならないとわかりづらいものでね。」
「ソノツド、ダト?」
「そう。何のために泊地や飛行経路を案内したと思ったのかね。逐次とは言わないが、適宜ご連絡いただければつまらん闘争は逓減すると思う。もちろんタダとは言わんよ。」
「ドウイウコトダ?」
「そちらにも紅茶好きがいるのがわかったから、取り敢えず紅茶と茶菓子を提供させていただく。紅茶中毒が同志に贈る贈り物だ。士気が上がるぞ。」
「うわぁ」
艦娘が引いている。柳の言ったことは、これから深海棲艦の姫を定期的に招く、ということだったからだ。サリー大佐のことだから何か変なことを企んでいるとは思っていたが、想像の斜め上をいった。
一方、港湾棲姫と飛行場姫は意味を考えていた。数すらまともに揃えられない雑兵の始末は、煩わしいの一言に尽きる。もっとマシな敵はいないのか、とかねがね思っていたところであった。そして深海棲艦は食事をとる必要はないが、食事で士気が上がるのはこの男の言うとおりで今回はたまたまヲ級とロ級が紅茶艦なことが判明したが、探せば他にも相当いるに違いない。
「コウチャ ダケナノ?ホカニモ アルノカシラ?」
「酒やお菓子といった嗜好品や食料品を考えている。ただ、煙草とコーヒーは無理だな。食料自給率を上げるのに煙草畑が激減したし、コーヒーは、南米航路が途絶してマンデリンやトラジャも石油や金属資源が優先で傭船を用意できない。」
「アイスハ?」と北方棲姫。
「いくらでも用意できるよ。十勝は原料の日本最大の生産地だからね。」
「ヤッタ!」
今度は港湾棲姫と飛行場姫が溜息をついた。ほっぽがこの柳という男にすっかり餌付けされてしまった。これで駄目だなんて言った日には、むずかって駄々こねまくりの将来しか見えない。
「アイスだけじゃないぞ。日本の牛乳は、北海道が半分ちょっと作っていて、北海道の牛乳の1/4はここ、十勝で作っている。砂糖は、8割が北海道産で、そのうち半分は十勝で作っているんだ。まず洋菓子では不自由しないね。
じゃあ和菓子はと言うと、日本で小豆と言えば十勝産に決まっている。日本の小豆の9割が北海道産で、その7割以上が十勝産だ。」
「へえー、そうなんですか。」
明石が本気で感心していた。大本営の明石に間宮の仕入れに、と言われて出店してきたがそこまでの生産地とは知らなかったらしい。
「市町村別の生産第一位は音更町だが、全国シェア20%超えなんだ。北海道以外の全国の生産量全部足しても音更の小豆の半分にもならん。文字通りの独占状態なんだ。」
「港湾棲姫は、どんな酒がお好みなんだ?」
柳の話が長くなりそうなので、日向が話を戻した。
「ナニガ アルノダ?」
「そうだな。醸造酒が日本酒、ワイン、シードル、ビール。蒸留酒は、ウィスキー、ブランデー、カルヴァドス、ラム、焼酎が米、麦、薯、黒糖、蕎麦、ジャガイモといったところか。」
「バーボンハ ナイノ」
最上が厨房へ取って返すと飛行場姫にグラスを渡した。「ようこそ、バーボンハウスへ。このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いてもらえるかな。」
「ナニコレ!」むせる飛行場姫。
「あっはっは。引っかかったね。でも、アメリカ航路が途絶しているのにテキーラと聞いた時、あなたは、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思うんだ。」
「ハッハッハ」
港湾棲姫が大笑いしていた。飛行場姫のうろたえる姿など滅多に見られるものでない。「ワタシニモ モテ。」
一気に飲み干し火を噴く。「ウオ、ナンダコレハ。」
「中国の茅臺酒さ。この殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しいなあ、と思ってこのお酒を出したんだよ。
じゃあ、注文を聞こうか。」
「「しゅたいんべるがー!」」
深海棲艦がなぜ深海棲艦になったのかわかってしまったような気がするよ。少々お待ちを、と断りを入れてからやや暫く。最上が大きく広げた翼に左を向いた鷲の絵が印象的な褐色瓶を手にして帰ってきた。
「ラインガウ、シュタインベルガー リースリング アウスレーゼ 2005年。」
「ドウヤッテ テニイレタノ?」飛行場姫が目を丸くする。
「なに、派遣作戦でね。これも戦略物資だからな。」
「センリャクブッシ ダト?」
「ワイン1本で改修資材を融通してもらえるんだから、もはや戦略物資といってよかろう。」
港湾棲姫と飛行場姫が感心しながら白ワインを楽しんでいると白雪が料理を運んできた。
「本日のメインディッシュ、キンキの一夜干です。」
「煮付じゃないんだな。」と日向。
「煮付は定番ですけどね。一塩して干すともっとおいしくなります。身が締まって旨みが増すんです。」
「ふーん。どれどれ。うわっ、何これ。」
箸をつけた蒼龍が半身を一気に食べ、もう半身を噛みしめるように一毟り一毟り食べていた。「皮まで香ばしくておいしい。」
「ポワレにして皮をオリーブオイルでカリッと焼き上げてみました。どうですか。」
「おいしすぎてちょっと意識が飛んだわ。」と夕張。「あっちサイドが見えたような気がする。なんかこう、誰かが向こうで招いているみたいな。」
「おーい、メロン子、帰ってこい。成仏したら食えなくなるぞ。」
「「ハッ!」」
あっちサイドが見えたのは姫たちもだった。戦場で果てるならともかく、料理で昇天とは白雪。なんておそろしい艦娘。
NKVD(内務人民委員部)
KGBの前身組織。スターリンの大粛清とか、ベリアの手足となって働くとか、無産者の天国の番人に目をつけられて天寿を全うした者はない。
ロシア人の幸福とは。深夜、チェキストがドアをノックする音が隣の部屋から聞こえた時。
アーネスト・シャクルトン
20世紀初頭の極地探検家。南極で遭難したが一人の脱落者も出すことなく見事帰還した最強最高のリーダー。エンデュアランス号漂流記に詳しい。
船坂弘
渋谷大盛堂書店創業者。不死身の分隊長。個人の戦闘記録としては唯一戦史叢書に載せられた、というか載せざるを得なかったリアル異能生存体。
ジャック・チャーチルでも船坂弘を倒すのは無理だろう、たぶん。
島風
日露戦争の成功体験を忘れられない帝国海軍が作り出した高速重雷装駆逐艦。公試で40.9Kntを叩きだし帝国海軍最速とされる。
ゲルリッヒ砲(口径漸減砲)
ぼくががんがえたさいきょうのたいほう。消火ホースのノズルみたいに砲身先細りにすれば威力増すよね、と作ったはいいが、あれは水だからそれで済んでいるので、砲弾はニッケルやタングステンといった硬くて加工しづらい高価な希少金属を使用した専用弾。ゴリゴリ削れて砲身寿命は短く、徹甲弾しか撃てないので用途も限られる、という資源、資金、生産、運用すべてにおいてアレな兵器。
Ni、Mo、Wが調達できなくて耐熱鋼が作れず、ジェットエンジンが20~30時間で交換になっていたのにトン単位で消費の砲弾に使う第三帝国。
ロータリーエンジン
小型軽量高出力の未来のエンジンと言われて60年たつが未だにレシプロエンジンやディーゼルエンジンを超えられない。得意とする高回転定格出力もガスタービンエンジンが小型化した。冶金学でブレイクスルーがあれば、とマツダが作っていたけれど電気自動車の時代になっちゃったねえ。
芋が足りている
絵師のしばふ氏デザインの艦娘のことを指す。なお、現状大地寮にいる艦娘9人のうち、6人がポテトシップ。
マンデリン
スマトラ島産の高級コーヒー。酸味が少なく深いコクで苦みが強い。苦みを好む日本人向きのコーヒーと言える。
、トラジャ
スラウェシ島産の高級コーヒー。植民地時代はオランダ王室御用達だった。ソフトな苦味とコクの深い味が特徴。
茅臺酒
国を代表する酒と中国人が誇る蒸留酒。アルコール度数65%だが、飲み過ぎても二日酔いにならず、定期的に飲むと健康にいい>中国人
シュタインベルガー(Steinberger)
ドイツが世界に誇るフラグ建築一級酒。この戦闘(哨戒、出撃)から帰ったら一杯やろう、は古今東西の死亡フラグだが、銘柄まで指定される酒は珍しい。
ラインガウ:産地 リースリング:ブドウの品種名 アウスレーゼ:等級。2005年は当たり年。
なお、類似品としてはシュタインヘーガー(Steinhaeger、ジン)がある。