提督が退役しました。これより年金生活に入ります   作:デモステネス

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第51話 海軍丙事件 (2)

 色が群青色。500lbs爆弾を搭載した彗星が4機、薄明の海に発艦していく。強力なマフラーを取り付け、一枚が書棚の棚板くらいありそうな巨大な6翅のプロペラに換装しており驚くほど静かだ。

 飛行甲板で帽を振ると、青田少将と瑞鶴、総括の艦娘たちは士官食堂に向かった。客人を席に着かせると提督自らポップコーンを作り、瑞鶴が飲み物の希望を聞いて回って皆に配る。すべての準備が終わると正面スクリーンのスイッチを入れた。画面が四分割され、それぞれに彗星のガンカメラから電送された映像が表示された。

 

「ほな、ボチボチ始めまっか。」

 このためにわざわざ引きまわしてきた衛星電話を手に取った。

「呉統括鎮守府、八九四(やくし)」

「大阪警備府、青田です。秘話装置作動願います。」

「作動中ですが何でしょうか。」

「第一鎮守府の件です。」

「ああ」

「この件は異常です。そこに誰かおりますか。」

「いや、誰もいません。」

「艦娘はいますか。」

「1時間位前に下がらせましたが。」

「青葉が扉の前で聞き耳を立てているということはありませんね。」

「・・・確認します。」

 

 八九四は、不審に思いながらも席を立ち、扉を開けて左右を見回した。誰もいない。安堵して席に戻る。一方、青田は瑞鶴を見てにやりと笑うと右手の親指を突き立てた。

「確認しました。説明いただけるんでしょうね。」

 

「第一鎮守府が攻撃を受けたと聞きました。かなり手ひどくやられたらしいですな。」

「甚大です。」

 もう知っているのか。驚きながらも八九四は慎重に言葉を選んだ。

「一時的に出撃不能になっています。これは他言無用に願います。」

「無論です。そのためにわざわざ確認願いました。

 統括司令官、これは異常事態です。呉ですよ、呉。

 他の鎮守府ならいざ知らず、瀬戸内の中。今まで攻撃を受けたことがありますか。開戦当初だって深海棲艦の瀬戸内海の侵入は許したかもしれませんが、艦隊が軍港攻撃してきたなんで聞いたことがない。」

「ええ。」

「まさか関門海峡を通ってきたわけじゃないでしょう。紀伊水道は、本官が一歩たりとも通しておりません。豊後水道から100海里以上、どんなに飛ばしてきても半日はかかる距離です。白昼堂々通過する戦艦を見逃すなど有り得ますか。

 仮にあの辺の担当がどうしようもないボンクラの節穴だったとしても、野埜(やの)中将ともあろう者が敵の水上打撃部隊の接近に気付かず、みすみす対地砲撃を受けるのも信じがたい。」

 ほっ。青田は、第一鎮守府の攻撃は水上打撃部隊の仕業と思っているのか。耳の早さには脅かされたが、飛び抜けて優秀というわけではなかった。

「それなんですが、潜水艦にやられました。」

「潜水艦やて!」青田は心底驚いた声を上げて見せた。「それまた前代未聞やわ。」

咳払いをして口調を直す。「しかし潜水艦ごときでそんなに手ひどくやられますか。」

「それが・・・。攻撃に先だって鎮守府が襲撃。停電、燃料タンク、弾薬庫に迫撃砲。」

「なんですと!」

「陽動だった。それに嵌って注意が逸れたところに港内に潜水艦が侵入。出動態勢にあった駆逐艦を真っ先に潰して手当たり次第雷撃していったと。」

「バケモンが味なことを・・・。」

「しかもそれは前座で、本命は機雷でした。」

「機雷?」

「退避させた艦が港外にばらまかれた機雷で手ひどくやられました。」

「それは・・・野埜中将も・・・。本官も対処できたかどうかわかりません。」

 

 毛嫌いしていたがそれは誤りだったのではないか。八九四は後悔し始めていた。第一が使い物にならない今、明確な敵ならさておき、手を結べる者には手を結ぶべきだ。第一が再び動けるようになるまでの間だけでも大阪と手を組む価値は大いにある。このまま抱え込められれば理想的だが、青田が野埜と地位を争おうとするか、野埜がライバル視して青田を蹴落としにかかるかのどちらかだな。ふむ。なかなか侭ならん。

 会話をしながら逸れた思考を元に戻す。「青田少将。」

「なんでしょうか。」

「我々には今まで色々行き違いがありましたが、それは些細なことで本筋で誤解はなかった。そう私は思うのですが。」

「ふむ。それはなかなか興味深い意見ですね。」

 

 女を食い物にするスケコマシが謳うわ。会話はスピーカーで流されており、艦娘たちはポップコーンを食べながらニヤニヤして聞いていた。既に彗星のガンカメラは呉統括鎮守府の司令部を捉えている。期待の籠った視線で見つめる瑞鶴に青田は掲げた右手を倒し、受話器を耳から外した。スクリーンでは派手な爆発(無音)。同時にスピーカーから轟音が響いて八九四の声が途切れた。

 

「八九四司令官、八九四司令官。くそっ、駄目か。何が起きた。」

 猿芝居の最後を締めくくって通話を切る。

「あーっ、すっとしたわ。さて。」

 青田提督は、笑顔で艦娘を見回した。「呉統括鎮守府に異変あり。本艦は、統括鎮守府に急行する。瑞鶴、31kntでかっ飛ばせ。」

 

 

 統括鎮守府に到着した青田は半壊した司令部を見て、派手にやられたのう、と呟いた。それから一緒に来た統括鎮守府の天龍に命じて各部署の責任者を集めさせ被害状況報告を受けた。早朝で司令部には提督と警備で詰めていた憲兵しかいなかったことを聞き、これが日中ならもっと被害者が出たはずや。不幸中の幸いやった、と周囲を慰めたのである。 そして後任が着任するまでの間、司令官代行を宣言。天龍を副官に野戦任官して艦娘全員に艤装展開させて瓦礫の下になっている提督と憲兵の救出を命じた。なお、営倉で監禁されていた艦娘は、営倉が殊更頑丈につくられていたから無事であった。

 司令官代行は何食わぬ顔をして言ったものである。生存者がいて、救助を待っているかもしれない。重機は使えないから手作業でやるしか方法はない。不発弾があるかもしれないから二次被害が出ないよう、くれぐれも作業は慎重にな。

 

 その日の昼。瑞鶴を臨時司令部とした青田少将は、艦娘のうち数名をランチミーティングするで、と瑞鶴の士官食堂に招いた。戦艦から長門、空母鳳翔、重巡青葉。軽巡からは五十鈴、大淀、香取の3人。駆逐艦から、叢雲、電、霞、磯風の4人。潜水艦は伊168。副官の天龍。計12人が食堂に集められた。副官の天龍と長門、大淀はさておき、他はどうして自分が呼ばれたのだろう、と内心不安に思いつつ復旧作業について話し合った。

 天龍と一緒に帰ってきた睦月、如月、皐月、三日月、望月が給仕をして回り、ヤクザみたいなしゃべり方はするが、司令官代行は悪い人ではなさそうだ、という印象を持った。まあ、前任よりろくでもない提督がそうポンポンいても困るのだが。

 だからちょっと見てもらいたいものがあるんや、と軽い調子で青田少将が言った時も、深く考える者は誰もいなかったのである。テーブルの上が片付けられ、ポップコーンと飲み物が配られたから、ごはん食べたばかりなのになぜポップコーン?とは思ったが。

 そして『映画』を見せられた。

 

 

「見ちまった以上、後戻りは出来ねえぜ。フフフ。」天龍が呵う。

「みんなで幸せになろうよ、って話や。ここのことは天さんと睦月型の子に聞いた。」

 一旦言葉を切って長門を見つめる。

「臭いもんは元から断たなきゃ駄目や、ちゅうことで来たわけやが、呉にはまだクソがおるな。汚物はまとめて消毒や。一番厄介なんは片しといたが、まだ三バカが残ってるよって、あんたらにも手、貸してもらうから筋通しにな。

 艦娘が助けられっぱなし、ちゅーのも性に合わんやろ。自分だけ幸せになろうなんて娘はおらんね。」

 長門は立ち上がり敬礼した。「ああ、何でも命じてほしい。」

 そして深々と頭を下げる。「ありがとうございました。統括鎮守府の艦娘を代表してお礼申し上げます。」

「お礼なら龍ちゃんに言いなはれ。」

 青田は、チッチ、と舌打ちして指を振った。

「龍ちゃんが天さんに通報したから、わしらも先制で押せ押せできたんや。龍ちゃんの機転がなかったら様子見で、こうもうまくはいかへんかったやろな。 霞ママ」

「何よ」

「バカの管区内一斉大掃除やぞ。うれしいやろ。」

「もうっ!」霞は赤くなって頬を膨らませた。

「淀はん。」

「はい、提督。」

「大本営がなんぞガタガタ言うてくるかもしらへんが、こっちの掃除が終わるまで去なしといてんか。日本中がわやや。呉に構う暇がないのは確認済みや。電もしっとる。」

「了解しました。」

「青葉」

「はい、司令官代行」

「悪いが検閲じゃ。下手な気起こしたら」青田はここぞとばかりにおどけて見せた。

「ドラム缶にコンクリ詰めして南港に沈めたるど。」

「ひぃっ!」

「洒落になってない!」瑞鶴のハリセンが炸裂した。

 

 

 艦娘を返し、士官室に向かう。白井中佐が待っていた。

「どうやった?」

「事務官は圏外。警備隊は白。憲兵隊は、異動ですな。」

 

 鎮守府に営内居住を義務付けられているのは、提督、艦娘、妖精、鎮守府付きの警備隊。憲兵は、部隊と慣れ合いを防ぐため営外居住するものとされており、司令部勤務の人間は提督を除けば皆通いで、艦娘は寮で寝ていた。払暁攻撃は奇襲の定番だが、目標だけがいる時間を選んだら必然的にこの時間帯になった。

「事務官はとやかく言う立場にないですし、警備隊は、冷遇の一言ですな。兵器の更新はまるでされていないし、弾薬の備蓄も期限切れ寸前のが最小限。正面装備優先、と説明していたそうですが、なんの正面装備に予算回していたんだか。」

「憲兵は?夜勤の連中以外は無疵やったろ。」

「隊長が名誉の戦死しておりましてね。」白井中佐は肩をすくめて見せた。「自分たちも遺憾に思っていたが命令で仕方なく、と。それに提督が名誉の戦死を遂げているのに憲兵だけ処分というわけにもいかんでしょう。」

「せやな、おもろないが。」

 

 唸り声を上げて青田少将は同意した。女衒のクソに名誉などないが、公表したところで喜ぶのは野党とマスコミだけである。海軍がゴリゴリの反日で、艦娘は拒絶。鎮海警備府を更地にした朝鮮半島では深海棲艦戦争勃発早々に国が崩壊しており、中国はシーレーンのかなりの部分が日本と共通していて艦娘大国の日本抜きでシーレーン維持は不可能なため、日本を第一仮想敵国とするのはとうに止めているのだが、伝統とは変わらないから伝統という。

 

「それについてはお願いがありましてね。第二ですが、私にやらせてもらえませんか。

 陸軍もいいところをみせないと後々しこりになると思うんですよ。組織的にも、現場的にも。」

 

   *   *   *

 

 海に艦隊、陸に艦娘(艤装展開中)、空に零観。

 

「どうしてこうなった」

 

 呉第二鎮守府正門。詰所で憲兵たちが浮世の我が身の儚さを嘆いていた。艦娘に不穏の動きあり。一部身柄を拘束せよ、との統括鎮守府からの命令から三日。統括司令官は戦死。頼みの第一鎮守府は壊滅。人間派のものとなった統括鎮守府の艦隊が鎮守府沖に遊弋している。

 艦娘が5人、実艦から飛び降りて水上を航行してきて上陸。鎮守府正門を遠巻きにしてくっちゃべっている。何も知らない者が見れば高校生のお姉さんがお祭りか町内会の行事で近所の小学生の子を引率しているようにしか見えないだろうが、あそこの小生意気な駆逐艦娘は、50口径12.7cmカノン砲を6門搭載している。それが4人。ぽやぽやした軽巡洋艦娘は50口径15cmカノン砲6門。砲の数は12.7cm砲24門+15cm砲6門で、戦車中隊×2+砲兵中隊×1に相当。更に海には重巡洋艦と戦艦。

 白兵戦で素人の艦娘に負けるわけがないが、歩兵が戦場の華なら砲兵は戦場の神である。接敵も何も砲撃が始まった時点で即終了だ。さっさと降伏したいのだが、どうやって降伏すればいい?

 

 鎮守府付きの憲兵隊と警備隊が困惑していると、兵員輸送車が2台、正門のかなり手前に停まってマントを羽織った憲兵の分隊と第一種軍装の軍楽隊が降りてきた。憲兵の指揮官が軽巡洋艦娘に敬礼。歩調を取って行進してくると正門前で停止。軍楽隊がトランペットを吹き鳴らし、憲兵中佐の先導で歌を歌いだした。

 

「天に代わりて不義を討つ」 「天に代わりて不義を討つ」

「忠勇無双の我が兵は」   「忠勇無双の我が兵は」

「歓呼の声に送られて 今ぞ出で立つ父母の国

 勝たずば生きて還らじと  誓う心の勇ましさ」

 

「すぐ突入してくる訳ではなさそうだな。」

「隊長殿、意見具申。」軍曹がいささか呆れた声で告げた。

「自分たちが服務宣誓したのは日本という国であります。」

 間違っても海軍の若僧に対してではない。隊長の判断も早かった。そうでなければ憲兵は務まらない。

「こちら正面詰所、小早川。三下田(みしもだ)提督を逮捕せよ。」

 司令部警備室に内線電話を掛けた。「罪状?取り敢えず公務員職権濫用罪、刑法第193条。特別公務員職権濫用罪、同第194条の容疑だ。3分だ。3分でやれ。」

 曲の残り時間でタイムリミットを逆算する。

 

 表では10番まで全部歌い終わると、軍楽隊が分列行進曲を演奏し始めた。

 

 なんとね。呼ばれてるよ。これじゃあ出ていかないわけにはいかないじゃないか。用意のいいことだ。ありがたや。憲兵隊と警備隊は隊列を整えると、営内から表の憲兵隊の前までの短い間を徒歩行進した。

 

「呉第二鎮守府憲兵隊隊長、小早川少佐であります。」

「呉統括鎮守府憲兵隊隊長代行、白井中佐であります。」

「鎮守府司令官、三下田大佐を公務員職権濫用罪その他の容疑で逮捕勾留しております。統括鎮守府憲兵隊に護送いただければ幸いです。」

「第二鎮守府憲兵隊の要請、承りました。」

 

 かくて第二鎮守府鎮圧は、一発の銃弾も放たれることなく終了したのである。

 

   *   *   *

 

「”俺の歌を聴けぇ!”か。ロックやな。」

 

 白井中佐から報告を受けた青田少将は大いに感銘を受けていた。連行されてきた三下田大佐をちら見して営倉入り14日を告げる。そのうち今回の騒動の責任者が欲しくてたまらない大本営がお引き取りするはずだ。

 俺は士官だぞ、と喚く三下田にお帰りはそちらやで、と左手で扉の方向を指し示して追い払った。元気やなあ、重営倉3日にしとくべきやったか?

 

「海軍も負けとらへんど。せやな、面子は・・・」

 

 館内放送で呼び出された艦娘たちは司令官代行から渡された音楽プレーヤーをプレイして目をぱちくりさせた。

「これを本当に私たちが歌うんですか?」おそるおそる尋ねる。

「君らならできる。」

 青田は深々と頷いて言った。「自分と妖精さんの力を信じるんや。」

 

 

 呉第三鎮守府。中学生の女の子が連れ立って歩いてきたな、と思ったら艦娘だった。艤装も展開していないし、一人、頭の上に変な機械が浮いていたからわかったが、そうじゃなかったら気がつかなかった。黄八丈着て歩いている若い女の子とは珍しい、と思ったら飛龍だった。

 艦娘たちは、詰所のある正門と、通用門の二手に分かれて道路の向こう側に横一列に並んだ。そして正門の蒼龍が音頭をとっておもむろに歌いだした。

 

蒼龍「萬朶の櫻か襟の色」 吹雪、白雪、初雪「萬朶の櫻か襟の色」

蒼龍「花は吉野に嵐吹く」 吹雪、白雪、初雪「花は吉野に嵐吹く」

合唱「大和男子と生まれなば 散兵綫の花と散れ」

 

 

正門の歌声に通用門の艦娘が呼応する

飛龍「聞け萬国の労働者」  叢雲、磯波、浦波「聞け萬国の労働者」

飛龍「轟き渡るメーデーの」 叢雲、磯波、浦波「轟き渡るメーデーの」

合唱「示威者に起こる足どりと 未來を告ぐる鬨の聲」

 

正門「尺餘の銃は武器ならず 寸餘の劍何かせん」

通用門「汝の部署を放棄せよ 汝の価値に目覺むべし」

正門「知らずや茲に二千年 鍛へ鍛へし大和魂」

通用門「全一日の休業は 社会の虚偽を撃つものぞ」

正門「軍旗守る武士は 總て其の數二十萬」

通用門「永き搾取に悩みたる 無産の民よ決起せよ」

正門「八十餘ヶ所に屯して 武装は解かじ夢にだも」

通用門「今や廿四時間の 階級戰は來りたり」

 

 詰所の憲兵 ( ゚д゚)゚д゚)ナニソレ?

 

 歌い終わると蒼龍がラッパをパーンと鳴らしてИнтернационал(インターナショナル ロシア語版)を歌い出した。

 

 

 憲兵ズ ( ゚д゚)゚д゚)ナニソレ? 外国の歌?

 

 思いっきり煽られているのだが、ロシア語なので全くわからなかった。そのうちカチューシャとかポリュシカ・ポーレを歌って踊り出したのでようやくロシア民謡だと気付く。艦娘がロシア語歌えるのにも驚いたが、こいつら何しに来たんだ?

 

「何ですかねえ、外で歌ってるの」

 

 艦娘の歌に胃が締めつけられたのを意志で押し殺し、平静を装い当たり障りのないことを言って回りの様子を窺う。軽薄な奴で、取り込むのも容易だった代わりに行動も単純でわかりやすかったからバレていても仕方がないと言えば仕方がないのだが、ここまで大っぴらに来られるとは予想外だった。早急に処理しなければ。

 

「見え透いた挑発だ。」

 

 窓の外を見た提督は、はき捨てる様に言った。人間派に奪われた統括がちょっかい出してくるのはわかっていたが、非武装の艦娘が歌って踊るだけというのは想定外だった。

 きっとこちらが非武装と侮って鎮圧するのを見計らって、救出目的で攻撃してくる寸法だろう。誰がそんな手に引っ掛かるか。どうせ1時間か2時間で引き揚げるだろう。いくら艦娘でも半日も歌って踊ってなんかられん。くだらん挑発にのらんよう徹底しておかんとな。

 そんなことを思っていると机上の電話が鳴った。「呉第三鎮守府、馬庭内(まにわない)」

 

 受話器からFax送信中のような耳障りな音が響く。提督の動きが固まり、目がうつろになった。「薔薇は死んだ。」

 馬庭内大佐は、一声おめくと机から拳銃を取り出しこめかみに銃口を当てて発砲。脳漿をまき散らして倒れた。すべては流れるような動作で、受話器を取ってから発砲するまで1分もかからなかった。

 

 

「自決か。成る程。最期くらい自分でケリをつける器量はあったんやな。」

 

 呉第三鎮守府から提督の死亡報告に青田少将はそう答えた。そのようです。受話器越しにも安堵が伺える声が聞こえた。アレがそんな殊勝なタマか。死人に口なし。随分と手回しのええ奴がおる。馬庭内の奴がロシアのスパイではないかと疑心暗鬼に陥らせて、点数稼ぎしたい憲兵がふん縛ってくるのを期待したんやが、詰め腹切らすとは思わんかった。損切りのタイミングと度胸も座っとる。三バカに過ぎた部下やな。憶えとこ。

 早急な後任人事を大本営に要請することを約束して電話を切る。それから二航戦とその随伴艦に引き揚げを命じた。

 かくて第三鎮守府の鎮圧は、一発の銃弾どころか艦すら動かすことなく終了した。

 

 最後の第四鎮守府の提督は怖れを為して逃げた。若干の武器弾薬と金庫の現金を持ち出し、公用車で逃亡したことから、敵前逃亡、窃盗の容疑で全国指名手配中である。




 瑞鶴(艦これ)

 母港執務室の提督爆撃のエキスパート。加賀さんも認める納得の旗艦抜擢。


 赤い艦これ合唱団

 中の人的にできて当然。失敗したらシベリア送り、25ルーブルだ!

 なおロシアでは。幼稚園のお遊戯会で幼女に軍服着せてカチューシャ歌ってダンスしているのが普通にyoutubeに上がっている。ロシア人はネットウヨ。はっきりわかんだね。

使用楽曲コード:06302327,08606251,0O533647

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