Re:術式が百式観音ってマ? 作:隣の家に晩飯凸する止まらないゴルシ
ストック作るのを検討しようかな
藤井名入はここ数日ずっと自室にこもりきりだった。理由は謹慎処分にある。以前伏黒恵との手合わせで訓練場の設備を一部破壊し、学長より謹慎を言い渡されたからである。
何もせずにこのまま、というのも時間が無駄なことであるから、久しぶりに本でも読んでみたものの―
「こんな内容だったかな……」
―酷いもので、内容がさっぱり思い出せない。普通、こういうものは読んでいる最中に「あぁ、そういえばこんなだったな」とか。何かしら思い返す事があるものだ。
だが、それがさっぱりない。いわば初見の状態で再び本を読み返している。だから初見とはまた違った面白みを感じるものである。
藤井名入の呪術は特異であると言ってよい。特異であるのはその成り立ちだ。彼の術式はその運用が煩雑なもので、質量を作る呪力とそれを動かす呪力の二つに分類される。
術式によって顕現させる質量とそれを形作る呪力は比例するために、彼の術式には高い呪力効率と呪力量が求められる。そして、彼の身体はその要求に応えた。
乙骨憂太に劣らぬ呪力量と調子次第で五条悟にも並ばんとする呪力操作を行える彼は、それでもなお己と相対する強者との実戦経験が不足し、乙骨憂太と実力が均衡している。
飽くなき闘争を彼は求めているわけではない。
だが、闘争を経て己を満たそうとは考えている。彼のあずかり知らぬところではあれ、それは五条悟とも遠からぬものでもあった
「暇だー」
名入は読書もやめてしまって、今は床についてのんべんだらりとしている。謹慎処分の期限はとうに過ぎているから外に出たって構わないのだが、やっぱり外に出る気になれない。
「(親は………)」
親はどうしているだろう。
術師になることに彼の両親は反対していた。そんな危険な所に自分たちの息子をやれるか、と。だが、結局のところ両親は折れた。言うまでもなく、そうさせたのは名入本人だ。他ならぬ彼自身が術師というマラソンゲームに身を投じることを是としたのだから、親はもう何を言ってもどうしようもない。
結局最後まで、彼らは良くも悪くも典型的な良い親であった。少なくともその『良さ』は、一般的な社会常識に照らし合わせた場合、理想的だと言われるそれであったはずだ。にも拘らず、術師であることを選んだのは何故だったか。
先に言った通り、名入自身は別に闘争を求めているわけではなかった。戦闘狂と呼ぶには常識を持ち、一般的な術師と呼ぶにはあまりにも上澄みにいる。それ故の孤独、強者であり、狂人出ないが故の居場所のなさ。
彼は術師に身を投じてからそれを知っただろうが、何処か幼いころからすでに知っていたのかもしれない。
藤井名入にとって生きるという行為は歩く行為に等しい。彼は運命論者ではないが、運命というものを信じている。だがそれは、なるべくしてなったというものでは無い。
彼にとっての運命とは……
「おい」
「んお? 秤じゃん。どしたんだよ、停学中だろ」
扉が勢いよく開いたかと思えば、いきなり部屋に入ってきたのは何を隠そう停学中の秤金次だった。
「てめーこそ任務はどうしたんだよ? 非番か?」
「謹慎処分で今日はなーし」
「んじゃ今暇かよ」
名入は適当に返事をした。「ん」
「じゃあ今のうちに話しちまうぞ。お前、良い感じの術師知らねーか」
「いい感じの術師ィ? 知らんことは無いが、何で」
「これ、オフレコだぞ。近々、術師を集めて賭け試合をしようと思ってる……八百長ありのな」
「ふうん」
賭け試合とは、また大きく出たものだ。そんなことをすれば上層部は黙っていないだろうに、こいつはそれでも何かしらのギャンブルに手を出そうとしている。名入が秤とつるむのは実はそれが目当てのところがある。というのも、秤の持つ『何かに向かってひた走る熱意』を名入は持ち合わせない。であるから、彼の近くでそれを羨望のまなざしを投げつけるとともに、学ぼうとしているのである。
「まぁ、それとなく誘っとくわ。つっても、骨のあるやつあんまりいないぞー」
「いンだよそれで」
そうこう言うと、彼はまた今度パチンコに行く約束を名入に取り付けると、さっさと部屋を出てしまった。
そうして名入はまた一人になった。
「先輩、いますか?」
「おっ、伏黒じゃん。どうした?」
伏黒恵――謹慎処分を受けていたが、ここに来たのを見るに、彼ももう自由に動いてよいらしかった。
「任務を貰ったんで、付き添いをお願いしたいんです」
「いいぞ~。で、何処に行くんだ?」
「宮城です。宿儺の指の確認だって、五条先生が」
大学の授業を初めて欠席したけど授業二週目で欠席するのはまずいなと思ったり
あくまで片手間でこっちは書くので、超スローペースになるが申し訳ない