超かぐや姫!〜縄文時代から時を超えて〜 作:ウミウシになりたい
一応、現代ではそういったものは一切ないとだけ…。
人の伝説は秘伝のタレよ!それでは本編どうぞ!
ああ、あれからどれくらいだったのだろうか?あの後、かぐやを慰めながら…たしか畿内辺りに移動しようとしてたっけか?
現代で覚えている知識はあやふやながらも、弥生時代といえば切っても切れない言葉である卑弥呼という人物。それに付随する確か大きな国が既にできているはずだ。
あの村は、それなりの規模だったとはいえ国と言えるほど、大きな規模では無かったと記憶している。国と仮称するならばやはりそれ相応の、大規模な社会が形成されていることだろう。
「………ぐすッ…ひっく…彩葉…もう信じられないよ、人のこと…彩葉…会いたいよッ…」
「なーに、しょぼくれてるんだお姫様?こういう時こそかぐやは歌えば元気になるんだろ?俺は歌を聴きながら、歩きたいんだ」
「……フフフッ、ハルってば調子の良いこと直ぐに言うね。いっつも、心配させるハルにそんなこと言われるなんてッ」
かぐやは、俺の肩で首付近にきてぐりぐりと頭を押し付ける。いつ触っても、その感触は言いようのないもので表しにくい独特なその感触は、確かにかぐやはいると証明するもので─。
「それなら、張り切って歌をお送りしちゃうよ〜!ちゃーんと、聴いてね!ハル!」
「分かった分かった、聴き飽きることなんて…万が一にもないよ、思う存分やってくれ」
「合点承知〜!」
にひひ!と元気な声を出して、スッーと息を吐く。大事な思い出を持つその歌は、今と未来を思い浮かばせる唯一の手段で、俺とかぐやにとってとても大事だ。
歌をかぐやが歌う、謳う。何度も幾度も聴いたその軽やかなメロディーは、誰を差すのか、それともかぐやの心情を綴ったものなのか…。真相は分からない。
埃を被った思い出は、時となって蘇るものなのだろうか?懐かしいものは、今となって忘れさっていないだろうか?一つ一つ確認するたびに、俺は現代で生きた記憶を。かぐやは、彩葉と共に過ごした時間を。
どうあがいても、思い出そうとも時は残酷で。最初は声から、次は姿、その次は人肌、またその次は…忘れたくない出来事すらも、どんどんと溢れあやふやになって…。
けれども、かぐやは歌うことで。脳裏に刻んだメロディーを必死に紡いで、未来に繋げるのだ。思い出を、確かに彩葉と歩んだ思い出を胸に秘めて。
「やっぱり…、かぐやの歌は心に染みるな。彩葉って娘にも、きっと届くよ。だから、頑張ろうな」
「うん!………ヤチヨに最初、目がいってたし………会ったら私が先にファンにしちゃうもんッ!だから、頑張る!」
俺と、かぐやは先ほどの村のあれこれは、何のことやらと、ノンビリと歩きながら目的地へと向かうことにしたのだった。元気になったからといって、頸動脈に頭突きするもんじゃありゃせんよ?かぐやさん?気絶するぞ〜。
道中で、野宿しながら歩くこと暫し。畿内を目指す中で、あまり獣とは鉢合わせずに順調な道のりを辿っていた。まあ、獣も俺の死臭を嗅いで、只者ではないと思っているんじゃなかろうか?俺の嗅覚が無事だった時は、どんなに狼が小綺麗であろうともその身に纏う殺った匂いは、こびり付いているため判別は容易であった。
そんな俺よりも、嗅覚が良い狼やら熊やら野生の動物は、危険を察して挑もうとはしてこない。たまーに、何かしらの縄張りに入ってひりつくことは全然あるし、返り討ちにする時もある。
現に今も
「だりゃあ〜!!!見たかー!ハルの力〜!」
わっはっは!と宣うかぐやに、戦車を思わせるような重厚感を感じさせる熊。両者のサイズ的には、圧倒的に熊が上に立つ方だが、実際はウミウシが熊の腹の上にふんぞり返っている。
「はあ〜、かぐやなあ…こっちもギリギリだったんだそ………何だよこの熊…」
「フッフッフ〜!ハルが無傷で討伐してくれたから、素直に喜べる〜!えへへ!」
「……ったく、それは何よりだ」
減らず口なかぐやに辟易し無視して、さっさと獲物の解体に着手することにした。熊の解体というのは、難易度が異次元で更に独学みたいなものだが、流石にそこは経験が違う。
「おお〜!手際メッチャ良いね!上手上手〜!」
熊の腹から、ササッとくるりと一回転してから地面に着地するかぐや。無駄に躍動感がありやがる。
さてさて、熊の解体が終わりそうな頃にその足音は突如、ザッザッと規則性のある音で複数か?いやもっといるな。ともかく接近しているのが聴こえてきた。追っ手は…今さらというかここ1週間?一ヶ月?くらいそんな気配は無かったはずだが…。
「貴様ら!何奴!?」
警戒しながら、その足音の主を待っていると何故か俺にも"分かる"言語で可憐な声が辺りに響いた。その事実に一瞬だけ、身体が硬直するもその主のお供だろうか?こちらを凝視して、いつでも殺れるぞといわんばかりに、それぞれの得物を構えている。
俺はこの主であろう、これまた絶世といわれそうな美貌の美少女に対して、疑問に蓋をしながら手から得物を離し、降参の意を示すのだった。なぜ、こうも美少女に縁があるんだ………。今回ばかりはマトモな奴であることを、切に心から願った。
かぐやはというと───
「……えっ?……え?」
放心状態で、抜け殻になったような声を出していきなりの急展開に、目を白黒させていたのであった。
「ほっほっー!この大熊を退治したのじゃな!大した腕前をしておるの!本来は、我らが討伐するものであったがの!」
妾の想像以上にデカブツだったわ!と、明朗にあけすけに話す少女。俺が降参の意を示した後に事の経緯を聞かれた結果、あっぱれ!と宣い少女側の事情を語ってくれた。
だが、それとこれとは別に聞かなければいけない。なぜ─
「………なぜ、こちらの言葉を使えるんですか?」
「ッ!うん、そうだよ!なんでなんでー!?」
ボケっとしていたかぐやも興味津々といった様子で、身を乗り出して尋ねた。おめー、さっきまで音とか声とか発してなかったから、向こうさんまた警戒してるじゃねぇか。
すると、少女はきょとんとした後にああ〜!と、いった様子で口を紡ぐ。
「妾は、生きとし生けるものの声を垣根を超えて、聞くことができる。無論、話すこともな。産まれた時からそのようなものであったから、無意識にできるようになっておるのじゃ!フムフムソノチンマイノカワイイノ~」
むふん!としたり顔で腕を組んで、こっちを見やる少女。いや、かぐやのことをかなり凝視してる。コイツ…中々良いキャラしてるな。今だけの良い顔かもしれないが一先ず信用しても良い感じらしい。というか…これってやっぱり能力系ってことか?いつから超能力ものになったんだ………。
俺の肩の緊張が解けたのを見て、少女側も微かに警戒が緩くなったのを感じる。ああ、まあ大熊やってるもんな…、そりゃそうか。
俺はごほんっ、と場を持ち直すように息を入れて自己紹介することにした。かぐやなら、言わずとも流れで言うだろう。
「俺はハルだ。唯のハル、今は旅してる。趣味は〜なんだ?強いて言うなら…狩りだな」
「やっほー!みんなのアイドル!かぐやだよ〜!ねえねえ、ヤチヨ見たー?!」
「ほほー、ハル殿とかぐや殿か。そうだな!以後よろしく頼むぞよ!ヤチヨという者は聞いたことはないため、力添えできないな…すまぬ」
「いやいや!謝らなくていいよー!ヤチヨが悪いんだし!もー!」
かぐやは、ホントにどこにいるのー!と、辺り一面にその声を響かせるのであった。それはホントに同意できるぜ、ヤチヨめ一体どこいるんだ…。
「ッ!ああ、妾としたことが!名前を名乗ってなかった…改めて、妾の名前は"卑弥呼"じゃ。好きに呼んでくれていいぞえ?」
私としたことが、うっかりうっかり〜と軽く紹介をしてくれた。うん?ひ、みこ、?ひみこって言ったよな?かぐやと俺は顔を見合わせて───
「「URじゃねか(じゃん)!!!」」
息のあったコンビ技を卑弥呼に早速、披露することになったのだった。呆気にとられたような顔をして、卑弥呼がURとはなんぞ?と当然の疑問を口にして、その場は丸く収まった。
「フッフッフ!ここが妾の里じゃ!すごいじゃろ!」ドヤドヤ
「おお〜、規模がでかいですね。流石、ご自慢の場所ですね!」
「ハルの言葉遣いに、違和感が…………確かに!前の場所よりめちゃ発展してる〜!」
見渡す限りが開拓されており、村というより町へとなっており道中で話しを聞く限り、別の場所も同様に治めているとのことで国へとなりつつあるようだ。
URの意味を聞いて、上機嫌な卑弥呼が口を軽くしてくれて色々と聞けて助かった。あの、のじゃのじゃはファンタジーよりだが………チョロくて助かるから深くは考えない。まあ、卑弥呼は数々の予言やら統治能力がずば抜けていたやら、弥生時代を唯一象徴する人物なだけあるため…あっても、不思議では、不思議では…ないはずだ。
「よーし!大熊の退治を喧伝しようではないか!こちらのお二方がやったとな!」
「えっ?いやー、そちらのお手柄にしていただいても」
問答無用!とばかりに、大声で大熊を退治したぞー!と里中に響く声で、その達成のお触れを知らせていく。そして、ゾロゾロとその亡き骸を見ようと、物見遊山の民衆が次々と顔を出し、その異様な亡き骸の大きさを見てざわざわしている。
『ありゃあとんだ怪物だ…』『あれが仇ッ!』『熊というより、こりゃあ神のようだ………』『でけぇ…』『やべぇな…』
各々が熊から出た、一個一個の臓物のデカさやら毛皮やらに大熊とはどれほどの存在だったのかと、身近に感じたのかもしれない。
俺は、今のうちにと民衆の裏側にそっと移動して、かぐやは…なんかドヤ顔を既にしてらっしゃる。気が早いな、相変わらず…。
『こ、これをどれほどの犠牲で…?』『…そ、そらそうだ!こんな化け物に…ッ』『卑弥呼様…仕方のない、犠牲で…』
今度は一転して、ざわめきが別の方向に向かったのを肌身で感じる。こりゃあ、収まり方次第では禍根が残るものと見たぞー。
「フッフッフ、聞いて驚け皆の衆!この化け物退治に里の人間は一切死んでおらぬッ!」
『な、なんと!?』『ほ、本当で?!』『嘘だ!』『隠すなー!』
「お主らは気が早いッ!ほれ、そこの2人が立役者じゃ!凄腕の狩人じゃ!祝え祝えー!妾が保証するでな!」
あ、あの…こんなに注目されるの初めてなんですが?それと、喧伝するとは言ってたが、ここまで主役にしていただかなくても…流れの旅人がやってたぜー的な感じで───
『『『うお〜!お二方に乾杯だあ〜!』』』
「おー!乾杯!乾杯だ〜!お祭りだ、お祭り!主役は、私とハルの2人だね!」
踊ろうよ〜!と、言葉を続けるかぐやにはあ?と、訝しげな顔をする俺。その様子を見ていた卑弥呼はボソッと何かを呟いた。
『流れの、運命…行く末の守り人か…』
さきとは打って変わって、こちらを憐れみの目で見る卑弥呼に気付くことなく、俺と珍妙な見た目で、愛嬌のあるかぐやを気に入ったのか、冗談半分で神輿にしようとする民衆など、カオスにカオスを極めたこの出来事は、きっと一生忘れられないものになったのだった…。収拾に苦労したぜ…疲れた…。
「だあー!疲れた…こんなに疲れたのは、さっきの大熊退治以来…いや、ついさっきじゃねぇか…」
「うえ〜………かぐやも疲れたー」
俺とかぐやは、前回の村のように一軒家を譲渡され、ありがたくそちらに住まわせてもらうことになった。住居をもらってのその後に、最後は良くなかったなとやはり一月前の出来事が、脳裏にチラつく。むむむ、ここは5年くらいで様子を見て出ることにしようか?
取り敢えず、できることは今は物が少ないため弓の手入れくらいだ。食は考えないで良いからある程度助かる。かぐやはある物あったら食うが、無くても問題ないよ〜と前々に言ってたしな。
ガラガラッ
「たのも〜!ハル殿にかぐや殿!旅の流れのお主らに話しを聞きたくてな!」
弓の手入れを早速していると、卑弥呼が中にずかずかと入ってきていた。まあ…長のような存在だから、ぞんざいに扱える訳じゃなかろうて。
俺は弓を傍に置いて、かぐやはというと乗り気で───
「聞いちゃう!?聞いちゃう〜?ハルの武勇伝たくさんあるんだよー!」
「お〜!ぜひ聞いてみたい!頼むぞ、かぐや殿!」
ノリノリで、俺の武勇伝を振りかざし卑弥呼も卑弥呼で、聞こうとするんじゃない。あっ!そこ盛るなー!訂正だ!
こうして、何やかんや初めて俺とかぐやの旅を、他人に伝えることになったのだが…。かぐやめ…かぐや目線の俺の扱いが、どうにも当てにならんものばかりで、誇張するから胸が締め付けられて苦しいぞ…。やはり、邪悪の魔のものかッ!くッ…!こうして、久しく忘れていた心の底から楽しいと思えるような、宝石のような1日が幕を閉じたのだった。
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ご期待を裏切らないよう、頑張っていきます。
それとこれとは別で、ポンポン投稿できる人すごいですね。私に関してはストックゼロ投稿が悪いんですが…。見切り発車した己を恥ずかしい限りです笑。
以上!自分語りでした!