超かぐや姫!〜縄文時代から時を超えて〜   作:ウミウシになりたい

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楽しいって一瞬で過ぎるよね…悲しいね。それでは、本編どうぞ!


過ぎ去りし日々

俺は、気配を押し殺して今か今かと弓を引きながら、その瞬間を待つ。俺の同行者2人?いや、一匹と一人は察したのか、同様に気配を努めて抑えていく。

狙う先は、比較的新しい獣道。その一本道。足跡がハッキリと無数にあり、何かが頻繁に通っていたのが見るからに分かる。それも、150メートル離れていてもくっきり見える形で。どうやら、相当おバカな獲物のようだ。

 

ということは、つまり。探さなくても───

 

 

ヒュン

 

 

「くっそ、簡単だったな…。なむなむ」

 

 

「んー、この距離一撃ってだけでも、ハルは凄いと思うんかだけどなあ〜」

 

 

「おお〜〜!!!凄いッ、凄いぞ!その弓の腕前!そなたはやはり大熊を退治した狩人じゃな!」

 

 

俺はそのまま、さっきやった鹿をさっさと肉にするべく、近付いていく。卑弥呼の囃し立てる声やら、かぐやの呆れに似た声やらで騒々しいが…まあ、悪くないなと思いながら、今日も今日とて日常が過ぎていく。うむむ、居心地が良い里で中々外に出づらくなってるのを感じるぞ…。

 

 

 

 

 

 

 

「かぐや殿〜!今日も新しい言葉を教えてもたれ!はよう!」

 

 

「かあー!聞いちゃう?聞いちゃう?それなら〜今日は───」

 

 

────アイドル!

 

 

アイドルとは聞いたことあるぞ〜!と、なっている卑弥呼。まあ、最初のかぐやの自己紹介の時に言ってたもんな。改めて意味を教えるのかもしれない。

 

「アイドルって…歌って、踊ってー!みーんなを笑顔にするんだよ!それが仕事なの!私やってたんだよ!似たようなライバーってやつだけど!」

 

「ほほ〜?つまり祭事の舞踊みたいなものかの?それなら妾はやっておるが…?」

 

 

俺は、静かに弓の手入れをしながら夜もふけようとする中で、それとこれとは別なの〜!となっているかぐやと、違いって?と首を傾げる卑弥呼と、喧しい夜はふけていく。おい、卑弥呼…興味持って実際にやろうとするな!お前仮にも威厳を持った権力者なんだろ?!伝記にアイドルしてましたって、載ってたら???で埋め尽くされるぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『卑弥呼の妹です!よろしくお願いします!名前は…台与(とよ)です!』」

 

 

「フッフッフ!可愛かろう!これが妾の自慢の妹じゃ!」

 

 

おお〜と、なっている俺とかぐや。やはり、一際目立つその美貌は感嘆に値するもので、息をのんでしまうものだ。

そんな俺らの反応を見てか、妹を名乗った台与(とよ)は卑弥呼の後ろにいそいそと隠れ、チラチラとこちらを覗くような仕草を魅せる。

 

 

「か、かわいいー!!!ねえねえ、何話す?何話す?かぐや何でも話しちゃうよ〜!」

 

 

「…お、おま!落ち着け!とよちゃんが引いてる引いてるッ!」

 

 

その仕草が、かぐやの心を打ったのか目にも留まらない早さで、台与の肩に飛び乗り目をキラキラさせて、お話しようとしている。しかし…至極当然の結末で…。珍妙な見た目をする生き物から、まくし立てられるように話しかけられたら誰だって………

 

 

「『う、うわ〜〜ん!!!お姉ちゃん助けてッ!』」ナミダメ

 

 

 

「プッ、くふふふ。あっはっは!そのようなことで、泣いておったら何時までも成長せんぞ!台与!」ケラケラ

 

 

「グヘヘヘ…かぐやといいお話、しちゃお???」キラキラ

 

 

はあ………、なんでこの里来てから1日足りとも落ち着いた日がないんだよ…。俺に、俺に休息をくれ…。ざっと1年くらいで良いから…。

俺は、調子に乗るかぐやに拳骨を食らわせてフギャッと、よしよし強制スリープになったな、よしよし。台与ちゃん怖かったな〜、おーよしよし。

 

俺は慰めるように、台与の頭を撫でるのだった。ん?これってセクハラにならないよな?あれ?大丈夫か?と頭に過ぎるが、嫌がってたらとっくに拒絶されてるから気にしないようにした。

 

 

「おやおや〜?ハル殿、やりおるの〜?妾の妹を………」ニヤニヤ

 

約一名まだうるさいやついるが…無視だ無視。それに、俺にはとことんそういう欲はないからな?何回も言うが、好きとかそういうあれこれは、無縁みたいなもんだからな?かぐやは別だが…。

 

さてさて、俺は泣き止んだ台与を卑弥呼のもとに行かせた。かぐやには後でお説教だな、とウミウシの姿で喋ってるんだぞ?と改めて認識させなきゃいけないと、思った1日だった。卑弥呼が最初から可愛い可愛い言ってるから、たかが外れてしまったか…。

 

 

 

 

 

 

〜2年後〜

 

 

 

 

冬の厳しさが増す一方で、獲物が捕れずに…それに加えて不作の年になってしまい餓死者が幾人もでるかもしれない、といった状況で、卑弥呼が動く。

それは、荘厳に満ちたこの時代に似つかわしくない、大きな木の建物で、まさしくそこは神聖な場所といっても過言ではない。

 

「ハル殿、かぐや殿、妾は儀式を行う。その間、警備をお頼み申す」

 

 

「「分かった(りょーかい!)」」

 

 

 

「プッ、くふふ。そちのかぐや殿はいつもと変わらず…と。心強いな、もちろんハル殿もだ」

 

 

さてさて、と手際よく榊の葉をヒラヒラと、神事の供え物の上にハラリハラリと、扇ぐ。その所作だけでも、一つ一つが丁寧であり見ていてうっとりするものだ。

飾り付けられた青銅器や、祭祀具、形作られた木製品なども、この場所を神聖なものとする上で欠かせない代物たちだろう。

確か、榊の葉を祖霊の依り代として、物の上からヒラヒラさせることでこれは祖霊のお供え物です。としているんだっけか?

フリフリが終わったのか、次は舞のようなものを始めた。舞のようなという、曖昧な表現は実際に見るのが初めてでありどんなものかは知らないからだ。けれども、初めて見ても美しいとなるのは、やはり卑弥呼の技量が高いほかない。

俺とかぐやは、額に汗を浮かばせる卑弥呼を見ながら、外の警戒を続けること暫く。

 

 

ドサッ

 

 

「あっ!?卑弥呼ちゃんが倒れた!ねぇ!ハル、体温測って!卑弥呼ちゃんが死んじゃうー!やだやだ!」

 

 

「ッ!分かった!取り敢えず、熱だな熱…」

 

順調に儀式を終えようとして、最後に神事の供え物に対して正座をして礼をした直後に、卑弥呼の身体がガクッと傾き倒れた。すぐさま、俺は焦るかぐやを横目に、俺は卑弥呼の額に手を当てた。けれども───

 

 

「あれ?これ熱ないぞ…?平温の体温だ…?」

 

 

「うそうそ!そんなはずないもん!だって、彩葉だってこんなことになった時はスゴい熱出してたもん!」

 

 

しかし、いくら手を卑弥呼の額に当てても正常な体温だと、示すように手のひらが熱くならない。熱があるなら、俺にも伝わるはずなんだが…。

 

「……ッ!ぐぅ…これは、前からある謎の頭痛の影響じゃ。立ってもおられんほどの頭痛が、儀式の後は必ず起こるでな…ッ!…」

 

「無理すんな!卑弥呼!今は安静にしとけ…」

 

 

「そうだよ…卑弥呼ちゃん、早く元気に…」

 

 

ムクリと顔をあげ、卑弥呼自身が倒れた理由を語ってくれた。どうやら、儀式をした後のみ、酷い頭痛が自身を襲ってこうして気絶してしまうらしい。

 

果たして、こうまでして里の恵みは恩恵は受けれるのだろうか?と、得られなかったら、卑弥呼は徒労どころの話しでは無くなってしまう。完全に無駄足だ。

 

 

しかし、不思議なことに儀式をやった一日後に流浪の獲物が数多く出没して、しかもどれも狩りやすい獲物であったらしく食糧危機は収束したのであった。

 

 

「わっはっは〜結果オーライじゃ!………ぐぅ、頭がいたい…ハル殿〜、水をおくれ〜。かぐや殿は妾の抱き枕にー…」

 

 

分かった分かったと、両者共に頑張った卑弥呼を労わるようにその望みを叶える。かぐやは…ふんすふんすと、その抱擁を抜けるかごっこみたいなことしてるが、うんともすんともいわずに、やがて諦めてこっちを見たが…無視だな。

 

 

 

〜5年経過〜

 

 

 

「かぐやちゃん!も〜!」

 

 

「台与ちゃん、天才なんだもーん!いいじゃん、これくら〜い!朝飯前だもんね?」

 

 

「やってやりますとも!」

 

 

台与ちゃんが、ちっちゃい頃からもうこの時代では、大人になった卑弥呼の妹は、まさしく天才であった。なぜか、自力でこっちの言葉を覚え始めるんだもん…。なんだ?言語の規則性やら、文法やら、私達の喋るものより簡単って…。というか、どこからそんな難しい言葉を覚えたんだよ。

 

突っ込むことも数多いが…、全部挙げたらキリがないのでこの辺にする。

台与ちゃん、だいぶ大人になったな〜。卑弥呼も卑弥呼で…

 

 

「おっ?!この調理は美味いの!蒸し焼きとはここまで肉に香りを…旨そうじゃ!」

 

 

美人な顔付きになって、大人になっているがそれでも根っこは、変わらず子供のようなものだった。蒸し焼き…燻製、それメッチャ良いよな。もう味、覚えてないけど。

 

卑弥呼は、滴る肉の脂をものともせず手に持って、口に運んで食した。すぐ近くには、保存が効きそうなお肉があり、これで何時でも肉が食えるぞ!と目を輝かせる卑弥呼。まだ、工程はあるが…時間の問題だろう。というか、傍目からは美味そうに見えても、俺の眼前まで持ってこられると萎えるんだよな…。この身体めッ!恨めしく思うぞ!食べたい…

 

 

「ハムハム………ん〜!極上の味わいじゃ〜!これは普及させねば!いわゆる国政において重要なものと位置づけねば!」

 

 

「………卑弥呼、それって職権乱用じゃ?調理よりもやっぱり、稲作開拓に精を出した方がもっと安定するんじゃ?」

 

 

「妾が重要といったものは、問答無用!是が非でも実用化に向けて動くぞよ!」

 

 

ああ、こりゃ説得ダメだな…。と説得を諦めてせめて早く終わるように、助言を行うことにしたのだった。台与は台与の方で、忙しそう(小並感)

 

 

カグヤチャン!コノイミヒワイジャナイ!?ナンテコトイワセルノー!!

 

エードコガヒワイダッタノカナー???ニヤニヤ

 

ポコッポコッ

 

カグヤチャンノイジワルメー!

 

ナグッタナー!ワー!

 

 

うん、関わりたくないな。こういう時は成り行きに身を任せるのが一番だ。つまり、向こうで解決してくれ。本当に。

 

 

「ハル殿〜!蒸し焼きの仕組みをご教示お願いしたいのじゃ!この者にの!」

 

 

向こうを見ていると、卑弥呼がいつの間にか人を呼んでおりその人物は、精悍な顔立ちをした好青年を思わせる風貌をした男だった。こちらを見る顔付きで…その、卑弥呼の隣を狙うライバルとかじゃないですから、そんな目をメラメラしないでもらっても?

言うに言えず、卑弥呼がキラキラとした瞳を俺に向けてお願いしたので、こっちもこっちで問題の解決に乗り出さなければいけなくなった…。

 

「分かりました…。それと、卑弥呼は意図して呼び出した訳じゃないんだな?」

 

「???ん?何のことじゃ?それより分かってくれたかの?!それなら、よろしく頼むじゃ〜!」

 

 

じゃあね!と手のひらをバイバイさせる卑弥呼…。というか会ってから欠片も伝説の人物とは感じさせない、少女だなあ…、と思わずにはいられなかった。

 

「『よろしくお願いします』」

 

「ッ!あ、ああよろしく」

 

 

そうだ、こっちもこの男に料理教えなくちゃいけないんだった。なんかやりづらいが…頑張るしかないか…。

 

 

 

〜10年経過〜

 

 

 

「ハル殿はやはり姿は変わらんの…、数奇の運命の者は未だに縛られている、と」

 

 

「ん…?ちょっと待て?卑弥呼?その話は初耳なんだが?それになんで今なんだ?!」

 

 

「ええ?2人ともどうしたの?お祭りだよ?!お祭り!みんなでワイワイガヤガヤしないと〜!」

 

 

 

今日は、台与ちゃんの結婚式でお祭りになっている。お相手さんは、いつの日かに調理を教えて以来、調理にハマった男である弟子だ。まさか、弓の弟子以外に、調理の方面でも弟子ができるとは思わなかったな…。

 

 

それよりも、卑弥呼がなんか意味深なこといったぞ!どいうことなんだよ!縛られてるって!

 

 

「お姉ちゃん!それにハルとかぐやちゃんまで!三人揃ってる!嬉しい〜!」

 

 

「し、しょう。お祝いあり、がとう」

 

 

おー偉い偉いと、台与に頭を撫でられる大の男一人。コイツ、見かけは怖いけど根は超優しいんだよな。血も見れないし、ましてや暴力なんか想像すらしてない、この時代にあっていない倫理観を持つ、超優男だ。それに、頭も優秀と。

 

ここの里だけ、偏差値異様にやっぱり高いやつ多いな…?数千年も旅してきて、初めてのことばかりでここ数年くらい毎日飽きないとか、ものすごい異常の里だぞ。

 

 

「おー!台与ちゃん!メッチャ可愛いー!衣装も張り切ってるね!」

 

「そうでしょ〜!お姉ちゃんも見てよー!」

 

 

妾の妹じゃぞ〜、と当然可愛いのは変わらんとコメントを残す卑弥呼。あそこは女の園になっている…。気まずいったらありゃしないため、いそいそとその場を抜け出す。

すると、超優男も女トークに巻き込まれないためか、俺の後ろに続く。

どの時代も、女子トークに巻き込まれたくないの一緒なんだな。と、少し親近感が湧く中でその後暫くは、超優男くんと駄弁りながら時間を潰すのだった。民衆のみなさん…見付けだして、お祝いの品を押し付けてこないでくれ………もう、腕がパンパン過ぎて持てない…。

 

そんな慌ただしく、過ごした1日の終わりに俺はかぐやと共に、卑弥呼の住まいに向かっていた。

朝に意味深なことを言ったことについて、説明してくれるらしい。そして、今後のことも。

かぐやは、先ほどまでの歌え騒げから超真面目モードになって俺の肩上にどっしりと座っている。

 

俺も俺で、しっかりと頭の中に数奇な運命に縛られている、といった文言が残っているため、それを問いただしたいと是が非でも思う。

 

 

「よく、お二方共に参ってこられた。さて、話を長くするのは好きではなくてな…。単刀直入に問おう、お二方は永遠の生命を持っているだろう?」

 

 

「「ッ!」」

 

 

いつもの口調とは、打って変わって畏まったものになった卑弥呼が、俺達を警戒させるに値する言葉をいきなり放ってきた。俺とかぐやが、いつでも殺れるぞ、という殺気だったものを感じた卑弥呼はというと。

 

 

「クククッ!あはは!そんなに警戒しないでおくれ、妾もほーんのちょっと憧れた時期はあったがの…今はそれ程じゃ」

 

 

「信用できるのか?俺とかぐやは、前の村で碌な目にあってないんだが…」

 

「そうだそうだ〜!信用できるもんか〜!」グルルル

 

 

ミスったか?という困り顔を作る卑弥呼。しかし、それらの一つ一つの動作が意図的にされているかもしれず、警戒を解くにはまだ足りない。それが分かり諦めたのか、そのまま話を続けるように目を伏せながら言葉を紡ぐ。

 

「これは妾が失敬だった、迂闊だったの〜。………さて、単刀直入に言おう。ハル殿は、いずれまた大切な何かを喪うだろう。ということだ。それも、生きる上で大切なものを、な」

 

 

「「………………はっ?」」

 

 

「ハル殿は、今は味覚と嗅覚だったかの?それが無くなっておるとは夢でみたぞえ?それに、明晰夢というものじゃったか?近頃、よく見るようになっての───それもハル殿自身の─それも視点で」

 

 

「「………待て待て!!!待てー!」」

 

 

「むむむ?今、良いとこだったのじゃ…。んー、妾はもう眠くなってしもうた…」

 

 

「「はー!!?!」

 

 

「………一回でもこの話しをすると、眠気が凄まじくての……zzzz」

 

 

 

良いところの方面を詳しく話せー!と、荒ぶる俺とかぐやはそれはそれとして、卑弥呼に風邪がならないように暖かい物を羽織らせて寝させることにした。

はあ…前みたいに拗らせることにならなくて良かったが…前の村よりもっとヤバいことになったな…。何だよ、俺…もっと奪われるって………

 

 




次回はかぐやSide!弥生の終わりの始まりです!

楽しい日々は一瞬でしたね〜。台与と、優男くんは言語の取得できたけど使い所がなさげだったり…?当たり前だけど寿命でその辺の知識も継承あんましされないから、後世への影響はあんまりなさげだったり?強引すぎか…?少なくとも燻製は残るでしょうね、飛鳥時代かららしいけど誤差よ誤差!ヤチヨの技術革新が現代にあるし…ヘーキヘーキ!

日間ランキング83位!ありがとうございます!4/21より
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