「 ここかぁ・・・ 」
空の旅を終えたオレは闇鴉をしまって、眼前の建物を見つめている。
技術開発局。尸魂界最先端の科学が結集した研究施設だ。十二番隊の管轄である当局では、日夜霊具などの研究開発が行われている。
殆ど見なかったが、改めて見てみると、如何にもな感じだ。
ゲームでいえば、最初の三体を貰えるポケモン博士のとこか、化石からポケモンを復活させてくれる研究所か。
大昔の生物の再現なんて、ここの局員、とりわけ局長兼十二番隊隊長の涅マユリの手にかかれば朝飯前なのかもしれない。
いや、流石に無理か。そもそも恐竜なんて野良の捕まえれば済むし。大体のヤツはアホみたいに凶暴だが、ここの連中なら上手いこと手懐けられそうだ。
「 変なこと考えるより、行動しないとな。 」
オレは開発局の中へと入った。
「 うわぁ、すげぇなぁ。 」
内部は、白衣を着た局員たちが行き交っていて、いかにも忙しそうだ。
と、その中に見覚えのあるシルエットを見かけた。
「 悪いな亀子、荷物持ちの手伝いなんかさせて。 」
『 キュウウン。 』
白衣をはだけさせた金髪の男だ。
脇にはデケェ鋼鉄の亀みたいな式神が何個も重火器の入った籠を背負っている。
あれはオレが茂にやった奴、でいいよな?
あんなにメタリックじゃなかったと思うが。
「 カツラ。 」
「 ん?おぉ、サトっちゃん!もう来たのかよ! 」
「 直に会うのは久しぶりだ。お前、ちょっと垢抜けた? 」
「 そういうサトっちゃんもぉ、大人びた感じんなったなぁ。 」
こいつは相変わらずだな。
紅蓮院カツラ。オレや冬獅郎の同期で、十二番隊六席。
主に火薬類や重火器類の研究をしていて、発明品はそれなりに有用とされる物が多いが、一般の三下隊士は殆ど手に取ってはくれないらしい。
まぁ、オレと同じく、死神の価値観に苦心している仲間ってわけだ。
「
『 キュウウ。 』
この隣のは、大分前にオレがもう一人の同期に譲った式神だ。この様を見るに、あいつはこれを実験台にしたみたいだが。
が、悪くない。身体のサイボーグ化による基礎能力向上。ありきたりだが、有りだと思う。
式神は死神の数ある手札の一つなのだから、それを強化することはなにも悪いことじゃない。
「 積もる話もあっけどさぁ、歩きながら喋んない?シゲっちも待ってるしさ。 」
「 そうしよう。あまり待たせるのも悪い。 」
こうしてオレは、カツラに連れられ、
「 待ってくれよ阿近さん! 」
・・・ん?この暑苦しそうなバカみたいな声色は。
「 だから何回も言わせんな。お前の卍解の刀節は治らねぇっての! 」
「 そこはなんとかなったりしねぇのかよ?一角さんのは治ったんじゃねぇのか! 」
「 アレは形だけ修復したんだ。前より出力は落ちてんの!卍解を完全に修復するなんてのは、今の技術でも無理なんだよ。 」
「 阿散井副隊長か? 」
「 あのバカ眉毛また来てんのかよ。無視だぜサトっちゃん。無視。 」
急かすように脚を急がすカツラに続くように、オレも奥へ進みながら話した。
久方ぶりにこうして話すが、相変わらずのようでほっとしていたが、阿散井恋次をみるなりこうなった。
なにかあったか気になったので、聞いてみることにした。
「 どうした?いつもの陽気なお前じゃねぇな。 」
「 オレちゃんあの人嫌な苦手なんだよ。なんもかんも精神論でもの語ってきてさぁ、しかもあのセンス、ありゃ酷い。暑苦しい感じとあの眉毛。あれイカしてるって本気で思ってんだぞ?しかも真似してる奴までいるんだぜ?
なんとまぁヒデェ食い合わせだろうかぁ。
ウゼェったらありゃしない。 」
「 そうか?そんなんでもあの人それなりにウケ良さそうだけど? 」
「 周りがセンスについてあれこれ言わないからそう見えるだけっしょ。
面倒見はいいんだろうけどさぁ、面倒臭さはサトっちゃんの兄ちゃんと三番隊の前髪陰キャで三強だろありゃ。
あの人メンヘラだろ?滅茶苦茶東仙要のこと引きずってるっぽいし。 」
「 あぁ、そうなのか? 」
「 そうなのかってどうなのか。一応兄弟なんでしょ?話したことないの? 」
「 最近のあの人オレを避けてる感じでさ。そもそも話したがらないのよ、うちの兄貴。考え方もまるで合わなくてな。
正直オレもそんなにって感じだし。 」
「 ふ~ん、んでサトっちゃんにとって東仙は? 」
「 兄貴に変な思想を植え付けたカスだが?
力に恐怖しろだとかってやつ。
バカ野郎。相手は兎も角、自分自身に日和ったら負けだろうがって。 」
「 へぇ、つまり兄ちゃんにはそれなりに情はあるのね。それならいいんじゃない?なんも感じないってのは、冷え切って終わってる証拠だからなぁ。」
「 そうかな?んでも兄貴が面倒臭い人だってのは分かる。あの人昔っからそうだもん。
それに3強とは言わずに、尸魂界は面倒なの沢山いるじゃん。 」
「 例えば?藍染以外で。 」
「 昔の桃とか。 」
「 うわぁ、なんかわかるよそれ。 」
「 あと朽木隊長。あの人人としては好きなんだけど堅物過ぎてなぁ・・・ 」
「 それも分かりみ深いわ。でもさ、オレ個人的にこの人なんかなぁって思う人いるんだけどいっていいか? 」
「 京楽隊長? 」
「 いや砕蜂隊長。二番隊の。あと鳳橋隊長。わかる?三番隊隊長に復帰した人。 」
「 あぁ、それなんとなくわかるな。気難しい人だもの。 」
「 砕蜂隊長すげぇキレてたぜ、サトっちゃんに?
"私の百年とは何だったのだ!"とかって。 」
「 百年?あの人そんな前からいるの? 」
「・・・それでさサトっちゃん、阿散井パイセンの話に戻っけどさ。 」
「 うん? 」
「 こないだ、オレちゃんあの人に絡まれてさ。 」
「 へぇ、大丈夫だったのか?一応あの人卍解持ちだって聞いたが。 」
「 あんなお粗末なのが卍解って。
いやぁ、ちょっとクスって来るなぁ。
勿論、あの人を舐めてはいねぇけどさ。 」
「 つまりどうにかなったのか? 」
「 その通り。話すと長くなるけどさぁ・・・ 」