「 っしゃあできたぁ!! 」
その日もオレちゃんのハッピーウィークデーだった。いつものように研究して、機械いじりしてぇ、物を開発する。
十二番隊、技術開発局に入ってからほぼずっとこうだが、まったく飽きはしない。
この充実感パネェぞ?
ドーパミンドバドバでっからよぉ。
んでなに作ってたかって話になるんだけども、サトっちゃんがポケモン好きだっていうから、オレちゃんアニメも映画も観てみたんだ。
そしたら、すげぇ面白くてさ。
そんでオレちゃん思ったわけだ。
"アニメのポケモンみたいに、整や神獣やらをゲットできないか"って。
要はモンスターボールを作ろうって思ったわけ。例え扱えはしなくても、捕獲して無力化はできる。それなら、隊士の死亡リスクは減るし、研究も進む。それを元手に科学技術も進歩するといいことづく目だ。
それで制作にかかり始めて幾つかの試作品を経て、こうしてひとまず完成品ができた。
「 コイツが有れば、整霊やら神獣にエンカして死ぬ隊士が減る。そいつらがこれ使う頭さえ有れば。 」
現世じゃ、虚はともかく、滅多に出くわさないはずの神獣や、酷い時には歪んじまった整霊にまでやられる死神が多い。
が、このモンスターボール、もといヒヨスボールはそれを捕らえることによって、その被害を最小限にできる。
ただ、現状はまずそれを弱らせないと確実に捕獲できないという欠点があるが。
まぁ、これはおいおいどうにかしてみせる。
で、ここからが本番だ。
「 カツラ、福井の辺りに恐竜がでたらしい。6番隊が手酷くやられてるみたいだから、手伝いに行け。 」
「 またまたぁ、それを建前にそいつら捕まえてこいでしょ? 」
「 そうだ。出来たんだろ、ヒヨスボール?せっかくだから試してきてみたらどうだ? 」
「 言ってくれんねぇ。今これ一つしかないんだぞ? 」
「 試すには丁度いいだろ? 」
「 でも6番隊だぜ?いっちゃん面倒な部類じゃんよ。 」
「 つべこべいわずにいくんだよ。 」
伝令神機にシゲっちから電話を貰って、オレちゃんは発明品片手に現場に急行するわけだ。
『 さっきから思ってたが、ヒヨスボールって・・・ 』
あぁ、デザインが鵯州科長に似ちゃってさぁ、そのまま通称として呼んでる。
こういうグロテスクなデザインのが技術開発局みを感じるだろうしね。
『 ふ~ん・・・ 』
そんでいざ着いたら、現場は酷いものだった。
そこら中血まみれ。道行く人は死神が十数人単位で喰われてるのを知らんぷり。
見えねぇからしょうがないけどね。
んでその恐竜ちゃんだが、かなりご機嫌そうでなぁ、いい感じにティラノティラノしてる肉食の奴だった。
獣脚類っていうんだっけか。
福井って化石産業がお盛んなもんだから、それで引き寄せられて来たんだろうな。
ありゃ、虚や整の魂魄も何体か喰ってた感じだ。
『 アオォォォォォオオオオンッ! 』
って咆哮聞いたときに思わず感動しちゃったよ。まんま映画のそれだったもんよ。
思わず便所に逃げ込んで喰われそうな迫力だったさ。
んでだ、唯一人そいつに立ち向かっている死神がいたわけだ。
それが・・・
「 卍解 狒狒王蛇尾丸!! 」
あのバカ眉毛もとい阿散井副隊長だったわけだ。
骨でできた大蛇。あれがあの人の斬魄刀らしい。
ヘビらしくキシャーって伸びながら噛みつこうとしてぇ、逆に首元噛みつかれて吹っ飛ばされそうになってやがんの。
流石恐竜、すげぇパワーだ。
「 クッソぉ、なんて馬鹿力だ。だが! 」
でもやっぱそこは意地なんだろうな。気合い込めて力づくで振り回すのよ。
そんで暫定ティラノちゃんの顎が外れてその10mは優に超すボデーは地面に叩き込まれる。
ありゃ痛いぜ?重量そこそこあるだろうし。
「 喰らいやがれ!狒骨大砲! 」
とぐろを巻いた蛇の口から、特大の火球が発射。
おお、いいねぇってなったよ。
だが、火力が足りてねぇ。
火力は重要だ。でなきゃ相手を殺しきれない。
「 なんだと・・・? 」
阿散井パイセンも驚いたろうさ。ぼうぼう燃え盛る赤々とした炎の中、キズ一つついちゃいないレックスがでてきたらねぇ。
しかも元気に咆哮のおかわり付きと来た。
『 アオォォォォォオオオオンッ! 』
パイセンが必死こいて放つ狒狒王蛇尾丸の狒骨大砲。そんなもん効かねぇとばかりにそのレックス、ああもうじれったいからもう言っちゃうか。
タルボサウルスにはまるで通じていなかったのさぁ。
昔サトっちゃんが言ってた通りだぁ。恐竜は他の神獣と比べて、呪いや鬼道のパラメータは低いが、代わりに身体のスペックはそれらを優に凌駕する。
伊達に三界開闢より遥かに大昔から根付いてはいないってわけだな。
そんな人間たちが直に感じることもほぼ無くなった大自然の権化の前には、護廷隊士たちはあまりに無力だった。
十三隊の中で最も誉れ高き6番隊。それらは圧倒的な暴力の前にあまりに酷く蹂躙されていた。
踏まれ蹴られ尾で引っ叩かれて。ほぼほぼ阿散井パイセン一人に戦いを任せていた隊士たちは、ものの見事に全滅だ。
そしてパイセン本人も巨体から来るタックルの前に、卍解諸共吹きとんだ。
「 うっうぅ・・・ 」
斬魄刀も始解に戻って、満身創痍な阿散井パイセンだが、恐竜は待っちゃくれない。
行動基準の本能の割合が多い分、虚より酷い。
「 うがぁぁぁぁぁあああああああああああ!! 」
胴体あの重量で踏んづけやがんの。ありゃ痛い。
後から四番隊が来て治療してたらしいが、重症だったらしい。この時に骨数本や臓器幾つかやられてたんだろう。
阿散井パイセンは一般隊士より霊圧があるから耐えられるが、その分苦痛は計り知れなかっただろうね。
パイセンはこのまま行けばタルボちゃんのお腹の中に直行だったろうが、運に恵まれた。
そう、オレちゃんがいた。
「 情報十分。あそこで突っ込んだってことは飛び道具はない。とすればコイツだ。 」
そしてオレちゃんの懐より取り出したるは試作型のヒヨスボールだ。アニメみてぇに元気よくぶん投げて、ポケモンを繰り出すぜぇ!
相手の手は知り尽くした。
後は火力あるのみだぁ。
「 行くぜ、
ぶん投げてでてきたのは、メカ化した巨大な牛だ。
体高およそ7メーターほどのサイズ。牛らしい立派な大角は勿論のこと背には十二門の霊子キャノン砲、顔の横には8連霊子ナパームミサイルポッドが二つ、胸には二連霊子加速砲を備えている。
シゲっちとの号作の一つ、コンセプトは超高火力による中遠距離での敵戦力の制圧。
牛なんで一応近距離もできる万能型だ。
面に火力をぶち込むことを想定はしているが、点で攻めりゃ、
無論、神獣にもこいつはよく効く。
「 全弾ぶち込めぇ!3、2、1! 」
「 ファイア!!! 」
「 ウモォォォォォオオオオオンッッ!! 」
凄まじい轟音と共に発射される無数の弾幕。そいつはタルボちゃんに無情にも炸裂した。
弾丸が爆裂し、砲弾が肉を殴りつけ、その頑強な体表を焼き尽くした。
「 上手に焼けましたってとこかな?
さて、こっからが本番だ。
・・・頼むぞオレのボールちゃん! 」
そんで力なく倒れたタルボちゃんに、オレちゃんはボールを投げつけた。
「 いけ、ヒヨスボール!! 」
ボールが当たると、口がガバっと開いて対象を中へと捕らえた。
地面に落ちたボールはそのまましばらく動いていた。
中でタルボちゃんが抵抗してんだろうが、アレだけの火力を叩き込んだ後となれば、力尽きるのは時間の問題だ。
ほんの僅かの間を空いて、ボールは動かなくなった。
名実ともに神獣ゲットだぜ!ってとこだ。
『 んで、阿散井副隊長との因縁ってのは? 』
おお、そうだ。その後だ。
「 戻れ、梅尊。 」
んで式神しまってそのうち四番隊来んだろってことでボール回収して尸魂界に帰ろうって時にな。
「 おい、待て、よ。 」
なぁんか呼び止められちゃってさぁ、そのままガン無視すんのもあれだから構ってやることにしたんだ。
「 なんすか? 」
「 オメェ、さっきのは・・・ 」
「 あぁ、あの恐竜っすか?アレならこん中にいるッス。
もう暴れないんで安心してください。」
「 ちげぇよ。いや、それもあるっちゃあるが、オレが言いてぇのは、あの牛の方だ。 」
「 コイツっすか?コイツはオレちゃんが・・・ 」
「 恥ずかしくねぇのかよ。 」
「 へ? 」
「 誇りはねぇのかって言ってんだ。 」
「 はいぃ? 」
「 助けられた身で、こんな事言うのは筋違いだっつうのは分かってる。だがそれでも言わせろ。
オメェ、式神にすがってていいのかよ。
涅隊長の薬とは違う。あいつだって元々生命ある存在だろうが。
それをあんなふうにして・・・」
「 ・・・ 」
「 テメェの魂が泣いてやがる。テメェの腰に差した斬魄刀が、死神の誇りが泣いてやがる。 」
「 ・・・ 」
「 心が痛まねぇのか?胸が痛まねぇのか?オメェに、死神の誇りはねぇのか!? 」
「 ・・・ 」
「 ・・・ 」
「 ・・・ 」
「 ・・・ 」
「 ・・・ 」
「 よくわかんないっピ。 」
「 は、はぁ? 」
「 いやんだってぇ、オレちゃん十二番隊よ?技術開発局よ?技術肌の人間が誇りだ誉れだがあるわけないでしょう。 」
「 いや、それにしたって限度ってやつが・・・ 」
「 そんだったらうちの隊長みろよ?隊士砲弾にして滅茶苦茶怒られたし、なんなら実験台にだってしてんぞ?
それに比べりゃマシだろう? 」
「 た、確かにそうだけどよぉ・・・ 」
「 そもそもおたくらとオレちゃんじゃ畑違いにも程があんだろ。斬魄刀だってオレちゃんのは・・・ 」
「 自身の持てる技術力を以て改造してある。
ワタシのと同じだネ? 」
「 そう、オレちゃんのこの炮烙ちゃんはメイドインオレちゃんの・・・!? 」
その時、めっちゃ聴いた声がしたんで、後ろを向いたら、それはいた。
そう、あのなんとも言えない笑みを浮かべたメイクに白衣。西洋のバフォメットって悪魔みたいに編んだ髪。
傍らには別嬪な副隊長。そう、我らが隊長だぁ。
「 最も、ワタシの疋殺地蔵と、お前のバカ丸出しの斬魄刀を同じにされるのも不服極まるがネ。 」
「 く、涅隊長・・・何故ここにぃ? 」
「 それはこっちのセリフだよ紅蓮院六席。お前はここでナニをしているのかネ? 」
「 し、シゲっちに頼まれて6番隊と交戦していた恐竜の捕獲に・・・ 」
「 そうかね?ワタシはお前に新薬の実験を頼もうと思っていたんだがネ。 」
「 そ、それは追々としておいてオレちゃんはお先に失礼します・・・ 」
「 何処に行こうというのかね?
疋殺地蔵 恐度四 」
『 ミヤァァァァァアアアアアアアッッッ!! 』
隊長の斬魄刀の始解によって、オレちゃんはそのまま動けなくなった。それは傍らで倒れていた阿散井パイセンも同じだ。
「 では、この場にて実験を始めるヨ。阿散井副隊長にもご協力をお願いするヨ。 」
( な、なんでオレまでぇぇぇぇぇええ!? )
「 うわぁぁぁぁぁぁぁあああ! 」
「 胸が!オレの胸がぁあ!! 」
「 これは一時的に女性ホルモン分泌量を増大させる薬だヨ。それに伴って体型も女性的になるが、安心したまえ。そのうち元に戻るヨ。
いつ戻るかは、ワタシにもまだ分からないがネ。
さて、直に四番隊が到着するだろうから、後は卯ノ花隊長らに任せるとして、ワタシたちは撤収するとしようかネ。
ネム、その男を担ぐんだ。 」
「 はい、マユリ様。 」
こうしてオレちゃんは、副隊長に肩車されて、尸魂界に帰ったってわけだ。
正直阿散井副隊長の言い分もわからんでもないが、だからってお前らだけじゃ限界があるだろうがって話しなわけで。
虚以外にも脅威があるんだから、それに立ち向かう為の術を用意しておくに越したことはないのにさあ。
分からんなぁ、6番隊は。
あの時仲間がやられてんのに、朽木隊長何やってたんだって話にもなるし。
まぁ、あの場のことはアレで終いにしといた方が互いの為だろうね。
Burnice!Burnice!Burnice!Burnice!
Burnice!Burnice!Go!GO!