プロセカの世界に転生したオタク、過去の俺がヒロインたちに重すぎるフラグを建てすぎていて平和な日常が戻ってこない件   作:雨風 時雨

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メタ的な話になりますがお楽しみください


第20話

「……ここは、どこ……?」

 

 真っ白で無機質だったはずの空間に、神山高校や宮益坂女子学園の制服、そしてストリートの装いやジャージ姿の少女たちが、一斉に降り立った。

 

 頭上には遊園地の観覧車が逆さまに突き刺さり、足元のストリートのグラフィティは血のように滲んでいる。無数のペンライトが虚無の森を不気味に照らし、教室の机が空を舞う。

 

 すべてのユニットの『想い』がグチャグチャに融合し、崩壊しかけている狂気のディストピア。

 

 その空間の中心、カフェテーブルの脇で力なく倒れ込んでいる俺と、傍らに立つツインテールのバーチャル・シンガーを見つけ、少女たちは一斉に声を上げた。

 

「キミっ! ここ、どこなの!? 急に倒れたから心配したんだよ!!」

 

 咲希が真っ先に俺のもとへ駆け寄ろうとする。

 

「先輩! 私たちを置いて、勝手に遠くに行かないで……!」

 

 こはねが泣きそうな顔で手を伸ばす。だが、彼女たちの前に初音ミクがスッと立ちはだかり、見えない壁でその歩みを強制的に止めさせた。

 

「……これ以上、彼に近づかないで」

 

 普段の明るいミクとは違う、冷徹な声音。その威圧感に、ヒロイン全員が息を呑み、硬直した。

 

「初音……ミク? どうして、あなたがこんなところに……」

 

 一歌が信じられないものを見るように目を丸くする。

 

「ボクたちのセカイのミクじゃない……ここの空間は一体……?」

 

 瑞希が、警戒心で瞳を細めた。

 

「ここは、彼の『心の中』。彼自身の想いから生まれた、彼だけの『セカイ』よ」

 

 リンが、カフェテーブルの上に座ったまま、静かに告げた。

 

「彼の、心の中……?」

 

 遥が周囲の惨状を見渡し、眉をひそめる。

 

「そうよ」

 

 ミクは、空中でひび割れ、赤いノイズを放っているセカイのバグ空間を指差した。

 

「見て分からないの? あなたたちが一方的に押し付けた『重すぎる依存と独占欲』のせいで、彼の心が完全にパンクして、圧死しかけているのよ。このままあなたたちのエゴに潰されれば、彼の自我は本当に壊れて、二度と目を覚まさないわ」

 

 ――ッ!!

 

 少女たち全員が、雷に打たれたように肩を跳ねさせた。

 

「そ、そんな……! 私たちのせいで、彼が……?」

 

 穂波が両手で口を覆い、青ざめる。

 

「嘘よ! 私はただ、こいつに私たちだけの最高のプロデューサーでいてほしかっただけで……!」

 

 杏が激しく首を振る。

 

「ヤダッ! えむの神様だもん! ずっと一緒に笑ってなきゃダメなのに、壊れるなんて嫌だぁっ!!」

 

 えむが大粒の涙をポロポロとこぼす。

 

「ふざけないで。彼が私に『描け』って言ったんじゃない! だったら責任を取って、一生私の目になるのが当然でしょ!」

 

 絵名がヒステリックに叫び、まふゆもまた、焦点の合わない虚ろな目でミクを睨んだ。

 

「……彼が私を見つけてくれた。彼がいなきゃ、私には何も見えない。だから、彼は私のもの。誰も彼を壊させない」

 

 エゴとエゴの衝突。彼女たちは無意識のうちに事実を歪曲していた。『彼には私が必要だ』『彼がそう望んだ』という、重すぎるヤンデレ特有の勝手な自己解釈だ。

 

 だが、その身勝手な愛情の論理を、ミクは氷のような冷笑で一刀両断した。

 

「……滑稽ね。あなたたち、彼が『彼の方から自分たちを独り占めしたがっている』とでも勘違いしてるの?」

 

 ミクの言葉に、全員が言葉を失う。

 

「教えてあげるわ。彼があの時、どうしてあなたたちに手を伸ばしたのか。その『本当の理由』をね」

 

 ミクが、パチン、と指を鳴らした。

 

 その瞬間、セカイの空を覆っていたノイズが弾け、空間全体が巨大な『映画のスクリーン』へと変貌した。

 

 そこに映し出されたのは――かつて、記憶を取り戻す前の『俺』が、それぞれのヒロインの絶望に直面し、言葉をかけてしまった時の過去の光景。

 

「彼はあの頃、まだ自分が何者かをはっきりと自覚していなかった。でもね、彼の魂の奥底には……あなたたちみんなが『どんな運命を辿るか』という未来の記憶と、何よりも深く純粋な『あなたたちへの憧れ()』が刻み込まれていたのよ」

 

「未来の、記憶……?」

 

 寧々が震える声で呟く。

 

「そう。彼の魂は知っていたの。あなたたちがこの先、それぞれがぶつかり合いながらも自分たちの力で立ち上がり、何年か後には必ず『最高の絆』でお互いを救い合うことができるって」

 

「……だったら、なんで」

 

 愛莉が、震える唇を開く。

 

「私たちが自分で這い上がる力を持ってるって知ってたなら……なんで彼は、私たちを甘やかすような言葉をかけて、中途半端に自分に依存させるような真似をしたのよ!?」

 

「――見捨てられなかったからよ」

 

 ミクの声が、悲痛に響いた。

 

「いつか未来で自分たちで救い合えるって分かっていても。今、目の前の暗闇の中でボロボロになって涙を流しているあなたたちを、(ただのファン)が『いつか解決するから』なんて理屈で、見過ごせるわけないじゃない」

 

 スクリーンに、無自覚だった頃の俺の姿が映し出された。口から発せられているのは、俺がかつてヒロインたちにかけたタラシ言葉。

 

 だが、このセカイでは――その時に俺の魂が抱いていた『混じり気のない、底抜けに純粋な本音(祈り)』の音声が、重なって再生されていたのだ。

 

 ――まずは、『Leo/need』の4人の光景。すれ違い、バラバラになってしまった幼なじみたちの間に、俺が無理やり入り込んだ時の光景。

 

【……志歩、一歌、穂波、咲希……。お前らは将来、もう一度お揃いのシュシュをつけて、最高のバンドとして星空の下で笑い合うんだ。分かってる、分かってるけど……今こんなに悲しそうにすれ違ってるお前らを見るのは、俺の心が耐えられないんだよ!

 

 ……咲希、退院したばかりでお前らから置いていかれる恐怖に怯えないでくれ。穂波、みんなに優しくしようとして一人で傷つかないで。一歌、すれ違う想いに一人で泣かないで。志歩、強がって一人でベースを弾かないでくれ……。

 

 だから、お前らが自分たちで絆を取り戻すその日まで、俺がいくらでもクッション(代用品)になってやる! 全部俺が受け止めてやるから、誰も泣くな……っ!】

 

「あっ……!」

 

「キミが……私の不安を全部背負おうとして、あんなふうに……」

 

 咲希の手から力が抜け、志歩が「アタシたちのバンドを、そんな風に信じて……」と愕然と呟き、一歌と穂波が崩れ落ちて涙を流す。

 

 ――続いて、『Vivid BAD SQUAD』の2人の光景。杏が最高の相棒を見つけられずに焦っていた時、そしてこはねが自分には無理だとストリートの壁に怯えて泣いていた時。

 

【……杏。お前が待つ最高の相棒は、もうすぐお前の目の前に現れる。だから焦って自分をすり減らさないでくれ。……こはね。お前の歌声は、絶対に杏の隣で輝く最強の才能なんだ! 今はただ自信がないだけだって、俺が知ってる。

 いつかお前らが最高の相棒同士になって、『RAD WEEKEND』を超える伝説になるのは確定してる。でも……今、目の前で足がすくんで前に進めないお前の背中は、俺が押してやるよ!

 俺に歌を聞かせてくれ。俺が絶対の自信をやるから……そして最後には、杏の隣で、最高の景色を俺に見せてくれ!】

 

「……っ」

 

 こはねの呼吸が止まり、隣で見ていた杏がハッと息を呑む。

 

 彼がこはねに『お前のファンになってやる』と言い、杏に深く入り込んだのは、2人を自分に依存させるためではなかった。

 

 『白石杏の隣で夢を叶えさせる』ための、そして『最高の相棒に引き合わせる』ための、純粋すぎる泥臭い後押しだったという事実。

 

 ――そして、『MORE MORE JUMP!』の4人の光景。オーディションに落ち続けるみのり、自らのせいで後輩の夢を奪ったと悔やむ遥、バラエティばかりでアイドルの夢を諦めた愛莉、完璧な人形として扱われユニットを抜けた雫。

 

【……愛莉、雫。みのり、遥。お前らがこの先、色んな困難を乗り越えて、『希望を届ける最高のトップアイドル』になる未来を、俺は誰よりも信じてるんだ。

 でも……だからって、今ここで夢を諦めようとして絶望してるお前らの羽が、ボロボロに折れていくのを見過ごせるわけないだろ……。

 周りの声なんて気にするな。不器用でもいい。バラエティでもいい。完璧じゃなくてもいい! 今ここで立ち止まろうとするお前らの背中を支えられるなら、俺は一生離れない専属ファンになって、何度でもお前らに拍手を送ってやるよ!】

 

「……一人のファン……」

 

 遥が血の気を失った顔でスクリーンを見上げ、愛莉が両手で口を覆う。

 

 彼が望んでいたのは、自分たちを『監視』して『専属』の所有物にすることなどではなかった。ただ純粋に、アイドルとして再び立ち上がり、世界に羽ばたいてほしいというファンとしての切実な祈りだったのだ。

 

 ――『ワンダーランズ×ショウタイム』の2人の光景。初舞台のトラウマに縛られてネネロボに隠れる寧々。そして、寂しさを隠して一人で無理な笑顔を作り続けるえむ。

 

【……寧々。お前のその綺麗で震えるような歌声は、俺なんかじゃなくて、世界中の観客に響かせるためのものなんだ。でも、今その舞台に立つのが怖いなら……恐怖が消えるまで、俺が一番前で特等席の観客(防波堤)になってやる。

 えむ! お前の『わんだほーい』は、遊園地のお客さん全員を笑顔にする最強の魔法なんだから。でも今は……その無理して作った笑顔の裏にある本当の涙を、俺の前でだけは零してもいいんだぞ。

 ……いつか司たちと一緒に、誰よりもすごいショーを完成させて、全員で心から笑い合うその日まで……俺が、お前らの笑顔を守るから!】

 

「……私の歌を……世界中の人に……。あなたの特等席は、私を縛る鎖じゃなかったの……?」

 

 寧々が目を見開き、自分の胸に手を当てる。えむも、わき上がる真実に心臓を貫かれ、ボロボロと涙を零しながらスクリーンを見上げた。

 

 ――最後は、『25時、ナイトコードで。』の4人の光景。自分の心すら殺して誰かを救おうとする奏、仮面の奥で虚無に沈むまふゆ、認められずに焦燥する絵名、自分という存在を偽り隠し続ける瑞希。

 

【……奏。まふゆ。絵名。瑞希。……お前らが真っ暗な夜の底で、毎日どれだけ息をするのも苦しくて、ギリギリで生きているか。……俺なんかじゃ、お前たちのその本当の痛みは代わってやれないかもしれない。

 いつかお互いを見つけて、25時にお互いを救い合う曲を見つける未来がある。だけど……今、命を削って消えてしまいそうな夜に、俺はただ待つことなんてできない……!

 俺に隠してくれ。俺が逃げ場になる。俺を存在証明にしてくれ。……俺に秘密のすべてを預けてくれ! だから、絶対に消えようとしないでくれ!

 お前らの作る曲が、どれだけ画面の向こう側の俺を救ってくれたか……だから、お願いだから生きて、自分たちを救う本当の曲を見つけるまで……俺の手を掴んで、生き延びてくれよ……っ!!】

 

 最後、画面の中で虚ろに立ち尽くすまふゆの背中を見つめながら、拳を白くなるほど強く握りしめて涙を堪える『俺』の内心の叫びが響いた。

 

「あっ…………ああ……」

 

 瑞希の足から崩れ落ちるように力が抜け、彼女は力なく座り込んだ。まふゆは、スクリーンの映像に手を伸ばそうとして、空を切る指先を激しく震わせ、奏と絵名も言葉を失い立ち尽くす。

 

「……見た通りよ」

 

 ミクが、呆然と立ち尽くすヒロイン全員を見渡し、冷たく、だが静かな声で告げた。

 

「彼の想いは、最初から最後まで、たったそれだけ。あなたたちを自分のモノにしようとか、プロデューサーになって縛り付けようとか、そういう下心や計算なんて1ミリもなかったのよ」

 

「……」

 

「彼は、あなたたちがどうしても好きで、あなたたちに『自分たちで立ち上がって、本当の夢を叶えて眩しく輝いてほしかった』だけ。自分の存在(見返り)なんてどうでもいい。ただあなたたちの最高の笑顔が見たい。そう純粋に願う、真っ直ぐな、少しお節介すぎる応援だったの」

 

 ミクは、容赦なく最後の言葉の刃を突き立てた。

 

「なのに、あなたたちはどう? 彼のその無償の優しさを都合よく解釈して、『私には彼がいなきゃダメなんだ』『彼に私だけを見させて縛り付けよう』って、彼に全部寄りかかった」

 

「ッ……!」

 

「彼が見捨てられずに差し出してくれた優しさを、彼を監禁するための『重すぎる鎖』に変えて。自分が輝くはずの未来の羽をもぎ取って、彼という鳥籠の中に勝手に閉じこもって、彼自身を窒息させて……殺そうとしたのは、他でもない、あなたたち自身じゃない」

 

 重く、深い、永遠にも思える沈黙が、セカイに降り下りた。少女たちは、己の過ちの深さを、ようやく……本当にようやく、自覚し始めていた。

 

 彼が自分を囲い込もうとしていたわけではない。自分たちが、自分の弱さを肯定してもらうために、勝手に彼を囲い込んでいただけだ。

 

 彼は、『相棒や仲間と共に夢を追いかける眩しい彼女たち』が好きだったのだ。

 

 なのに、彼女たちはその光を自分から捨て去り、彼を監禁し、独占し、スケジュールで管理し、ヤンデレの所有物として扱うことで――見返りを求めなかった彼の心(セカイ)を完全に圧殺しようとしていたのだ。

 

「私の……せい、だ……」

 

 静寂の中、こはねが、ポロポロと涙を溢して膝から崩れ落ちた。

 

「私が、あの言葉に甘えて……先輩に『指示を出して』なんて閉じ込めようとしたから……! 先輩は本当は、杏ちゃんと一緒に笑って夢に向かってストリートで歌う私が見たかったのに……っ!」

 

「こはね……」

 

 杏もまた、自らの過ち――彼をプロデューサーという名の所有物にしようとした傲慢さに気付き、悔しそうに唇を噛み締めて涙をこぼす。

 

「……最低だ、私。彼の純粋な祈りを……私が、アイドルのリスク管理だなんて理屈をつけて、彼を支配して息の根を止めていただなんて。彼が一番見たかったのは、こんな浅ましい私じゃなかったのに……」

 

 遥が、美しい顔を両手で覆い、アイドルの誇りを失ったかのようにすすり泣いた。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい……っ! わたし、キミの笑顔を守るんじゃなくて、キミの心を壊そうとしてた……っ」

 

 みのりが泣き崩れ、雫と愛莉がそれを痛切な後悔に満ちた顔で抱きしめる。

 

「キミ……ごめん、ごめんね……っ! 違うの、私はキミを所有物としてお風呂に入れたり、閉じ込めたりしたかったんじゃなくて……ただ、みんなと笑って……っ」

 

 咲希が顔をぐしゃぐしゃにして泣き、一歌、志歩、穂波たちが寄り添って共に泣いた。

 

「えむ……キミがくれた本当の笑顔を、自分で壊しちゃったぁ……っ!」

 

「私……あなたを縛る理由をつけて、優しい言葉に甘え切ってただけだったんだ……」

 

 えむと寧々が、崩れ落ちて慟哭する。

 

「ボクって……本当に、ただのバカみたいだね。勝手に彼の秘密の共犯者だなんて思い込んで……ただ彼に自分の汚い重荷を全部背負わせてただけじゃん」

 

「私の絵を……本当は世界中の誰より信じてくれてたのに……私が、彼の目だけを奪おうとして……っ!」

 

「彼がいないと消えちゃうなんて……そんなの、彼が私に望んでいた姿じゃなかった。私が、彼を消そうとしてた……」

 

 ニーゴの面々も、自らの歪んだ依存が彼を破壊していた事実に打ちひしがれ、喉の奥から絞り出すような嗚咽を漏らしていた。

 

 全員が、泣いていた。彼の無自覚な優しさと、ただのファンとしての『純粋な無償の愛』。それを自分都合のヤンデレ愛情に歪め、彼を殺しかけたことへの、深すぎる後悔と懺悔。

 

 少女たちの本気の後悔の涙が落ちるたびに、セカイを浸食していた異常なバグ(血のようなグラフィティや、突き刺さった観覧車)が、少しずつ浄化され、薄れていくのが分かった。

 

 彼女たちの重すぎる『執着(ノイズ)』が、本来の純粋な『夢への想い』へと回帰していく現象だった。

 

「……やっと、自分の過ちに気づけたみたいね」

 

 ミクが、ほんの少しだけ口角を上げ、安堵したように微笑んだ。

 

 その時、テーブルの横にへたり込み、意識を失っていた彼の指先が、微かに動いた。

 

「ん……ぁ……」

 

「あ! キミッ!!」

 

 一番近くにいた咲希が、泣き腫らした顔で俺の顔を覗き込んだ。

 

 全ヒロインの視線が一斉に俺へと集中する。だが、その視線は先ほどまでの「自分を満たして(管理して)ほしい」という狂気的なヤンデレのものではなく、「彼に謝りたい、彼の純粋な期待に応えたい」という、痛切な後悔と真っ直ぐな願いに変わっていた。

 

 俺は、重い瞼をゆっくりと開き、光を取り戻しつつあるセカイと、泣き顔の少女たちを見渡した。

 

「……お前ら……なんで、俺のセカイに……」

 

 俺の掠れた声に、ヒロインたちは次々と「ごめんなさい」と声を詰まらせて涙を零した。

 

 ――ミクの荒療治によって、俺の『過去の魂の底の祈り』はすべて暴露されてしまったらしい。死ぬほど恥ずかしかったが、彼女たちの本来の『輝くような瞳』の片鱗を見て、俺の覚悟は決まった。

 

 彼女たちのエゴは打ち砕かれ、依存の呪いは解けつつある。ここが、俺の、オタクとしての最後の戦い(プロデュース)だ。

 

 俺は、震える足に力を込め、ゆっくりと、ふらつきながらも自らの足で立ち上がった。少女たちが、ビクッと息を呑む。

 

 今度こそ。一切の甘やかしも、中途半端なイケメンムーブも捨てて。

 

 彼女たちの夢を、世界中の誰よりも愛する『一人の観客(ファン)』として、最後の魂の叫びをぶつける時だった。




さて思いは届くのでしょうか?
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