《報告、着陸に成功。大気の分析を開始》
《警告、船外の気温40度を観測》
《警告、船体の損傷が58%*1コックピットブロック小破、貨物室が中破、エンジン2機が大破》
《報告、大気中に人体へ悪影響を及ぼす毒性の成分を検出。船外活動の際は防護服を身に着けてください》
「あー、生き残ったのは良かったけど…」
生き残りはしたが問題は山盛りだ。まず開拓船シュウメイ*2が航行不能になった。エンジンという動力が壊れてしまったのだから当然だ。次に保管庫になっている貨物室に大穴が空いた。お陰で幾つか*3の資源コンテナが外にばら撒かれてしまった。貨物室の半分ものコンテナを失ってしまったが、あの映画を観ていなければ立て直しは絶望的だっただろう。
俺は改めてホラー映画に感謝した。
「残ったコンテナの資源で開拓拠点を構築する。…優先順位は生存を第一とし、第二にエンジンの修復後の脱出。第三にテラフォーミングの完了とする」
《了解、タスクを作成します》
本社から救出が派遣されることを期待したいが、宇宙での活動は基本的に自己責任だ。望み薄だろう。
《報告、コンテナ(8)を開封*4。20の金属資源、30の自然由来資源、20の食料資源を確認しました》
大型船の貨物室でもないのだ。慎ましいシュウメイに積み込めるのは小型のコンテナ*5で精一杯で、それ以上を求めるのは宙賊*6の良い食い物だろう。
「大気が毒性…大気が有るのか簡易結界*7を展開せよ」
《警告、結界の展開が阻害されています》
「は?」
結界の展開が叶わなければ、本当に防護服が必要になってしまう。ただでさえ気温が高いのに、全身スーツなんて暑いどころかサウナを装備している様な地獄を体験する事になるだろう。
《報告、Praecursor(プラエクルソル)*8に該当パターンあり……最優先タスク正規項目、テラフォーミング拠点の移築工事に付き周辺部への結界の展開が強制停止されます。これは正規のプロトコルに則った正常な処理です》
「移築!?」
確かに惑星開拓における開拓拠点に関する優先順位は高い。なぜならば開拓に伴う全ての判断、資材、人員の生命管理などの重要な処理を一手に引き受ける最重要拠点*9であるからだ。
正規のプロトコルなのも納得が行く。だが、問題はそこではない。
「移築と言うなら、誰か人がいるだろう通信を試せ!」
《報告、惑星由来の磁気により長距離通信が使用できません。その為、本社への救命を求めるSOS信号も先ほどから効果を見込めていません》
「あああ……信号はそのまま流しとけ、人がいるなら拾ってくれるかもしれん。結界が無理なら直接建造物として外界との区分けを行う」
今の資源では建築なんて心許ないが、急いで食料と酸素を生産する施設を建築しなければならない。
次回はリソース(資材)の処理について触りたい