ドサッと耳慣れない音を叩き出し、コックピットのシートに腰を下ろした。宇宙ではこんな音が出ることは無いので、暫く振りに自然重力の存在を認識させられる。
「はー、疲れた」
《キャプテンの帰還を確認。おかえりなさいませキャプテン》
「ああ、ただいま。連れてきた2人の監視を忘れないでくれ、それから離れていた間に何か変わったことは?」
しっぽの生えたのと角の生えた2人を寝室のベットに放り込んで来た。元々が1人乗りに適したセッティングの宇宙船だった為に、クルーの為の医務室だとか複数の個室などこの船には存在しないのだ。そんな訳で自分の部屋のベットに少女2人を寝かせて、すたこらさっさと操縦席まで戻って来るハメになったのだ。
やはり見ず知らずの男の部屋に連れ込まれて、目を覚ましたらベットの上で側に知らない男が居たのでは、あまりにも体裁が悪すぎる。目を覚まして直ぐに敵対されても納得出来るほどにだ。
《了解、現在、本船の資材を使用して船体破損部を利用した倉庫の拡張、拠点化に伴う電力設備として恒星発電機*1を構築。展開中》
資源は著しく減ってしまったが拠点化そのものは順調らしい。現地の住人を確認した事だし、客間の様な部屋を用意するべきかも知れない。
「ん~っと、タスク割り込みで作業ロボットに森の無人機の回収を指示して……倉庫には入らんな。ひとまず拠点外に置いておくしかないな。しかし、資源が心許ないよな……金属か、採掘しかないだろうし採掘機の作成もタスクに上げとくか…資源がなくなる前に」
作業ロボットが飛び立つのを見送りながら、今後に必要になってくる機材の発注を済ませる。鉱脈が見つかったりした訳でもないが、未知の惑星で拠点も無しに活動はできないのだから、拠点の拡充に不可欠な金属資源を確保しなければならない。
幸い植物は生えている様だし、今ある食料が尽きる前に最低でも食料プラントを用意しなければ危うい。
《報告、大気の最下層、空気の分析が完了しました。酸素32%窒素65%その他が3%》
「酸素カプセルかよ」
《空気中に微細な金属を確認。金属粒子は磁石化をなしており、ガス状態を形成し通信機能を妨害する天然のジャミングとして機能しています。又、金属である為に体内に蓄積されることで重篤な健康被害が予想されます》
「……悪影響ってこれか…」
《窒素の割合、及び土壌の金属汚染に寄って植物の育成等の悪影響が出ているものと思われます》
「…何かおかしくないか?」
AIの報告を聞いて思わず顎に手を当てる。
通常、何もない惑星をテラフォーミングしようと考えたのなら、今自分がやっている様にその作業に必要な設備を備えた拠点を作る。その後に惑星にも因るが、地中や氷の中を精査する地質調査を行う事になる。
土壌が金属汚染されていればその調査段階で分かっただろうし、何よりジャミングになっている磁気ガスに気が付かないはずが無い。
「…つまり土壌汚染が起きたのはテラフォーミング後。もしくは…いや、まさかな」
瞬間、頭を過った可能性を自重気味に笑う。なぜならそれは有ってはならないケースだからだ。
「有る訳無いよな…テラフォーミング不要の惑星に、金属を掘りに態々やって来るなんて、そんなこと」