結界あったよ!
と言うわけで、堂々と結界が出せます。
自分の推測と大きく違っている訳ではないようなので、その内サラッと出てきます!
sideミオ
「うに…む〜」
何やら柔らかい物に包まれて、ほかほかポカポカ心地が良い。今まで感じた事の無い柔らかな感触と、命の危機から来る緊張感から解放されて良い具合に快眠の条件を整えていた。
「ハッ…てる、テルミン!!」
たっぷりと数十秒ほどモフモフと掛布の感触に囚われていたウチは、自分がドローンに追いかけ回された危機的状況から生還すべく虎の子の照明弾*1をウチたちを両断しようと振り上げられた大斧の刃に向けて投げつけたのだ。
その後はいったいどうなったのか。自分が生きているのは直ぐに察したものの、一緒に逃げていたトモダチのテルミンを探して周囲の様子を探ろうと、名残惜しさに後ろ髪を引かれつつも飛び起きた。
「………」
「あ、テルミン」
「…はぁ」
首をフルフルと左右に振って、呆れ顔をしたテルミンを見つけた。
なんだ、その顔は。
「ミオ…二度寝しようとしたでしょ」
「……へへッ?」
「笑って誤魔化すな〜っ!」
両手をブンブンと子供のように振り回して抗議するテルミンの姿を見て、ああっとようやく生き残ったという実感が湧いて来た。
さっきのもふっもふに背中から倒れ込んで、喉の奥の方から言葉にならない声を息と一緒に吐き出した。
「〜〜〜〜っ!」
「…もう、無茶して」
「だって、あのままじゃ殺されてたよ!?」
「そうだけど…ミオまで、巻き込まれることないでしょ」
「何言ってるの、ウチがトモダチ見捨てられるわけないじゃん」
「〜〜っ」
「まぁ、ウチとトモダチになったのが運の尽きってコトで!」
「……ありがと」
「フッ」
「何で鼻で笑ったァッ!!?」
ひとしきりじゃれ合った後、改めて周りの様子を探ってみる。自慢の鼻が他人の匂いを感じ取るが、何だか妙に匂いが薄い。ラット族の中でも嗅覚に優れたニホンオオカミの血は、ボイコットでも始めてしまったのだろうか。
「誰が助けてくれたのかな?」
「少なくともノーマッドの人じゃないよ。見つかったら殺されちゃうよ」
過去に贄巫女が逃走した際にそういう事があったって聞いた。でもテルミンの住んでた里は、なんだか先進的って言うか別に生贄とか要らなくないかと考える人が結構いた。生きるのに不要な音楽文化が残っている時点で、生活には結構余裕があったんだろうし。
「追ってかぁ〜、来ると思う?」
「う〜ん、分かんないけど。来ないと思うよりは備えてたくない?」
「まぁ、生きる為の障害は幾らでもあるしねぇ」
ひとまずは、ここの家主と話をしてみないと。
「よっと」
「…緊張する〜」
「流石に助けといて殺されはしないって!」
「そうかな、そうかも」
改めてベットから飛び出して、トビラらしきものをコンコンと叩いてみる。
「…うん、空間はありそう」
「タッチ開閉式でしょうが、早く空けて」
「は〜い」
テルミンは集落の壊れたランドクローラー*2で見慣れているのかも知れない。私たちラット族は体格差が大きいから、直接手を当てるタッチ式は好まれない。好まれないから周りに普及しないし、そもそもソーサリー*3があるから、見掛けること事態が珍しい。
本来取っ手が有るべき場所に手を這わせると、私達の進路を防ぐトビラは滑るように格納された。
「開いちゃった…」
「…」
「ほら、行くよ〜」
「…あ、うん」
何か考え込むような仕草をするテルミンの手を引いて、何でもないような顔をしてトビラを潜った。
面倒だからって追い出されるだけなら良いんだけど。
sideリュウセイ
刻々と減り続ける資材と着々と進む作業の進行を眺めていると、AIから保護した惑星の現地住人が目覚めたと連絡を受けた。幸いにも意思の疎通が可能な言語を使用していた事で、事情を聞き取ることが出来そうだった。
それはそれとして前の開拓者が悪さをしていなければいいのだが。
「やぁ」
誰がどう見ても胡散臭い軽薄な挨拶で、コックピットルームに訪れた客人を迎える。
やっぱり仰々しいのは肌に合わないし、どんな挨拶をした所で彼女達にとっては警戒すべき相手に違いはないのだ。いまさら怪しい項目が増えた所で何も変わらないだろう。
「ど、どうも」
「ウチはミオ!アンタが家主?」
人は見かけによらないとは良く言った物だ。見た目の印象と性格は大きくとは言わないまでも、予想とは違った答えを示している。
最初に返事をしたのは、着物の様な民族衣装を身にまとった角の生えた桃髪の少女。外見からの印象は元気を振り撒き無邪気さが心の芯にありそうな童女だったが、並べた言葉からは人見知りか引っ込み思案な性格を思わせる。
対して2番手のミオと名乗ったケモミミの少女は演技派だ。さも警戒心が薄い頭の足りない子供を装ってこそいるが、内心はこちらの挙動を見逃さないように神経を張っているのかミミがピクピクと痙攣したように震えている。
「家主…間違っちゃないな」
さて何から話を聞いたものか。