ただ痛いのは嫌だけド!戦いの痛みは大好きだから、拳で語るアルネ! 作:NO NAMEz
「アイヤー・・・こりゃ壮観ネ・・・」
最初の町に降り立った紅花は驚いた。
彼女が想像した最初の町というのは、既にある程度のプレイヤーがやる事を終えて次の町などに
出立してあっけらかんとしている・・・そんな町を想像していたからだ。
だが、実際は既に結構なレベルに到達しているであろうプレイヤーや、
同じように始めて少し経過したくらいのプレイヤーなど様々な姿の人で溢れていたのである。
「んーっと・・・武具屋は、どこかネ・・・地図とかないアルカー・・・?」
開始直後故に、どこになにがあるのか、わかる訳もなく周りをキョロキョロと見回していると、
様子が気になったのか、ふと紅花に声が掛かった。
「どうした?何か困ってるみたいだが・・・見たところ始めたての初心者だよな?」
「ンー?そうと言えばそうアルガー、ちょっと違うネ」
声を掛けてきた赤い鎧の男は、唖然とした。
よもや話しかけた初心者の口調から、今時あまり聞かないような中華な言葉遣いだったからだ。
「お、おぉ・・・そうか、えっとそれで?」
「この辺に武具屋とかないカー?ちょっと欲しい武器があるから、知ってたら教えて欲しいアル。」
「(やっぱり初心者か・・・)俺のフレンドが生産職で店をやってるんだが・・・そこなら紹介してやれるが、それでもいいか?」
「謝謝ッ!それで構わないネ!」
男としては、旧知の間柄であるフレンドの店に新規客を紹介できるので万々歳である。
その分、少しだけ代金をサービスしてくれないかなーという思惑もあったりなかったり・・・。
《イズ公房》
「いらっしゃいませ――あら、クロム。また女の子を衝動的に連れてきたの?やっぱり通報、した方がいいかしらー?」
そう言って店主の女性は、通報画面を開き、ボタンに指をかける。
「いや待て待て!今回も、紹介を頼まれたから連れてきただけであって―――」
「ふふふ、わかってるって、冗談冗談♪」
「勘弁してくれ・・・・・・」
「何か以前も同じ事を言った気がするけど、こーいう怪しい人にすぐついていっちゃダメよー?」
「ふむ・・・確かにその通りネ、次からは注意するアル!」
「おいおい・・・・・・」
肩を落とす男を尻目に店主が要件を聞いてくると紅花は答えた。
「ここに、もといこの世界に手甲とかないアルカ?」
《西の森ー奥地》
「うぁぁぁぁぁ!!」
ドゴンッ――――
「くあぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドゴンッ――――――――
西の森に、謎の絶叫とあまり聞くことのない重音が響く。
少し離れた位置で戦闘をしていた他のプレイヤー達は皆思った。
何か―――ヤバイユニークモンスターでもポップしたのかと―――
「チェェェエェェェ!!!!」
ドゴーンッ――――――
その声と音の正体、それは手甲などの武器は存在しない―――――
という無慈悲な答えに絶望し憂さ晴らしを行っている紅花であった。
「どぼじでえええ!!!」
ドゴーーンッ―――――――
STRとAGIに極振りされた紅花の棍の素早くも重い一撃は、声や音に気付いて寄ってくる兎や蜂、
猪のような様々なエネミーを周りの木々諸共に薙ぎ倒す勢いであった。
その間、彼女のレベルは幾つか上がりスキルなども獲得しているのだが、
それに気付くのは紅花にユニークな不幸が訪れてからである・・・。
ふと地中から低い唸り声のようなものが聞こえたと思いきや、
それまで紅花に群がっていたエネミー達が蜘蛛の子を散らすように去っていく。
すると薙ぎ倒された木々が積み重なった道の向こうで、大きくも小さい山のようなモノが動き、
地中から這い出てきた。ソレは背中に大きな木々を携えた中型のドラゴンであった。
「うぅぅ、何アルカー、お前~・・・人のストレス発散に何か文句でもあるアルカー?」
■■■■■■■■■!!!!
「うっ―――るさぃ―――ネっ―――――!!」
ドラゴンの頭を大きく振り回すよう咆哮に耐えかねて紅花は目を閉じる程に耳を塞ぐ。
しかし、それが悪手―――詰み手となった。
聴覚だけならいざ知らず、視覚まで一時的に失ったが為にドラゴンが目前まで迫っている事に
紅花は気付けず、次の瞬間には――――――
「かはっ――――!?」
激痛と共に紅花の身体は宙を舞っていた。
「今―――ワタシ、何が―――どうし―――――」
ドラゴンが巨体に物を言わせて、突進をしてきたである。
いくらAGIの高い紅花といえど、視覚と聴覚を失った状態では回避などできよう筈もなかった。
しかし、ドラゴンの攻撃はコレで終わりではない
■■■■ッ!
宙を舞っていた紅花が地に着く瞬間――――
ドラゴンは、まるでテニスでもするかのように―――――
■■■■■■■■■ッッ!!!
「―――――――ぁ―――――」
その雄々しい尾で、紅花を打ち飛ばしたのである。
本来、HPやVITにステ振りをしていない紅花では最初の一撃を耐える事はできない。
にも拘わらず、無慈悲な二撃目を直撃するに至ったのは何故か。
それはドラゴンの攻撃が《突進での打ち上げ→尾を降りしきる》までが、
1つの攻撃動作であったからだ。所謂即死コンボである。
そのドラゴンの名前は
西の森という穏やかな楽園を過度に荒らす不届き者に誅を下す
「その、名――――その見た、目ッ――――次―――会ったラ、ブッ潰スアル――――」
■■■■・・・・・・。
罪人を処して興味を失ったのか木岩竜は紅花の恨言など聞く事はなく、
のそのそと森の奥地へと歩いていく・・・・・・。
そんな木岩竜を目に焼き付けながら、紅花の意識は深い闇へと落ちていった・・・・・・・・・。
第一回イベント開始まで――――あと6日。
時折、ゲームでも見かけますよね。
同じ所でLv上げとかしてたら、現状だと絶対勝てない怪物みたいなのが出てくるヤツ。
あの手の類を、よりLvを上げて物量で押し潰すの大好きです。