ただ痛いのは嫌だけド!戦いの痛みは大好きだから、拳で語るアルネ!   作:NO NAMEz

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拳で語る要素は、しっかり回収しますので、ご安心下さい。
(余談ですが、私は算数すらまともにできません)


中華娘とドラゴン探し アルネ!

《西の森ー奥地》

「うーん、見つからないアル・・・どこ行ったカー、あのドラゴン・・・」

再び西の森-奥地にやってきた紅花は、さっそく途方に暮れていた。

何故なら、件のドラゴンがどれだけ探しても一向に見つからないからである。

それもその筈、今の紅花が知る由もないが木岩竜は特定の条件を満たす事でポップする可能性が

あるユニークの中でもより希少なレアモンスターに分類される。

ユニークモンスターには幾つか種類があるが、木岩竜は特定の場所で特定の条件を行う事で

確率ポップする酷く面倒な類のモンスターであったからだ。

「前回、ワタシが暴れてた場所は確かにここアルが・・・ドラゴンの痕跡は既に自動修復されてて、

わからなくなってるネ・・・・・・。うーん、どうして見つからないアルカー・・・。」

 

そう言って、紅花が頭を抱えて蹲っていると彼女の近く草むらでガサガサと何か大きなモノが

動く音がした。紅花は、前回の油断を反省し、即座に戦闘態勢を構える。

 

「――――おいでなさったアルか。」

棍を構え、ジリジリと草影との距離を測る。

そうしていると、紅花の気配に気付いたのか草むらから大きな影が飛び出してくる――――!

 

「先手必勝アル!!【渾身撃】!!!」

棍を自分の横で回転させた後、紅花は影よりも高く飛び上がり、巨影の頭上から渾身の一撃を

叩きつけた―――――!!

ドガァッ!と重い音が響くと同時に獣のような叫びがあがる。

「うん―――?」

獣の声を聞いた紅花は首を傾げつつも、確認の為に獣の顔を踏み台にして後ろに跳び態勢を整える

そうして、まじまじと獣声を出す巨影を見るとソレは―――?

 

「アイヤー・・・、人~、竜~、いや獣違いだったネ」

何やら巨大な大熊であった。

しかし、熊のようなモンスターは西の森の奥地へと入っていく最中に幾度か目にしている。

何なら興奮して襲い掛かってきた所を返り討ちにした事すらあった。

2m強の巨体に黒い毛、それでいて四肢には甲殻のようなものでより外見の凶悪性が強い。

現実で遭遇しようものなら、確実に人生をその日の晩御飯にされるような。

が、しかし―――――

 

「何か、お前さん、ちょっと見ない間にイメチェンでもしたアルカ?」

紅花の前に現れた大熊の見た目は、彼女の知るソレとは少しばかり違っていたからである。

まず大きさから違う、二足で立ち上がった際の全長が2m強どころか3m強はありそうだ。

次に体毛の色合いが違う、確かに黒くはあるが少しだけ赤みが入っている。

四肢の甲殻から関節付近に至るまでの剛毛は、つい先ほど鮮血でも浴びたかのように真っ赤っか。

そんなモンスターの頭上には、木岩竜と同じように特有の名前が記載されていた。

ユニークモンスター《赫腕熊(かくわんゆう)》と。

 

「あのドラゴン(木岩竜)とは別のユニークモンスター、赫腕熊―――――」

ニタリと紅花が笑う、苦笑のような、それでいて冷笑にも似た笑顔。

▬▬▬▬▬▬▬▬!!!

雄叫びを上げ、ベアハッグをしてくる赫腕熊の頭に棍を当て棒高跳びのように身を躱す。

そうして赫腕熊の背後に立った彼女は、格上を相手に言う。

 

バカタレ(木岩竜)が見つからなくて、イライラしてた所ネ!!

 前座にしては中々な風貌、丁度いいネ!かかってこいアル!」

▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬!!!

このモンスターからしてみれば、同族とも違う鳴き声を発する華奢な獲物に本気で喰い掛かるのは徒労だと本能で感じていた。が、この獲物は縄張りを主張する為に威嚇しに出向いた自分に対して、

いきなり攻撃を仕掛けてきた挙句、あろうことか自分を踏み台にした上に不敵に笑い吠えてきた。

赫腕熊(かのじょ)にとって、それは怒り散らすには十分すぎる理由であった。

「習得スキルの試しとして、サンドバッグになるですだヨ!【天地払い】!!」

 

着地と同時に振り返る勢いを、そのままに赫腕熊の足元目掛けてスキルを放つ。

こうすれば、モンスターが背後を取られた事で何らかのアクションをしてきたとしても

紅花は手前の棍で攻撃を受け流せる――――予定だったが。

 

「ぅぐっ―――!?」

赫腕熊は、それを見通していたかのように一瞬身体を捻り力を込めたかと思うと真後ろの紅花目掛けて右腕を振り上げてきた。

何とか棍で防御できたものの、手に持つ得物は硬い鉱石で拵えただとかの一品物ではない。

開始したての初心者に自動支給される、何てことのない長い棒である。

そんなものではユニークモンスターの一撃を完全にいなす事などできる訳もない・・・、

しかし紅花にとっては好都合、それでいて今回感じた痛みは苦痛の痛みではなかった。

 

「呵々・・・・・・呵呵呵々!オ前、悪かったネ、前座と言ったのは取り消すアル・・・!」

彼女にとって正面切っての戦闘で受けた痛みは、痛みに非ず。

むしろ彼女をより興奮させるガソリンのようなものであった。

前回の木岩竜との戦いは不意を突かれたが故に、ログアウト後、普通にボロ泣き紅花だったが、

今回は、覚悟を決めた上で受けた強敵からの痛み。それは喜びの痛みだった。

(防御してから更に受け身まで取ったネ、なのにそこそこHPが削られてしまったアル・・・・・が)

 

 

 

最初の渾身撃で残りHP28、そして今の攻撃で残りHP4....

紅花のHPが『相手からの攻撃によって60%以上削られた』のである。

 

       「【狂戦士・壱(ベジセルク・ワン)】」

 

そう、出立する直前にリスキーと言っていたスキルの発動条件を今の受け身で満たしたのだ。

 

 

 

【狂戦士・壱】

発動してから60秒間、STR値が4倍になるトンデモスキル。

しかし、その発動条件は相手からの攻撃でHPが60%以上削られた際に1度だけ発動可能というもの。

普通であればHPやVITなどの耐久面にステ振りを行う為、発動条件が厳しくなっていくが

STR・AGIに極振りしている彼女にとっては何らかの強力な一撃を程よく受ければいいだけである。

何よりその時正面から受けたダメージは、彼女にとって喜びと栄光の痛みに自動変換される。

まさしく、一石二鳥。

 

「フゥゥゥ・・・・・・これでワタシのSTRは一時的とはいえ388・・・、

 さしものアンタでも受けきるには難しいんじゃないカ?」

▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬!!!

知った事かと言わんばかりの勢いと怒りに任せて、赫腕熊は両腕を握りしめ振り下ろしてくる。

その動作は、ダブルスレッジハンマーの如く―――――――

「その意気や、良しネ!勝負アル!!【渾身撃】!!!」

大して紅花は、棍を勢いよく振り上げて向かい打つ。

ほぼ同時に放たれた一撃、攻撃が命中したのは――――!

 

 

 

 

 

▬▬▬▬▬▬!?

赫腕熊の驚声と共にバシィッ!という音が、森に響く。

攻撃が命中したのは、赫腕熊の攻撃よりも僅かにリーチの勝った紅花の【渾身撃】

棍の先端が下顎に直撃し、モンスターの脳を揺らしていた。

それと同時にブーストされたSTRから繰り出される渾身の一撃は、

発達した赫腕熊の腕甲を打ち砕くには十分過ぎるのであった。

「この勝負、ワタシの勝ちネ!【天地払い】!!!」

 

フラつく赫腕熊の横っ腹目掛けて、棍を振り抜く。

▬▬▬―――――ッッ!?▬▬▬▬▬▬!!?

横っ腹に重たい一撃が入り、モンスターは激痛で意識を取り戻す。

よろめき、これで倒れるかと思いきや・・・・・・

▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬ッ!!!

まだ倒れるものかと踏ん張り、雄叫びを上げる―――――――――だが――――

 

 

 

 

 

▬▬▬▬▬▬――――▬▬▬――――..............。

どうやら限界を超えた上での雄叫びだったようで、赫腕熊はズシンと音を立てて倒れ伏した。

 

それを見た紅花は、ぶるぶると少しだけ震えて・・・、

开心!!(やったー!!)あの憎きドラゴンじゃないけれド、ユニークモンスター撃破アルー!」

大きく飛び跳ねた。名のある強敵との闘いを制した喜びと実感は、いつになっても新鮮に感じる。

目的の相手ではなかったとしても、命を掛けた闘争であれば、この上なく嬉しいのだ。

 

『レベルが17に上がりました』

 

「おぉ、流石に格上を倒せただけあって結構上がるネ」

そそくさと獲得したポイントをSTRとAGIに割り振る。

これでSTRとAGIの基礎値は90となった。

勿論、ユニークモンスターを撃破したことによる習得スキルもあるようで・・・・・・。

「ユニークモンスター討伐における習得スキル・・・・・・どんなモンか気になるネ!

えーっと何々・・・・・・」

 

・ユニークパッシブスキル

赫腕熊の心(かくわんゆうのこころ)

*このスキルは、防具スキルスロットにセットしないと発動しない*

1.HPを消費して発動するアクティブスキルの消費HP量を軽減する。

2.HPを消費した直後、STR値とVIT値が6倍になる(能動・受動的問わず)

3.このスキルをセットしている時にのみ、特殊なアクティブスキルを使用可能になる。

[習得条件]

赫腕熊に先制攻撃を与え、赫腕熊の赫腕甲を両方破壊して撃破する。

 

「ホホーッ!こりゃいいネ!!今のワタシには、ピッタリ アル!

しかし・・・防具スキルスロットって何ネ?そんなのあるアルカ?」

 

そうして喜んでいると赫腕熊の身体が光となって消えていく・・・・・・。

「おぉ、強敵(とも)が消えていくネ・・・謝謝、お前との闘い、楽しかったアル」

そう言って紅花は、粒子となって消えていく赫腕熊を見届けた。

 

すると、そこには煌めく宝箱が置かれていた。

「これは・・・・・・何やら凄いお宝の予感ネ・・・!さっそく開けてみるアル!」

と言って、彼女は宝箱を――――――蹴り開けた。

―――足癖、最悪である。

 

 

「ふぉぉぉお・・・・・・こりゃ、圧巻ネ・・・・・・」

中に入っていたのは赫腕熊の素材を元にしたかのような、赤と黒を基調とした毛皮の旗袍。

その表面には正に赫腕熊の魂が宿っているかのような刺繍が施されている。

そして、中心から先端にかけて闇のような黒色が赫く色づいていく猛々しい棍。

紅花は目を輝かせながら、丁寧に宝箱から武具を取り出し、装備の詳細を確認し始めた。

 

【ユニークシリーズ / 赫腕熊シリーズα】

単独かつユニークモンスターを初回戦闘で、撃破した者に贈られる唯一無二の装備。

取得した者は、この装備を譲渡出来ない。

 

赫熊の旗袍(かくゆうのちーぱお)

【STR+40】【VIT+30】

【血染めの成長】

[防具スキルスロット空欄 1 ]

 

赫熊の華撃棍(かくゆうのかげきこん)

【STR+10】【VIT+10】【AGI+10】

【血染めの成長】

 

宝箱から出てきた棍に頬擦りをしながら、興奮した紅花は――――

赫腕熊(とも)よ、お前の(ボディ)はこれからもワタシの未来(ウェイライ)であり続けるヨ・・・!

 そして先の防具スキルスロットってコレの事だったカ、忘れない内にセットしとくアル」

そうどこかで聞いた事があるような言葉を言いつつ、先程の【赫腕熊の心】を【赫熊の旗袍】にセットする、そこで気が休まったのかドッと紅花の身体が重くなる。

 

「しかし・・・流石に疲れたネ・・・今日はもうお開きにするアルヨ・・・・・・よくよく考えてみたら

【狂戦士・壱】で消費したHPを回復するアイテムとか何も用意してなかったアル・・・・・・、

【血染めの成長】とかは、また明日確認する事にするネ・・・・・・。」

と言って肩を落とす紅花は目的の木岩竜との再戦を諦め、渋々帰路に着いた・・・・。

 

第一回イベント開始まで――――あと5日。




【今回、変化したステータス】
Lv11⇒17
HP 40/40
MP 10/10
【STR 90 (+22)】
【VIT 0 (+10)】
【AGI 90】
【DEX 0】
【INT 0】
紅花は、ユニーク装備をまだ装着していないので、このように。
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